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幕間 ダズンローズの裏側

イカすじゃんね

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鷲崎わしざき 聖奈せな


 薄暗く、金網の中のリングしか照らされてないこの廃工場の中。

 純様の彼氏と噂されていた男の正体は…… 

 優男系拷問鼻歌野郎だった。


 声出しNGとは言っていたが…出せるわけねえよ。

 声を…出すわきゃねーじゃんね…

 今もまた、瞬殺……敗者が出た…

 家のもんと張るくらい強そうな男達が…一撃で…


 ああああ、そしてこっから…こっからじゃんね! こっからぁぁ! 砕く砕く…あ、あ、あ、

 また人差し指と、小指のセット…


 そんなにお母さん指が憎いのかよお。

 そんなに赤ちゃん指が憎いのかよお。


「ひっ──んぐっ! ん、んん?!」

 隣の奴が声を上げようとしたから反射的にマスクを押し付けてやる! どこの女子高だ馬鹿! 錯乱すんじゃねーよぉ! あの拷問野郎がこっち見るじゃんね! 

 こういう時は嵐が去るの待つんだよぉ! このままだと真っ先に殺されるじゃんね!

 ホラー映画とかで見たことあんだろぉ!

 ああああ、ほらこっちをランランとした目で…無表情で見てる見てる見てるじゃんよぉ…こんなの漏らすじゃんよぉ…

 もぅ手遅れじゃんよぉ…

 首を傾げて…はひ…逸らしてくれた…あ! まただ…また指を砕いた…なんの道具も…無しに…ぃひひぃぃぃぃ! 

 そうして…指を結んだ…なんの躊躇もな、く…ぅぐくく…

 ぁぁぁ、また漏らした… まただ…いい年して…こんなん…仕方ねーじゃんね…

 でも目が…離せないじゃんかよぉ…うち…マスクの下は…笑ってる…なんでだよぉ…?…

 みんなは…目だけ左右に動かして周りを見たら…なんだよぉ? みんな目が笑って…パイプ椅子を伝って…漏らして…オナってる…?

 いくら女子ばかりでリング以外は薄暗いからってそんな事! 馬鹿じゃんよぉ! いや、現実逃避か…もしかしたら…すごい…のか? ……もう…漏らしたし…みんなやってるし…怖いし…動けないし…


 スカートのポケットの中に手を突っ込んで、いつもの場所を探す。

 既にだだ濡れのパンツに中指と薬指を添えると、まだ温い感触が指先に伝わるが、お構いなしに回すようにこねる。

 直ぐにクリが反応を示して固くなる。いや、最初からか。あんなに怖かったのに…なんだ、興奮してんのか…うち。

 あ、なんかめっちゃ敏感になってる…あ、あ、あ、あッ!





「よくもマイクを! お前は───ウボァ…」


 やっぱり瞬殺…んッ! ああこれ…タイミング合わせたら…良い…じゃんね…ぃっ…くッ…


「サイズは…Mか…ハズレだ…。次。……うん? 嘉多さ──ん! 次の方─ど─ぞ─。なるはやで──倒れちゃう──」


 優男系拷問鼻歌野郎の声! すっげぇ良いじゃん! なんだこの廃工場に一人響く透明感のあるこの声わぁ! イくイくイくイくっ!

 やってる事は鬼畜きちくいのにこの軽やかな声ぇ! もっと聖奈に聞かせてよぉ! あ、またイクッ!

 しかも呼びかけしつつも流れりゅように、

 指!んッ

 指!ぁッ

 指!っんッ

 指!んんッ───! 

 あ~はは…イったよぉ、また砕いたよぉ…はは…あー駄目~マイク! 逃げて! 逃げないと結ばれちゃうじゃんよぉ! あ、マイクじゃないか…んぁん! あー結ばれちゃったよお! 一人寂しく結ばれちゃったじゃんよお! ぁんんッッ!

 二本目も!んぁ! は、は、ぁぁぁ結ぶ! ぅっくッ!

そして~積んだ! 寂しくないようにってさ! ん───ッッ! っは、っは、っはー…またイッた……

 なんだ…優しいじゃんよぉ…

 これは…クセになる…こんなにイったのなんて初めてだ…うちもぅ…倒れちゃうじゃんね…


 酷い…拷問…快感…拷問…快感…鬼畜ぅ…

 ああ! 拷問王子×純様…見たい…じゃんね…

 ああ! 快感王子×うちも…したい…死体よお…う? 死体? ああ! 死体! 死体! 死体! うち…ははっ! そっか…指砕かれて死んでから……結ばれたん…じゃんね……





「いゃ──っ! んむぐっ! んんん?! ぷは──、はー、はー…」


「…起きましたか? Cの鷲崎…組の聖奈さん? 随分と可愛らしい声で…」


 なんだ…夢か…いや…違う…ああ、金網リングだ…

 マスクを押さえたのは…こいつか…うちとタメ…緩いロングの茶髪に…メガネ越しにもわかる大きな黒目…に…この声…


「…もしか…B組の…名前斬り…か?…」

「カンミィィアーン! その名で呼ぶな…極道ごときペンで切り刻みますよ…なんて、あは。菜切ちゃんで、いろはちゃんですよ~。さあさあいきなりですが選択です。今から薔薇が咲きます! ど~します~、か!?」


「何語じゃんね…テンション高っ…薔薇だと…? つか、あの王…藤堂京介…さん…は…てかなんだこの穴…おっきいじゃんね…」


 やっぱ名斬りか…こいついっつもキャンキャンうるさいじゃんね…裏新聞に要らんこと書きやがって…ぶっ殺すぞ…

 つか、周りを見渡したら…壁に穴が…壁の花が咲いてるじゃんね…これ薔薇じゃねーだろ…どっちかと言ったら…あ? なんだよ…?


「あれ…なんか…ぼんやりする…じゃんね」

「あ、壁穴は見ない方が良いらしいよー。ふらふらーと吸い込まれそうになるみたい…王子様は…その洞窟を抜け、姫を助けに…ああああ! そのシチュエーション裏山死ぃぃ!」


 本当だ…目を背けたらおさまった…こいつうっせ、うっせ。

 でも、そこにあの拷問快感王子が?

 大丈夫なのか? 

 最初はただの興味本位で見に来たけど…

 あれが純様のオトコ…

 しかもおさなか…純様さすがっス。純様の格好良さに惚れてたけど…あんなクソつえーやつ、純様に合うに決まってんじゃんよ。

 他の右派連中は殺る気満々だったけど…一体どーなってるか…

 藤堂京介、さん…か…なら聞かねーと。


「何か知ってんのかゴシップ女…」

「ふふん。ペン走らせますよチンピラぁ! …まあ今日は記念日だから良いですけど。もちろん。わたくし、円卓二期生筆頭ですので。中等部の頃よりお慕いしておりますわ。お会いしたのは今日が初めてだけどね。あなた秦野派でしょ? 和光様はもちろん知ってると思うけど……夜光は?」

「あ、ああ…夜光組は…手を出しちゃいけねぇじゃんよ。うちよりおっかねー。特にあっこのあの双子はやべえ。…最近会合であったけど、目がやべえ。死んでるじゃんね…つか円卓ってなんだ?」


 最近は会合なんて呼ばねーけどな。交流会って名前のゴルフ大会だ。親父もそんなんばっかにしときゃ良いのに…その後の夜の懇親会に夜光組が居た。

 夜光の双羽姫…がいた。

 超可愛い双子なのに、あいつらのおっかない死んだような目。双子ともども…絶対何人か殺ってる。


「ふふん。和光様もそのおっかない夜光ツインズもあの秦野さえも…みーんな円卓初期メンバー! みーんな夢中なの! あの王子様に! もちろんわたしも! 知らなかったなあ! 素敵なんだなあ! ああ…骨を砕き、指を結ぶ…そして~積む! ああなんて…発想ハッソーサイコー…なおとこの子…どこの歌を鼻歌ってたのかしら……そうそう、手を出したいならご相談くださいね。あなたのとこ表は金貸しでしょ? ならご利用は計画的に、プロミスしーましょ?」

「…このサイコ女が…何言ってるか全然わかんねーじゃんね……で…何すればそれに入れる?」


「ぅふん。あなたもオナって失神してたでしょ。変わらないじゃない。まーオッケ。なら手伝って。今から王子様が獣を連れてくるから、そのショーのお手伝いをしましょう。まずはそれからね。王子のために愚民はぴちゃぴちゃ汗を掻くものよ。ああ、連れてきた秦野派はあなたが選別して纏めてください。一本化しましょう。それから…あー…そのお召し物を着替えましょ。王子様に失礼ですし。和光様がご用意してますから~、ね?」


「…何かわかんねーけど、わかった…着替え…頼む」

「和光派閥…別名…王子様を生捕隊いけどりたーいへようこそ。C組、鷲崎聖奈さん。一緒に王子様のおり建造けんぞーしーましょ?」


 なんだそのネーミングは……

 くはっ…イカすじゃんね。

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