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あら? お父様の肩凝りがひどいですわ
しおりを挟む「お父様♪」
「っ……!? オリビアではないか……どうしたんだ?」
執務室を覗くとお父様が仕事をしていらっしゃいました。
心なしか動揺しているようですが、きっと私が突然来たからでしょう。
朝からお姿が見えず心配していたのです。
ふふっ、会いたかったんですよ?
「毎日、政務ご苦労さまです」
そう言って後ろにまわり、肩を揉んであげると、お父様はビクッとされました。
やっぱりお仕事で疲れているんですね。
肩のほうもガチガチに凝っているようです。
もっと早く来れば良かったですわ。
「あぁ、ありがとうな……」
「いえいえ、大事なお父様が頑張っているというのに、わたくしが部屋でのんびりしている訳にはいきませんもの」
わたくし学園を卒業し、王妃教育もなくなってしまったので、おうちの手伝いをすることに思い至ったのです。
お父様の前にも皆の手伝いをしてきました。
随分、忙しなく働いていますが、それがまた心地よいのです。
わたくしはそのまましばらく肩を揉み続けました。
「…………」
「…………」
しかしお父様は一向に口を開こうとはしません。
仕方ありませんね。わたくしから話を切り出してあげましょう。
「あの、お父様。何かわたくしにお手伝いできるようなことはありませんか?」
「い、いやぁ……今は間に合っているかな。アハハ……ありがとう……」
「そうですか。残念ですわ……」
モミモミ。モミモミ。
あら? 心なしかさらに凝りが酷くなった気がしますわ。
これはいけないですね。
気合いを入れて揉んで差し上げませんと。
「…………」
モミモミ。モミモミ。
「……それじゃ、お言葉に甘えて少し手伝って貰おうかな……アハハ……」
「えぇ! もちろん喜んで!」
少しと言わず全部でもいいのですよ、お父様!?
あら? また凝りが酷くなったような?
これはお医者さまに観て貰ったほうがよろしいのではないでしょうか?
「お、オリビアっ。もう大丈夫だ。ありがとう」
「えっ、もう宜しいのですか? お父様の為ですもの。わたくしまだまだ頑張れますわ!」
お父様の書類仕事を手伝い始めてから三〇分ほど経った頃です。
始めてのお手伝いでしたが、政務もなかなか複雑で大変ですわね。
「いや、もう大丈夫だ。随分助かったよ」
「そうですか! それではまた明日手伝いに来ますね!」
「あっ明日もか……」
お父様に頼まれた以上、毎日でも手伝うつもりです。
わたくしに任せてくださいまし!
「そそそ、そうだな。よろしく頼む……」
「はい!」
私は笑顔を浮かべながら元気よく返事をして、執務室を出て行きました。
「ちょっとオリビア、待ちなさい」
「あら、お母さま。ごきげんよう」
一仕事を終えて、るんるん気分で廊下を歩いていると、お母さまに出会いました。
いつものように凛とした佇まいをされています。
「あなたに謹慎を言い渡します。しばらく部屋で大人しくしていなさい」
「え、なぜ???」
お母さま、スゥと空気を吸い込むと衝撃的な言葉を言い放ちました。
「あなたにはお仕事の才能がありません!」
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