35 / 53
王室騎士団総団長マーベリックとケイコの婚約
6.はじめての貴族の夕食会
しおりを挟む
食堂室のドアが開けられると皆んなが一斉に私を見た。
ガダン!マーベリックが立ち上がった。
「ケイコ!何故ここに?」
「お座りなさい。マーベリック。」
向かいに座っているマリアンヌ様が優雅に緑色の食前酒を飲みながらマーベリックの無礼を嗜めた。
「失礼した。」
そう言うと、席に座らず私の元へ来てエスコートを執事と交代をした。目が私に釘付けになっている。
「綺麗だ。」
と耳元でささやくと軽くこめかみにキスをした。席に着くまで手を引かれ見下ろし続けられ照れてしまう。
そう言えば着飾ったのは、私がこの世界に現れた時以来。
あの時は、赤い振袖に金の帯で髪も結い上げて大きな花の髪飾りを挿していた。
今日は、それなりに化れたのかしら?
マーベリックの席の前まで来ると皆んなに紹介された。
「紹介する。俺の婚約者のケイコだ。
妻になる人間だ。扱い方には注意しろよ。」
と従兄弟達を睨み見た。
「おやおや。」
そんなマーベリックにマリアンヌ様が好奇心を隠さない顔で声を漏らした。
「ケイコと申します。本日はお招きありがとうございます。マリアンヌ様、ドレスもありがとうございます。」
マリアンヌ様は手を振って返事をし、後を続けた。
「今日は、ゲストとしてケイコにも来てもらいましたよ。
本日のメンバーを紹介しておこうかね。
マーベリック、メリッサとその従兄弟達だ。財務長官ウィリアムと妻エリザベス、法務副長官アーサーと妻ダイアナ。」
私はお辞儀をすると、マーベリックの席に座らされ、彼は私の向かいに座るマリアンヌ様に挟まれる机の端に席を用意させた。
「叔母上、意地が悪いですな。呼んだのなら一言教えて頂きたかった。」
マーベリックが苦言を言うが全く気にされていない。自分の杯を掲げると給仕が私にも同じ緑色の液体が入った杯を用意した。
「ケイコ、初めての貴族の夜会を楽しんでおくれ。さぁ、食前酒だ。お飲み。」
私が手を付けようとしたらマーベリックが慌てて杯を取り上げた。
「ケイコ、それは俺がもらおう。」
そう言って飲み干した。
「クックッ!喉が乾いていたのかい?さぁ、今度こそお飲み。」
直ぐに次の杯が置かれ、マーベリックが片眉を上げてまた私から杯を取り上げた。
「お止め。私からの杯だよ。受けるのが礼儀だろ?」
「叔母上、どう言うおつもりですか?」
マーベリックが杯を置きながらマリアンヌ様を睨みつけて険悪なオーラーを出している。
私は慌てて杯を一気に飲み込んだ。
「頂戴しました。」
キツー!何て強いお酒!喉が焼けそう。
マーベリックがメイドに水を頼んでいる。
美味しいけれど、かなりキツイ。
「大丈夫よ。」
マーベリックをなだめるように言ったけど無理やり水を二杯飲まされた。
それでもカッーとしてくる。
何か食べないと確実に酔いが回ってしまう。
「叔母様、お腹がペコペコだわ。御食事を始めましょう。」
メリッサが和かに料理のスタートを促してくれた。
メリッサありがとうと心の中でお礼を言った。
会話はマリアンヌ様の近況、領地の事、政治の事。どれも難しい。
運ばれてくる料理はどれも美味しくてテーブルマナーにも問題なく対応が出来た。
けれど、酔いが回ってきたわ。
このデザートを食べれば終わりよね。
その頃になり私の話題になった。
「お一人でこの世界に来られたのですってね。」
「お気の毒に。私なら耐えれませんわ。」
「御家族はご健勝なの?どう言ったご身分でして?」
私の世界には身分制度がないと告げると、奥様が声を上げて驚かれた。
「身分が無いですって!信じられないわ」
「おいマーベリック、座席の序列は守ってくれないと困るな。直ぐ末席に移動させてくれ。」
従兄弟達もあからさまに嫌な顔をしている。2組の夫婦は口々に話だした。
下げずみが止まらない。
「クスクスッ、ヤダわ。下賤の者に声をかけてしまったじゃないの。」
「マーベリックの婚約者と聞いたが、平民では役にたたんだろう?俺は賛成しないな。」
「そうだよマーベリック、女は沢山いるじゃないか。俺達の妻と釣り合いも取れないぞ。」
バン!!
黙っていたマーベリックが机を叩きドスの聞いた声でうなった。
「言ったよな?妻になる人間だから扱いに注意しろと。これ以上、言うなら許さんぞ。」
「おー怖い怖い。結婚する迄は、下賤の者だろ?それ迄は、同席は遠慮願いたいな。」
「そうだよ。お前、貴族社会を蔑ろにするのか?」
何故かマリアンヌ様もメリッサも一言もお話に加わらずデザートを食しながら聞き役になっている。
ああっ、駄目だわ。私の話をしているのにお酒が回りボンヤリしてしまう。
とうとう耐えられず、マーベリックの腕を掴んだ。
「ケイコ?」
「もうダメ、、」
そのまま彼の腕に伏して瞼が下がり意識を失ってしまった。
ガダン!マーベリックが立ち上がった。
「ケイコ!何故ここに?」
「お座りなさい。マーベリック。」
向かいに座っているマリアンヌ様が優雅に緑色の食前酒を飲みながらマーベリックの無礼を嗜めた。
「失礼した。」
そう言うと、席に座らず私の元へ来てエスコートを執事と交代をした。目が私に釘付けになっている。
「綺麗だ。」
と耳元でささやくと軽くこめかみにキスをした。席に着くまで手を引かれ見下ろし続けられ照れてしまう。
そう言えば着飾ったのは、私がこの世界に現れた時以来。
あの時は、赤い振袖に金の帯で髪も結い上げて大きな花の髪飾りを挿していた。
今日は、それなりに化れたのかしら?
マーベリックの席の前まで来ると皆んなに紹介された。
「紹介する。俺の婚約者のケイコだ。
妻になる人間だ。扱い方には注意しろよ。」
と従兄弟達を睨み見た。
「おやおや。」
そんなマーベリックにマリアンヌ様が好奇心を隠さない顔で声を漏らした。
「ケイコと申します。本日はお招きありがとうございます。マリアンヌ様、ドレスもありがとうございます。」
マリアンヌ様は手を振って返事をし、後を続けた。
「今日は、ゲストとしてケイコにも来てもらいましたよ。
本日のメンバーを紹介しておこうかね。
マーベリック、メリッサとその従兄弟達だ。財務長官ウィリアムと妻エリザベス、法務副長官アーサーと妻ダイアナ。」
私はお辞儀をすると、マーベリックの席に座らされ、彼は私の向かいに座るマリアンヌ様に挟まれる机の端に席を用意させた。
「叔母上、意地が悪いですな。呼んだのなら一言教えて頂きたかった。」
マーベリックが苦言を言うが全く気にされていない。自分の杯を掲げると給仕が私にも同じ緑色の液体が入った杯を用意した。
「ケイコ、初めての貴族の夜会を楽しんでおくれ。さぁ、食前酒だ。お飲み。」
私が手を付けようとしたらマーベリックが慌てて杯を取り上げた。
「ケイコ、それは俺がもらおう。」
そう言って飲み干した。
「クックッ!喉が乾いていたのかい?さぁ、今度こそお飲み。」
直ぐに次の杯が置かれ、マーベリックが片眉を上げてまた私から杯を取り上げた。
「お止め。私からの杯だよ。受けるのが礼儀だろ?」
「叔母上、どう言うおつもりですか?」
マーベリックが杯を置きながらマリアンヌ様を睨みつけて険悪なオーラーを出している。
私は慌てて杯を一気に飲み込んだ。
「頂戴しました。」
キツー!何て強いお酒!喉が焼けそう。
マーベリックがメイドに水を頼んでいる。
美味しいけれど、かなりキツイ。
「大丈夫よ。」
マーベリックをなだめるように言ったけど無理やり水を二杯飲まされた。
それでもカッーとしてくる。
何か食べないと確実に酔いが回ってしまう。
「叔母様、お腹がペコペコだわ。御食事を始めましょう。」
メリッサが和かに料理のスタートを促してくれた。
メリッサありがとうと心の中でお礼を言った。
会話はマリアンヌ様の近況、領地の事、政治の事。どれも難しい。
運ばれてくる料理はどれも美味しくてテーブルマナーにも問題なく対応が出来た。
けれど、酔いが回ってきたわ。
このデザートを食べれば終わりよね。
その頃になり私の話題になった。
「お一人でこの世界に来られたのですってね。」
「お気の毒に。私なら耐えれませんわ。」
「御家族はご健勝なの?どう言ったご身分でして?」
私の世界には身分制度がないと告げると、奥様が声を上げて驚かれた。
「身分が無いですって!信じられないわ」
「おいマーベリック、座席の序列は守ってくれないと困るな。直ぐ末席に移動させてくれ。」
従兄弟達もあからさまに嫌な顔をしている。2組の夫婦は口々に話だした。
下げずみが止まらない。
「クスクスッ、ヤダわ。下賤の者に声をかけてしまったじゃないの。」
「マーベリックの婚約者と聞いたが、平民では役にたたんだろう?俺は賛成しないな。」
「そうだよマーベリック、女は沢山いるじゃないか。俺達の妻と釣り合いも取れないぞ。」
バン!!
黙っていたマーベリックが机を叩きドスの聞いた声でうなった。
「言ったよな?妻になる人間だから扱いに注意しろと。これ以上、言うなら許さんぞ。」
「おー怖い怖い。結婚する迄は、下賤の者だろ?それ迄は、同席は遠慮願いたいな。」
「そうだよ。お前、貴族社会を蔑ろにするのか?」
何故かマリアンヌ様もメリッサも一言もお話に加わらずデザートを食しながら聞き役になっている。
ああっ、駄目だわ。私の話をしているのにお酒が回りボンヤリしてしまう。
とうとう耐えられず、マーベリックの腕を掴んだ。
「ケイコ?」
「もうダメ、、」
そのまま彼の腕に伏して瞼が下がり意識を失ってしまった。
0
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説
【本編完結】隣国が戦を仕掛けてきたので返り討ちにし、人質として王女を娶ることになりました。三国からだったのでそれぞれの王女を貰い受けます。
しろねこ。
恋愛
三国から攻め入られ、四面楚歌の絶体絶命の危機だったけど、何とか戦を終わらせられました。
つきましては和平の為の政略結婚に移ります。
冷酷と呼ばれる第一王子。
脳筋マッチョの第二王子。
要領良しな腹黒第三王子。
選ぶのは三人の難ありな王子様方。
宝石と貴金属が有名なパルス国。
騎士と聖女がいるシェスタ国。
緑が多く農業盛んなセラフィム国。
それぞれの国から王女を貰い受けたいと思います。
戦を仕掛けた事を後悔してもらいましょう。
ご都合主義、ハピエン、両片想い大好きな作者による作品です。
現在10万字以上となっています、私の作品で一番長いです。
基本甘々です。
同名キャラにて、様々な作品を書いています。
作品によりキャラの性格、立場が違いますので、それぞれの差分をお楽しみ下さい。
全員ではないですが、イメージイラストあります。
皆様の心に残るような、そして自分の好みを詰め込んだ甘々な作品を書いていきますので、よろしくお願い致します(*´ω`*)
カクヨムさんでも投稿中で、そちらでコンテスト参加している作品となりますm(_ _)m
小説家になろうさんでも掲載中。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
【完結】ペンギンの着ぐるみ姿で召喚されたら、可愛いもの好きな氷の王子様に溺愛されてます。
櫻野くるみ
恋愛
笠原由美は、総務部で働くごく普通の会社員だった。
ある日、会社のゆるキャラ、ペンギンのペンタンの着ぐるみが納品され、たまたま小柄な由美が試着したタイミングで棚が倒れ、下敷きになってしまう。
気付けば豪華な広間。
着飾る人々の中、ペンタンの着ぐるみ姿の由美。
どうやら、ペンギンの着ぐるみを着たまま、異世界に召喚されてしまったらしい。
え?この状況って、シュール過ぎない?
戸惑う由美だが、更に自分が王子の結婚相手として召喚されたことを知る。
現れた王子はイケメンだったが、冷たい雰囲気で、氷の王子様と呼ばれているらしい。
そんな怖そうな人の相手なんて無理!と思う由美だったが、王子はペンタンを着ている由美を見るなりメロメロになり!?
実は可愛いものに目がない王子様に溺愛されてしまうお話です。
完結しました。
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
私には弱小貴族くらいが丁度いい。
木山楽斗
恋愛
田舎の男爵令嬢であるルルーナは、特別裕福という訳でもないが平穏な生活を送っていた。
前世の記憶を持っている彼女は、二度目の人生に幸福を感じていた。妙なしがらみもない田舎の弱小貴族は、彼女の気質にあっていたのだ。
しかしそんな彼女に災難が降りかかってきた。領地に悪辣な伯爵令息ドルナスが現れたのである。
権力さえあればなんでもできるという考えを持つ彼は、ルルーナに対しても横暴に振る舞った。それによって、ルルーナは窮地に立たされる。
そんな彼女を救ったのは、偶然お忍びでやって来ていた第二王子のゼナートであった。
こうしてドルナスは、より権力を持つ者によって捻じ伏せられたのだった。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる