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バンマヌッシュ
09 恋に上下の隔てなし ※かな
しおりを挟むあの後、おれが寝落ちするまで、セックスが続いた、気がする。
おれもシャンプルディさんも初めてだったから、それこそサルになったみたいに盛ったんだろうなーと思うと恥ずかしい。
最後の記憶はヘロヘロになって……そのまま寝オチしたらしいけど、次に気がついたら、まだシャンプルディさんと繋がってた。
また?かもしんないけど。
窓から日差しが差し込んでたから、朝になってるのは間違いないけど、もしかして一晩中突っ込まれてましたってことはないよな?
でもこれで、何もかもがおれの妄想じゃなく、本当に昨夜はシャンプルディさんとセックスした、彼に抱かれたんだって思って胸が痛くなる。
夢オチじゃなくて、ほんとよかった!!
そんな幸せを噛み締めたおれは、シャンプルディさんにおねだりまでしちゃった。
もっと精液欲しい!って。
エロすぎね?
なんかさー、体がすっごい求めてるんだよな。
シャンプルディさんに抱かれたいんだけど、抱くなら絶対に中で出してよ!みたいな感じ。
奥で出されると、腹の奥からふわぁって感じがして、ああああ幸せぇっ!て心も体もポワポワァってなる。
何が言いたいのかよく分かんないけど、シャンプルディさんに中出しされると他のことが考えられなくなるって言えば良いのか。
獣かよ……って、うん、獣だった。
そんで、おれが変な求め方をしたのか、シャンプルディさんがセックスしながらおれを噛むし、ひっかくしで泣いてしまった。
血を見ると倒れるし、痛いのは苦手なはずなのに、気持ちよくなっちまったんだ。
痛いの気持ちいいって、あかん。
これは扉を開けてはいけない感じだから、おねだりしないように心がけておく。
一晩かけてセックスに慣れたのか、奥まで突かれても痛くなくなったとは言え、おれの前立腺の場所を覚えたらしいシャンプルディさんは、本気で悪鬼の如きでした。
腹の中をゴリゴリ音がしそうな勢いで擦られて、簡単に中だけでイけるようになったゴリラボディは、淫乱すぎるようだ。
前世で、中イキできるようになるまで、どんだけかかったと思ってんだよーっっ。
そんなことを、イきすぎて頭クラクラの酸欠になった頭で考えている内に、朝からイき落ちしたらしい。
◆
目が覚めて、のど乾いた……って体を起こすと、寝床のすぐ横に飲み水用の水差しとカップが置いてあった。
シャンプルディさんやさしぃ♡って胸をときめかせながら水を飲み干し、痛む体を引きずるように部屋を出て、生理現象を済ませた。
ううう、やっぱり初めてなのに無理しすぎた。
予想はしてたけど、全身がひどい筋肉痛になってる。
筋肉の多いゴリラボディだから大丈夫かと思ってたけど、セックスって普段の生活とは違う筋肉使うんだなーと痛感しながら、シャンプルディさんに会う前に身繕いしておきたいなって思う。
ゴリラの体って汗をかきにくいけど、だからって汚れないわけじゃなかった。
今世は家電が存在してないことも関係してるのか、風呂に入る習慣がない。
水が多い土地でもないし、火を焚くのに薪を使ってるから、風呂みたいにたくさんの薪と水が必要な習慣が根づきにくいのかもしれない。
爺さんの話だと温泉はどっかにあるみたいなんだけど、街の近くにはないから入りにはいけない。
この街での普通は、気が向いた時に水浴びする程度らしい。
前世の仕事が体力勝負の汗かく系だったこともあり、おれは水浴びの必要性を誰よりも理解してるつもりだ。
ただでさえゴリなのに、不潔で体臭キツかったら嫌われるだろって。
両親と祖父母には、水遊びが好きなんだ!って子供の頃からアピールしまくったから、そんなに不審がられてないと思う。
うちにはおれ専用の水浴び桶がある。
そんでもっておれの家族は、水浴びの代わりに毛繕いを毎日する。
さすがに全身のノミやダニを取りあいっこはしないけど、あんまり清潔じゃないと思うんだよな。
ゴリラの体になったからなのか、体臭が臭い!と思うことは少ないけど、自分から獣じみた臭いがするのは嫌だ。
あ、寝床の脇に水の入った桶と手ぬぐいが何枚も置いてある。
飲み水が別に用意されてたんだから、用途なんて一つしかないだろう。
これって、おれのために?
どうしよう、シャンプルディさんが好きすぎて苦しい。
おれが水浴び好きで、体が汚くなるのが気持ち悪いって感じるなんて事情を知ってるわけないし……あ、もしかしたら人間だから、動物よりもこまめに水浴びとかするのかな?
もしかして、臭かったから綺麗にしろっていう意味じゃないよな?
濡らした手ぬぐいで全身を何度も拭いて、脇の下とか股間とか臭いがしやすいところは直に嗅いでチェックした。
こんな姿見られたら泣いちゃうけど、臭い(かもしれない)ままシャンプルディさんに近づきたくない。
そう言えば尻から精液出てこない……もしかして吸収したとか?
いやいや、それはないか。
今世のおれは喋るゴリラだけど、ビックリドッキリ未確認不思議生物!じゃない、と思うしな。
となると、寝てる間にシャンプルディさんがおれの尻の後始末を……ってマジでか!?
えええ、あの綺麗な指でおれの尻から精液を搔きだしてくれたってこと?
全身を乾いた布で拭きあげながら、シャンプルディさんにどんな顔して会えば良いんだ、と悩む。
まさか「後始末をしてくれたんですか?」なんて聞けない。
えーと、じゃあ「おれのお尻キレイキレイしてくれたの?」……って痛々しいな。
うーんと、「お尻の精液どうなりました?」って、なんかアホっぽい。
覚えてないし、恥ずかしいっ。
聞けないから次は気絶しない、絶対に自分で後始末することにしよう。
一人で悶え終えて、シャンプルディさんどこかなー?と寝床の部屋を出る。
汚れた水の入った桶と使用済みの布を手に提げて、廊下を見回してみると、奥の方へ続く床には埃が積もっているのが見えた。
広いから、使ってるところだけ掃除したのかなと思いながら、昨日通り過ぎた調理場の方へと向かう。
扉の奥から怒鳴るような声が聞こえる。
くぐもって聞こえるから何を言ってるのかは聞き取れないけど、なんか爺さんの声に似てるなと思ったところで、昨日の爺さんの言葉を思い出した。
おれの様子を見に来るって言ってたよ!!
呑気に体を拭いてる場合じゃなかった!
シャンプルディさんにひどいこと言ってないよな、やめてよ、シャンプルディさんに嫌われちゃうっ。
扉を開くと、やっぱり爺さんがいた。
「バナ!!」
「あ、お爺ちゃん」
「無事か?無体なことはされとらんか?」
無体って、爺さんの中でどんだけシャンプルディさんが鬼畜設定なんだろうか。
あれ、でも、昨夜から今朝にかけてセックスしてた時のシャンプルディさんは、本当に鬼畜だったかもしれない。
童貞なのに初めての相手を一晩でイき落ちさせるとか、痛いのが気持ちいいとか、変な扉を開けさせられそうになったからな。
うちの爺さん敏腕商人だし、ちゃんと調べた上だし、評価があってるってことかな。
でもシャンプルディさんも、おれを痛めつけたとかじゃないんだよ……うん、好きだ。
シャンプルディさんはSっ気が強いかもしんないけど、おれがそれを嫌じゃないから大丈夫、だと思う。
「大丈夫だよ、おれ、すっごく幸せだよ」
「……本当にか?」
「うん」
爺さんに返事をして、芋やら玉葱(に似た野菜)を運び込んでいるシャンプルディさんの方を向く。
「シャム」
「少し待っていろ、すぐに食事を用意する」
「あ、待って」
……あれ、これってチャンス?
よし、あれから母さんと婆さんに習った料理の腕が、見せられるんじゃないか?
そんなに難しいのは作れないけど、所詮はゴリラの作る家庭料理だし、大丈夫だと思う。
って、えー、芋の皮を剥かないの?
どうしよう、これ、どうしたらいい?
せめて、芽だけ取らせてもらいたいな、前世のジャガイモの知識のせいで芋の芽は危険!ってイメージだから。
手伝っちゃだめ?って見上げると、シャンプルディさんの綺麗な顔が近くにあって、心臓がばっこんばっこん大騒ぎし始めた。
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