異世界帰りの僕が100人斬りの勇者だなんてまだ誰にも知られていない ~帰還した元勇者の爛れたラブコメディ~

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感射祭

ゴール

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| 藤堂 京介


「……」

「……」

「……」

「……」


 どうしよう。

 由真、響子、そして未羽。この三人が、僕に対して三竦みみたいになってる。服さえ着てれば、僕を取り合う修羅場みたいだ。

 三人とも顔と耳が真っ赤だった。三人の視線が一点に集中している。そう、何を隠そう、僕の息子だ。今はまだタオルに隠れている、シャイなあいつだ。

 そういえば、異世界でも同じ表現だったな。つまり僕の息子の修羅場かな? あれ? じゃあ僕も参戦しないとおかしくない?

 いや、違う違う。

 そうじゃなくて。

 居た堪れないよ。

 居た堪れないんだよ。


 幸い、未羽にそこからの知識はないのだろう。嬉しそうな表情で優しく包みこんでいるだけだった。少しホッとする。

 未羽15歳。~そのままの君がいい~

 …このタイトルもそこはかとなくダメな匂いがする。

 それに、義理とはいえ兄の息子を、そっ…と包み込んじゃダメだろう。

「っ!!」

 だけど、ホッとしたのも束の間。由真と響子の胸洗い以外の右手左手が! タオルの下に潜り込んできた!

 何してんの!?

 二人は阿吽の呼吸で、二手に分かれていた。そう、玉と竿と二手に分かれていたんだ。

 まるで双子のようなコンビネーションだった。冒険者にも居たな。双子姉妹のアサシン。

 夜も絶妙だった。

 違くて。


「ふーっ、ふーっ、ふーっ」

「はーっ、はーっ、はーっ」

「………あは」

「…」


 天井を見上げ、思う。

 異世界から帰還して、疑ったのが平行世界だった。故郷に帰れたとき、果たしてそれは本当に元居た場所なのか。

 現実だが、僕にとって現実じゃない世界。

 例えば男女の貞操観の逆転だとか、男女比が変わってるだとか、男女の慣習の逆転だとか。

 どこぞのエロゲみたいな展開の大元を考えてくれたのは、魔王討伐のパーティメンバーである神託の巫女。百合の姫巫女、アートリリィであった。

 彼女は空想や妄想、物語や冒険譚をこよなく愛する読者家であり、思考実験が好きだった。

 出身が極寒に閉ざされた辺境だから読書しかなかったんです。なんて照れながら言ってた。

 そういえば賢者のところでも何か熱い議論をしていたと聞いたな。内容は教えてくれなかったけど。

 あまりパーティメンバーと親交を温めてはならないと、僕を召喚した救世大教会の司祭は言った。

 だから旅の途中は常に監視されていたが、僕の世界の話を聞きたいからと、監視を掻い潜るため、貸し借りする本の中に手紙を認め文通していた。

 もし万が一帰れない時のために、文字は勉強していた。こちらの文字も知りたいというアートリリィに教えた。

 ある日、詩を挟んでいた事があった。魔王を倒せたらあなたに送ります。と言って。

 なんという意味かは教えてくれなかった。まああんな最期だったし、結局教える気がなかったんだろうな……

 じゃなくて。

 そんな事じゃぁなぃんだよ。

 このままだとかつてのヴェスビオ山よろしく、京介山が噴火してしまう!

みんなをポンペイにしてしまう!


「あっ」


 不意に喘いでしまった。

 くそっ、そういえば、この身体はうら若き15歳の身体だった。このままだと辛くなってきた。

 脳の奥がジンジンしてきた…

 15歳の身体が恨めしい…僕、経験人数プロだけで3桁以上なのに。

 なんと無様な…


 ふー…。覚悟、決めるか。

 三人とも瞳はイエス。

 態度もイエス。

 この一般では有り得ないようなシチュにもイエス。

 感謝祭のゴールをこの三人が一体どこに設定してあるかで、やりすぎる可能性も、ある。

 そう、違う祭になる可能性も、大。

 バージンブレイク祭りは異世界で経験済だ。

 違くて。

 そう、義妹問題もついてくる。もっとも、こっちに帰ってきてから義妹には見えないんだけど。

 まあ、気持ち良いから何でもいっか。

 嫌われたら嫌われたで仕方あるまい。僕は勇者だ。行動あるのみ。

 求めには常に答えてきた!

 僕は何も言わず立ち上がる。三人の手が離れ、見上げてきた格好だった。みんな突然のことで、目を丸くしていた。本当に可愛いくて優しい子たちだ。

 未羽とも末長く仲良くして欲しい。

 ただ……濡れたタオルが僕の某に引っ掛かり、まるで暖簾のように重さで垂れ下がり、由真と響子のお互いの顔は、見えなくなってしまった………

 …狙ってなんかないよ。

 ……むしろ狙えないよ。

 …………超恥ずかしぃ。

 こんな事故はいやだよ。

 随分マヌケな格好だよ。

 こんなの遊びでもした事ないよ。


 こほん。

 みんな、そういう経験はないんだろう。だからゴールの匂いもしない。まだよくわからないまま感謝と好意と羞恥と肉欲で突っ走ってる。


 ならば刮目せよっ!

 このゴールは僕が決めるっ!


 僕は、華麗にタオルを取り去り、キメ顔でこう言った。


「みんな可愛くって辛いから、誰かお手伝いしてくれないかな?」


 そうだ、ポンペイしよう。

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