19 / 20
第19話
しおりを挟む
今日はこの国の建国記念日。城下は活気に溢れ、町は装飾で華やかになっている。広場では建国を祝う人たちが踊ったり、王城の門が特別に開くこの日は市民が非日常を味わう特別な日だ。
一般開放される王城の敷地からは離れた館に位のある客人が集められている。私も一般開放される前にこの会場に入り設営の段取りやら、料理の手配、客間の振り分けなどをした。
「今日は私たちの主催する夜会に来てくれて嬉しく思う」
「陛下にお招きいただき光栄です」
しかし私はまだ王家の一員ではない。客人である立場なので王座に座る国王と隣に座る王妃に挨拶をする。王妃は一人でこのパーティーに来た私を不憫に思ったのか、王妃の側近をつけようかと提案されたが断った。
空席が二人を挟んでいる。きっと王子二人の席ね。ニアンベルは朝から城内にはいないようでしたし、アイザック殿下はどこにいるのかわからない。
私は一人でも独りじゃないわ、憐んでいただかなくても結構よ。王妃は優しいお方なのだけれどその優しさは今はいらない。
「ニアンベルは朝からどこかに行ってしまってな。しばらくは帰城しないだろうから、今のうちにゆっくりしておいてくれ。アイザックはそのうち来るだろう」
どこかって国王もおおよそ検討がついているようね。城にいないことも当然把握されているし、どうせマリアンヌと城下でデートでもしているのでしょうね。
せいぜいゆっくり幸せを噛みしめているといいわ。
「そうさせていただきますわ」
陛下に挨拶を終えてからは壁に同化し今までにないほど空気になりきった。昼食の時間はとうに過ぎていて皆ワイングラス片手に談笑を楽しんでいる。
笑えるほどにだれにも話しかけられないのは壁に成りきれているということだろうか。
本当は正装のアイザック殿下にお会いしたかったですけれど、あまり慣れないパーティーに引っ張り出すのも申し訳ない。
私もグラスに入る葡萄酒を飲みながら目玉である夕刻の国王夫妻の登場を待つことにした。
決闘の後、大聖女と夢の中でお会いしたこと、マリアンヌをうまく利用すればアイザック殿下が次期国王になれるかもしれないということを話した。
マリアンヌの今までの行動の動機を聞いて、アイザック殿下の口角は目じりにつきそうなほど上がっていた。「そうか、そうだったのか」と呟いてからは上の空でちょとだけ悲しかった。
ニアンベルときたらあの決闘以来私に近づくことは無くなり、マリアンヌ一筋になった。城にいることも減り国王から政務をするように勅令を受けても一切手を付けなかった。宰相や役人、侍従達にまで落ちぶれた王子と囁かれるようになった。その間私とアイザック殿下はなにも行動を起こさなかったが、ぽつりぽつりと次期国王はアイザック殿下だと下馬評が上がった。
私からすればニアンベルはポテンシャルはありますのにマリアンヌの見かけだけの優しさに絆されて、アイザック殿下と同じことをしないように比べられることを恐れて城から逃げているように見えますわ。
マリアンヌの情報はエミリーから回ってきた。エミリーの父であるニュロンデ男爵はこの国では違法とされている人身売買を行なっていて、目を引く者は男であれば男娼として高値で、女であればニュロンデ男爵の性奴隷となる。子を身ごもれば捨てられ、病気にかかればそれを隠して売られる。
マリアンヌは目を引く女としてニュロンデの性奴隷として最初は家のコレクション部屋に監禁されていたそうだ。その部屋は言うまでもなく環境が最悪であったそうだ。
エミリーが言うにはニュロンデがマリアンヌに惚れこんでしまい、家の外でも連れて歩けるようにと養子に取ったらしい。真意は確かではないが、マリアンヌが生き残るためにニュロンデに恋をさせたのではないかとエミリーは言った。
同情はするが、それだからといって許すことは出来ない。
「イル」
壁に寄りかかっていると、横から聞きなじみのある声で呼ばれた。
「エミリー」
凭れたまま手をひらひらと振った。
「誰からも声を掛けられなくて暇していたの」
「今までニアンベル殿下と共にいたのに急に一人になって空気のような存在になっていたら、誰もが話しかけづらいよ」
壁に成りきることが出来ていなかったことに少し落胆する。
エミリーは何か話があるのだろうか、周りを気にするそぶりをしてから私に耳打ちをした。
「え!家に近衛兵が調査に来たの!?」
「声が大きい」
眉間に皺が寄るエミリー。私は焦って口を手で覆った。
「ごめん。……でもどうして?あのことを誰かに話したの?」
男爵は表では健全な取引をその裏で人身売買をしているって、証拠が少なくてどうしようもできないって言ってたじゃない。エミリーを私の家に厄介払いのように送って来たけど、正真正銘のエミリーの家なのよ?そんな、ばれたらエミリーは罰を受けるの?籍はまだ男爵家に置いたままなのよね?
「私がアイザック様に言ったのよ。父が違法行為をしているって」
口を開きっぱなしの私は唾液を飲み込むために口を閉じた。
「そしたら『知っている』ですって。これではっきりとわかった、あの人はイルの側にいるひとのこと全部調べ上げているのよ」
呆れと恐怖が混じったように、口角を片方だけ挙げて目を細めた。
何も言えないでいるとエミリーは続けて言った。
「家は没落まっしぐら。これじゃあイルの側にもいれないわ。距離が遠くなると思うけど、イルのことは忘れないので」
「エミリーはそんな簡単に私の側を離れられるって言うの?」
「ずっといるつもりだったけど、イルが王妃になるのに隣に身分の無いもの置いておくわけにはいかないでしょう」
「……やっぱり、エミリーも知っていたのね」
何を?ととぼけた顔をするエミリーに、お父様に言われたことをすべて話した。
「ふっ、恋は盲目って言うものね」
エミリーはやはり知っていたようで、馬鹿にしたように鼻で笑った。
「まぁそんなことはよくて、エミリーは私の家に売られてきたんだから家のことなんて気にしなくていいわ。誰になんと言われてもエミリーは友人だし私の唯一の側近よ」
「そ。なら安心。あと私、もう男爵家と絶縁したから。ま、絶縁というか結婚したのよ」
「え?……どのみち私の側仕えから外すつもりはないけど」
衝撃すぎて間抜けな声を出してしまった。そんな簡単に家と縁が切れるの?これもアイザック殿下が手助けしたのかしら。どこまで従者のために手を尽くすのよ。
そのまま二人で夕刻になるまで話し込んだ。
エミリーと二人でこんなに長話をしたのは久々で、お腹がちぎれそうなほど笑ったりもした。
一般開放される王城の敷地からは離れた館に位のある客人が集められている。私も一般開放される前にこの会場に入り設営の段取りやら、料理の手配、客間の振り分けなどをした。
「今日は私たちの主催する夜会に来てくれて嬉しく思う」
「陛下にお招きいただき光栄です」
しかし私はまだ王家の一員ではない。客人である立場なので王座に座る国王と隣に座る王妃に挨拶をする。王妃は一人でこのパーティーに来た私を不憫に思ったのか、王妃の側近をつけようかと提案されたが断った。
空席が二人を挟んでいる。きっと王子二人の席ね。ニアンベルは朝から城内にはいないようでしたし、アイザック殿下はどこにいるのかわからない。
私は一人でも独りじゃないわ、憐んでいただかなくても結構よ。王妃は優しいお方なのだけれどその優しさは今はいらない。
「ニアンベルは朝からどこかに行ってしまってな。しばらくは帰城しないだろうから、今のうちにゆっくりしておいてくれ。アイザックはそのうち来るだろう」
どこかって国王もおおよそ検討がついているようね。城にいないことも当然把握されているし、どうせマリアンヌと城下でデートでもしているのでしょうね。
せいぜいゆっくり幸せを噛みしめているといいわ。
「そうさせていただきますわ」
陛下に挨拶を終えてからは壁に同化し今までにないほど空気になりきった。昼食の時間はとうに過ぎていて皆ワイングラス片手に談笑を楽しんでいる。
笑えるほどにだれにも話しかけられないのは壁に成りきれているということだろうか。
本当は正装のアイザック殿下にお会いしたかったですけれど、あまり慣れないパーティーに引っ張り出すのも申し訳ない。
私もグラスに入る葡萄酒を飲みながら目玉である夕刻の国王夫妻の登場を待つことにした。
決闘の後、大聖女と夢の中でお会いしたこと、マリアンヌをうまく利用すればアイザック殿下が次期国王になれるかもしれないということを話した。
マリアンヌの今までの行動の動機を聞いて、アイザック殿下の口角は目じりにつきそうなほど上がっていた。「そうか、そうだったのか」と呟いてからは上の空でちょとだけ悲しかった。
ニアンベルときたらあの決闘以来私に近づくことは無くなり、マリアンヌ一筋になった。城にいることも減り国王から政務をするように勅令を受けても一切手を付けなかった。宰相や役人、侍従達にまで落ちぶれた王子と囁かれるようになった。その間私とアイザック殿下はなにも行動を起こさなかったが、ぽつりぽつりと次期国王はアイザック殿下だと下馬評が上がった。
私からすればニアンベルはポテンシャルはありますのにマリアンヌの見かけだけの優しさに絆されて、アイザック殿下と同じことをしないように比べられることを恐れて城から逃げているように見えますわ。
マリアンヌの情報はエミリーから回ってきた。エミリーの父であるニュロンデ男爵はこの国では違法とされている人身売買を行なっていて、目を引く者は男であれば男娼として高値で、女であればニュロンデ男爵の性奴隷となる。子を身ごもれば捨てられ、病気にかかればそれを隠して売られる。
マリアンヌは目を引く女としてニュロンデの性奴隷として最初は家のコレクション部屋に監禁されていたそうだ。その部屋は言うまでもなく環境が最悪であったそうだ。
エミリーが言うにはニュロンデがマリアンヌに惚れこんでしまい、家の外でも連れて歩けるようにと養子に取ったらしい。真意は確かではないが、マリアンヌが生き残るためにニュロンデに恋をさせたのではないかとエミリーは言った。
同情はするが、それだからといって許すことは出来ない。
「イル」
壁に寄りかかっていると、横から聞きなじみのある声で呼ばれた。
「エミリー」
凭れたまま手をひらひらと振った。
「誰からも声を掛けられなくて暇していたの」
「今までニアンベル殿下と共にいたのに急に一人になって空気のような存在になっていたら、誰もが話しかけづらいよ」
壁に成りきることが出来ていなかったことに少し落胆する。
エミリーは何か話があるのだろうか、周りを気にするそぶりをしてから私に耳打ちをした。
「え!家に近衛兵が調査に来たの!?」
「声が大きい」
眉間に皺が寄るエミリー。私は焦って口を手で覆った。
「ごめん。……でもどうして?あのことを誰かに話したの?」
男爵は表では健全な取引をその裏で人身売買をしているって、証拠が少なくてどうしようもできないって言ってたじゃない。エミリーを私の家に厄介払いのように送って来たけど、正真正銘のエミリーの家なのよ?そんな、ばれたらエミリーは罰を受けるの?籍はまだ男爵家に置いたままなのよね?
「私がアイザック様に言ったのよ。父が違法行為をしているって」
口を開きっぱなしの私は唾液を飲み込むために口を閉じた。
「そしたら『知っている』ですって。これではっきりとわかった、あの人はイルの側にいるひとのこと全部調べ上げているのよ」
呆れと恐怖が混じったように、口角を片方だけ挙げて目を細めた。
何も言えないでいるとエミリーは続けて言った。
「家は没落まっしぐら。これじゃあイルの側にもいれないわ。距離が遠くなると思うけど、イルのことは忘れないので」
「エミリーはそんな簡単に私の側を離れられるって言うの?」
「ずっといるつもりだったけど、イルが王妃になるのに隣に身分の無いもの置いておくわけにはいかないでしょう」
「……やっぱり、エミリーも知っていたのね」
何を?ととぼけた顔をするエミリーに、お父様に言われたことをすべて話した。
「ふっ、恋は盲目って言うものね」
エミリーはやはり知っていたようで、馬鹿にしたように鼻で笑った。
「まぁそんなことはよくて、エミリーは私の家に売られてきたんだから家のことなんて気にしなくていいわ。誰になんと言われてもエミリーは友人だし私の唯一の側近よ」
「そ。なら安心。あと私、もう男爵家と絶縁したから。ま、絶縁というか結婚したのよ」
「え?……どのみち私の側仕えから外すつもりはないけど」
衝撃すぎて間抜けな声を出してしまった。そんな簡単に家と縁が切れるの?これもアイザック殿下が手助けしたのかしら。どこまで従者のために手を尽くすのよ。
そのまま二人で夕刻になるまで話し込んだ。
エミリーと二人でこんなに長話をしたのは久々で、お腹がちぎれそうなほど笑ったりもした。
29
お気に入りに追加
77
あなたにおすすめの小説
婚約破棄の上に家を追放された直後に聖女としての力に目覚めました。
三葉 空
恋愛
ユリナはバラノン伯爵家の長女であり、公爵子息のブリックス・オメルダと婚約していた。しかし、ブリックスは身勝手な理由で彼女に婚約破棄を言い渡す。さらに、元から妹ばかり可愛がっていた両親にも愛想を尽かされ、家から追放されてしまう。ユリナは全てを失いショックを受けるが、直後に聖女としての力に目覚める。そして、神殿の神職たちだけでなく、王家からも丁重に扱われる。さらに、お祈りをするだけでたんまりと給料をもらえるチート職業、それが聖女。さらに、イケメン王子のレオルドに見初められて求愛を受ける。どん底から一転、一気に幸せを掴み取った。その事実を知った元婚約者と元家族は……
大好きな第一王子様、私の正体を知りたいですか? 本当に知りたいんですか?
サイコちゃん
恋愛
第一王子クライドは聖女アレクサンドラに婚約破棄を言い渡す。すると彼女はお腹にあなたの子がいると訴えた。しかしクライドは彼女と寝た覚えはない。狂言だと断じて、妹のカサンドラとの婚約を告げた。ショックを受けたアレクサンドラは消えてしまい、そのまま行方知れずとなる。その頃、クライドは我が儘なカサンドラを重たく感じていた。やがて新しい聖女レイラと恋に落ちた彼はカサンドラと別れることにする。その時、カサンドラが言った。「私……あなたに隠していたことがあるの……! 実は私の正体は……――」
【完結】恋人との子を我が家の跡取りにする? 冗談も大概にして下さいませ
水月 潮
恋愛
侯爵家令嬢アイリーン・エヴァンスは遠縁の伯爵家令息のシリル・マイソンと婚約している。
ある日、シリルの恋人と名乗る女性・エイダ・バーク男爵家令嬢がエヴァンス侯爵邸を訪れた。
なんでも彼の子供が出来たから、シリルと別れてくれとのこと。
アイリーンはそれを承諾し、二人を追い返そうとするが、シリルとエイダはこの子を侯爵家の跡取りにして、アイリーンは侯爵家から出て行けというとんでもないことを主張する。
※設定は緩いので物語としてお楽しみ頂けたらと思います
☆HOTランキング20位(2021.6.21)
感謝です*.*
HOTランキング5位(2021.6.22)
この戦いが終わったら一緒になろうと約束していた勇者は、私の目の前で皇女様との結婚を選んだ
めぐめぐ
恋愛
神官アウラは、勇者で幼馴染であるダグと将来を誓い合った仲だったが、彼は魔王討伐の褒美としてイリス皇女との結婚を打診され、それをアウラの目の前で快諾する。
アウラと交わした結婚の約束は、神聖魔法の使い手である彼女を魔王討伐パーティーに引き入れるためにダグがついた嘘だったのだ。
『お前みたいな、ヤれば魔法を使えなくなる女となんて、誰が結婚するんだよ。魔法しか取り柄のないお前と』
そう書かれた手紙によって捨てらたアウラ。
傷心する彼女に、同じパーティー仲間の盾役マーヴィが、自分の故郷にやってこないかと声をかける。
アウラは心の傷を癒すため、マーヴィとともに彼の故郷へと向かうのだった。
捨てられた主人公が、パーティー仲間の盾役と幸せになる、ちょいざまぁありの恋愛ファンタジー短編。
※思いつきなので色々とガバガバです。ご容赦ください。
※力があれば平民が皇帝になれるような世界観です。
※単純な話なので安心して読めると思います。
【短編】追放された聖女は王都でちゃっかり暮らしてる「新聖女が王子の子を身ごもった?」結界を守るために元聖女たちが立ち上がる
みねバイヤーン
恋愛
「ジョセフィーヌ、聖なる力を失い、新聖女コレットの力を奪おうとした罪で、そなたを辺境の修道院に追放いたす」謁見の間にルーカス第三王子の声が朗々と響き渡る。
「異議あり!」ジョセフィーヌは間髪を入れず意義を唱え、証言を述べる。
「証言一、とある元聖女マデリーン。殿下は十代の聖女しか興味がない。証言二、とある元聖女ノエミ。殿下は背が高く、ほっそりしてるのに出るとこ出てるのが好き。証言三、とある元聖女オードリー。殿下は、手は出さない、見てるだけ」
「ええーい、やめーい。不敬罪で追放」
追放された元聖女ジョセフィーヌはさっさと王都に戻って、魚屋で働いてる。そんな中、聖女コレットがルーカス殿下の子を身ごもったという噂が。王国の結界を守るため、元聖女たちは立ち上がった。
辺境伯聖女は城から追い出される~もう王子もこの国もどうでもいいわ~
サイコちゃん
恋愛
聖女エイリスは結界しか張れないため、辺境伯として国境沿いの城に住んでいた。しかし突如王子がやってきて、ある少女と勝負をしろという。その少女はエイリスとは違い、聖女の資質全てを備えていた。もし負けたら聖女の立場と爵位を剥奪すると言うが……あることが切欠で全力を発揮できるようになっていたエイリスはわざと負けることする。そして国は真の聖女を失う――
妹と寝たんですか?エセ聖女ですよ?~妃の座を奪われかけた令嬢の反撃~
岡暁舟
恋愛
100年に一度の確率で、令嬢に宿るとされる、聖なる魂。これを授かった令嬢は聖女と認定され、無条件で時の皇帝と婚約することになる。そして、その魂を引き当てたのが、この私、エミリー・バレットである。
本来ならば、私が皇帝と婚約することになるのだが、どういうわけだか、偽物の聖女を名乗る不届き者がいるようだ。その名はジューン・バレット。私の妹である。
別にどうしても皇帝と婚約したかったわけではない。でも、妹に裏切られたと思うと、少し癪だった。そして、既に二人は一夜を過ごしてしまったそう!ジューンの笑顔と言ったら……ああ、憎たらしい!
そんなこんなで、いよいよ私に名誉挽回のチャンスが回ってきた。ここで私が聖女であることを証明すれば……。
私は王子の婚約者にはなりたくありません。
黒蜜きな粉
恋愛
公爵令嬢との婚約を破棄し、異世界からやってきた聖女と結ばれた王子。
愛を誓い合い仲睦まじく過ごす二人。しかし、そのままハッピーエンドとはならなかった。
いつからか二人はすれ違い、愛はすっかり冷めてしまった。
そんな中、主人公のメリッサは留学先の学校の長期休暇で帰国。
父と共に招かれた夜会に顔を出すと、そこでなぜか王子に見染められてしまった。
しかも、公衆の面前で王子にキスをされ逃げられない状況になってしまう。
なんとしてもメリッサを新たな婚約者にしたい王子。
さっさと留学先に戻りたいメリッサ。
そこへ聖女があらわれて――
婚約破棄のその後に起きる物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる