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ゴブリンハーレム
ゴブリンハーレム
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| 藤堂 京介
放課後、釘の彼女を探すべく僕はおかしらを校門で待っていた。
探すとか攫うといえばおかしらだ。
偶に山賊も斬る前に小さな墓穴を自ら掘らせていた事もあったし、まあ、構わないだろう。
ぶち込まれる前の有効活用だ。
すると、三人の女の子に話し掛けられた。彼女達はそれぞれ別の高校の生徒だった。どうやら恋焦がれる男子がうちの高校にいると言う。
ただ、話を聞けど要領を得ない。何故なら三人とも別々の男子を探しているが、何故か写真が一致していた。
困りながら対応していたら偶然通りかかった彼がその恋焦がれた男子だと言う。
そして彼はヌルい事を言い出した。
こんなに懸命に探してくれた彼女たちから逃げたいなどと言う。しかも偽名で既に1ドロンずつかましていた。
いくない。それはいくない。
ちょうど僕もドロンされたての身だ。彼女達の気持ちは瞳の色を見ずともわかる。超わかる。
落ち込んじゃうよね、やり捨て。
そう、僕もやり捨てされたんだ。
そんなやり捨てくんの名はマコト-L-ヤマトくん。なんかダメ主人公全部注ぎ込んだかのような渾名だった。しかも自分で名乗るとか…
そしてどうやら彼にはピロートークが足りないようだった。
なので彼と彼女達には誰にも邪魔されない場所を提供する事にした。主旨を説明する時にティアクロィエの技術を使った。
言葉に説得力を纏わせる魔法だ。
だからみんな素直に来てくれた。
嘘じゃないからね。
だが、マコト-L-ヤマトくんは少し抵抗があった。自分のことをゴブリンだから見逃してくれだなんて言うもんだから、本当の妖精種を知ってる身としては困惑したけど、到着したおかしらと葛川兄を見て抵抗は無駄だと悟ったのだろう。
スン、ってなったし。
無駄な見せ筋もまあまあ役に立つな。
耳、少し足してやるか。
葛川兄の管理物件はまだあったから葛川兄にピロートークにぴったりな場所を相談した。
一度実家からガサが入った場所だ。そこなら多分大丈夫だと言う。そこに彼と彼女達とを招待する。なかなか見晴らしの良い高級マンションだった。
耳、少し返してやるか。
「ここならピロートークは完璧だよ」
「……藤堂、くん…ここは…何かな…」
「? 君たちの愛の巣だけど?」
何を当たり前なことを…彼女達が何しに来たと思ってるんだ。やり拾いに来たに決まってるだろ? それはもう真剣に。瞳はイエスさ。気にしなくて良い。安心して。
そしてここはすぐにでも愛の溢れる巣になるよ。逃げたくても逃げらんないし。安心して。
…耳、返すのやめるか。
「ほんとにこんなとこ良いの?すっごい高そうだし…」
「すっげ…」
「素敵です~」
「もちろん。明日の朝まで大丈夫。安心して。いろいろあるから好きに使いなよ。いいよね? いいって。それにやっと会えたんだしね。やっとの思いで再会だなんて感動だしね。日本、広いしね。人口、多いしね。そんな中、再び君達は出会えたんだ。この長い長い旅路はここで終わりだよ。うんうん。だから大丈夫だよ。ね、マコト-L-ヤマトくん…マコト-L-ヤマトくん? ん? ん? 何か………」
「は、はぃぃぃ!大丈夫であります!」
「そう? ならここからは君達に任せるよ。仲良くね。何したってだいたい大丈夫だから。ここ防音? そうだって。良かったね。もしかしたら途中訪ねるかもだけど、その時はよろしくね」
「「「はーい」」」
「………ヤバイ、かあちゃん…」
◆
護送中の車内でマコト-L-ヤマトくんとはどんな関係なのか彼女達に聞いた。
彼女達曰く、全員彼女だそうだ。
彼女達は、元々自分に自信の無い生きる気力もさしてない、ボッチ気味の女の子達だったそうな。
そこに現れたマコト-L-ヤマトくん。
最初はブサイクだし、言うこと適当だし、愛想笑いも見抜けないし、空気読めないし、察したり出来ないし、声変だし、股間すぐ触ってるし、紅茶のスプーンとかかき混ぜたあと絶対ワンペロして気持ち悪いし、なんか香水勘違いした匂いつけてて量もわかってないからクサいだけだし、ファッション誌そのままくり抜いた格好して体型と合ってないし、ボクシングアピとか変にイキってるからすべってるし、さりげなくの筋肉アピもさりげないけど何回もするからウザかった────
何かだんだん可哀想になってきたからその辺で止めた。
ならば、彼を何故? と聞けば。
でも、こんな私に諦めずに何度もアタックしてくれたから…ポッ。との事だった。
……こいつ、ただヤリたいだけだったと思うんだけど…
ま、いっか。
そうして付き合ってから何度か致してるうちに日に日にマコト-L-ヤマトくんへの思いが強くなっていったそうな。
正直、致す時は嫌われたくないからと痛く無いフリとか感じてるフリとか超辛かったけど、早いから耐えれたし、本当に痛いからやめてって言っても気持ち良いと勘違いしたのかやめないし、痛いって言いにくいこっちの気持ちとか知らないし、たまにイキってテクアピしてくるけどやっぱり気持ち良くなくて痛いだけだし、だったらそんな事されない為に自分からしてあげたらもっと早く済むし、何より喜んでくれる彼の笑顔いいじゃん、となり満足だったそうな。
そうして痛さと我慢と満足を重ねる度に、好きが恋になり、恋が愛になっていった。そう自覚した瞬間、忽然といなくなったそうだ。
そういえば写真を一緒に撮ったことがない。恥ずいじゃん、なんて言って拒否られてたことに気付き、聞いていた学校に行っても居ない。呆然としたそうだ。
……可哀想に。
マコト-L-ヤマトくんはぐったりしていた。
……お可哀想に。
まあ、女の子側に揃って言われたらそれは辛いよね。やめてって言われたら手を緩めるかちょっと迷うよね。
僕も気をつけないと。
すぐやめないように気をつけて見極めないと。
おのれ、純のやつ。
◆
「でもどうやって見つけたの? 名前も知らないのに。実は僕も探してる人がいてさ」
「あ~ね~?」
「昨日急にここに載ってたし」
「探し人サイト、『恋のアポストル』。私達は『恋アポ』って呼んでるよ~ここに特徴とか名前とか、いろいろ書き込んで特定を祈って信じて待つの」
彼女達が見せてくれたのは、ピンクの背景に小さな白い羽根がひらひらとゆっくり舞い散るエフェクトが綺麗なサイトだった。
「昨日の夜、マコトが急にあがったの。名前は伏せられてて。学校名と学年だけ。あなたが探してる人はもしかしてこの人?って写真つきで」
「ヤマトのこと登録したの半年前だったけど、諦めなくて良かったし」
「ただ、複数人に届いた場合は喧嘩はダメなんだって~アイコンにプラス3とか出たらね~あー私だけのライトじゃないんだ~って」
そう言って、マイページを見せてくれる。
マイページには、それぞれマコト、ライト、ヤマトとあった。そこにマコト-L-ヤマトの顔写真があって、それぞれ+3と付いていた。
最初に見せてくれた写真はこれだった。特定されてなければ、グレー表示のままらしい。
また、既に探し人が登録されていれば、会員登録しなくとも閲覧だけは出来るが、だいたいは渾名のような名前の一覧だった。
「あくまで穏便に。じゃないとあたしたちが晒されるし。登録確認があるから、それでね。他の人にも確認くるし。それでマジ度を測ってんじゃね?」
「かもね。一対一はわからないけど。で、本当に見つかったらこっちからありがとうメッセ送る。そっから十日後にはこっちのプロフは完全破棄してくれるから、この十日間は穏便に、だってさ」
「多分この期間になんとかしろって事なんだと思います~やり逃げ得は絶対許さないとも書いてますし~」
僕はだんだんわからなくなってきたので彼女達に情報のお礼の提案をした。
「そ、そうなんだ。ありがとう。なら十日使いなよ。いい?」
「へい」
「「「やりぃ!」」」
「ひいぃぃぃ」
「うんうん。良かったね」
その瞬間、ついに活路を見出したのか、背水の陣なのか、マコト-L-ヤマトくんが一気呵成に喋り出した。
「と、藤堂、くん! アステリアだ! アステリア女学院の女と、二年の御手洗えのるだ! そいつらに聞けばすぐ見つかる! 多分そいつらが恋アポだ! 俺に協力──」
「マコト-L-ヤマトくん。ここで他の女の子の名前を出すとか、頭大丈夫? ちょっと意味わからないんだけど」
「っぐ、てめ…」
「それに…ポイ捨て。ダメ。ゼッタイ。遊ばないで。ってよく言うでしょ?」
「それ、タバコで麻薬で川遊び禁───」
「それな! 藤堂くん、マジ神だし!」
「ほんっとそうだよな~」
「ほんと恋神様だよ! ありがとう~」
「こいつは神なんかじゃ────」
「そう、神様じゃないけどね。喜んでくれたなら嬉しいよ……マコト-L-ヤマトくん。……ピロートーク、頑張ってね……マコト-L-ヤマトくん? ん? ん?」
「サ、サー!、ィエッサァー!」
「あと、恋アポ、見てみるよ。追加がわかったら連れて来るから仲良くしてね。なんかまだ居そうだし……マコト-L-ヤマトくん?」
「サ、サ~」
「さあ! そろそろ君たちの思いをマコト-L-ヤマトくんに届けようじゃないか! 彼に届け! 発進!」
「マコォォトォォォォ」
「ヤマァァトォォォォ」
「ライィィトォォォォ」
「助けて、かあちゃん! ゴブリンハーレムは! ゴブリンハーレムだけは嫌だ~!」
「うんうん。良かった良かった」
ゴブリンハーレムか。上手いこと言うな。
彼女達は今まさに羽ばたこうとしている。つまり羽化だ。つまり妖精だ。
彼女達は淫らな妖精となり、彼と会えなかった時間を取り戻すかのように、半時計回りにぐるぐると三回転するだろう。
そしてカラッカラに搾り取るだろう。
僕も妖精姫ニナモモと眷属に搾り取られたことがあるからわかる。あれはまさに桃源郷だった。危うく魔王討伐を忘れるところだった。
まあ、鱗粉がないから大丈夫だよ。あれ、幻惑付きで魔力乱されるらしいからさ。僕は大丈夫だったけど。
ピロートークもきちんとしたよ。
今度はちゃんとピロートークするんだよ。頑張れ、マコト-L-ヤ……
…………面倒だな。
「がんばれゴブリン」
これでいっか。
◆
「恋アポか…」
まあ、よくわからないけど使ってみるか。
でもこれよく見たら男子しか探せない…女の子バージョンは他にあるのかな…彼女達に…いや、今はいけない。宴は邪魔しちゃいけない。ナニがニエなのかは置いておこう。
んー。なら自分で良いか。もしかしたら釘の彼女も何か急いでいたのかも知れないし。もしかしたら探してくれているかも知れないし。
藤堂、藤堂、藤堂京介………あった。………あるんだ…さっきのゴブリン後は何か複雑な気持ちになるな……
「うん? …アイコンに…プラス100?!」
……僕、ゴブリンしてないんだけど……
放課後、釘の彼女を探すべく僕はおかしらを校門で待っていた。
探すとか攫うといえばおかしらだ。
偶に山賊も斬る前に小さな墓穴を自ら掘らせていた事もあったし、まあ、構わないだろう。
ぶち込まれる前の有効活用だ。
すると、三人の女の子に話し掛けられた。彼女達はそれぞれ別の高校の生徒だった。どうやら恋焦がれる男子がうちの高校にいると言う。
ただ、話を聞けど要領を得ない。何故なら三人とも別々の男子を探しているが、何故か写真が一致していた。
困りながら対応していたら偶然通りかかった彼がその恋焦がれた男子だと言う。
そして彼はヌルい事を言い出した。
こんなに懸命に探してくれた彼女たちから逃げたいなどと言う。しかも偽名で既に1ドロンずつかましていた。
いくない。それはいくない。
ちょうど僕もドロンされたての身だ。彼女達の気持ちは瞳の色を見ずともわかる。超わかる。
落ち込んじゃうよね、やり捨て。
そう、僕もやり捨てされたんだ。
そんなやり捨てくんの名はマコト-L-ヤマトくん。なんかダメ主人公全部注ぎ込んだかのような渾名だった。しかも自分で名乗るとか…
そしてどうやら彼にはピロートークが足りないようだった。
なので彼と彼女達には誰にも邪魔されない場所を提供する事にした。主旨を説明する時にティアクロィエの技術を使った。
言葉に説得力を纏わせる魔法だ。
だからみんな素直に来てくれた。
嘘じゃないからね。
だが、マコト-L-ヤマトくんは少し抵抗があった。自分のことをゴブリンだから見逃してくれだなんて言うもんだから、本当の妖精種を知ってる身としては困惑したけど、到着したおかしらと葛川兄を見て抵抗は無駄だと悟ったのだろう。
スン、ってなったし。
無駄な見せ筋もまあまあ役に立つな。
耳、少し足してやるか。
葛川兄の管理物件はまだあったから葛川兄にピロートークにぴったりな場所を相談した。
一度実家からガサが入った場所だ。そこなら多分大丈夫だと言う。そこに彼と彼女達とを招待する。なかなか見晴らしの良い高級マンションだった。
耳、少し返してやるか。
「ここならピロートークは完璧だよ」
「……藤堂、くん…ここは…何かな…」
「? 君たちの愛の巣だけど?」
何を当たり前なことを…彼女達が何しに来たと思ってるんだ。やり拾いに来たに決まってるだろ? それはもう真剣に。瞳はイエスさ。気にしなくて良い。安心して。
そしてここはすぐにでも愛の溢れる巣になるよ。逃げたくても逃げらんないし。安心して。
…耳、返すのやめるか。
「ほんとにこんなとこ良いの?すっごい高そうだし…」
「すっげ…」
「素敵です~」
「もちろん。明日の朝まで大丈夫。安心して。いろいろあるから好きに使いなよ。いいよね? いいって。それにやっと会えたんだしね。やっとの思いで再会だなんて感動だしね。日本、広いしね。人口、多いしね。そんな中、再び君達は出会えたんだ。この長い長い旅路はここで終わりだよ。うんうん。だから大丈夫だよ。ね、マコト-L-ヤマトくん…マコト-L-ヤマトくん? ん? ん? 何か………」
「は、はぃぃぃ!大丈夫であります!」
「そう? ならここからは君達に任せるよ。仲良くね。何したってだいたい大丈夫だから。ここ防音? そうだって。良かったね。もしかしたら途中訪ねるかもだけど、その時はよろしくね」
「「「はーい」」」
「………ヤバイ、かあちゃん…」
◆
護送中の車内でマコト-L-ヤマトくんとはどんな関係なのか彼女達に聞いた。
彼女達曰く、全員彼女だそうだ。
彼女達は、元々自分に自信の無い生きる気力もさしてない、ボッチ気味の女の子達だったそうな。
そこに現れたマコト-L-ヤマトくん。
最初はブサイクだし、言うこと適当だし、愛想笑いも見抜けないし、空気読めないし、察したり出来ないし、声変だし、股間すぐ触ってるし、紅茶のスプーンとかかき混ぜたあと絶対ワンペロして気持ち悪いし、なんか香水勘違いした匂いつけてて量もわかってないからクサいだけだし、ファッション誌そのままくり抜いた格好して体型と合ってないし、ボクシングアピとか変にイキってるからすべってるし、さりげなくの筋肉アピもさりげないけど何回もするからウザかった────
何かだんだん可哀想になってきたからその辺で止めた。
ならば、彼を何故? と聞けば。
でも、こんな私に諦めずに何度もアタックしてくれたから…ポッ。との事だった。
……こいつ、ただヤリたいだけだったと思うんだけど…
ま、いっか。
そうして付き合ってから何度か致してるうちに日に日にマコト-L-ヤマトくんへの思いが強くなっていったそうな。
正直、致す時は嫌われたくないからと痛く無いフリとか感じてるフリとか超辛かったけど、早いから耐えれたし、本当に痛いからやめてって言っても気持ち良いと勘違いしたのかやめないし、痛いって言いにくいこっちの気持ちとか知らないし、たまにイキってテクアピしてくるけどやっぱり気持ち良くなくて痛いだけだし、だったらそんな事されない為に自分からしてあげたらもっと早く済むし、何より喜んでくれる彼の笑顔いいじゃん、となり満足だったそうな。
そうして痛さと我慢と満足を重ねる度に、好きが恋になり、恋が愛になっていった。そう自覚した瞬間、忽然といなくなったそうだ。
そういえば写真を一緒に撮ったことがない。恥ずいじゃん、なんて言って拒否られてたことに気付き、聞いていた学校に行っても居ない。呆然としたそうだ。
……可哀想に。
マコト-L-ヤマトくんはぐったりしていた。
……お可哀想に。
まあ、女の子側に揃って言われたらそれは辛いよね。やめてって言われたら手を緩めるかちょっと迷うよね。
僕も気をつけないと。
すぐやめないように気をつけて見極めないと。
おのれ、純のやつ。
◆
「でもどうやって見つけたの? 名前も知らないのに。実は僕も探してる人がいてさ」
「あ~ね~?」
「昨日急にここに載ってたし」
「探し人サイト、『恋のアポストル』。私達は『恋アポ』って呼んでるよ~ここに特徴とか名前とか、いろいろ書き込んで特定を祈って信じて待つの」
彼女達が見せてくれたのは、ピンクの背景に小さな白い羽根がひらひらとゆっくり舞い散るエフェクトが綺麗なサイトだった。
「昨日の夜、マコトが急にあがったの。名前は伏せられてて。学校名と学年だけ。あなたが探してる人はもしかしてこの人?って写真つきで」
「ヤマトのこと登録したの半年前だったけど、諦めなくて良かったし」
「ただ、複数人に届いた場合は喧嘩はダメなんだって~アイコンにプラス3とか出たらね~あー私だけのライトじゃないんだ~って」
そう言って、マイページを見せてくれる。
マイページには、それぞれマコト、ライト、ヤマトとあった。そこにマコト-L-ヤマトの顔写真があって、それぞれ+3と付いていた。
最初に見せてくれた写真はこれだった。特定されてなければ、グレー表示のままらしい。
また、既に探し人が登録されていれば、会員登録しなくとも閲覧だけは出来るが、だいたいは渾名のような名前の一覧だった。
「あくまで穏便に。じゃないとあたしたちが晒されるし。登録確認があるから、それでね。他の人にも確認くるし。それでマジ度を測ってんじゃね?」
「かもね。一対一はわからないけど。で、本当に見つかったらこっちからありがとうメッセ送る。そっから十日後にはこっちのプロフは完全破棄してくれるから、この十日間は穏便に、だってさ」
「多分この期間になんとかしろって事なんだと思います~やり逃げ得は絶対許さないとも書いてますし~」
僕はだんだんわからなくなってきたので彼女達に情報のお礼の提案をした。
「そ、そうなんだ。ありがとう。なら十日使いなよ。いい?」
「へい」
「「「やりぃ!」」」
「ひいぃぃぃ」
「うんうん。良かったね」
その瞬間、ついに活路を見出したのか、背水の陣なのか、マコト-L-ヤマトくんが一気呵成に喋り出した。
「と、藤堂、くん! アステリアだ! アステリア女学院の女と、二年の御手洗えのるだ! そいつらに聞けばすぐ見つかる! 多分そいつらが恋アポだ! 俺に協力──」
「マコト-L-ヤマトくん。ここで他の女の子の名前を出すとか、頭大丈夫? ちょっと意味わからないんだけど」
「っぐ、てめ…」
「それに…ポイ捨て。ダメ。ゼッタイ。遊ばないで。ってよく言うでしょ?」
「それ、タバコで麻薬で川遊び禁───」
「それな! 藤堂くん、マジ神だし!」
「ほんっとそうだよな~」
「ほんと恋神様だよ! ありがとう~」
「こいつは神なんかじゃ────」
「そう、神様じゃないけどね。喜んでくれたなら嬉しいよ……マコト-L-ヤマトくん。……ピロートーク、頑張ってね……マコト-L-ヤマトくん? ん? ん?」
「サ、サー!、ィエッサァー!」
「あと、恋アポ、見てみるよ。追加がわかったら連れて来るから仲良くしてね。なんかまだ居そうだし……マコト-L-ヤマトくん?」
「サ、サ~」
「さあ! そろそろ君たちの思いをマコト-L-ヤマトくんに届けようじゃないか! 彼に届け! 発進!」
「マコォォトォォォォ」
「ヤマァァトォォォォ」
「ライィィトォォォォ」
「助けて、かあちゃん! ゴブリンハーレムは! ゴブリンハーレムだけは嫌だ~!」
「うんうん。良かった良かった」
ゴブリンハーレムか。上手いこと言うな。
彼女達は今まさに羽ばたこうとしている。つまり羽化だ。つまり妖精だ。
彼女達は淫らな妖精となり、彼と会えなかった時間を取り戻すかのように、半時計回りにぐるぐると三回転するだろう。
そしてカラッカラに搾り取るだろう。
僕も妖精姫ニナモモと眷属に搾り取られたことがあるからわかる。あれはまさに桃源郷だった。危うく魔王討伐を忘れるところだった。
まあ、鱗粉がないから大丈夫だよ。あれ、幻惑付きで魔力乱されるらしいからさ。僕は大丈夫だったけど。
ピロートークもきちんとしたよ。
今度はちゃんとピロートークするんだよ。頑張れ、マコト-L-ヤ……
…………面倒だな。
「がんばれゴブリン」
これでいっか。
◆
「恋アポか…」
まあ、よくわからないけど使ってみるか。
でもこれよく見たら男子しか探せない…女の子バージョンは他にあるのかな…彼女達に…いや、今はいけない。宴は邪魔しちゃいけない。ナニがニエなのかは置いておこう。
んー。なら自分で良いか。もしかしたら釘の彼女も何か急いでいたのかも知れないし。もしかしたら探してくれているかも知れないし。
藤堂、藤堂、藤堂京介………あった。………あるんだ…さっきのゴブリン後は何か複雑な気持ちになるな……
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