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霧のいたずら
18.ケイコの戸惑い
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私は気がついたらベットの上だった。
「あれ?私、、どうしたんだろう?」
まだボーとしていている。
ゆっくり見回すと、病院のようだ。記憶を巻き戻す。
たしか、陛下執務室の専用中庭で花を集めていて、、、
ここは何処?
!!!
部屋を見回すとテレビがあった。
つまり元の世界だ!
「えっ?!ちょっと、、待って。なんで?」
突然、戻れたので頭が追いつかない。
「なんで?なんで、、」
頭が真っ白になってドクドクと血が流れる音が聴こえる。
戸惑っているとあの日一緒にランチを食べていた友人が入って来た。
「大丈夫?結婚式場の日本庭園で倒れていたのよ。救急車で運ばれてね。お医者様は貧血じゃないかって。」
私は目を見開き、
「あの日いた結婚式場?城の中庭の間違えじゃないの?」
「何それ?夢を見ていたの?それに、あの日って何よ、1時間前までいたじゃない。そろそろお家の人が迎えに来る頃じゃない?」
丁度、夫と子供達が入って来た。
私は懐かしさの余り夫や子供に抱き付き泣きじゃくってしまった。
余りの私の号泣ぶりに私は気を失い混乱しているからだ。と友人が説明してくれた。
懐かしい我が家。
やっと、やっと帰ってきた。と言う気分になってしまう。
私、本当に混乱しているわ。
私はあの世界で3年を過ごしたはず。
なのに気を失ってる間の一瞬の夢だったなんて。
なんて切ない夢だったんだろう。
フッフッフッ。
おかし過ぎるわよ。
だってそうでしょ?
執務室に入るマーベリックの背中をハッキリ覚えている。
彼と繋いだ手や頬に触れた手の感覚、キスだって覚えている。
なのに夢だったなんて、、、
「フッフッ、、フッ、、」
頭を振り目を固くつむると涙が溢れて止まらない。
「ウ、ウッ、」
愛した人が夢だったなんて。
そんな、、、
「バカみたい。」
*****
それから私の落込みは激しく、この2か月、側に愛する家族がいるのに、どうしようもない喪失感を拭う事が出来なかった。
そんな時、結婚式場から電話があり、私が借りていた衣装が自宅に無いか念の為、確認してほしいとの事。
家を探したが見つからない。
救急車を呼びご迷惑をかけたお詫びと当時の状況も知りたいので結婚式場を訪ねる事にした。
結婚式場のチーフが言うには、私が見つかった時、池にはまっていたので私服に着替えさせてから救急車に運ばれたそう。
その時の衣装が紛失していて念の為の問い合わせだった。
話も済み、ずっと気になっていた日本庭園に出てみる。
前に来たあの日を思い出す。
霧が深くって前が見えなかったけど、池のほとりのこの辺りだったような。。
そこには、あの世界のヒントは何もなかった。池に美しい錦鯉が泳ぐだけ。
やはり夢だった、、、。
私は空を見上げる。
青空にうっすら月が見える。
夢の世界でしたように月に向かって祈ってみる。
どうか、どうかお願い。お月様。
夢のあの人に伝えて。
私は元気だと。
どうか私を忘れてと。
優しい騎士団総団長の側に良い人が来ますように。
「マーベリック。。。」
もう口にする事の無い名前。
2度と会えない。
さようならも言えなかったなんて。
「あれ?私、、どうしたんだろう?」
まだボーとしていている。
ゆっくり見回すと、病院のようだ。記憶を巻き戻す。
たしか、陛下執務室の専用中庭で花を集めていて、、、
ここは何処?
!!!
部屋を見回すとテレビがあった。
つまり元の世界だ!
「えっ?!ちょっと、、待って。なんで?」
突然、戻れたので頭が追いつかない。
「なんで?なんで、、」
頭が真っ白になってドクドクと血が流れる音が聴こえる。
戸惑っているとあの日一緒にランチを食べていた友人が入って来た。
「大丈夫?結婚式場の日本庭園で倒れていたのよ。救急車で運ばれてね。お医者様は貧血じゃないかって。」
私は目を見開き、
「あの日いた結婚式場?城の中庭の間違えじゃないの?」
「何それ?夢を見ていたの?それに、あの日って何よ、1時間前までいたじゃない。そろそろお家の人が迎えに来る頃じゃない?」
丁度、夫と子供達が入って来た。
私は懐かしさの余り夫や子供に抱き付き泣きじゃくってしまった。
余りの私の号泣ぶりに私は気を失い混乱しているからだ。と友人が説明してくれた。
懐かしい我が家。
やっと、やっと帰ってきた。と言う気分になってしまう。
私、本当に混乱しているわ。
私はあの世界で3年を過ごしたはず。
なのに気を失ってる間の一瞬の夢だったなんて。
なんて切ない夢だったんだろう。
フッフッフッ。
おかし過ぎるわよ。
だってそうでしょ?
執務室に入るマーベリックの背中をハッキリ覚えている。
彼と繋いだ手や頬に触れた手の感覚、キスだって覚えている。
なのに夢だったなんて、、、
「フッフッ、、フッ、、」
頭を振り目を固くつむると涙が溢れて止まらない。
「ウ、ウッ、」
愛した人が夢だったなんて。
そんな、、、
「バカみたい。」
*****
それから私の落込みは激しく、この2か月、側に愛する家族がいるのに、どうしようもない喪失感を拭う事が出来なかった。
そんな時、結婚式場から電話があり、私が借りていた衣装が自宅に無いか念の為、確認してほしいとの事。
家を探したが見つからない。
救急車を呼びご迷惑をかけたお詫びと当時の状況も知りたいので結婚式場を訪ねる事にした。
結婚式場のチーフが言うには、私が見つかった時、池にはまっていたので私服に着替えさせてから救急車に運ばれたそう。
その時の衣装が紛失していて念の為の問い合わせだった。
話も済み、ずっと気になっていた日本庭園に出てみる。
前に来たあの日を思い出す。
霧が深くって前が見えなかったけど、池のほとりのこの辺りだったような。。
そこには、あの世界のヒントは何もなかった。池に美しい錦鯉が泳ぐだけ。
やはり夢だった、、、。
私は空を見上げる。
青空にうっすら月が見える。
夢の世界でしたように月に向かって祈ってみる。
どうか、どうかお願い。お月様。
夢のあの人に伝えて。
私は元気だと。
どうか私を忘れてと。
優しい騎士団総団長の側に良い人が来ますように。
「マーベリック。。。」
もう口にする事の無い名前。
2度と会えない。
さようならも言えなかったなんて。
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