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シャンプルディ

09 美神の真実は小説よりも奇なり ※

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 しばらくして、口付けに慣れただろうと判断し、口を離してそっと耳に囁く。
 
「バンマヌッシュの可愛いものに触れたい」
「っ、ふぇ?」

 口の中をかき回すような口付けで呼吸が苦しいのか、はふはふと息を継いでいたバンマヌッシュの反応を返事をしたと解釈して、頬を撫でていた手を股間へと伸ばす。
 もう片方の手は、太ももを押さえながら。

 もしもバンマヌッシュが本気で抵抗すれば、俺は力で押し負けるだろう。
 生物としての初めの立ち位置が違う以上、多少鍛えたところで、全身を分厚い筋肉で覆った美の顕現に勝てるとは思えない。
 だからこそ、俺はお前を傷つける気は無いのだと教えるために、わざとちゅ、ちゅ、と音を立てながら鳥が啄ばむような口付けを繰り返す。

 ぬるり、と濡れた感触が手に伝わる。
 ちゃんと性的な快感を感じていると知って、自然と顔が緩む。

「あっっ、しゃ、あ、あのっ」
「シャムだ、教えたろう?」
「し、しゃむさん」
「シャムでいい」
「しゃむさ、し、しゃむっ!!」

 うろたえたようにバンマヌッシュが俺に話しかけて来る間も、股間に置いた手は止めない。
 可愛く小さな外性器の先端を、指先でつまむようにして刺激して、指を揃えて根元から先端までを撫であげると、ビクンと全身が震えた。

「痛いか?」
「う、痛く、ないっ、あっ」

 小さくて愛らしい外性器だが、腹側のそれは雄側とどう違うのだったか。
 自分の醜く大きなものを見慣れているせいか、俺の指くらいのそれを可愛いとすら思ってしまう。

「っあ、っっあ」

 胸の先端を揉んだ時と同じように、柔らかく力をかけて揉みしだき、先端の穴を広げるように指を押し付けると、ゆっくりと動いていた腰が、カクカクと突き上げるような動きに変わる。

「自分だけ気持ち良くならないでくれ」
「っあ、ご、ごめんなさいっ」
「こうすれば、一緒に気持ちよくなれるな」

 床に膝をついて体を寄せ、あまりにも大きさが違いすぎる二本を、両手で挟む。
 小さくても、しっかり硬くなってよだれを垂らしている、いじらしいそれを見て、綺麗なものを汚している背徳感を覚えた。

 お互いの透明な体液を混ぜるように、ゆっくりと手のひらを擦りつけてから、白と黒の二本を一緒に優しく包む。
 音をさせながら丁寧にしごき、大人と子供ほども差のあるそれを丁寧に愛撫する。

「あっ、ああんっっ!」
「……ん?」

 こんなに可愛らしいものを力任せに揉むわけにはいかない、と自分の処理をする時の倍も気を使い、優しくこねまわして上下にしごき上げると、バンマヌッシュのそれから少量の白濁液が飛んだ。

 おかしいな、と思ったがそのまま揉み込んでいると、小さな外性器が柔らかくなっていく。
 気のせいかと思ったが、やはり先ほどのは絶頂の放出だったらしい。

 孕む側の腹が外性器から出す体液には、子種としての能力はないというが、黒い腹毛にまとわりつくそれは、量はひどく少なかったが俺の種と同じように見えた。

「はっ、はっ、あっ、や、やめてぇ」

 絶頂を迎えた後に性器をいじられるのは、なかなか辛い行為だと聞いたことがある。
 俺の場合はそんな艶事の経験はないが、強引な行為が好きな者が傭兵の中には一定数いるようで、仕事の後の酒の場で色事の話が減ることはなかった。

 戦場働きが終わった後、現場を退去する前の酒盛りで、多くの傭兵たちが羽目を外していた日々を思いだす。
 ついぞ俺がその輪の中に混ざることはなかったが、そう前のことではないのに、何年も前のことのように感じてしまうのは何故だろうか。

「もう一度だ」

 バンマヌッシュがどんな性的嗜好を持っているかは知らないが、俺はまだ絶頂を迎えていない、と手を止めずにいると、縮んで柔らかくなっていた黒い外性器が、再び硬さを取り戻し始めた。

「や、あ、やめてっ」
「その願いは聞けないな」

 己を受け入れる腹が淫乱だと知って、喜ばない雄はいないだろう。
 ……普通は違うのだろうか?

 傭兵なんて因果な仕事をしている雄には、性欲が強い者が多い。
 生と死の間で雄としての本能が高ぶり、戦働きの後は大抵の奴が股間をおっ立てているものだ。
 中には雄同士で発散しようとする猛者もいたが、ほとんどの者は昼の仕事で得た金を持って、腹を抱きに娼館に出かけていた。

 傭兵のほとんどが稼ぐわりにスカンピンなのも、稼げば稼ぐだけ使ってしまうからだ。
 娼婦を買うどころか、まともな宿にすら泊まれない俺には、金の使い道がなかったので、貯蓄だけはできている。

 そう思っているうちに、バンマヌッシュの外性器から、再び少ない白濁が吹きだす。
 可愛らしい大きさに相応しいと思っている間に、硬直していた体から力が抜けたので、再び手の中の柔らかい黒を己の固いままの白としごき始める。

「うぅ、もう無理だよぉ、やあ、やめてぇ」

 ふにゃふにゃと頼りなかった黒は、ゆっくりとだが芯を持ち始める。
 こんなに小さくて可愛らしいものが、俺が与える快感で硬くなるのを知ってしまうと、何度でも吐精させたくなってしまう。

「大丈夫だ、上手にできている」
「あ、っあ、んんっ、やだぁ、そんな事言わないでぇ」

 首を振って、バンマヌッシュが黒い瞳から雫をこぼした。
 自分の欲を処理する時とは違い、意識して優しくしているので痛くはないはずだが、何が気に入らないのかと不安を覚える。

「気持ちよくなれていると褒めただけだろう、何が嫌なのか教えてくれ」
「はっ、あぁっっ、いやじゃないです、っ」
「そうか、ならもっとしてやろう」
「やっ、前でイくのいやだ、入れて欲しいのにっ」
「……」

 思わず動きを止め、はひはひと喘ぐバンマヌッシュを、まじまじと見つめてしまった。
 
 バンマヌッシュの発言の意図を考えてみる。
 ……早く入れて欲しい、つまり、これまでに幾本もの雄を受け入れて、快楽を知っているということか。
 孕み腹は雄との交合で、えも言われぬ快楽を享受できるというから、外性器への刺激よりも、腹の中に子種を放たれての絶頂に浸りたいということだろう。

 期待をしないと決めていたはずなのに、これまでのウブな様子から、バンマヌッシュが雄を知らないのでは無いか、と心のどこかで期待していたようだ。
 ようやく俺のような粗暴で野蛮な雄に、美しい腹がその身を任せようと考える理由に気がつく。

 そうか、醜い雄に乱暴に扱われたい性癖の持ち主なのか、と。

 手荒く乱暴に扱われたい性癖をもつ腹が、傭兵たちに粉をかける姿は見たことがある。
 だが、傭兵のほとんどは仕事で荒事に身を置いているだけで、私生活で暴力を振るうものはごく一部だ。
 その暴力的な面だって、同じ傭兵団に所属している見習いや下働き相手で発散して、一般人へ向けられることはない。
 性的志向と暴力性は別物であり、一般人を意味なく傷つけるものは、ただの暴漢であり犯罪者だ。

「バンマヌッシュ」

 思い直してくれないだろうか、と分厚くて毛深い手をとり、俺の滾りっぱなしの外性器へと導く。
 俺はバンマヌッシュを痛めつけたいとは思えないし、痛めつけて喜ぶのは無理だ。
 間違いなく萎える。
 交合中に興奮して相手を傷つける者もいるというが、それだって傷つけようとしているわけでなく、快感と痛みの境目が曖昧になる程に相手に溺れた結果だ。

「慣らしてからでないと、ひどい目にあうぞ」

 抱かれることに慣れている娼婦ですら、真っ青になって命乞いをするような、奇妙で醜い巨大な外性器に、黒い手を這わせると、全身を震わせたバンマヌッシュが怯えるように俺を見上げた。
 強引に突っ込んだら、裂けてしまう。
 いや、裂けるだけで済むのかすら、知識のない俺にはわからない。

「……は、い」

 真っ赤になった顔で、俺の起き上がって聳える外性器を何度も見直し、なぜかうっとりと目元を細める。
 それほどに与えられる痛みが楽しみなのだろうか、と不安になるが、ここまできて辞めるのは難しい。
 あまりにも痛みを望まれて、俺が萎えてしまえば途中でやめるしかなくなるだろう、とバンマヌッシュの手の甲に自分の手を重ねて、二本を擦り上げる動きを再開する。

「ん、っん、ぁっ」
「く……ぅっ」

 バンマヌッシュの被毛に自身の種をほとばしらせながら、少しだけ不安を覚えた。
 
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