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霧のいたずら

15.別邸。バレたメグミの秘密

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黄昏時の空に1番星が輝く。
夜のとばりが降りてくる美しい一瞬だ。だけど私は気が重い。
今、怒りをあらわにしている王城騎士団総団長マーベリックの馬に二人乗りしているから。
怒りのほこ先は私だ。
しばらく走ると草原から脇道にそれた。

「マーベリック、街へ帰らないの?」

オズオズと尋ねるが返事はない。
ハックション
うー寒い。冷えてきた。
ふわりとマーベリックが自分のマントに包み入れてくれた。
温かい。
けれど、これってヤバくない?

「飛ばすぞ。しっかりつかまれ」

そう言うと歩みを早めた。
さらに強く密着する事になってしまった。
ヤバイ、ヤバイ。。
慣れない馬の速さとマーベリックの香りにドキドキクラクラしてしまう。
寒くていいから、せめてマントの中からだして!
生きた心地がしないとはこの事だわ。

間も無くして洋館にたどり着くと、そこはマーベリックの別邸だった。

「お帰りなさいませ。旦那様。」

「ああ。今夜は泊まるので客人には部屋と風呂を。身体が冷えている。簡単な食事を各自の部屋まで頼む。」

「マーベリック、泊まるってどう言う事なの?」

流石、貴族の家だ。豪華なエントランスを見回しながら尋ねる。

「あの速さで草原を走っていたら野宿になっていた。安全の為だ。俺は書斎で仕事をするから風呂で温まって食って寝ろ。」

そう言うと奥へ消え、私は客間に案内された。
部屋は二階で豪華で重厚だった。庶民の私にはちょっと居心地が悪い。
バスタブに浸かり今日の事を思い出す。
北の森イビキ池は絶対に私の世界と繋がっている。あそこで聞こえた音は電車の音に違いない。でも、もう少しで確認できたのにマーベリックがやって来るなんて。。
ああっマーベリックが凄く怒ってる。
どうしたら良いのだろう。

着替えが済み部屋でお茶を飲んでいると
ノックの音がして、マーベリックが入ってきた。
まだ怒っている。

「さぁ答えてもらうぞ。時間はたっぷりある。何故あんな無茶をしたんだ。」

「どうしても確かめてみたかったの。それに無茶じゃないわ。ちゃんと食料も持って行ったし。」

マーベリックは大きくため息を吐き頭を振る。

「ハァー、お前は危機管理が全くなっていない。やはり一人にさせれない。今日の事でよーくわかった。帰ったら俺と一緒に住め。」

「嫌よ。」私はツンと顔を背ける。

「何と言おうと今日は許さない。
うんと言うまで手を離さないぞ。」と手を握ってきた。

「マーベリック強引よ!」

振り解こうとするけど全く手を離してくれない。

「こんな事、伯爵令嬢が知ったら結婚できなくなるわよ!離して!」

つい伯爵令嬢の事を出してしまった。

マーベリックが片方の眉を上げる。

「お前が素直で無いのはわかった。観念しろ。
お前の口から聞きたかったが。」

と、前置きしマーベリックはシャツの中からネックレスにしている小袋をだして、中から小さく折った紙を取り出す。
 
メグミ メグミ
メグミはケイコ
わたしはケイコ

それはメグミの文字の練習の紙だった。
何度も繰り返し書いてある。

「本当の名前はケイコなんだな。」

な、なんでこれを貴方がもってるの?と焦る。

「それは、、そ、そうよ。怪しい人に名乗りたくないからとっさにニックネームを。黙っててごめんなさい。でも、その紙は何処で手に入れたの?」

それは、何気なく見たケイコのノートで偶然見つけ、内緒でくすねた紙だ。
答えるつもりは無い。

「裏を見ろ。」

ケイコは裏面を見て飛び上がる程、驚いた!

マーベリック だいすき
マーベリック そばにいて
マーベリック あいしてる

「!!!」

メグミ改めケイコは真っ赤になり紙を丸めようとする。

「駄目だ。これは俺の宝物だ。」

力ずくで取り返される。そして、抱き寄せられ彼の大きな手が頬にふれる。

「観念しろ。お前の気持ちは知ってるんだ。」

ケイコの苦手なマーベリックの熱い優しい目で見つめられる。
今日は特別に熱い。

真っ赤な顔がさらに赤くなり下を向いて目も開けれない。

「お前の旦那には悪いが、ここにはいないだろ?俺の嫁もだ。俺はアイツがで寂しく無くやってるならでも良いと思うんだ。」

そう言うとケイコの頭をなぜる。

「お前はどうだ?寂しいだろ。」

「私は、、、、、、寂しいし帰りたい。
だけど、全然、帰れない、、、。」

そう言うと涙が溢れとまらなくなった。

「俺が側にいるから。お前を支える。だからここにいろ。」

マーベリックは抱きしめながら優しく頭をなぜる。

「約束する。お前が消えるまで。」

「マーベリック、、、」

「今日は色々あり疲れただろう。続きは王都に帰ってからだ。ゆっくり休め。」

そう言ってケイコのオデコにキスをして出て行った。

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