23 / 23
昼中の睦言 後 ※ 人?×人
しおりを挟む人の姿での射精は、龍の姿の時とは感覚が違う。
びゅるり、と吹き出すように出るたびに、背筋を快感が抜けていく。
それだけで気持ちいいのに、先端をぬるりぬるりと指先でこすられると、腰が揺れる。
亀頭のくびれをにゅるにゅると撫で回されると、叫びたくなる。
「ああっっ、やめて、やだ、やだっ!」
怖い。
快感が怖い。
気持ち良いと感じることが怖い。
「何が嫌なのだ?」
「やだ、こわい、こわいからっ」
おれが側妃や愛妾のようになって、エト・インプレタ・エスト・コル・メウムが喜ぶとは思えない。
「怖くなどない、我に抱かれる事を怖がる事はならんぞ、痛くは無かろう、のう?」
ぬるぬると先端を揉み込みながら、優しい口調で告げてくる。
握らないで、こすらないで。
尻の中におさめようと動かす熱を止めて。
言っていることとやることが合ってない。
元王様だから横暴なのか?
「や、やだ、いやだぁっ」
人の姿で、この行為、を受け入れてしまったら、おれはきっと、浅ましくなる。
大嫌いだった側妃や愛妾のようになってしまう。
エト・インプレタ・エスト・コル・メウムが、おれを嫌悪するかもしれない。
「どのような事を言うても、何をしたとしても、其方は其方であろうが。
我はどのような其方も愛しく思うておる」
「でも……」
おれが受け入れられないのだ。
エト・インプレタ・エスト・コル・メウムの言葉がすごく嬉しいのに、それを素直に受け入れられない自分が嫌だ。
「我の言葉が信じられぬのか?」
「信じてる」
「ならば恐れずに信じておれ」
「信じてるったら!」
なんか会話がおかしい。
それなのに、おれの尻に覆い被さる熱が、考える力を奪っていく。
撫でられて擦られて、やわやわと揉まれると、腰を振りたくてたまらなくなる。
「どのような姿であれ、番に触れたい、番を抱きたいと思うのは自然な欲求であるのだ」
「ま、毎日はむりっ」
「それなら何日ごとなら良いのだ?」
「え……」
そんなの決められない。
決めたら、おれはきっと楽しみにして、前の日からそわそわして待つに決まってる。
ち、違う、ちがうっ!
待つわけない、待ちたくない。
おれは、おれは淫乱じゃない!
「そもそも毎日ではないぞ、其方の肉体はまだ弱いからの、我が抱くたびに丸一日寝こけておるわ」
「えっ!?」
やけに腹が減ると思ったら、抱かれるたびに一日寝てる?
本当に?
「其方の肉体の強化が終わった後は、外に食事に行こうと思うておったのだが、それもいやか?」
「外?」
「城の外だ、出たことがないのであろう?」
「ない」
「なれば、更に其方の腹に精を注がねばらんのう」
なんでそうなる。
と言う言葉は出なかった。
「ひ、ああ、あっああっ!」
ゆっくりと下半身をゆさぶられながら、次第に深くまで貫かれていき、ついにぺたりと尻に熱い肌が触れた。
びゅる、びゅると精液が噴き出す陰茎が気持ち良い。
「可愛い声で鳴きおって、まことに愛らしいのう」
「ひぃっ、あ、っあっ、や、やだぁ」
「気持ち良いのであれば素直に応えよ、其方の考えておることくらい、このエト・インプレタ・エスト・コル・メウムが見抜けぬと思うておるのか?」
「っひぃ、……え?」
まさか。
必死で息を吸って、背後から聞こえる声を理解しようとする。
「其方の考えはとても分かりやすいと、言うたであろうに」
「うそだ、え、そんなの」
初めから。
知られていた!?
「平気だと強がっておっても愛らしゅうて良いが、素直になれば格別であるな。
我が手管で快感にすすり泣く番を嫌うわけがなかろう」
好きなだけ快楽に溺れよ、と耳元で囁かれた。
耳元?
かなりの身長差があるのに?
「ふむ、ようやく人型の姿にも慣れてきたな」
うつ伏せで枕を抱きしめているおれの肩の外側に、手が置かれる。
大きくて節の目立つ手は細かい黒鱗に覆われて、指先には黒く光る鉤爪が生えていた。
子供の手の大きさではない。
けれど、龍の手でもない。
そんな馬鹿な、と振り返る前に、ずるりと尻の中に収められていた熱が引きずり出される。
「っあああっっ!」
気持ちいい。
だめだ、おかしくなる。
おれの体はエト・インプレタ・エスト・コル・メウムの言葉に素直に従っていた。
何をされても、快感に感じてしまう。
背中を撫でられて。
肩口に尖った歯を立てられて。
脇腹を鉤爪で引っ掻かれて。
その間も、尻を出入りする熱は止まらない。
「いっあ、ああっ、ひいいっ、いい、っあっっ」
自分の尻が卑猥な音をたてていることを知りながら、おれは。
もっとして欲しいと願った。
おれの中に、精を放って欲しいと。
「其方は、我の番ぞ、何一つ恐るることも恥ずかしがることもない」
「んんっっ」
ぴたりと背中にくっついてのしかかり、押し当てられている肌の硬さが、ぞくぞくと背中を駆け上る快感に変わる。
「落ちても良いのだ」
「うあああっ!」
這い上がれない。
そう、思った。
愛しておるぞ。
おれも愛してる。
甘く囁かれて、言葉を返した。
気持ち良いか?
気持ち良い、もっとして。
耳元に落とされた言葉は普通なのに、そこに含まれる淫らさに、陥落した。
何度も中に精を放たれて満たされて、ぬるぬるになりすぎているのか、感じる刺激は弱い。
もっと気持ち良くなりたいと、体が勝手に動く。
「……っ…………っ」
おれは声が出ないまま、体で訴えた。
快楽にあえぎすぎた喉は、慣れていないせいで、あっという間に声を出せなくなった。
「くっ」
「……ぅっ」
尻に力が入って、中に収まっている男根を締め付けたのか、背後で呻き声が聞こえる。
ぶるり、と体の中に新しい精が放たれたのを感じた。
気持ちいい。
お腹の中が、ほかほかとお湯を注がれたように暖かくて、とても心地よい。
「ふうぅ……」
深いため息と共に男根を引き抜かれて、ぬちゃ、と音がする。
先端まで、完全におれから離れてしまった。
そんな、抜かないで。
お願いだから、離れないで。
「なんとも艶めいたものだ、これほど美しくなるとは思わなんだ」
尻にかけられた手が、ぱかりと肉を割り、中央の穴を見つめられている視線を感じる。
そんな所を見ないで欲しい。
恥ずかしいのか嬉しいのかは分からなくても、勝手に力が入ってしまい、新しく注がれたばかりの熱が中からあふれて垂れていく。
「……っ」
せっかく、中に注いでくれたのに。
言葉にできないおれの訴えを、エト・インプレタ・エスト・コル・メウムは聞き届けてくれた。
「不安がるでない、其方のここは魔性であるようだ、幾度放とうとも満たされぬとはこのことかと、驚いておるわ」
くちゅ、くちゅ、と音をたてて先端でくすぐられる。
それだけで気持ち良くなれてしまうおれは、もう、手遅れだ。
這い上がることを考えるだけ無駄だ。
戻れない。
おれは、抱くことを知らないまま抱かれる悦びを知ってしまった。
もう、戻れない。
こぼれる涙の理由を知らないまま、おれはこの先もずっと、エト・インプレタ・エスト・コル・メウムに抱かれ続けるのだろう。
それが、とても、嬉しい。
「…………っ~あっ……っ」
「愛しきものよ、其方は未来永劫、我のものだ」
耳の中に注がれた執着心を隠さない唸り声と同時に、抵抗なく奥まで満たされて、尻にべたりと張り付いた鱗の感触に、狂乱した。
あの日。
死の床に落ちた。
恋に落ちた。
もう、落ちたまま。
戻れない。
了
◆
お読みいただきありがとうございました
いやー、二人の世界でした
書きたい!でもうまくアウトプットできない!時には二人きり(=´∀`)人(´∀`=)
m(_ _)m 以下、本編にぶちこめませんでした m(_ _)m
謎のまま終わり、よりは良いかなと書きました
不要の方はスルーしてください(エロに絡められない設定です)
主人公の母親の遺体は、エベレスト山頂付近の遺体と同じ理由で、腐敗しません(結界がなくなった時点で周囲がデスゾーン化)
元国民の遺体もごろごろごろごろ……:(;゛゜'ω゜'):
養祖父は死なずにすんだ一人で、エト・インプレタ・エスト・コル・メウムが、何人かいる生き残りをどうしようかなー、番に決めさせるか、くらいの感じで城に入れました(番を着飾らせたい!が本命?)
(実祖父母のみ、着の身着のままで山の下に強制転移、母親の元婚約者?知らんなー)
王族は外壁の内側でぎりぎり結界の中にいますが、日差しは遮れません
山頂高度で常に直射日光浴、三度熱傷で皮膚がずるむけますが、死ねません(さすがに痛々しくて書けない)
主人公が食べさせられているものは、龍の肉です(どこのお肉かは秘密)
エト・インプレタ・エスト・コル・メウムは監禁する気は無いのですが、体が完成するまではコロッと死にそうなので過保護になってます(本編後は世界中をいちゃいちゃ旅行の予定)
王太子の頭の輪などは、龍人の国になってからのものです
もともと、眷属が主人の龍を明確にするための身分証のようなもの(のつもり)でした
捨てられそうな予定の龍の子供たちは、たぶん、お母さんが大泣きするので捨てられないと思います(独り立ちは急かされそう)
以上、蛇足すぎでした
お付き合いいただき、感謝です!
0
お気に入りに追加
62
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説

青少年病棟
暖
BL
性に関する診察・治療を行う病院。
小学生から高校生まで、性に関する悩みを抱えた様々な青少年に対して、外来での診察・治療及び、入院での治療を行なっています。
※性的描写あり。
※患者・医師ともに全員男性です。
※主人公の患者は中学一年生設定。
※結末未定。できるだけリクエスト等には対応してい期待と考えているため、ぜひコメントお願いします。
捨て猫はエリート騎士に溺愛される
135
BL
絶賛反抗期中のヤンキーが異世界でエリート騎士に甘やかされて、飼い猫になる話。
目つきの悪い野良猫が飼い猫になって目きゅるんきゅるんの愛される存在になる感じで読んでください。
お話をうまく書けるようになったら続きを書いてみたいなって。
京也は総受け。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【BL】どうやら精霊術師として召喚されたようですが5分でクビになりましたので、最高級クラスの精霊獣と駆け落ちしようと思います。
riy
BL
風呂でまったりしている時に突如異世界へ召喚された千颯(ちはや)。
召喚されたのはいいが、本物の聖女が現れたからもう必要ないと5分も経たない内にお役御免になってしまう。
しかも元の世界へも帰れず、あろう事か風呂のお湯で流されてしまった魔法陣を描ける人物を探して直せと無茶振りされる始末。
別邸へと通されたのはいいが、いかにも出そうな趣のありすぎる館であまりの待遇の悪さに愕然とする。
そんな時に一匹のホワイトタイガーが現れ?
最高級クラスの精霊獣(人型にもなれる)×精霊術師(本人は凡人だと思ってる)
※コメディよりのラブコメ。時にシリアス。

男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。

失恋して崖から落ちたら、山の主の熊さんの嫁になった
無月陸兎
BL
ホタル祭で夜にホタルを見ながら友達に告白しようと企んでいた俺は、浮かれてムードの欠片もない山道で告白してフラれた。更には足を踏み外して崖から落ちてしまった。
そこで出会った山の主の熊さんと会い俺は熊さんの嫁になった──。
チョロくてちょっぴりおつむが弱い主人公が、ひたすら自分の旦那になった熊さん好き好きしてます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる