【R18】A pot of gold at the end of the black rainbow

Cleyera

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昼中の睦言 前 ※ 人×人

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 今日もまた、おれの部屋にエト・インプレタ・エスト・コル・メウムが来た。
 つまり……そういうことなのだろう。

 初めて抱かれてから、必ず毎日、部屋に来るエト・インプレタ・エスト・コル・メウムに、少し困っている。

 抱かれるようになる前も毎日来てくれて、おれが眠れているか、食事が足りているか、と細やかに気遣ってくれていた。

 これまでの優しさがあるから、とても「来るな」と言えない。
 もし来てくれなくなったら、おれが耐えられない気がする。

「さ、横になるが良い」
「……」

 明らかに、やる気だ。
 困る。

 昼の軽食が済んだばかりなのに。

 初めの日こそ、腹が熱くなって痛くて、死ぬのではないかと怖かった。
 けれど、その翌日からは、怖い、の理由が変わってきている。

 おれは、おれが怖い。

 いつか、エト・インプレタ・エスト・コル・メウムに側妃みたいにねだってしまうのではないか。
 愛妾のように、快感で獣のように吠えてしまうのではないか。

 ずっと、嫌いだと思っていたのに。
 自分がそうなるかもと思うことが怖い。

 もしかしたら、すでになっているかもしれない。

「どうした?」

 ぽすぽすとおれの枕の形を整え、上掛けは邪魔にならないように、と足元へたたみ。
 準備万端、と立っているおれを見上げる子供。

 全てがきらきらしい。
 柔らかそうなほほや唇が麗しい。
 伸ばされる指先がたおやかで、その手にすがりたくなる。

 子供の姿なのに、おれを抱く時は男でしかない。
 龍の姿で巻き付かれているから、男というより雄なのか。

「今日は……昼寝したい」
「ふむ?、そうか、それなら一緒に寝ような」

 ころんと転がって、横に来いと手を伸ばされて。
 安心して細い腕の中に潜り込んだ。

 腰帯を緩めて、息を吐く。

 抱かれたいと、自分からすりよる日が来そうで。
 それが、怖い。

 そう思いながら、目を閉じた。



 おれの毎日は、ほとんど同じ流れだ。

 朝起きて、エト・インプレタ・エスト・コル・メウムに食事を与えられる。
 相変わらず何を食べさせられているのか、分からない。

 食後から昼までは自由に過ごす。

 書庫から建国神話の貴重な原本を持ち出しているので、体が動く時は読むようにしている。
 つまり、ほとんど読めていないということだ。

 エト・インプレタ・エスト・コル・メウムから聞いた内容を確認して、間違っているときは注釈を新しい紙に書いていく。

 書き込んだ紙をどうするかはまだ決めていない。
 原本に書き込むことは、流石にできなかった。

 まるで歴史学者の真似事のようだが、おれの性格に合っていたようだ。

 御典医の爺さまに基本の読み書きは教わっていたけれど、おれが読んだことのある神話は、子供用の簡単な書物だった。

 原本には難しい単語が多いので、字引きを使いながらになる。
 原本も子供用も、本筋の内容は変わらないけれど、情報の量が段違いに多い。

 なぜか落ち着く。
 おれは、本を読むのが好きだったらしい。

 建国神話の原本は全五冊。
 紙は貴重品なので、一冊あたりは分厚くないけれど、いつかおれの手で間違いを直して、正しく編纂したい。

 あと、紙が古くなっている箇所を補修したい。
 補修の方法がわからないから、そのページを新しくするか、いっそのこと一冊すべて書いた方が良いのか。

 読みやすくてきれいな字を書く練習から始めないと。

 そんな風に過ごしていると昼になる。
 時間を知る手段がないので、昼ごろというべきかも。

「軽く食べぬか?」
「ありがとう」

 健康になったおれは、腹が減って仕方がない。
 部屋を覗きに来てくれた、エト・インプレタ・エスト・コル・メウムに喜んで返事をする。

 軽食を食べさせてもらうと、なぜかそのまま寝室に連れ込まれ、流れるように抱かれることになる。
 まだ昼なのに。
 そう思いながら、頭が真っ白になるまで受け入れてしまう。

 気がつくと朝。
 どれだけ寝ていたのか不明だけれど、一晩だろう。

 朝食を食べて。
 体が動くなら本を読む。
 動かなければもう一度寝る。
 昼になればエト・インプレタ・エスト・コル・メウムが来て。

 そんな生活だ。



「何を考えておるのだ?」

 細い腕に抱きしめられて、髪の毛を撫でられながら考え事をしていてはいけなかったのか。
 そう問いかけてくる声が少し硬い。

 目を閉じたまま答える。

「……特になにも」

 嘘ではない。
 おれの生活、こんなんで良いのかなと漠然と思っていただけで、改善しようとか、今の生活がどうこうとは思ってない。

 結局、おれは満たされていることが怖いのだろう。

 今までは、真夜中以外は気が抜けなかった。
 母と一緒にいる時だけは襲われなかった。
 兄弟姉妹にも絡まれない。
 真夜中なら、王だって眠る。

「本当にか?」

 そう言いながら、するりと、前合わせから滑り込んでくるほっそりとした手。
 なぜかおれよりも体温が高くて、熱い。

 指先に、ぴん、と胸の先端を跳ねられて、体が勝手に震えた。

「んっ」

 エト・インプレタ・エスト・コル・メウムが大好きらしいおれの体は、少し触れられるだけで大喜びで返事をするようになってしまった。
 おれ自身も好きだけれど、まだ、性交に至る気持ちが追いついていない。

「我と共にあるのは苦痛か?」
「それだけはないから!」

 いつも気持ちを先回りしてくれるから誤解していたのだろうか。
 エト・インプレタ・エスト・コル・メウムは、おれの心を読んでいるわけではないのだ。

「ならば」
「え、エト・インプレタ・エスト・コル・メウムに抱かれたいと思うのが怖い」

 嘘はつかない。
 嘘がつけない。
 どちらだろう。
 どちらでも一緒か。

「ふむ?」
「嫌われたくないんだ」

 エト・インプレタ・エスト・コル・メウムが何を考えているのか、おれには分からない。
 それが怖い。

 番だと言われて、大切にされて、身も心も満たされた。
 おれは何も持っていなかったから、今の幸せは手に余る。

 幸せすぎて、身動きが取れない。

「我が其方を嫌うことは無いと思うが、まあそうだの……抱いて良いか?」
「う……うん」

 どうして今の会話内容から、性交の話になるんだ。
 いつも話が急展開すぎる。
 何を考えているのか、本当に理解できない。

 頭の中がめちゃくちゃなのに。
 おれの頭は勝手に頷いていた。



 今も、おれの頭の中は混乱したままだ。

「ど、どうして、な、っひゃあっ!」

 うつ伏せに寝台の上に転がされて、腹の下に丸めた掛け布団を押し込まれたかと思えば。
 人のままのエト・インプレタ・エスト・コル・メウムの手が尻にかかり、左右に広げられると同時に陰茎が穴に押し込まれた。

 おれの体が完全に馴染んだことで、尻を洗うことも広げることも不要になった。
 今朝、そう教えられた。

 柔らかくほぐされる自分の股間を見続けるのが辛かったから、あの工程が無くなったと知り、ものすごく嬉しいと思った。
 でも違った。

 あの、どうしてよいか分からなくなる工程で、諦める……というか慣れる時間があったから、おれはエト・インプレタ・エスト・コル・メウムを受け入れられていたらしい。

 そうだよ、あれがないってことは、いきなりってことだ。
 心の準備をする時間がない。

 これまで、子供を孕むために必要と言われ、陰茎を受け入れる時は龍のような姿になっていた。
 自分で制御できる訳ではなく、気がつくと変わっている。

 人の姿では子供ができないのに?、と必死で首を捻ろうとしても、背後から体重をかけられてできない。
 枕を抱えて震えながら、体の奥を目指してくる熱に、耐えることしかできない。

「我はのう、どうしても子が欲しいわけではないのだぞ」
「ひ、ひぃっ、やめ、そこ、やめてっ」

 腹の下に丸めた布団があるからなのか、入ってくる熱に中がこすられるのをすごく感じる。
 腰から下が溶けてしまいそうだ。

「其方の体は素直だと言うのに、のう?」
「ひっ、ぃいっっ」

 ぐり、と中から腹側をこすられて、同時に陰茎を握られた。
 ぬるぬる、と細い指先で先端を揉み込まれながら、おれはまた入れられただけで射精してるのか、と気がついた。

 
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