18 / 156
禁断の恋
禁断の恋1
しおりを挟む
| 藤堂 未羽
結局、学校にはいつもより早く着いてしまった。
京介は1-A、私は1-C。高校に入学して以来、あまり京介との話題は出さないようにしていた。同中も何人か居るけど、中学時代も学校では接点は作らないようにしていた。
そのため、兄妹だと言うのは友達以外、誰にも知られていない。
愛香を初めて見た時、なんとなくこんな結果になる気がしていた。あいつは兎角、兄に対する気持ちを暴走させやすかった。
私はわざわざ京介を連れ出して、愛香に目撃させるだけで良かった。家の中まではわからないし、妄想だけして勝手に走るだろうとあたりをつけていた。
案の定、嫉妬を拗らせた。
それが、この結果。
正に最上。
特に今日の愛香の唖然とした顔は、一生忘れない。
口角が上がるのを必死に抑えながら友人を待つ。待つ間にトイレで一度果てようかな、なんて考えていたら早速耳に入ってきた。
「ねー昨日の動画」
「あーひどいよな」
「あれ、絶対成瀬さんでしょ?あんな可愛い顔してする事がえぐぃって」
「俺結構好きだったんだけど」
「ひょぇー良かったね、告らなくて」
「学校一の美少女、っつってもな」
「それよりあの男子」
「あー誰だっけ。1-Aのやつらしいけど」
「可哀想だったね。リンチじゃん」
「やったのは、多分写ってなかったけど葛川の手下じゃね」
「えー葛川くん、そんな事しないでしょ」
学校では動画の件で持ちきりになった。グループチャットはすぐに閉じていたから、インパクトだけ与えて後は噂話で縛るやり方なんだろう。
葛川君。ご苦労様。ありがとう。
絶対許さないけど。
なんて感謝と断罪していると、友達が来た。
「おはよ…未羽」
「おはよう。由真」
浅葱由真。
中学の頃に出来た友人で、今は同じ1-Cだ。
黒おかっぱのボブショートで朗らかに笑う笑顔が魅力的だった。メガネを外すと美少女なのは誰よりも知っている。スタイルは小柄だが、胸が私よりおっきい。なんとなく裸エプロンが似合いそう。
中学の頃は長いもさっとした黒髪を伸ばして陰気な印象だったが、家に呼んだ時に、京介にショート可愛いよ、恥じらいはメガネでカバーして徐々にならしたらとアドバイスをもらい、実践した結果、このクラスでもメガネ取ったら美少女ランキング一位だ。
それからは京介に気づいてもらえるように度々メガネを替えているのを私は知っている。
「京介くん大丈夫だった!?」
「あの動画見た?」
「うん…酷いよ」
「そうね。本当に。でも青アザもなかったし、ケロッとしてたわ」
本当に謎だった。動画で見た感じでは制服も汚れているはずだった。しかも帰ってきた時は何かよそよそしかったし。
「なんだ…ホッとしたよー」
「ごめんね、返せなくて」
「ううん、大変なんだろうなって思ってたから。でも気が気じゃなかったよ」
「ん、ごめん。まあ大変といえば…大変だったよ…」
昨日は結局三回も致してしまって大変だった。あんな目に合えば、抑えられないよ。
果てる時は決まって京介の文房具から拝借した三角定規だった。もっともっとと燃える心を抑えるのに大変だった。
「あれ?目の下すごいよ」
「あ、わかる?ファンデで隠したつもりだったけど」
「うーん、これだけ近づいて気づくってレベルだから大丈夫じゃないかな」
寝不足なのは仕方ない。京介の部屋に突入するか迷ったのだ。頭のやられた北極グマみたいにウロウロしてしまった。
結局タイミングは今じゃないと言い聞かせて、気持ちを納得させた。
「おはようございます」
「あ、響子おはよー」
「おはよう、響子」
狭川響子。
こちらも中学の時に出来た友人。黒髪ストレートを肩で切り揃え、前髪をつくると、ニキビがまだ出るらしく、カチューシャで上げていた。
少しタレ目がちな目元は柔らかい印象で、女子にしては少し高めの身長に、出るところは出ているスタイルの良い美少女だった。
中学の頃はニキビを見られるのがいやで前髪を伸ばし、背も丸め、太縁のメガネをして顔を隠していた。
この子も何度もうちに来た事があった。その時京介から親身に肌と髪型と姿勢のアドバイスを受け、実践し続けたら中学3年の時から美少女と呼ばれ出し、
今では1-Cでも1番人気だった。
私? いっつも愛香のせいで、ブスっとしてたけど? そのせいですけど?
「京介さん、大丈夫でしたか!?」
「うん、由真にも言ったけどケロッとしてたよ」
「そうですか…でも、愛香さんは許せません、あんなにも京介さんの献身を受けながら恩を仇で返すだなんて」
「まあ、愛香もそんなつもりなくて断れなかったのかも」
「未羽さんは本当に優しいですね」
「未羽は優しすぎだよ」
下心満載ですけども?
ごめんね、二人とも。
「でも今日からはもう無理だよ。今まで我慢してきたけど、流石にやり過ぎた」
「未羽さん…」
「未羽…」
「身体は何とも無いけど、心はもしかしたら傷付いてどうしようもないかもしれないし…」
どうしようもないのは私ですけども?
そもそも愛香一人に私だけじゃ勝てない。それは理解している。ましてや兄妹の壁は京介にはぶ厚い気がする。
それに、もし迫って拒否でもされたら家出して死んでしまう。
だけどこの三人集めれば籠絡出来るはず。
そして義妹の壁を一度でも越えれば。
一線を少しでも越えれば。
あとは一つ屋根の下なのは私だけ。
アドバンテージが私にはある。待ってなさい京介。
「ねぇ、二人とも。京介の励まし…手伝ってくれない?」
絶対堕とすから。
結局、学校にはいつもより早く着いてしまった。
京介は1-A、私は1-C。高校に入学して以来、あまり京介との話題は出さないようにしていた。同中も何人か居るけど、中学時代も学校では接点は作らないようにしていた。
そのため、兄妹だと言うのは友達以外、誰にも知られていない。
愛香を初めて見た時、なんとなくこんな結果になる気がしていた。あいつは兎角、兄に対する気持ちを暴走させやすかった。
私はわざわざ京介を連れ出して、愛香に目撃させるだけで良かった。家の中まではわからないし、妄想だけして勝手に走るだろうとあたりをつけていた。
案の定、嫉妬を拗らせた。
それが、この結果。
正に最上。
特に今日の愛香の唖然とした顔は、一生忘れない。
口角が上がるのを必死に抑えながら友人を待つ。待つ間にトイレで一度果てようかな、なんて考えていたら早速耳に入ってきた。
「ねー昨日の動画」
「あーひどいよな」
「あれ、絶対成瀬さんでしょ?あんな可愛い顔してする事がえぐぃって」
「俺結構好きだったんだけど」
「ひょぇー良かったね、告らなくて」
「学校一の美少女、っつってもな」
「それよりあの男子」
「あー誰だっけ。1-Aのやつらしいけど」
「可哀想だったね。リンチじゃん」
「やったのは、多分写ってなかったけど葛川の手下じゃね」
「えー葛川くん、そんな事しないでしょ」
学校では動画の件で持ちきりになった。グループチャットはすぐに閉じていたから、インパクトだけ与えて後は噂話で縛るやり方なんだろう。
葛川君。ご苦労様。ありがとう。
絶対許さないけど。
なんて感謝と断罪していると、友達が来た。
「おはよ…未羽」
「おはよう。由真」
浅葱由真。
中学の頃に出来た友人で、今は同じ1-Cだ。
黒おかっぱのボブショートで朗らかに笑う笑顔が魅力的だった。メガネを外すと美少女なのは誰よりも知っている。スタイルは小柄だが、胸が私よりおっきい。なんとなく裸エプロンが似合いそう。
中学の頃は長いもさっとした黒髪を伸ばして陰気な印象だったが、家に呼んだ時に、京介にショート可愛いよ、恥じらいはメガネでカバーして徐々にならしたらとアドバイスをもらい、実践した結果、このクラスでもメガネ取ったら美少女ランキング一位だ。
それからは京介に気づいてもらえるように度々メガネを替えているのを私は知っている。
「京介くん大丈夫だった!?」
「あの動画見た?」
「うん…酷いよ」
「そうね。本当に。でも青アザもなかったし、ケロッとしてたわ」
本当に謎だった。動画で見た感じでは制服も汚れているはずだった。しかも帰ってきた時は何かよそよそしかったし。
「なんだ…ホッとしたよー」
「ごめんね、返せなくて」
「ううん、大変なんだろうなって思ってたから。でも気が気じゃなかったよ」
「ん、ごめん。まあ大変といえば…大変だったよ…」
昨日は結局三回も致してしまって大変だった。あんな目に合えば、抑えられないよ。
果てる時は決まって京介の文房具から拝借した三角定規だった。もっともっとと燃える心を抑えるのに大変だった。
「あれ?目の下すごいよ」
「あ、わかる?ファンデで隠したつもりだったけど」
「うーん、これだけ近づいて気づくってレベルだから大丈夫じゃないかな」
寝不足なのは仕方ない。京介の部屋に突入するか迷ったのだ。頭のやられた北極グマみたいにウロウロしてしまった。
結局タイミングは今じゃないと言い聞かせて、気持ちを納得させた。
「おはようございます」
「あ、響子おはよー」
「おはよう、響子」
狭川響子。
こちらも中学の時に出来た友人。黒髪ストレートを肩で切り揃え、前髪をつくると、ニキビがまだ出るらしく、カチューシャで上げていた。
少しタレ目がちな目元は柔らかい印象で、女子にしては少し高めの身長に、出るところは出ているスタイルの良い美少女だった。
中学の頃はニキビを見られるのがいやで前髪を伸ばし、背も丸め、太縁のメガネをして顔を隠していた。
この子も何度もうちに来た事があった。その時京介から親身に肌と髪型と姿勢のアドバイスを受け、実践し続けたら中学3年の時から美少女と呼ばれ出し、
今では1-Cでも1番人気だった。
私? いっつも愛香のせいで、ブスっとしてたけど? そのせいですけど?
「京介さん、大丈夫でしたか!?」
「うん、由真にも言ったけどケロッとしてたよ」
「そうですか…でも、愛香さんは許せません、あんなにも京介さんの献身を受けながら恩を仇で返すだなんて」
「まあ、愛香もそんなつもりなくて断れなかったのかも」
「未羽さんは本当に優しいですね」
「未羽は優しすぎだよ」
下心満載ですけども?
ごめんね、二人とも。
「でも今日からはもう無理だよ。今まで我慢してきたけど、流石にやり過ぎた」
「未羽さん…」
「未羽…」
「身体は何とも無いけど、心はもしかしたら傷付いてどうしようもないかもしれないし…」
どうしようもないのは私ですけども?
そもそも愛香一人に私だけじゃ勝てない。それは理解している。ましてや兄妹の壁は京介にはぶ厚い気がする。
それに、もし迫って拒否でもされたら家出して死んでしまう。
だけどこの三人集めれば籠絡出来るはず。
そして義妹の壁を一度でも越えれば。
一線を少しでも越えれば。
あとは一つ屋根の下なのは私だけ。
アドバンテージが私にはある。待ってなさい京介。
「ねぇ、二人とも。京介の励まし…手伝ってくれない?」
絶対堕とすから。
10
お気に入りに追加
353
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった
ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます!
僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか?
『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

Hしてレベルアップ ~可愛い女の子とHして強くなれるなんて、この世は最高じゃないか~
トモ治太郎
ファンタジー
孤児院で育った少年ユキャール、この孤児院では15歳になると1人立ちしなければいけない。
旅立ちの朝に初めて夢精したユキャール。それが原因なのか『異性性交』と言うスキルを得る。『相手に精子を与えることでより多くの経験値を得る。』女性経験のないユキャールはまだこのスキルのすごさを知らなかった。
この日の為に準備してきたユキャール。しかし旅立つ直前、一緒に育った少女スピカが一緒にいくと言い出す。本来ならおいしい場面だが、スピカは何も準備していないので俺の負担は最初から2倍増だ。
こんな感じで2人で旅立ち、共に戦い、時にはHして強くなっていくお話しです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる