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私と彼の異世界珍道旅
第1話 私の異世界転移は、降って来た青年によって変わりそうです
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別のクラス生徒、夢咲 有栖(ユメサキ アリス)場合。
私は夢咲 有栖(ユメサキ アリス)、高校で授業を受けていたはずなのに、いつの間にか大きな湖のほとりに居ました。
湖の周りには美しい白い花の咲いた美しい草原、空には太陽と3つの丸い月の様な物があります。
あれ?私ったら夢見てるの?
おかしいわね、昨日は慎君はバイトで、太陽君は趣味に没頭していたし、柳君や光琉君は部活、詩音にはソロプレイしたいからって断られて、リンちゃん…いえ、スズちゃんはカケル君となんか揉めてたみたいで、ゲーム誘える感じじゃなかったから、あの眼鏡と二人だけでパーティー組んでボス戦行ったんだけで、途中で眠いから寝るとか抜かして、ボス戦中に落ちたせいで、私一人の鬼畜なボス戦なちゃって、疲れてその後いつもより大分早めに寝たから、朝から眠気なんて微塵も感じてなかったはずなのに、私は教室で居眠りしちゃってるの?
あ、てか、やばいわよ、居眠りが、もしあの鬼教師に見つかったら、大変じゃない!、起きるのよ、私、平常点が0になるわよ!無くてもいいの私!
というか、あの眼鏡も眼鏡よ!、隣の席なんだし、起こしてくれたっていいじゃない!昨日の事も謝りもしないし本当に意地悪よね!
いくら念じていても、頬をつねっても全然起きれる気はしないわ、仕方ないは、かくなる上は奥の手よ、夢咲家秘伝(嘘)の頬張り手と行きましょう!
私は覚めない夢から打破するために、意を決して、両手で思いっきり両頬をバシンと叩いた。
『イ、イッターい!!…』
思わず叫んでしまったけど、おかしいわ、こんなに痛いのに覚めないわね?
というか、待って、この頬のじんじん来る痛みはどう考えても本物の気がするわ…
私は湖の湖面を除き込み、澄んだ湖の水が鏡の様に自分の顔と、青い空に浮かぶ日と3つの月の様な物を移しだしていた。
自分の顔もいつも通り、さっきの張り手で少し頬が赤くなっているくらいで変わりはなかった。
試し湖に触れてみると、湖面は波紋を広げ、水は心地いい冷たさを手に与えてくれる。
冷たいわね、これ、本物?…
さて、状況を整理してみるべきよね。
私は高校で授業を受けていた、すると、いつの間にか、天には太陽と3つの月の様な何かが浮ぶ澄み切った青い空、地には綺麗な白い花の咲く草原に囲まれた大きな湖のほとりに座っていた。
私は自分が居眠りして夢を見ていると思ってあの手この手で目を覚まそうとしたが、上手く行かず、最終的に自身の頬を思いっきり張り手をしてみたが、結果は凄く痛いだけで覚める気配は0、試しに湖の水に触れてみたら、普通の夢ではあり得ない様なリアルな冷たさを感じた。
まあ、こんなところよね?
これってまさか、スズちゃんの推しで借り手読んでいた異世界転移って奴なの?
私も異世界転生や異世界転移ものとか好きよ、異世界も超憧れてたし、行けたらいいなとか思っていたわよ、でもね、何もよくわからないまま、説明もないまま、こんなところにポツンと置かれる様な夢のない、異世界転移するなんて嫌よ、認めないわ!
『神様はどこなのよー!、説明はー!、ギフトとかない訳ー!』
しばらく私は空に向かってそう叫んでいたんだけど、結果は何も起きず、変わらなかった。
諦めて辺りを散策していると、自分の通学鞄(中身はお弁当と筆記用具、タブレット、スマホ)と飲みかけのペットボトル飲料、それから家に置いて居たはずの、いつも友達の家へゲーム合宿する時用に着替えとかお菓子、飲み物が入れてる大きいリュックと、後、あの眼鏡こと幼馴染である水城 奏人(ミズシロ カナト)の眼鏡ケースが落ちていた。
飲みかけのペットボトルと自分の鞄、あの眼鏡の眼鏡ケースは転移前恐らく近くにあったから、いっしょに転移したものとして、この際みるとしても、家に置いてたはずのこのリュックはなんで転移して来たの?
そんなことを考えながら、リュックを持ち上げると、金の毛並みをした羊のぬいぐるみストラップがぶら下がっているのが目に付いた。
この羊、通称ジェネシプくんは、私達がよくソシャゲの運営会社のマスコット、ジェネシスって言うのが本当の名前なんだけど、人型と羊型の時を区別する為に、ここのプレイヤー達の間で通称が付けられている。
ちなみにこれを私が持っているのは、去年の中学最後の夏休みに友人達と参加した、リアルで行われたゲームイベントで貰ったものだから、一緒に参加していた友人達である、あの眼鏡(カナト)と、クラスが高校で別れちゃった友人のスズちゃんを含めた7人も持っている。
そういえば、この時もう一つ貰った、プレイヤー名書いてある、プレートキーホルダーを、鞄に付けていたわね。
これって偶然なの?偶然にしちゃ出来過ぎてる気がするのだけど…
あ、そういえば、このプレート貰った時、その渡してきたスタッフの人から、確か、困ったとき、ウォッチフォンの自社アプリを起動して翳すとジェネシス様が助けてくださるかも知れませんよ?とか、言ってたわね。
まあ、馬鹿馬鹿しい話よね、ゲームのキャラが助けてくれる訳ないじゃない、だいち、多分ここ異世界だしね。
でも…一応、ウォッチフォン電源入れてアプリ起動しておきましょう、もし、どんなものにもすがりたい様な状況になったら、頼って見たら案外良いことあるかも知れないわよね、こんな状況なんだから、夢見たってバチは当たらないわよね!
私は授業中電源を落としていた、ウォッチフォン(腕時計型の端末)の電源をいれ、アプリを起動しておいた。
その際時刻を見ると5月16日(水)11:28を示していた。
さて、これからどうしましょう…
辺りは散策して見たけど、鞄とかリュック見つけたところ以外には、これといって変わったものはなかったのよね。
読んでいた、異世界転移ものの主人公は何していたかな、確か…
『ステータスオープン!』
『えっと、アイテムボックス!』
うん、ぴくりとも反応も変化もしないわね、虚しいだけだったわ、異世界きたらの定番だと思って居たのに、はあ、非常に残念だわ。
特にアイテムボックスには期待したのだけど…
何故そんなに期待していたかですって?
それは、いっぱいお買い物してもすぐ収納出来るから、手ぶらで歩けるし、帰りも荷物の重さとか気にせずに楽々、しかも、収納する場所にも困らないなんて、便利過ぎる能力じゃない?、だから、憧れていたの、一番欲しいと思った能力で期待していたのよ。
現実の異世界はそう甘くはなかったみたいね。
そりゃあ、そうよね、定番の神様に会ってなんたらとかなかったし、ギフトとか特殊な能力とか貰える展開なかったものね~
さて、次は、よくある展開としては、魔物と鉢合わせして戦闘っていうパターンよね、これに関しては周りには野花の花畑で見通しはいいし、これと言って心配なさそうね。
他は、明るい内に人のいる場所目指して、道を探していくってのも定番よね、よし、一先ず道を探して人のいる場所に向かうことを目標に行きましょうか。
そうして私は、人の居る場所を探すべく、道を探しを始めた。
程なくして、道らしきものが見つかり、荷物を持ちながら移動をし始め、30分くらいは歩いたかしら、割と体力はある方だから良いのだけど、靴は上履き用のローファー、スニーカーじゃないから疲れは少し出て来たわね。
そんなことを思いながらも、ひたすら、さらに道を進んでいくこと、数十分で景色はだいぶ変わった。
道の両隣には林が続くようになり、道も人の手が加わっているのがわかるものへと変わっていた。
幸い、魔物なんかとの遭遇なんかはなく、順調に人の居る方へと進んでいけている気がする。
そういえば、大事なことを忘れていたけど、私ってこの世界の言葉とかわかるの?
もし分からなかった場合、仮にこのまま村や町に無事にたどり着いたとして、言葉が通じなければ、入れて貰えないばかりか、不審者に思われて捕まったりするんじゃ…
私の今格好なんて、白に少し水色が入った様な色のスクールシャツに、黒に近い紺のベスト、蒼いリボンに、黒のブレザーは白い線で縁取られた感じのと黒のスカートは下の方に細い白い線が1本入っている、そんな高校の制服を着ているから、これって間違いなく浮く気がする。
もし、言葉通じたとして、この世界に転移者とか迷い人とか言う様な存在が、過去に一切居ないところだったら、なんて説明するべき、私は他の世界から来たって言うの?
あ、でも、言ったら、力を狙われたりって、私には力なんて無かったわね、じゃあ心配はないの?
いずれにせよ、まず、町や村とか行く前に、現地の人探して遠目から格好を確認、あわよくば、こっちの言葉が通じるか聴いて確認するべきよね。
そんなことを考えながら、歩いていると、何かがぶつかり合う音が微かに聞こえてきた。
『何の音?…』
カアーン、キーン…
更に耳を澄まして良く聴いてみると、そのぶつかり合っている音の正体は、金属音だと分かった。
金属音が、ぶつかり合っているって、金属の武器、剣か何かで戦闘が行われてるってことよね…
ということはこの道をこのまま進むと、その現場に鉢合わせるわね、引き返すにしても、道はほぼ一本道だったから、最初の場所に戻るだけになりそうだわ、それに道も人の手が加えられた痕跡あるものになっていたのだから、この先に恐らく町か村があるかも知れないのよね。
『さて、どうしましょう、行くべきか行かざるべきか…』
行かないっててもあるけど、ここは思い切って行くのも手かも、第1現地人を確認できるかも知れないしね。
男は度胸で、女は愛嬌って言うけど、女も時には度胸が必要よね!
ということで、このまま道を進むのは決定ね!
だいたい必ずしも戦闘とは限らないわ、もしかしたら、鍛錬で剣の打ち合いをしてるのかも知れないしね!
そうと決まれば、やる事はまず、音の元の状況を確認、勿論林寄りに歩き慎重にね、場合によっては更に林の奥に行って身を隠しやり過ごす。
その際、出来ればこの世界の言葉がわかるか確認もして起きたいわね。
そう作戦を立てた、私は道を進んでいくと、それに連れて、金属のぶつかり合う音ははっきりと、カンカン、キーンと聴こえる様になってきた。
それに混ざって何か雄叫びの様な声と怒号の様な声が聞こえてきた。
あー、これ、鍛錬とかではない気がしてきたわ。
ひとまず、ここからは林の中に入りつつ、木で身を隠しながら、様子をみることにしましょうか。
そうして、私は林の中に入り木で身を隠しつつ歩みを進め、音の元を遂にみることが出来た。
そこにいたのは、女性と小さな女の子と男の子の乗った屋根のない荷馬車を取り囲む短剣や剣を構えた盗賊らしき格好の男達3人と、剣を持った男性と青年一人いた。
盗賊の方は、風貌から見て取れるほど、柄の悪そうな男達で、皮の鎧や金属の鎖かたびらの様なものをつけている。
対して、馬車に乗る女性と子供2人、それから剣を持った男性や青年も布の服を着た、いかにも村人って感じの格好をしている。
そして、馬車の馬は盗賊に切り離されたのか、見あたらず、手綱だったと思わしき紐だけが落ちている。
これは状況からして、盗賊に襲われた村人家族のお父さんと長男?が、盗賊から家族を守るために、剣で応戦していた音を私は聴いていたってことよね。
そう私が冷静に状況整理していると、盗賊の男と剣を持った男性と青年が何か言いやっている声が聞こえた。
しかし、言葉だと言うのは分かるのだけど、何を言っているのかはさっぱり分からなかった。
これ言葉通じないパターンの奴ね、恐らくあの人達が話しているのは、この異世界の言語よね。
頭のどこかで予想はしていたのだけど困ったわね、このまま、人の居る村や町へ行ったとしても、言葉がわからないんじゃ、どうにもならないわ。
流石にジェスチャーで伝えて、会話成り立たせるなんて厳し過ぎるわ…
私が言葉の壁に悩んでる間に、また金属音が鳴り始めた、見ると、盗賊達と男2人が剣で戦闘をしている。
どうしよう、やばそうだったら逃げるつもりでいたのだけど…
あれ、ちょっと待って、あの馬車にいるお母さん、よく見たら、肩に何か刺さってるわね、あれって矢よね…
だとすると、おかしいわね、あの盗賊3人の中に弓矢なんて持ってる人は居ないし、勿論、あの襲われてる家族にも持ってる人は居ないのよね。
もしかして、何処かにまだ盗賊が隠れて居るっていうの?
これはまずいわ、非常にまずい、迂闊だったとしか言えないわね、とりあえず、どこにもう1人居るか、確認したら、最初に決めてた手筈通りに、林の奥に身を隠してやり過ごしましょう…
私は向かいの林を注意深く目を凝らしてみてみた。
どこにも居ないわね、まさか、私が居る方の林にいるなんてことは…
私はばっと後ろを振り返ってみたけれど、そこには何も居ない、あるのは木と少し背の高い草のみ。
それから、一応、左右も見渡したけれど特に人影は見当たらない。
居ないと分かり緊張の糸が緩み、上の方を見上げた時だった、私は木の上に居た男と目が合った。
『ギャあああ!?』
不意の遭遇に思わず驚きを声を出し、林から馬車を襲っている盗賊達が居る道へ走って出てしまった。
盗賊達や馬車の家族達も、その声に驚いたのか一斉にこちらを見て固まっていた。
木の上に居た男はそんな私の後を追いかける様に林から出てきた。
そんな林から出てきた男の姿が、道に出てきた事で明らかになった、格好はというと、他の盗賊達とほぼ同じなんだけど、背には矢の入った矢筒と弓、手には短剣を持っていて、盗賊の仲間なのは間違いなさそう。
その男は、出て来ると盗賊の方に何か声を掛けていたが、私には何を言ってるのか理解出来なかった。
話を終えると、下衆な笑顔を浮かべながら、何かを言うと、こちらの方へジリジリと迫って来始めた。
私はそんな男に恐怖を感じ固まってしまって居たが、鞄を強く抱える事でその恐怖心をわずかに抑え、震える足だけをなんとか動かし、迫ってくる男から逃れようと後退りをして居たのだけど、運悪く道の出っ張りにつっかかり、バランスを崩し尻餅をしまった、すぐに立とうとしたのだけど、足をくじいたのか痛みが襲い立つことが上手く出来なかった。
う、嘘でしょ、なんでこんな時に足くじいちゃうのよ、私は…
そんな私の様子を見て、その弓矢を持った盗賊は更に下衆な笑顔を浮かべると、何かを言いながら笑い近づいてくる。
う、やばい、立てないし、逃げられない、このままじゃ私、殺される、何か、何かないの、この状況を何とかできるもの…
そう思ってる内に男は目の前まで来て、手を伸ばして来て居た。
その時、チャリと金属のすれる音が鞄からして、ふと鞄に付けていたプレートキーホルダーのことを思い出し、すがる思いで手に取り、腕の端末にかざし。
『お願い私を助けて!』
すがる思いでそう叫んだ時、周囲の音は消え周りの人はピタリと動かなくなったと思ったら、目の前に居た盗賊の男の上に金髪の長い髪の青年が、勢いよくドスンと落ちてきて、固まった男を倒し下敷きにした。
金髪青年「イッテテ…ってあれ?、どこだここ?、街中辺りに呼ばれると思ってたんだけどな?」
金髪にアメジスト色の目を白い燕尾服の様な服を着た、青年は男を下敷きにしたまま、キョロキョロと周りや空を見渡しそう言った。
金髪青年「君が僕を呼んだ子で間違いなさそうだね、ねぇ、ここがどこだかわかる?」
金髪の人は私を視認するとそう言った。
あれ、私この人の言葉わかるわね、それにこの人のピアスのモチーフになってる丸に穴の空いた三日月のマーク、どこかで見覚えのあるような…
金髪青年「あれ、お嬢さん?、僕を見てボーっとしちゃってどうしたのかな?」
ピアスを見つめてる私を見て、不思議そうにそう話す金髪の青年。
あ、わかった、ジェネシスのマークの三日月だ、穴の場所にあるはずの五芒星がないけど、これそうだわ、ということは、この人が人型のジェネシス?、いつもツノ付きの眠たげな羊の仮面していたから、その印象が強くてぴんと来なかったけど…
金髪青年「ねぇ、顔赤いけど、大丈夫?」
初めて顔見たけど、なんで普段仮面で隠してたのよ運営!
確かに羊の時の可愛いさと、仮面付けた人型のカッコいい感じがギャップ萌えって人気あったけど、この外した顔だって…まあ、カッコいいってよりは、少し可愛いよりって感じするけど、充分かっこいいし、隠す必要ないわよね、って私たら、何当たり前のこと言ってるの、この人はゲームキャラだもの、隠す必要ない顔が良くて当たり前よね~
金髪青年「ん、なんか君、今僕に対してすんごく失礼なこと考えてない?」
(この子、僕に助けてって強く望んで呼んだ癖に、余裕そうだよね、今なんて僕の顔見て笑ってるし、少し馬鹿にされた気がするんだけど、僕の気の所為かな?)
『その表情良いわね!、やっぱ顔が良いと少しムッとしていてもカッコいいわ~』
金髪青年「は?、えーと、ありがと…う?って言えばいいのかな?」
(なに、この子…、開口一番がそれって、まあ、僕だって、可愛い子にカッコいいって言われて嬉しくない訳じゃないけどさ…)
『全く運営は何を考えているの?、こんな素敵な表情見せるキャラに仮面付けさせて、仮面キャラにするんじゃないわよ凄く勿体ないわ!』
金髪青年「仮面キャラ?って、あのね、お嬢さん、一応言うけど仮面はね、僕が気に入ってたから付けていただけで、別に付けさせられてた訳じゃ…って、君きいてないな~♪」
(このお嬢さん、僕の事、普通のゲームのキャラなんだと勘違いしてるパターンだね、まあ、面白いからそこは放置するとして…、どうしようかな、このお嬢さん、自分の世界に入ってるみたいで、全然話し掛けても、上の空って感じ…)
金髪青年「あ、そうだ、あれ使えるかな~」
困った青年は、少し考えると主人公の持っている鞄のプレートキーホルダーに手を伸ばし触れた。
〈ねぇ、僕を呼んだお姫様?、そろそろ、戻ってもらっていいかな?〉
『うぇ、何これ!?チャット?』
なんで、頭の中に文面が、まるでダイブゲームしてる時の個人チャットみたいな…
金髪青年「そ、チャットだよ、それはさておき、やっと自分世界から戻ってきてくれた様で良かった、僕、もし、これでも駄目ならどうしようかなって思ったんだよ~」
『チャット?ってことは!、ここは本物の異世界じゃなくて、ダイブゲームの中なのね!、なら、最初の水の冷たさも花の匂いを感じるのも、さっきの盗賊も全部偽物で、あれでも…』
でも、おかしいわ、ダイブ型のゲームだったら、どんな怪我をしたとしても、ほんの少しぱちっと来る程度の感覚になるはず、それにすぐ回復してその感覚はなくなるはずよ…
なんで、脚をくじいた痛みがまだあるって言うの?
そう私が思った事に対する答えは、すぐ目の前の青年が教えてくれた。
金髪青年「残念だけど、ここはあの世界じゃない、君達がいうの異世界で間違いないよ~」
『本物の異世界なのね、どおりで脚くじいた痛みがずっと続いてると…』
金髪青年「その怪我の原因ってさ、僕が今踏み台にしてるこの男のせいだってたりする?」
『ええそうよ、その盗賊の男に襲われそうになったとき逃げようとして、転んだの…そして、私は…』
金髪青年「僕に助けを求め呼んだってことね、なるほど理解したよ、どちらにせよ、この盗賊達は処分するつもりから安心していいよ、ただね、僕君に確認したいことがあるんだよね~」
処分?倒すか追い払ってくれるってことなの?
『確認したいこと?…何かあるの?』
「僕は君がどういう経緯で異世界に居るか確認したいんだよね~、転生はないとして、道歩いてたら穴とかに落ちた?、それともここ来たとき魔法陣の上とかいたか?、あーもしくはこの世界の神にでも頼まれてきたとか?」
『そんな穴に落ちてもないし、魔法陣の上に居たとか、神様に頼まれたとかも無かったわ、私は教室で授業受けていたと思ったら、いつの間にかこの世界に居たのよ?』
金髪青年「迷いこんだ系かって、高校?教室?…ねぇ、君ってもしかして…***高校の生徒さんだったりする?」
『え、そうだけど、何で知ってるの?』
金髪青年「まじかよ、何て偶然…いや、必然かな?、もしかして…」
そういうと、目の前の金髪の青年は、手で目を隠し、物々何かを唱えている。
『何してるの?』
そう私が声をかけても、反応せず、
金髪青年「うっわー、嫌な予感的中しちゃったよ~、僕の人形持ち達、全滅じゃん…」
僕の人形って、多分ジェネシプのぬいぐるみよね…その人形持ち達って、言ったらスズちゃん達よね、待って全滅!?
『ちょっと!?、貴方!スズちゃん達が全滅ってどうゆうことよ!?』
金髪青年「あー、落ちついて、全滅ってそういう意味じゃなくてさ。」
『じゃあ、どうゆう意味よ、全滅って!!』
金髪青年「僕の人形持ってる人達、全員ニホンじゃない、別な世界、異世界にいるって意味だよ~」
(あーあ、これじゃあ、僕のニホンで旅行計画がおじゃんだよ、久しぶりに羽伸ばして気楽に遊ぼうと思ったのにな~)
『勘違いさせる様なこと言わないでよ、って、待ちなさいよ、スズちゃん達もこの人形持っていたわよ、皆んなも異世界に居るってこと!?』
金髪青年「残念ながら、居るみたいだね、あ、そうそう、君のお友達の内一人は同じ世界に居るのが分かってるよ~ 」
『え、誰がいるの!?スズちゃん?シオン?それとも眼鏡?』
金髪青年「名前は確かマコトって言ってたかな?」
『なんだスズちゃんじゃなくて、マコト君か…でも良かった、この異世界に友達が一人居るってだけで安心感が…』
金髪青年「お嬢さんは運が良かったね、ぼっちな異世界転移じゃなくて、友達全員仲良く異世界に迷い込んでるんだからさ~」
『それ運が良いの?、確かに私やスズちゃんとかは異世界に行ってみたいとは思ってたけど、この世界憧れてた異世界と違って不自由過ぎなのよ、言葉も分からないし、特別なのとか神様からのギフトとかももらってないし、怖い盗賊はいるし、夢とか合ったものじゃない現実的過ぎるのよ…』
金髪青年「特別ね、ねぇ、夢見る可愛いお姫様、目の前にいる僕のことを忘れていませんか?」
『何よ、確かに貴方がゲームの中のキャラがゲーム外にいる時点で、現実的ではないかも知れないけど、』
金髪青年「そうだね、それもだけどね、まず周りをよく見ておかしいところを探してみてよ?」
そう言われた私は周囲を見る、そこには屋根のない馬車の上からこちらを見てる女の人と子供2人、それを取り囲む盗賊はこちらを見ている、そんな盗賊に向かい合い剣を構えた男の人と青年。
目の前の盗賊の男は、この人の下敷きになって気絶したのか倒れてるってとこよね。
『何がおかしいっていうの?』
金髪青年「え、君、本当におかしいところが分からないのかな?」
『そうね、強いて言えば、貴方を呼び出して話せてるのがおかしいというくらいしか…』
金髪青年「確かにそれもおかしいと思うかもしれないけどね、そこじゃないよ…お嬢さん、君が僕を呼び出した原因となった僕が踏んでる人や、周りにいる人達をよく見てみてよ、動いてないでしょう?」
『何言ってるの?、動いてないって突然貴方が降って来たから、皆んな驚いたり、警戒して固まってるだけじゃない?、その下敷きになってる人は気絶してるから動かないだけでしょ?何がおかしいっていうのよ?』
金髪青年「あのさ、お嬢さん、確認なんだけど、僕をからかってたりしないよね?」
『私が貴方をからかってるんじゃなくて、貴方が私の事をからかってるんでしょ?』
金髪青年「ち、違うよ!?、僕はただ、ここまで気付かない人そうそう居ないからさ、あえておかしい点は見逃してるのかなって思ってね…」
(何で僕が悪くなってるだろう、普通人が固まってる時点でおかしいって思うと…)
『私が何をどう見逃してるってのよ?』
金髪青年「あーもう、じゃあ、言うよ、おかしいのは周りの人達が動いてないことだよ、ほら、この下敷きの男だって普通に白目向いてないでしょう?」
そう言うと青年は踏んで居た男を蹴り、仰向けにして見せた。
男はあの時の下衆な笑顔を浮かべたまま固まっている。
その姿を観た私は最初の恐怖を思いだし、手に持っていた鞄を落とし、条件反射的に逃げようと立ち上がったが、足の痛みで体勢を崩しまた転びそうになってしまった。
あ、やば、転ぶ…そう思い構えたとき、私はすっと金髪青年ジェネシスに抱き抱えられ転ばずにすんだ。
金髪青年「おっと、危ないよお姫様、足、怪我して痛いんでしょ、そんな風に急に立ったら駄目だよ?」
『あ、ありがとう、ジェネシス…』
うっわ、間近で見ると、この人、まつ毛長いわね。
全体的に見ると、まるで絵本の王子様、現実離れしたって綺麗さを持つ美形ね、そのせいか、抱き抱えられても、綺麗だなくらいにしか今、感じないのよね~
金髪青年「どういたしまして、あ、そうそう、僕のことはジェネシスじゃなくて、ルカって呼んでね~」
『え、何で?、ルカって呼んでって、貴方はジェネシスって名前でしょ?』
ルカ「実はね、今の僕はジェネシスって名前じゃないんだよね~」
『どういうこと?、じゃあ貴方は今は、ルカって言うのが名前ってこと?』
ルカ「そう、今君の目の前に居る僕は、ルカ・クレセントって名前だよ?」
『ルカ・クレセント…、クレセントって確かゲーム内の帝国の名前よね?』
ルカ「お嬢さん、凄いね、よく国の名前まで覚えてるね、流石リアルイベント難無く突破したクリア者って言ったところかな、まあそんな国の名前は、今、お嬢さんには関係ないことだから気にしないでね?」
『わかったわ、それよりそろそろ降して欲しいのだけど…』
ルカ「君は降して欲しいんだね、でも、僕は降したくないな~」
『何でよ!?、ずっと持ってたら重いでしょ?、手とか痛くなってたら…』
ルカ「はは、別にお嬢さん重くないし、いや、言い替えようか~、羽根の様な軽さだから、腕が痛くなるなんてないよ?」
(この子の驚いた顔、かっわいいな~♪、やっぱこっちで正解だったね、向こうは男だし…)
ルカと名乗ったこの青年は、そういうと私の顔を見ながら微笑んでいる。
『いや、羽根の様な軽さってなによ、よく臭い台詞言えるわね、貴方…』
ルカ「えー、そこ駄目だししちゃう?、女の子に重いとか禁用語だって思ったから、僕、わざわざ言い替えたのにな~」
『確かにNGよ、だいたいそんな台詞、言ってて恥ずかしくないの?』
ルカ「別に恥ずかしくないよ?、だって、ほら、僕は君が言うゲームのキャラだしさ♪」
(まあ、本当は違うけど♪、これで通しとこ、全部これで通せば、都合良さそうだし、その方が色々と出来て面白そうだしね~♪)
ルカは自分の顔に指を指しそうゆうとニコっと笑い、その後には、更に容姿には似合わない様な、凄く子供っぽい意地悪っぽい笑みを浮かべ私をみていた。
ゲームのキャラって自分で言うちゃうのね、変な感じ…後、何かな、今のこの笑顔をと、さっきの笑顔、まるで別人の様な感じが…何というのか、気持ち悪い、違和感を覚えるのよね…
ルカ「ん?どうしたの、僕の顔見て不安そうな顔して、なんか僕、変な顔しちゃってた?、だとしたらごめんね、お嬢さん?」
(気が緩みすぎてたかな?、とりあえず困ったら笑顔だよね~)
少し首を傾げ、青年はニコリと微笑んだ。
最初から割と常にこういう笑顔でいた気がするけど、うーん、さっきの笑顔みてから、なんか違和感があるのよね…
ルカ「あの…お嬢さん?、そんな熱心に見つめられると僕も照れちゃうんだけどな~」
(どうして、無言で見てくるんだろう?)
そういうと、ルカはニコリと同じ様な笑顔で私をみていた。
ルカって、常に笑ってるんだけど、何処と無く表情なのよね、まるで…
『仮面つけてるみたい…』
ルカ「仮面?、いきなり何言うのかと思ったら、仮面なんて今の僕は付けてないよ?、もし、そんなに気になるなら触れていいよ?」
ジーっと見つめる私がそう言うと、ルカがそう言って目をつぶって顔を差し出して来たので、試しに手を伸ばし触れてみると、ぴくっとルカは体を強張らせたのがわかった。
触れた感じ、体温も少し冷たい気がするけどあるし、肌の質感も、人間のそれと同じね、仮面ではなさそう。
ルカ「ど、どう?仮面なんて付けてないってわかったかな?、もし、僕の顔が仮面の様に取れたりとかすると思って不安そうな顔してたんなら、考え過ぎだからね!」
(なんで、冗談半分のからかうつもりで言ったら、本当にこの子、触れてきちゃったよ~!、どうしようかな…)
目を開けて私の顔をみた、ルカからはあの張り付いた笑顔が消え、驚きと困惑の混じった顔をしている。
『そんな事は思ってなかったけど、確かに仮面ではないわね、それより、ルカ、貴方って羨ましいくらい肌白いしすべすべ、触り心地いいわね~』
触ると弾力のある、もち肌…いいわね、この感触、羨ましいこと、この上ないわ~
ルカ「き、君は、何、言ってんのかな!?、後、触っていいと確かに僕は言ったけど、もういいよね?、ずっと触るの辞めようよ!、てか、そろそろ辞めて…」
(触らせた僕の方が色々と気恥ずかしくなってきちゃったよー!、もう辞めて…すんごい物理的にも精神的にもくすぐったいし!)
『えー!もう少しだけ~いいでしょう?、別に減るもんじゃないんだから、ね!』
ルカ「いや減るから!、僕の精神力が色々な意味で減るからね!、それにすんごいくすぐったいんだよ?、君を落とさないように我慢してる身にもなってよ!」
ふふ、肌もだけど髪も中々の触り心地で最高ね、流石、羊人間ね~、って、そういえば、今はルカだと言ってたし羊なれるのかしら?
よし、この際カマかけてみましょ、きっと今なら乗ってきそう…運が良ければ羊を即もふもふよ!
『そうね、じゃあ、辞めるから、貴方、羊型…ジェネシプになってくれる?』
ルカ「そ、それ絶対羊姿になったら、君、容赦無くもふってくるつもりでしょう!、僕そんな手には引っかからないからね!?」
『羊にならなかったのは残念だけど、それは今の貴方でも羊姿になろうと思えばなれると言う事よね?、良かったわ~、今はルカだって言ってたからなれないのかと、思っていたのだけど、なれる様で良かったわ~』
ルカ「な、君、僕を謀ったね!?」
(く、墓穴を掘った…この僕がこんな人の子に謀られるなんて…)
『あら?何の事かしら、それより、羊に成れるんでしょう?、なりなさいよ~、今凄くもふりたい気分になったのよね~』
私は羊になる以外の選択肢を考えさせない様に、ルカを逃がさないようがっちりと抱きつき言った。
ルカ「だ、抱きつかないでよ!、勘弁して、だいたいね、僕が今、羊の姿に何かになったら、止めてた周りの時間が動いて盗賊も動いちゃうんだよ!?、それでもいいのかい!」
『え、止めてた周りの時間?って…』
ルカ「まだ分かってなかったの!?、周りが動いてないのは僕の力で時間が止まってるからなんだよ!」
『わっ分かる訳ないじゃない!、そんな現実じゃ有り得ない力、チートもいいところじゃない…』
ルカ「チートかな?、今の僕は周囲の一定の範囲しか時は止められないのだけど…」
『周囲だけでも、時を止めて動けなくするなんてチートよ!、あれでもなんで、私は動けてるの?」
ルカ「君は僕の呼び出した、言わば召喚主みたいなものなんだよ?、そんな君を止めちゃったら、意志とか望みとか聞けないし、僕にどうしてほしいのか分からないからだよ?」
『望み…羊になって…もふもふ…』
ルカ「それは今は却下!、まあ、羊姿でも僕は君を守る程度わけないけど、あ、でも、君が返り血浴びた僕で血塗れになりたいならいいよ?」
『それは嫌ね…血塗れの鉄臭い羊さんなんて撫でたくないわ…』
ルカ「あー良かった、諦めてくれた様でなによりだよ、さあて、そろそろ僕も遊ぶのは辞めて君のためにお仕事しようか?、ちょっとこの岩に座っていてくれるかな?」
そういうと、ルカは最初のニコニコした顔で私を見ている。
『岩なんてないじゃな…』
そういい掛けたとき、ルカは悪戯っぽく笑うと、パチンと指を鳴らした。
するとそこには、ちょうど足を浮かせて腰掛けられるくらいの岩が現れた。
『何今の!?さっきまで岩なんてなかったのに…』
ルカ「クスス、良い反応をありがとう~、とりあえず、そこにそのまま座っていてね…」
ルカはそういってそこに、私を降ろし座らせると、私の落とした鞄を拾うと、鞄からプレートキーホルダーを外し、鞄を私に渡してきた。
ルカ「これちょっと借りるね」
『良いけど何するの?』
そんな私の問いには答えず、ルカはそのプレートキーホルダーの裏面何も描かれていない方に、口付けをし、し終えた、ルカの唇の端からは僅かに血が見えていた。
ルカ「はい、終わったから返すね♪」
そう言って返されたプレートキーホルダーの裏には、満月に丸い穴の空いた様な形の三日月マークが刻印されていた。
『え、何この三日月マーク?』
ルカ「それは僕のマーク、それがあると…まあ、説明は追い追いするから、今はいっかな、とりあえずさ、後はその腕の端末貸るね~」
『あると何なのよって、何してるの?』
また私のそんな問いは無視し、今度は腕の端末に手を翳すと、見覚えのある青い液体の入った小瓶がもう片方の手の上に現れた。
ルカ「ほい、回復ポーション、使い方は分かるよね?」
『そりゃあ、いつも使ってるものだから分かるけど…』
ルカ「あー、効果の心配かな?、向こうと効果は同じだから、安心して使って大丈夫だよ、君に僕の羊姿のもふもふ権をかけても、僕は安全だと保証するよ~」
『それは安心出来るって、違うわ、ゲーム世界のものがなんで、ここにあるのよ!』
ルカ「そりゃあ、僕がゲームのキャラだからさ~」
『嘘っぽい気がするのは気のせい?』
ルカ「き、気のせいだって、それよりさっさと飲むかかけるかしちゃいなよ~、僕はその間にこの盗賊達を処分してくるからさ~」
ルカは盗賊達をそう言いながら、肩に担いで集めると、最後にじゃあまた後でねと言った瞬間盗賊と共に姿を消したのだった。
そんなルカが姿を消すと、周りに居た馬車の家族達は動き出しキョロキョロと周囲を見渡し、岩に座ってポーションを足にかけてる私を見て驚いている様だった。
暫くすると、私に剣を向け、何か話しかけてきたんだけど、何も分からないので笑って、身振り手振りで敵意がないことを伝えた。
そうしたら、何とか分かってもらえたようで、武器は下げて貰えた、その後彼らも私が言葉が分かってないことを理解したらしく、身振り手振りで私に、ポーションを分けて欲しいと伝えてきたので、私は彼らに半分残っていたポーションを渡してあげたのだった。
私は夢咲 有栖(ユメサキ アリス)、高校で授業を受けていたはずなのに、いつの間にか大きな湖のほとりに居ました。
湖の周りには美しい白い花の咲いた美しい草原、空には太陽と3つの丸い月の様な物があります。
あれ?私ったら夢見てるの?
おかしいわね、昨日は慎君はバイトで、太陽君は趣味に没頭していたし、柳君や光琉君は部活、詩音にはソロプレイしたいからって断られて、リンちゃん…いえ、スズちゃんはカケル君となんか揉めてたみたいで、ゲーム誘える感じじゃなかったから、あの眼鏡と二人だけでパーティー組んでボス戦行ったんだけで、途中で眠いから寝るとか抜かして、ボス戦中に落ちたせいで、私一人の鬼畜なボス戦なちゃって、疲れてその後いつもより大分早めに寝たから、朝から眠気なんて微塵も感じてなかったはずなのに、私は教室で居眠りしちゃってるの?
あ、てか、やばいわよ、居眠りが、もしあの鬼教師に見つかったら、大変じゃない!、起きるのよ、私、平常点が0になるわよ!無くてもいいの私!
というか、あの眼鏡も眼鏡よ!、隣の席なんだし、起こしてくれたっていいじゃない!昨日の事も謝りもしないし本当に意地悪よね!
いくら念じていても、頬をつねっても全然起きれる気はしないわ、仕方ないは、かくなる上は奥の手よ、夢咲家秘伝(嘘)の頬張り手と行きましょう!
私は覚めない夢から打破するために、意を決して、両手で思いっきり両頬をバシンと叩いた。
『イ、イッターい!!…』
思わず叫んでしまったけど、おかしいわ、こんなに痛いのに覚めないわね?
というか、待って、この頬のじんじん来る痛みはどう考えても本物の気がするわ…
私は湖の湖面を除き込み、澄んだ湖の水が鏡の様に自分の顔と、青い空に浮かぶ日と3つの月の様な物を移しだしていた。
自分の顔もいつも通り、さっきの張り手で少し頬が赤くなっているくらいで変わりはなかった。
試し湖に触れてみると、湖面は波紋を広げ、水は心地いい冷たさを手に与えてくれる。
冷たいわね、これ、本物?…
さて、状況を整理してみるべきよね。
私は高校で授業を受けていた、すると、いつの間にか、天には太陽と3つの月の様な何かが浮ぶ澄み切った青い空、地には綺麗な白い花の咲く草原に囲まれた大きな湖のほとりに座っていた。
私は自分が居眠りして夢を見ていると思ってあの手この手で目を覚まそうとしたが、上手く行かず、最終的に自身の頬を思いっきり張り手をしてみたが、結果は凄く痛いだけで覚める気配は0、試しに湖の水に触れてみたら、普通の夢ではあり得ない様なリアルな冷たさを感じた。
まあ、こんなところよね?
これってまさか、スズちゃんの推しで借り手読んでいた異世界転移って奴なの?
私も異世界転生や異世界転移ものとか好きよ、異世界も超憧れてたし、行けたらいいなとか思っていたわよ、でもね、何もよくわからないまま、説明もないまま、こんなところにポツンと置かれる様な夢のない、異世界転移するなんて嫌よ、認めないわ!
『神様はどこなのよー!、説明はー!、ギフトとかない訳ー!』
しばらく私は空に向かってそう叫んでいたんだけど、結果は何も起きず、変わらなかった。
諦めて辺りを散策していると、自分の通学鞄(中身はお弁当と筆記用具、タブレット、スマホ)と飲みかけのペットボトル飲料、それから家に置いて居たはずの、いつも友達の家へゲーム合宿する時用に着替えとかお菓子、飲み物が入れてる大きいリュックと、後、あの眼鏡こと幼馴染である水城 奏人(ミズシロ カナト)の眼鏡ケースが落ちていた。
飲みかけのペットボトルと自分の鞄、あの眼鏡の眼鏡ケースは転移前恐らく近くにあったから、いっしょに転移したものとして、この際みるとしても、家に置いてたはずのこのリュックはなんで転移して来たの?
そんなことを考えながら、リュックを持ち上げると、金の毛並みをした羊のぬいぐるみストラップがぶら下がっているのが目に付いた。
この羊、通称ジェネシプくんは、私達がよくソシャゲの運営会社のマスコット、ジェネシスって言うのが本当の名前なんだけど、人型と羊型の時を区別する為に、ここのプレイヤー達の間で通称が付けられている。
ちなみにこれを私が持っているのは、去年の中学最後の夏休みに友人達と参加した、リアルで行われたゲームイベントで貰ったものだから、一緒に参加していた友人達である、あの眼鏡(カナト)と、クラスが高校で別れちゃった友人のスズちゃんを含めた7人も持っている。
そういえば、この時もう一つ貰った、プレイヤー名書いてある、プレートキーホルダーを、鞄に付けていたわね。
これって偶然なの?偶然にしちゃ出来過ぎてる気がするのだけど…
あ、そういえば、このプレート貰った時、その渡してきたスタッフの人から、確か、困ったとき、ウォッチフォンの自社アプリを起動して翳すとジェネシス様が助けてくださるかも知れませんよ?とか、言ってたわね。
まあ、馬鹿馬鹿しい話よね、ゲームのキャラが助けてくれる訳ないじゃない、だいち、多分ここ異世界だしね。
でも…一応、ウォッチフォン電源入れてアプリ起動しておきましょう、もし、どんなものにもすがりたい様な状況になったら、頼って見たら案外良いことあるかも知れないわよね、こんな状況なんだから、夢見たってバチは当たらないわよね!
私は授業中電源を落としていた、ウォッチフォン(腕時計型の端末)の電源をいれ、アプリを起動しておいた。
その際時刻を見ると5月16日(水)11:28を示していた。
さて、これからどうしましょう…
辺りは散策して見たけど、鞄とかリュック見つけたところ以外には、これといって変わったものはなかったのよね。
読んでいた、異世界転移ものの主人公は何していたかな、確か…
『ステータスオープン!』
『えっと、アイテムボックス!』
うん、ぴくりとも反応も変化もしないわね、虚しいだけだったわ、異世界きたらの定番だと思って居たのに、はあ、非常に残念だわ。
特にアイテムボックスには期待したのだけど…
何故そんなに期待していたかですって?
それは、いっぱいお買い物してもすぐ収納出来るから、手ぶらで歩けるし、帰りも荷物の重さとか気にせずに楽々、しかも、収納する場所にも困らないなんて、便利過ぎる能力じゃない?、だから、憧れていたの、一番欲しいと思った能力で期待していたのよ。
現実の異世界はそう甘くはなかったみたいね。
そりゃあ、そうよね、定番の神様に会ってなんたらとかなかったし、ギフトとか特殊な能力とか貰える展開なかったものね~
さて、次は、よくある展開としては、魔物と鉢合わせして戦闘っていうパターンよね、これに関しては周りには野花の花畑で見通しはいいし、これと言って心配なさそうね。
他は、明るい内に人のいる場所目指して、道を探していくってのも定番よね、よし、一先ず道を探して人のいる場所に向かうことを目標に行きましょうか。
そうして私は、人の居る場所を探すべく、道を探しを始めた。
程なくして、道らしきものが見つかり、荷物を持ちながら移動をし始め、30分くらいは歩いたかしら、割と体力はある方だから良いのだけど、靴は上履き用のローファー、スニーカーじゃないから疲れは少し出て来たわね。
そんなことを思いながらも、ひたすら、さらに道を進んでいくこと、数十分で景色はだいぶ変わった。
道の両隣には林が続くようになり、道も人の手が加わっているのがわかるものへと変わっていた。
幸い、魔物なんかとの遭遇なんかはなく、順調に人の居る方へと進んでいけている気がする。
そういえば、大事なことを忘れていたけど、私ってこの世界の言葉とかわかるの?
もし分からなかった場合、仮にこのまま村や町に無事にたどり着いたとして、言葉が通じなければ、入れて貰えないばかりか、不審者に思われて捕まったりするんじゃ…
私の今格好なんて、白に少し水色が入った様な色のスクールシャツに、黒に近い紺のベスト、蒼いリボンに、黒のブレザーは白い線で縁取られた感じのと黒のスカートは下の方に細い白い線が1本入っている、そんな高校の制服を着ているから、これって間違いなく浮く気がする。
もし、言葉通じたとして、この世界に転移者とか迷い人とか言う様な存在が、過去に一切居ないところだったら、なんて説明するべき、私は他の世界から来たって言うの?
あ、でも、言ったら、力を狙われたりって、私には力なんて無かったわね、じゃあ心配はないの?
いずれにせよ、まず、町や村とか行く前に、現地の人探して遠目から格好を確認、あわよくば、こっちの言葉が通じるか聴いて確認するべきよね。
そんなことを考えながら、歩いていると、何かがぶつかり合う音が微かに聞こえてきた。
『何の音?…』
カアーン、キーン…
更に耳を澄まして良く聴いてみると、そのぶつかり合っている音の正体は、金属音だと分かった。
金属音が、ぶつかり合っているって、金属の武器、剣か何かで戦闘が行われてるってことよね…
ということはこの道をこのまま進むと、その現場に鉢合わせるわね、引き返すにしても、道はほぼ一本道だったから、最初の場所に戻るだけになりそうだわ、それに道も人の手が加えられた痕跡あるものになっていたのだから、この先に恐らく町か村があるかも知れないのよね。
『さて、どうしましょう、行くべきか行かざるべきか…』
行かないっててもあるけど、ここは思い切って行くのも手かも、第1現地人を確認できるかも知れないしね。
男は度胸で、女は愛嬌って言うけど、女も時には度胸が必要よね!
ということで、このまま道を進むのは決定ね!
だいたい必ずしも戦闘とは限らないわ、もしかしたら、鍛錬で剣の打ち合いをしてるのかも知れないしね!
そうと決まれば、やる事はまず、音の元の状況を確認、勿論林寄りに歩き慎重にね、場合によっては更に林の奥に行って身を隠しやり過ごす。
その際、出来ればこの世界の言葉がわかるか確認もして起きたいわね。
そう作戦を立てた、私は道を進んでいくと、それに連れて、金属のぶつかり合う音ははっきりと、カンカン、キーンと聴こえる様になってきた。
それに混ざって何か雄叫びの様な声と怒号の様な声が聞こえてきた。
あー、これ、鍛錬とかではない気がしてきたわ。
ひとまず、ここからは林の中に入りつつ、木で身を隠しながら、様子をみることにしましょうか。
そうして、私は林の中に入り木で身を隠しつつ歩みを進め、音の元を遂にみることが出来た。
そこにいたのは、女性と小さな女の子と男の子の乗った屋根のない荷馬車を取り囲む短剣や剣を構えた盗賊らしき格好の男達3人と、剣を持った男性と青年一人いた。
盗賊の方は、風貌から見て取れるほど、柄の悪そうな男達で、皮の鎧や金属の鎖かたびらの様なものをつけている。
対して、馬車に乗る女性と子供2人、それから剣を持った男性や青年も布の服を着た、いかにも村人って感じの格好をしている。
そして、馬車の馬は盗賊に切り離されたのか、見あたらず、手綱だったと思わしき紐だけが落ちている。
これは状況からして、盗賊に襲われた村人家族のお父さんと長男?が、盗賊から家族を守るために、剣で応戦していた音を私は聴いていたってことよね。
そう私が冷静に状況整理していると、盗賊の男と剣を持った男性と青年が何か言いやっている声が聞こえた。
しかし、言葉だと言うのは分かるのだけど、何を言っているのかはさっぱり分からなかった。
これ言葉通じないパターンの奴ね、恐らくあの人達が話しているのは、この異世界の言語よね。
頭のどこかで予想はしていたのだけど困ったわね、このまま、人の居る村や町へ行ったとしても、言葉がわからないんじゃ、どうにもならないわ。
流石にジェスチャーで伝えて、会話成り立たせるなんて厳し過ぎるわ…
私が言葉の壁に悩んでる間に、また金属音が鳴り始めた、見ると、盗賊達と男2人が剣で戦闘をしている。
どうしよう、やばそうだったら逃げるつもりでいたのだけど…
あれ、ちょっと待って、あの馬車にいるお母さん、よく見たら、肩に何か刺さってるわね、あれって矢よね…
だとすると、おかしいわね、あの盗賊3人の中に弓矢なんて持ってる人は居ないし、勿論、あの襲われてる家族にも持ってる人は居ないのよね。
もしかして、何処かにまだ盗賊が隠れて居るっていうの?
これはまずいわ、非常にまずい、迂闊だったとしか言えないわね、とりあえず、どこにもう1人居るか、確認したら、最初に決めてた手筈通りに、林の奥に身を隠してやり過ごしましょう…
私は向かいの林を注意深く目を凝らしてみてみた。
どこにも居ないわね、まさか、私が居る方の林にいるなんてことは…
私はばっと後ろを振り返ってみたけれど、そこには何も居ない、あるのは木と少し背の高い草のみ。
それから、一応、左右も見渡したけれど特に人影は見当たらない。
居ないと分かり緊張の糸が緩み、上の方を見上げた時だった、私は木の上に居た男と目が合った。
『ギャあああ!?』
不意の遭遇に思わず驚きを声を出し、林から馬車を襲っている盗賊達が居る道へ走って出てしまった。
盗賊達や馬車の家族達も、その声に驚いたのか一斉にこちらを見て固まっていた。
木の上に居た男はそんな私の後を追いかける様に林から出てきた。
そんな林から出てきた男の姿が、道に出てきた事で明らかになった、格好はというと、他の盗賊達とほぼ同じなんだけど、背には矢の入った矢筒と弓、手には短剣を持っていて、盗賊の仲間なのは間違いなさそう。
その男は、出て来ると盗賊の方に何か声を掛けていたが、私には何を言ってるのか理解出来なかった。
話を終えると、下衆な笑顔を浮かべながら、何かを言うと、こちらの方へジリジリと迫って来始めた。
私はそんな男に恐怖を感じ固まってしまって居たが、鞄を強く抱える事でその恐怖心をわずかに抑え、震える足だけをなんとか動かし、迫ってくる男から逃れようと後退りをして居たのだけど、運悪く道の出っ張りにつっかかり、バランスを崩し尻餅をしまった、すぐに立とうとしたのだけど、足をくじいたのか痛みが襲い立つことが上手く出来なかった。
う、嘘でしょ、なんでこんな時に足くじいちゃうのよ、私は…
そんな私の様子を見て、その弓矢を持った盗賊は更に下衆な笑顔を浮かべると、何かを言いながら笑い近づいてくる。
う、やばい、立てないし、逃げられない、このままじゃ私、殺される、何か、何かないの、この状況を何とかできるもの…
そう思ってる内に男は目の前まで来て、手を伸ばして来て居た。
その時、チャリと金属のすれる音が鞄からして、ふと鞄に付けていたプレートキーホルダーのことを思い出し、すがる思いで手に取り、腕の端末にかざし。
『お願い私を助けて!』
すがる思いでそう叫んだ時、周囲の音は消え周りの人はピタリと動かなくなったと思ったら、目の前に居た盗賊の男の上に金髪の長い髪の青年が、勢いよくドスンと落ちてきて、固まった男を倒し下敷きにした。
金髪青年「イッテテ…ってあれ?、どこだここ?、街中辺りに呼ばれると思ってたんだけどな?」
金髪にアメジスト色の目を白い燕尾服の様な服を着た、青年は男を下敷きにしたまま、キョロキョロと周りや空を見渡しそう言った。
金髪青年「君が僕を呼んだ子で間違いなさそうだね、ねぇ、ここがどこだかわかる?」
金髪の人は私を視認するとそう言った。
あれ、私この人の言葉わかるわね、それにこの人のピアスのモチーフになってる丸に穴の空いた三日月のマーク、どこかで見覚えのあるような…
金髪青年「あれ、お嬢さん?、僕を見てボーっとしちゃってどうしたのかな?」
ピアスを見つめてる私を見て、不思議そうにそう話す金髪の青年。
あ、わかった、ジェネシスのマークの三日月だ、穴の場所にあるはずの五芒星がないけど、これそうだわ、ということは、この人が人型のジェネシス?、いつもツノ付きの眠たげな羊の仮面していたから、その印象が強くてぴんと来なかったけど…
金髪青年「ねぇ、顔赤いけど、大丈夫?」
初めて顔見たけど、なんで普段仮面で隠してたのよ運営!
確かに羊の時の可愛いさと、仮面付けた人型のカッコいい感じがギャップ萌えって人気あったけど、この外した顔だって…まあ、カッコいいってよりは、少し可愛いよりって感じするけど、充分かっこいいし、隠す必要ないわよね、って私たら、何当たり前のこと言ってるの、この人はゲームキャラだもの、隠す必要ない顔が良くて当たり前よね~
金髪青年「ん、なんか君、今僕に対してすんごく失礼なこと考えてない?」
(この子、僕に助けてって強く望んで呼んだ癖に、余裕そうだよね、今なんて僕の顔見て笑ってるし、少し馬鹿にされた気がするんだけど、僕の気の所為かな?)
『その表情良いわね!、やっぱ顔が良いと少しムッとしていてもカッコいいわ~』
金髪青年「は?、えーと、ありがと…う?って言えばいいのかな?」
(なに、この子…、開口一番がそれって、まあ、僕だって、可愛い子にカッコいいって言われて嬉しくない訳じゃないけどさ…)
『全く運営は何を考えているの?、こんな素敵な表情見せるキャラに仮面付けさせて、仮面キャラにするんじゃないわよ凄く勿体ないわ!』
金髪青年「仮面キャラ?って、あのね、お嬢さん、一応言うけど仮面はね、僕が気に入ってたから付けていただけで、別に付けさせられてた訳じゃ…って、君きいてないな~♪」
(このお嬢さん、僕の事、普通のゲームのキャラなんだと勘違いしてるパターンだね、まあ、面白いからそこは放置するとして…、どうしようかな、このお嬢さん、自分の世界に入ってるみたいで、全然話し掛けても、上の空って感じ…)
金髪青年「あ、そうだ、あれ使えるかな~」
困った青年は、少し考えると主人公の持っている鞄のプレートキーホルダーに手を伸ばし触れた。
〈ねぇ、僕を呼んだお姫様?、そろそろ、戻ってもらっていいかな?〉
『うぇ、何これ!?チャット?』
なんで、頭の中に文面が、まるでダイブゲームしてる時の個人チャットみたいな…
金髪青年「そ、チャットだよ、それはさておき、やっと自分世界から戻ってきてくれた様で良かった、僕、もし、これでも駄目ならどうしようかなって思ったんだよ~」
『チャット?ってことは!、ここは本物の異世界じゃなくて、ダイブゲームの中なのね!、なら、最初の水の冷たさも花の匂いを感じるのも、さっきの盗賊も全部偽物で、あれでも…』
でも、おかしいわ、ダイブ型のゲームだったら、どんな怪我をしたとしても、ほんの少しぱちっと来る程度の感覚になるはず、それにすぐ回復してその感覚はなくなるはずよ…
なんで、脚をくじいた痛みがまだあるって言うの?
そう私が思った事に対する答えは、すぐ目の前の青年が教えてくれた。
金髪青年「残念だけど、ここはあの世界じゃない、君達がいうの異世界で間違いないよ~」
『本物の異世界なのね、どおりで脚くじいた痛みがずっと続いてると…』
金髪青年「その怪我の原因ってさ、僕が今踏み台にしてるこの男のせいだってたりする?」
『ええそうよ、その盗賊の男に襲われそうになったとき逃げようとして、転んだの…そして、私は…』
金髪青年「僕に助けを求め呼んだってことね、なるほど理解したよ、どちらにせよ、この盗賊達は処分するつもりから安心していいよ、ただね、僕君に確認したいことがあるんだよね~」
処分?倒すか追い払ってくれるってことなの?
『確認したいこと?…何かあるの?』
「僕は君がどういう経緯で異世界に居るか確認したいんだよね~、転生はないとして、道歩いてたら穴とかに落ちた?、それともここ来たとき魔法陣の上とかいたか?、あーもしくはこの世界の神にでも頼まれてきたとか?」
『そんな穴に落ちてもないし、魔法陣の上に居たとか、神様に頼まれたとかも無かったわ、私は教室で授業受けていたと思ったら、いつの間にかこの世界に居たのよ?』
金髪青年「迷いこんだ系かって、高校?教室?…ねぇ、君ってもしかして…***高校の生徒さんだったりする?」
『え、そうだけど、何で知ってるの?』
金髪青年「まじかよ、何て偶然…いや、必然かな?、もしかして…」
そういうと、目の前の金髪の青年は、手で目を隠し、物々何かを唱えている。
『何してるの?』
そう私が声をかけても、反応せず、
金髪青年「うっわー、嫌な予感的中しちゃったよ~、僕の人形持ち達、全滅じゃん…」
僕の人形って、多分ジェネシプのぬいぐるみよね…その人形持ち達って、言ったらスズちゃん達よね、待って全滅!?
『ちょっと!?、貴方!スズちゃん達が全滅ってどうゆうことよ!?』
金髪青年「あー、落ちついて、全滅ってそういう意味じゃなくてさ。」
『じゃあ、どうゆう意味よ、全滅って!!』
金髪青年「僕の人形持ってる人達、全員ニホンじゃない、別な世界、異世界にいるって意味だよ~」
(あーあ、これじゃあ、僕のニホンで旅行計画がおじゃんだよ、久しぶりに羽伸ばして気楽に遊ぼうと思ったのにな~)
『勘違いさせる様なこと言わないでよ、って、待ちなさいよ、スズちゃん達もこの人形持っていたわよ、皆んなも異世界に居るってこと!?』
金髪青年「残念ながら、居るみたいだね、あ、そうそう、君のお友達の内一人は同じ世界に居るのが分かってるよ~ 」
『え、誰がいるの!?スズちゃん?シオン?それとも眼鏡?』
金髪青年「名前は確かマコトって言ってたかな?」
『なんだスズちゃんじゃなくて、マコト君か…でも良かった、この異世界に友達が一人居るってだけで安心感が…』
金髪青年「お嬢さんは運が良かったね、ぼっちな異世界転移じゃなくて、友達全員仲良く異世界に迷い込んでるんだからさ~」
『それ運が良いの?、確かに私やスズちゃんとかは異世界に行ってみたいとは思ってたけど、この世界憧れてた異世界と違って不自由過ぎなのよ、言葉も分からないし、特別なのとか神様からのギフトとかももらってないし、怖い盗賊はいるし、夢とか合ったものじゃない現実的過ぎるのよ…』
金髪青年「特別ね、ねぇ、夢見る可愛いお姫様、目の前にいる僕のことを忘れていませんか?」
『何よ、確かに貴方がゲームの中のキャラがゲーム外にいる時点で、現実的ではないかも知れないけど、』
金髪青年「そうだね、それもだけどね、まず周りをよく見ておかしいところを探してみてよ?」
そう言われた私は周囲を見る、そこには屋根のない馬車の上からこちらを見てる女の人と子供2人、それを取り囲む盗賊はこちらを見ている、そんな盗賊に向かい合い剣を構えた男の人と青年。
目の前の盗賊の男は、この人の下敷きになって気絶したのか倒れてるってとこよね。
『何がおかしいっていうの?』
金髪青年「え、君、本当におかしいところが分からないのかな?」
『そうね、強いて言えば、貴方を呼び出して話せてるのがおかしいというくらいしか…』
金髪青年「確かにそれもおかしいと思うかもしれないけどね、そこじゃないよ…お嬢さん、君が僕を呼び出した原因となった僕が踏んでる人や、周りにいる人達をよく見てみてよ、動いてないでしょう?」
『何言ってるの?、動いてないって突然貴方が降って来たから、皆んな驚いたり、警戒して固まってるだけじゃない?、その下敷きになってる人は気絶してるから動かないだけでしょ?何がおかしいっていうのよ?』
金髪青年「あのさ、お嬢さん、確認なんだけど、僕をからかってたりしないよね?」
『私が貴方をからかってるんじゃなくて、貴方が私の事をからかってるんでしょ?』
金髪青年「ち、違うよ!?、僕はただ、ここまで気付かない人そうそう居ないからさ、あえておかしい点は見逃してるのかなって思ってね…」
(何で僕が悪くなってるだろう、普通人が固まってる時点でおかしいって思うと…)
『私が何をどう見逃してるってのよ?』
金髪青年「あーもう、じゃあ、言うよ、おかしいのは周りの人達が動いてないことだよ、ほら、この下敷きの男だって普通に白目向いてないでしょう?」
そう言うと青年は踏んで居た男を蹴り、仰向けにして見せた。
男はあの時の下衆な笑顔を浮かべたまま固まっている。
その姿を観た私は最初の恐怖を思いだし、手に持っていた鞄を落とし、条件反射的に逃げようと立ち上がったが、足の痛みで体勢を崩しまた転びそうになってしまった。
あ、やば、転ぶ…そう思い構えたとき、私はすっと金髪青年ジェネシスに抱き抱えられ転ばずにすんだ。
金髪青年「おっと、危ないよお姫様、足、怪我して痛いんでしょ、そんな風に急に立ったら駄目だよ?」
『あ、ありがとう、ジェネシス…』
うっわ、間近で見ると、この人、まつ毛長いわね。
全体的に見ると、まるで絵本の王子様、現実離れしたって綺麗さを持つ美形ね、そのせいか、抱き抱えられても、綺麗だなくらいにしか今、感じないのよね~
金髪青年「どういたしまして、あ、そうそう、僕のことはジェネシスじゃなくて、ルカって呼んでね~」
『え、何で?、ルカって呼んでって、貴方はジェネシスって名前でしょ?』
ルカ「実はね、今の僕はジェネシスって名前じゃないんだよね~」
『どういうこと?、じゃあ貴方は今は、ルカって言うのが名前ってこと?』
ルカ「そう、今君の目の前に居る僕は、ルカ・クレセントって名前だよ?」
『ルカ・クレセント…、クレセントって確かゲーム内の帝国の名前よね?』
ルカ「お嬢さん、凄いね、よく国の名前まで覚えてるね、流石リアルイベント難無く突破したクリア者って言ったところかな、まあそんな国の名前は、今、お嬢さんには関係ないことだから気にしないでね?」
『わかったわ、それよりそろそろ降して欲しいのだけど…』
ルカ「君は降して欲しいんだね、でも、僕は降したくないな~」
『何でよ!?、ずっと持ってたら重いでしょ?、手とか痛くなってたら…』
ルカ「はは、別にお嬢さん重くないし、いや、言い替えようか~、羽根の様な軽さだから、腕が痛くなるなんてないよ?」
(この子の驚いた顔、かっわいいな~♪、やっぱこっちで正解だったね、向こうは男だし…)
ルカと名乗ったこの青年は、そういうと私の顔を見ながら微笑んでいる。
『いや、羽根の様な軽さってなによ、よく臭い台詞言えるわね、貴方…』
ルカ「えー、そこ駄目だししちゃう?、女の子に重いとか禁用語だって思ったから、僕、わざわざ言い替えたのにな~」
『確かにNGよ、だいたいそんな台詞、言ってて恥ずかしくないの?』
ルカ「別に恥ずかしくないよ?、だって、ほら、僕は君が言うゲームのキャラだしさ♪」
(まあ、本当は違うけど♪、これで通しとこ、全部これで通せば、都合良さそうだし、その方が色々と出来て面白そうだしね~♪)
ルカは自分の顔に指を指しそうゆうとニコっと笑い、その後には、更に容姿には似合わない様な、凄く子供っぽい意地悪っぽい笑みを浮かべ私をみていた。
ゲームのキャラって自分で言うちゃうのね、変な感じ…後、何かな、今のこの笑顔をと、さっきの笑顔、まるで別人の様な感じが…何というのか、気持ち悪い、違和感を覚えるのよね…
ルカ「ん?どうしたの、僕の顔見て不安そうな顔して、なんか僕、変な顔しちゃってた?、だとしたらごめんね、お嬢さん?」
(気が緩みすぎてたかな?、とりあえず困ったら笑顔だよね~)
少し首を傾げ、青年はニコリと微笑んだ。
最初から割と常にこういう笑顔でいた気がするけど、うーん、さっきの笑顔みてから、なんか違和感があるのよね…
ルカ「あの…お嬢さん?、そんな熱心に見つめられると僕も照れちゃうんだけどな~」
(どうして、無言で見てくるんだろう?)
そういうと、ルカはニコリと同じ様な笑顔で私をみていた。
ルカって、常に笑ってるんだけど、何処と無く表情なのよね、まるで…
『仮面つけてるみたい…』
ルカ「仮面?、いきなり何言うのかと思ったら、仮面なんて今の僕は付けてないよ?、もし、そんなに気になるなら触れていいよ?」
ジーっと見つめる私がそう言うと、ルカがそう言って目をつぶって顔を差し出して来たので、試しに手を伸ばし触れてみると、ぴくっとルカは体を強張らせたのがわかった。
触れた感じ、体温も少し冷たい気がするけどあるし、肌の質感も、人間のそれと同じね、仮面ではなさそう。
ルカ「ど、どう?仮面なんて付けてないってわかったかな?、もし、僕の顔が仮面の様に取れたりとかすると思って不安そうな顔してたんなら、考え過ぎだからね!」
(なんで、冗談半分のからかうつもりで言ったら、本当にこの子、触れてきちゃったよ~!、どうしようかな…)
目を開けて私の顔をみた、ルカからはあの張り付いた笑顔が消え、驚きと困惑の混じった顔をしている。
『そんな事は思ってなかったけど、確かに仮面ではないわね、それより、ルカ、貴方って羨ましいくらい肌白いしすべすべ、触り心地いいわね~』
触ると弾力のある、もち肌…いいわね、この感触、羨ましいこと、この上ないわ~
ルカ「き、君は、何、言ってんのかな!?、後、触っていいと確かに僕は言ったけど、もういいよね?、ずっと触るの辞めようよ!、てか、そろそろ辞めて…」
(触らせた僕の方が色々と気恥ずかしくなってきちゃったよー!、もう辞めて…すんごい物理的にも精神的にもくすぐったいし!)
『えー!もう少しだけ~いいでしょう?、別に減るもんじゃないんだから、ね!』
ルカ「いや減るから!、僕の精神力が色々な意味で減るからね!、それにすんごいくすぐったいんだよ?、君を落とさないように我慢してる身にもなってよ!」
ふふ、肌もだけど髪も中々の触り心地で最高ね、流石、羊人間ね~、って、そういえば、今はルカだと言ってたし羊なれるのかしら?
よし、この際カマかけてみましょ、きっと今なら乗ってきそう…運が良ければ羊を即もふもふよ!
『そうね、じゃあ、辞めるから、貴方、羊型…ジェネシプになってくれる?』
ルカ「そ、それ絶対羊姿になったら、君、容赦無くもふってくるつもりでしょう!、僕そんな手には引っかからないからね!?」
『羊にならなかったのは残念だけど、それは今の貴方でも羊姿になろうと思えばなれると言う事よね?、良かったわ~、今はルカだって言ってたからなれないのかと、思っていたのだけど、なれる様で良かったわ~』
ルカ「な、君、僕を謀ったね!?」
(く、墓穴を掘った…この僕がこんな人の子に謀られるなんて…)
『あら?何の事かしら、それより、羊に成れるんでしょう?、なりなさいよ~、今凄くもふりたい気分になったのよね~』
私は羊になる以外の選択肢を考えさせない様に、ルカを逃がさないようがっちりと抱きつき言った。
ルカ「だ、抱きつかないでよ!、勘弁して、だいたいね、僕が今、羊の姿に何かになったら、止めてた周りの時間が動いて盗賊も動いちゃうんだよ!?、それでもいいのかい!」
『え、止めてた周りの時間?って…』
ルカ「まだ分かってなかったの!?、周りが動いてないのは僕の力で時間が止まってるからなんだよ!」
『わっ分かる訳ないじゃない!、そんな現実じゃ有り得ない力、チートもいいところじゃない…』
ルカ「チートかな?、今の僕は周囲の一定の範囲しか時は止められないのだけど…」
『周囲だけでも、時を止めて動けなくするなんてチートよ!、あれでもなんで、私は動けてるの?」
ルカ「君は僕の呼び出した、言わば召喚主みたいなものなんだよ?、そんな君を止めちゃったら、意志とか望みとか聞けないし、僕にどうしてほしいのか分からないからだよ?」
『望み…羊になって…もふもふ…』
ルカ「それは今は却下!、まあ、羊姿でも僕は君を守る程度わけないけど、あ、でも、君が返り血浴びた僕で血塗れになりたいならいいよ?」
『それは嫌ね…血塗れの鉄臭い羊さんなんて撫でたくないわ…』
ルカ「あー良かった、諦めてくれた様でなによりだよ、さあて、そろそろ僕も遊ぶのは辞めて君のためにお仕事しようか?、ちょっとこの岩に座っていてくれるかな?」
そういうと、ルカは最初のニコニコした顔で私を見ている。
『岩なんてないじゃな…』
そういい掛けたとき、ルカは悪戯っぽく笑うと、パチンと指を鳴らした。
するとそこには、ちょうど足を浮かせて腰掛けられるくらいの岩が現れた。
『何今の!?さっきまで岩なんてなかったのに…』
ルカ「クスス、良い反応をありがとう~、とりあえず、そこにそのまま座っていてね…」
ルカはそういってそこに、私を降ろし座らせると、私の落とした鞄を拾うと、鞄からプレートキーホルダーを外し、鞄を私に渡してきた。
ルカ「これちょっと借りるね」
『良いけど何するの?』
そんな私の問いには答えず、ルカはそのプレートキーホルダーの裏面何も描かれていない方に、口付けをし、し終えた、ルカの唇の端からは僅かに血が見えていた。
ルカ「はい、終わったから返すね♪」
そう言って返されたプレートキーホルダーの裏には、満月に丸い穴の空いた様な形の三日月マークが刻印されていた。
『え、何この三日月マーク?』
ルカ「それは僕のマーク、それがあると…まあ、説明は追い追いするから、今はいっかな、とりあえずさ、後はその腕の端末貸るね~」
『あると何なのよって、何してるの?』
また私のそんな問いは無視し、今度は腕の端末に手を翳すと、見覚えのある青い液体の入った小瓶がもう片方の手の上に現れた。
ルカ「ほい、回復ポーション、使い方は分かるよね?」
『そりゃあ、いつも使ってるものだから分かるけど…』
ルカ「あー、効果の心配かな?、向こうと効果は同じだから、安心して使って大丈夫だよ、君に僕の羊姿のもふもふ権をかけても、僕は安全だと保証するよ~」
『それは安心出来るって、違うわ、ゲーム世界のものがなんで、ここにあるのよ!』
ルカ「そりゃあ、僕がゲームのキャラだからさ~」
『嘘っぽい気がするのは気のせい?』
ルカ「き、気のせいだって、それよりさっさと飲むかかけるかしちゃいなよ~、僕はその間にこの盗賊達を処分してくるからさ~」
ルカは盗賊達をそう言いながら、肩に担いで集めると、最後にじゃあまた後でねと言った瞬間盗賊と共に姿を消したのだった。
そんなルカが姿を消すと、周りに居た馬車の家族達は動き出しキョロキョロと周囲を見渡し、岩に座ってポーションを足にかけてる私を見て驚いている様だった。
暫くすると、私に剣を向け、何か話しかけてきたんだけど、何も分からないので笑って、身振り手振りで敵意がないことを伝えた。
そうしたら、何とか分かってもらえたようで、武器は下げて貰えた、その後彼らも私が言葉が分かってないことを理解したらしく、身振り手振りで私に、ポーションを分けて欲しいと伝えてきたので、私は彼らに半分残っていたポーションを渡してあげたのだった。
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