【R18】A pot of gold at the end of the black rainbow

Cleyera

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昼中の睦言 後 ※ 人?×人

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 人の姿での射精は、龍の姿の時とは感覚が違う。
 びゅるり、と吹き出すように出るたびに、背筋を快感が抜けていく。

 それだけで気持ちいいのに、先端をぬるりぬるりと指先でこすられると、腰が揺れる。
 亀頭のくびれをにゅるにゅると撫で回されると、叫びたくなる。

「ああっっ、やめて、やだ、やだっ!」

 怖い。
 快感が怖い。
 気持ち良いと感じることが怖い。

「何が嫌なのだ?」
「やだ、こわい、こわいからっ」

 おれが側妃や愛妾のようになって、エト・インプレタ・エスト・コル・メウムが喜ぶとは思えない。

「怖くなどない、我に抱かれる事を怖がる事はならんぞ、痛くは無かろう、のう?」

 ぬるぬると先端を揉み込みながら、優しい口調で告げてくる。

 握らないで、こすらないで。
 尻の中におさめようと動かす熱を止めて。

 言っていることとやることが合ってない。
 元王様だから横暴なのか?

「や、やだ、いやだぁっ」

 人の姿で、この行為、を受け入れてしまったら、おれはきっと、浅ましくなる。
 大嫌いだった側妃や愛妾のようになってしまう。
 エト・インプレタ・エスト・コル・メウムが、おれを嫌悪するかもしれない。

「どのような事を言うても、何をしたとしても、其方は其方であろうが。
 我はどのような其方も愛しく思うておる」
「でも……」

 おれが受け入れられないのだ。
 エト・インプレタ・エスト・コル・メウムの言葉がすごく嬉しいのに、それを素直に受け入れられない自分が嫌だ。

「我の言葉が信じられぬのか?」
「信じてる」
「ならば恐れずに信じておれ」
「信じてるったら!」

 なんか会話がおかしい。
 それなのに、おれの尻に覆い被さる熱が、考える力を奪っていく。

 撫でられて擦られて、やわやわと揉まれると、腰を振りたくてたまらなくなる。

「どのような姿であれ、番に触れたい、番を抱きたいと思うのは自然な欲求であるのだ」
「ま、毎日はむりっ」
「それなら何日ごとなら良いのだ?」
「え……」

 そんなの決められない。
 決めたら、おれはきっと楽しみにして、前の日からそわそわして待つに決まってる。

 ち、違う、ちがうっ!
 待つわけない、待ちたくない。
 おれは、おれは淫乱じゃない!

「そもそも毎日ではないぞ、其方の肉体はまだ弱いからの、我が抱くたびに丸一日寝こけておるわ」
「えっ!?」

 やけに腹が減ると思ったら、抱かれるたびに一日寝てる?
 本当に?

「其方の肉体の強化が終わった後は、外に食事に行こうと思うておったのだが、それもいやか?」
「外?」
「城の外だ、出たことがないのであろう?」
「ない」
「なれば、更に其方の腹に精を注がねばらんのう」

 なんでそうなる。
 と言う言葉は出なかった。

「ひ、ああ、あっああっ!」

 ゆっくりと下半身をゆさぶられながら、次第に深くまで貫かれていき、ついにぺたりと尻に熱い肌が触れた。
 びゅる、びゅると精液が噴き出す陰茎が気持ち良い。

「可愛い声で鳴きおって、まことに愛らしいのう」
「ひぃっ、あ、っあっ、や、やだぁ」
「気持ち良いのであれば素直に応えよ、其方の考えておることくらい、このエト・インプレタ・エスト・コル・メウムが見抜けぬと思うておるのか?」
「っひぃ、……え?」

 まさか。
 必死で息を吸って、背後から聞こえる声を理解しようとする。

「其方の考えはとても分かりやすいと、言うたであろうに」
「うそだ、え、そんなの」

 初めから。
 知られていた!?

「平気だと強がっておっても愛らしゅうて良いが、素直になれば格別であるな。
 我が手管で快感にすすり泣く番を嫌うわけがなかろう」

 好きなだけ快楽に溺れよ、と耳元で囁かれた。

 耳元?
 かなりの身長差があるのに?

「ふむ、ようやく人型の姿にも慣れてきたな」

 うつ伏せで枕を抱きしめているおれの肩の外側に、手が置かれる。
 大きくて節の目立つ手は細かい黒鱗に覆われて、指先には黒く光る鉤爪が生えていた。

 子供の手の大きさではない。
 けれど、龍の手でもない。

 そんな馬鹿な、と振り返る前に、ずるりと尻の中に収められていた熱が引きずり出される。

「っあああっっ!」

 気持ちいい。
 だめだ、おかしくなる。

 おれの体はエト・インプレタ・エスト・コル・メウムの言葉に素直に従っていた。
 何をされても、快感に感じてしまう。

 背中を撫でられて。
 肩口に尖った歯を立てられて。
 脇腹を鉤爪で引っ掻かれて。
 その間も、尻を出入りする熱は止まらない。

「いっあ、ああっ、ひいいっ、いい、っあっっ」

 自分の尻が卑猥な音をたてていることを知りながら、おれは。
 もっとして欲しいと願った。
 おれの中に、精を放って欲しいと。

「其方は、我の番ぞ、何一つ恐るることも恥ずかしがることもない」
「んんっっ」

 ぴたりと背中にくっついてのしかかり、押し当てられている肌の硬さが、ぞくぞくと背中を駆け上る快感に変わる。

「落ちても良いのだ」
「うあああっ!」

 這い上がれない。
 そう、思った。



 愛しておるぞ。
 おれも愛してる。

 甘く囁かれて、言葉を返した。

 気持ち良いか?
 気持ち良い、もっとして。

 耳元に落とされた言葉は普通なのに、そこに含まれる淫らさに、陥落した。

 何度も中に精を放たれて満たされて、ぬるぬるになりすぎているのか、感じる刺激は弱い。
 もっと気持ち良くなりたいと、体が勝手に動く。

「……っ…………っ」

 おれは声が出ないまま、体で訴えた。
 快楽にあえぎすぎた喉は、慣れていないせいで、あっという間に声を出せなくなった。

「くっ」
「……ぅっ」

 尻に力が入って、中に収まっている男根を締め付けたのか、背後で呻き声が聞こえる。
 ぶるり、と体の中に新しい精が放たれたのを感じた。
 気持ちいい。

 お腹の中が、ほかほかとお湯を注がれたように暖かくて、とても心地よい。

「ふうぅ……」

 深いため息と共に男根を引き抜かれて、ぬちゃ、と音がする。

 先端まで、完全におれから離れてしまった。
 そんな、抜かないで。
 お願いだから、離れないで。

「なんとも艶めいたものだ、これほど美しくなるとは思わなんだ」

 尻にかけられた手が、ぱかりと肉を割り、中央の穴を見つめられている視線を感じる。

 そんな所を見ないで欲しい。
 恥ずかしいのか嬉しいのかは分からなくても、勝手に力が入ってしまい、新しく注がれたばかりの熱が中からあふれて垂れていく。

「……っ」

 せっかく、中に注いでくれたのに。
 言葉にできないおれの訴えを、エト・インプレタ・エスト・コル・メウムは聞き届けてくれた。

「不安がるでない、其方のここは魔性であるようだ、幾度放とうとも満たされぬとはこのことかと、驚いておるわ」

 くちゅ、くちゅ、と音をたてて先端でくすぐられる。
 それだけで気持ち良くなれてしまうおれは、もう、手遅れだ。
 這い上がることを考えるだけ無駄だ。

 戻れない。
 おれは、抱くことを知らないまま抱かれる悦びを知ってしまった。
 もう、戻れない。

 こぼれる涙の理由を知らないまま、おれはこの先もずっと、エト・インプレタ・エスト・コル・メウムに抱かれ続けるのだろう。

 それが、とても、嬉しい。

「…………っ~あっ……っ」
「愛しきものよ、其方は未来永劫、我のものだ」

 耳の中に注がれた執着心を隠さない唸り声と同時に、抵抗なく奥まで満たされて、尻にべたりと張り付いた鱗の感触に、狂乱した。

 あの日。
 死の床に落ちた。
 恋に落ちた。
 もう、落ちたまま。
 戻れない。



   了

 
   ◆










お読みいただきありがとうございました

いやー、二人の世界でした
書きたい!でもうまくアウトプットできない!時には二人きり(=´∀`)人(´∀`=)





m(_ _)m 以下、本編にぶちこめませんでした m(_ _)m
謎のまま終わり、よりは良いかなと書きました
不要の方はスルーしてください(エロに絡められない設定です)


主人公の母親の遺体は、エベレスト山頂付近の遺体と同じ理由で、腐敗しません(結界がなくなった時点で周囲がデスゾーン化)
元国民の遺体もごろごろごろごろ……:(;゛゜'ω゜'):
養祖父は死なずにすんだ一人で、エト・インプレタ・エスト・コル・メウムが、何人かいる生き残りをどうしようかなー、番に決めさせるか、くらいの感じで城に入れました(番を着飾らせたい!が本命?)
(実祖父母のみ、着の身着のままで山の下に強制転移、母親の元婚約者?知らんなー)

王族は外壁の内側でぎりぎり結界の中にいますが、日差しは遮れません
山頂高度で常に直射日光浴、三度熱傷で皮膚がずるむけますが、死ねません(さすがに痛々しくて書けない)

主人公が食べさせられているものは、龍の肉です(どこのお肉かは秘密)
エト・インプレタ・エスト・コル・メウムは監禁する気は無いのですが、体が完成するまではコロッと死にそうなので過保護になってます(本編後は世界中をいちゃいちゃ旅行の予定)

王太子の頭の輪などは、龍人の国になってからのものです
もともと、眷属が主人の龍を明確にするための身分証のようなもの(のつもり)でした

捨てられそうな予定の龍の子供たちは、たぶん、お母さんが大泣きするので捨てられないと思います(独り立ちは急かされそう)

以上、蛇足すぎでした
お付き合いいただき、感謝です!
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