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生贄の対価
生贄5 - 自殺未遂
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| 初芝 朋花
加藤メグミ。
私の幼稚園からの友達で、幼馴染だった。
活発で友達も多く、よく笑い、よく食べる、笑顔の可愛い女の子だった。
集団が苦手で、人見知りな私に気遣って、遊ぶ時はいつも二人きりだった。
小学校の頃からよく告白されるくらいに人気で、だいたいはクラスメイトに囲まれていた。そういう集団が苦手な私のことを気遣って、学校では話しかけてこなかった。
だから放課後はよく家で遊んでいた。私には趣味らしい趣味はなかったから、よく「つまらなくない?」って聞いていた。
メグミは「一緒にいるだけで楽しいんだよ」そう笑って答えてくれていた。
中学に上がってから、ますます可愛くなったメグミはバスケ部に入った。元々身体を動かす事が好きだったし、何か華やかに見えたそうだ。経験ないけど頑張る! なんて言ってた。
私はボランティア部に入った。この部活は学校側が残したいだけの部員一名の、実質廃部に近い状態だった。
陰気な私にはちょうど良いとばかりに選んだ。
その唯一の部員である3年生は、受験に集中したいからと最初の顔合わせ以降、結局一度も合わなかった。
一人きりの部活は学校での集団授業に疲れた私の癒しとなり、部室に入り浸らせた。
その頃、カースト上位にいたメグミは遠目から見てもキラキラと輝いて見えた。
陰気な私と友達なんて知られたら、やっぱり迷惑になると思い、なるだけ関わらずにしていた。
たまにメグミが部室を覗いてくれていた。そんな時は隠してあったお菓子を振る舞い、たわいもない会話を楽しんでいた。
そんなメグミが中学2年の夏休み明けから不登校になった。
理由の知りたかった私は、何度もメグミの家に行った。暗くなった部屋で無表情で俯いたまま、何を聞いても教えてくれない。何度聞いてもダメだった。他の人から理由を知ろうにも、メグミ以外に友達の居なかった私は無力だった。
メグミが苦しい時に助けられない自分を責めた。
そんなある日、たまたま学級閉鎖になったからと昼過ぎにメグミの家に行った。おばさんから合鍵を借りていたので、連絡なく行ったら、自室で自殺しようとしていたメグミを見つけ、慌てて飛びかかり、未然に防いだ。
その時の反動でパジャマがはだけ、身体にある生々しいアザと治りかけの切り傷跡、乳首についたピアスが目に入ってから、意識が変わった。
幸い錯乱しなかったので、見て見ぬふりをしながら、まずは落ち着かせ、手を握り、寝かしつけた。メグミは夜は眠れないようで、昼間によく寝ていたから早かった。
私は今まで遠慮して、話したくなるまで待つ方針だった。
けど、あれを見てからは必死になり、なんとかヒントが欲しいと自分に課していたルールを破り、部屋とスマホを漁った。
すると。
クローゼットの中からタオルに包まれた、血痕がついたナイフが見つかった。
スマホの中からは送り主不明の、嬲られ、泣き叫ぶメグミのみが映る動画と、泣き叫んでいる見覚えのない女の子に、震えるメグミがナイフで切りつける動画があった。
私は震えた。
こんなことになっているなんて思いも知らなかった。
メグミが脅されていることは直ぐにわかった。
メグミがそんなことをするわけがない。
それらをメグミに優しく聞いたところ、言葉数少ないながらも、語ってくれた。
四匹の悪魔の事を。
学校でも人気のある生徒たちの仕業だった。
中学2年生のメグミに警察は重かった。
何度か一緒に行くからと説得するも、仕返しが怖いと首を縦には振ってくれなかった。
メグミは被害者なのに、加害者でもあるように仕向けられていた。ナイフを使ったのは解放してもらう条件だったそうだ。
証拠はにぎられてるし、あっちは映っていない。学校でこんな私が言っても信じてくれない。
八方塞がりだった。
そして何より本人の心が折れていた。
私はメグミに必死に訴えた。
土下座をしながら、泣きながら。
小さな頃から仲良くしてくれたことが本当に嬉しかったこと。本当の親友だと思っていること。二人の思い出。いろんなことを支離滅裂になりながらも、必ず私が何とかする、必ず私がメグミを助けると訴えた。
泣きじゃくる私に、涙はもう枯れたのか、無表情のままメグミはハグで返事をしてくれた。
なら、まずは心を治すために、一旦この街を離れて欲しいと懇願した。
メグミのおばあちゃんのところは私も一緒に行ったことがあった。そこで療養しようと。
メグミの親には、何があったかを隠しつつ、転校を進めるからメグミからも頼んでほしいと。
どうか、私を信じて言う通りにしてほしいと。
離れ離れは辛いけど、メグミのためなんだと。
涙ながらに説得した。
必ず証拠を掴む決心をした私は、自分を作り変える事にした。根本から作り替えるため、高校入学と同時に地元を離れ、一人暮らしをする事にした。
幸い家は裕福だったので、母には陰気な自分を変えたいと説得し、父は無関心だったので母に従ってくれた。
条件付きだけど一人暮らしの目処はたった。
メグミは私の提案を受け入れてくれた。不登校を気にしたメグミの両親が受け入れてくれ、祖母が暮らす田舎で療養することになった。
この街を離れたからか、毎日電話をし続けていたら、表情はまだ戻らないけど、少しずつ会話になっていった。
高校入学前の春休み。彼女の住む田舎まで会いに行った。身につけたギャル姿で驚かせてみせた。
彼女は昔の陰気な私みたいに変貌していて、見ていて辛かった。けど、「昔と逆だね」なんて言って、仄かに笑顔を見せてくれた。
あんな目にあったのに、すごく安定してきたのがわかった。
すごく頑張っているのがわかった。
これからは私の番だ。時間はかかるけど、何をしてでもあいつらに復讐するからとメグミに決心を伝え、次は夏休みに来るからと言って別れた。
そうして迎えた入学式。
桜舞い散る校門に、悪魔が四匹、いた。
加藤メグミ。
私の幼稚園からの友達で、幼馴染だった。
活発で友達も多く、よく笑い、よく食べる、笑顔の可愛い女の子だった。
集団が苦手で、人見知りな私に気遣って、遊ぶ時はいつも二人きりだった。
小学校の頃からよく告白されるくらいに人気で、だいたいはクラスメイトに囲まれていた。そういう集団が苦手な私のことを気遣って、学校では話しかけてこなかった。
だから放課後はよく家で遊んでいた。私には趣味らしい趣味はなかったから、よく「つまらなくない?」って聞いていた。
メグミは「一緒にいるだけで楽しいんだよ」そう笑って答えてくれていた。
中学に上がってから、ますます可愛くなったメグミはバスケ部に入った。元々身体を動かす事が好きだったし、何か華やかに見えたそうだ。経験ないけど頑張る! なんて言ってた。
私はボランティア部に入った。この部活は学校側が残したいだけの部員一名の、実質廃部に近い状態だった。
陰気な私にはちょうど良いとばかりに選んだ。
その唯一の部員である3年生は、受験に集中したいからと最初の顔合わせ以降、結局一度も合わなかった。
一人きりの部活は学校での集団授業に疲れた私の癒しとなり、部室に入り浸らせた。
その頃、カースト上位にいたメグミは遠目から見てもキラキラと輝いて見えた。
陰気な私と友達なんて知られたら、やっぱり迷惑になると思い、なるだけ関わらずにしていた。
たまにメグミが部室を覗いてくれていた。そんな時は隠してあったお菓子を振る舞い、たわいもない会話を楽しんでいた。
そんなメグミが中学2年の夏休み明けから不登校になった。
理由の知りたかった私は、何度もメグミの家に行った。暗くなった部屋で無表情で俯いたまま、何を聞いても教えてくれない。何度聞いてもダメだった。他の人から理由を知ろうにも、メグミ以外に友達の居なかった私は無力だった。
メグミが苦しい時に助けられない自分を責めた。
そんなある日、たまたま学級閉鎖になったからと昼過ぎにメグミの家に行った。おばさんから合鍵を借りていたので、連絡なく行ったら、自室で自殺しようとしていたメグミを見つけ、慌てて飛びかかり、未然に防いだ。
その時の反動でパジャマがはだけ、身体にある生々しいアザと治りかけの切り傷跡、乳首についたピアスが目に入ってから、意識が変わった。
幸い錯乱しなかったので、見て見ぬふりをしながら、まずは落ち着かせ、手を握り、寝かしつけた。メグミは夜は眠れないようで、昼間によく寝ていたから早かった。
私は今まで遠慮して、話したくなるまで待つ方針だった。
けど、あれを見てからは必死になり、なんとかヒントが欲しいと自分に課していたルールを破り、部屋とスマホを漁った。
すると。
クローゼットの中からタオルに包まれた、血痕がついたナイフが見つかった。
スマホの中からは送り主不明の、嬲られ、泣き叫ぶメグミのみが映る動画と、泣き叫んでいる見覚えのない女の子に、震えるメグミがナイフで切りつける動画があった。
私は震えた。
こんなことになっているなんて思いも知らなかった。
メグミが脅されていることは直ぐにわかった。
メグミがそんなことをするわけがない。
それらをメグミに優しく聞いたところ、言葉数少ないながらも、語ってくれた。
四匹の悪魔の事を。
学校でも人気のある生徒たちの仕業だった。
中学2年生のメグミに警察は重かった。
何度か一緒に行くからと説得するも、仕返しが怖いと首を縦には振ってくれなかった。
メグミは被害者なのに、加害者でもあるように仕向けられていた。ナイフを使ったのは解放してもらう条件だったそうだ。
証拠はにぎられてるし、あっちは映っていない。学校でこんな私が言っても信じてくれない。
八方塞がりだった。
そして何より本人の心が折れていた。
私はメグミに必死に訴えた。
土下座をしながら、泣きながら。
小さな頃から仲良くしてくれたことが本当に嬉しかったこと。本当の親友だと思っていること。二人の思い出。いろんなことを支離滅裂になりながらも、必ず私が何とかする、必ず私がメグミを助けると訴えた。
泣きじゃくる私に、涙はもう枯れたのか、無表情のままメグミはハグで返事をしてくれた。
なら、まずは心を治すために、一旦この街を離れて欲しいと懇願した。
メグミのおばあちゃんのところは私も一緒に行ったことがあった。そこで療養しようと。
メグミの親には、何があったかを隠しつつ、転校を進めるからメグミからも頼んでほしいと。
どうか、私を信じて言う通りにしてほしいと。
離れ離れは辛いけど、メグミのためなんだと。
涙ながらに説得した。
必ず証拠を掴む決心をした私は、自分を作り変える事にした。根本から作り替えるため、高校入学と同時に地元を離れ、一人暮らしをする事にした。
幸い家は裕福だったので、母には陰気な自分を変えたいと説得し、父は無関心だったので母に従ってくれた。
条件付きだけど一人暮らしの目処はたった。
メグミは私の提案を受け入れてくれた。不登校を気にしたメグミの両親が受け入れてくれ、祖母が暮らす田舎で療養することになった。
この街を離れたからか、毎日電話をし続けていたら、表情はまだ戻らないけど、少しずつ会話になっていった。
高校入学前の春休み。彼女の住む田舎まで会いに行った。身につけたギャル姿で驚かせてみせた。
彼女は昔の陰気な私みたいに変貌していて、見ていて辛かった。けど、「昔と逆だね」なんて言って、仄かに笑顔を見せてくれた。
あんな目にあったのに、すごく安定してきたのがわかった。
すごく頑張っているのがわかった。
これからは私の番だ。時間はかかるけど、何をしてでもあいつらに復讐するからとメグミに決心を伝え、次は夏休みに来るからと言って別れた。
そうして迎えた入学式。
桜舞い散る校門に、悪魔が四匹、いた。
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