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貴方の世界で生きてみる
2.西の森のバーさん
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「明日から8日間、休暇が取れた。
西の森へ行く。土産にクッキーを焼いててくれ。」
クッキーはこの世界に無いので珍しい物と重宝される。
突然だけど、遠出つまり旅行よね?
新婚旅行みたいで楽しみだわ。
西へ向かう馬車の中は、クッションが敷かれガタガタを軽減してくれるが、車に慣れている私には少々キツい。
座りっぱなしも限界が来ている。
「ケイコ、休暇にしようか?身体が痛いはずだ。」
私の苦痛を見透かしたかのように声がかかる。ホントこんな所が気がつく良い男だ。
ホッとして大きく伸びをする。
「少し歩こうか。身体がほぐれるぞ。」
すぐ近くの湖まで並んで歩く。
湖を見ると自然とイビキ池の事を思い出す。あの時、マーベリックが止めなければどうなっていただろう?
私の世界に帰れたのか?
または、森に迷って魔物にやられ死んでいたのか?
「何を考えてる?」
「ふふっ、イビキ池が懐かしいなぁ。って」
「あの時は、もうダメかと思ったぞ。
本当に無茶が過ぎる。俺の側にいるから、もう2度とあんな事はさせないぞ。」
ジロリとマーベリックは睨んでくる。
怖い、怖い。
わかってますって。
もうしません。きっとね。
その思いが顔に出ていたのかマーベリックが抱き寄せ口づけをしてくる。
「約束だぞ。」
「、、はい。」と小さな声で答える。
ちょっと自信がないとは流石に口に出来ない。
「西の魔女の家まで後少しだ。ちょっと変わったバーさんだが、信頼して良い。お前の力になる。かつては俺も世話になったからな。」
魔女?世話になった?力になる?どう言う事??
ケイコは首をかしげる。
不安がるケイコにマーベリックは、優しく微笑み「大丈夫だ。」とチュと口付をし馬車に乗り込ませた。
森の中に真っ赤な二階建の家が現れた。
家の前は花や野菜が植えられている。
「バーさん、いるかぁ?俺だ。マーベリックだ。入るぞ!」
大声で叫びながら扉を開け、ズカズカと入って行く。
人様の家に許可なく入って大丈夫?と思いながら部屋に入るとマーベリックが"バーさん"と親しく抱き合って挨拶を交わしている。
「紹介しよう。バーさん、新しい嫁のケイコだ。ケイコ、西の魔女のビアンカだ。」
ビアンカは、おかっぱ頭でゆったりとしたワンピース、マネキュアそして指輪。全て真っ赤だ。コロンとした体型で首からジャラジャラと石や水晶のネックレスが重なり、大きな青い石の指輪も輝く。顔は深いシワがいくつも刻まれ年齢はわからない。
「おやまぁ、マーベリックの嫁とは大変だろ?ん?アンタは、、、そうか、そうか。2階の客間を使いなさい。ゆっくりしていくがいい。まずはお茶にしよう。」
とウインクをする。
私は呆気にとられた。強烈なお婆さんだった。
西の森へ行く。土産にクッキーを焼いててくれ。」
クッキーはこの世界に無いので珍しい物と重宝される。
突然だけど、遠出つまり旅行よね?
新婚旅行みたいで楽しみだわ。
西へ向かう馬車の中は、クッションが敷かれガタガタを軽減してくれるが、車に慣れている私には少々キツい。
座りっぱなしも限界が来ている。
「ケイコ、休暇にしようか?身体が痛いはずだ。」
私の苦痛を見透かしたかのように声がかかる。ホントこんな所が気がつく良い男だ。
ホッとして大きく伸びをする。
「少し歩こうか。身体がほぐれるぞ。」
すぐ近くの湖まで並んで歩く。
湖を見ると自然とイビキ池の事を思い出す。あの時、マーベリックが止めなければどうなっていただろう?
私の世界に帰れたのか?
または、森に迷って魔物にやられ死んでいたのか?
「何を考えてる?」
「ふふっ、イビキ池が懐かしいなぁ。って」
「あの時は、もうダメかと思ったぞ。
本当に無茶が過ぎる。俺の側にいるから、もう2度とあんな事はさせないぞ。」
ジロリとマーベリックは睨んでくる。
怖い、怖い。
わかってますって。
もうしません。きっとね。
その思いが顔に出ていたのかマーベリックが抱き寄せ口づけをしてくる。
「約束だぞ。」
「、、はい。」と小さな声で答える。
ちょっと自信がないとは流石に口に出来ない。
「西の魔女の家まで後少しだ。ちょっと変わったバーさんだが、信頼して良い。お前の力になる。かつては俺も世話になったからな。」
魔女?世話になった?力になる?どう言う事??
ケイコは首をかしげる。
不安がるケイコにマーベリックは、優しく微笑み「大丈夫だ。」とチュと口付をし馬車に乗り込ませた。
森の中に真っ赤な二階建の家が現れた。
家の前は花や野菜が植えられている。
「バーさん、いるかぁ?俺だ。マーベリックだ。入るぞ!」
大声で叫びながら扉を開け、ズカズカと入って行く。
人様の家に許可なく入って大丈夫?と思いながら部屋に入るとマーベリックが"バーさん"と親しく抱き合って挨拶を交わしている。
「紹介しよう。バーさん、新しい嫁のケイコだ。ケイコ、西の魔女のビアンカだ。」
ビアンカは、おかっぱ頭でゆったりとしたワンピース、マネキュアそして指輪。全て真っ赤だ。コロンとした体型で首からジャラジャラと石や水晶のネックレスが重なり、大きな青い石の指輪も輝く。顔は深いシワがいくつも刻まれ年齢はわからない。
「おやまぁ、マーベリックの嫁とは大変だろ?ん?アンタは、、、そうか、そうか。2階の客間を使いなさい。ゆっくりしていくがいい。まずはお茶にしよう。」
とウインクをする。
私は呆気にとられた。強烈なお婆さんだった。
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