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18 快楽と痛み ※ 人外で本番!
しおりを挟む龍の体の構造なんて分からないけれど、背中側にはたてがみがあるから、腹側に穴があるはずだ。
必死で首をねじってみれば、おれの腹にはにょっきりと伸びた陰茎らしきものがあって、先端から白い液体が、とろとろと勢いなく垂れている。
……お、おれ、射精してないか?
陰茎の後ろに尻穴があるようだけれど、そこにはエト・インプレタ・エスト・コル・メウムの体が巻きついて見えない。
ただ、見えなくても、ずりゅ、と深く押し込まれれば感じる。
「んひぃっ」
気持ちいい。
側妃や愛妾が王に組み敷かれて喜んでいた理由は、気持ちいいから?
どうして気持ちが良いんだ?
尻だろ!
「我に抱かれながら、何を考えておる?」
「ひっ、お、お尻がきもちいい、のなんでぇ?」
「……其方の無垢さは猛毒であるな」
苦笑するような声の後で「もう、其方のここは尻ではない、雌の蜜壺であるぞ」と耳元で囁かれた。
ずる、ずる、と押し込まれながら、達している時の感覚が断続的に続く。
気持ちいい。
でも、怖い。
なんで?
「ぅああっっ!?」
ぴしゃり、と叩きつけるように、おれの腹にエト・インプレタ・エスト・コル・メウムの腹が当たった。
ぐぷん、と腹から音がして、体が勝手にがくがくと震えだす。
「全て、入ったぞ」
腹の中がいっぱいだ。
苦しい。
尻なのに腹って、どういうこと。
「ん、んんっ、や、やだっ、きもちいいっ」
「嫌ではない、気持ち良いのであろう?」
おれは動いてないのに、巻き付かれていても動かれてないのに、じわじわと快感が深くなる。
おれの腹が勝手にうねってる。
腹の中が不規則にぎゅう、となるのを感じる。
エト・インプレタ・エスト・コル・メウムがもっと欲しいと、むしゃぶりついて搾り取ろうとしている。
欲しい。
それ、それだ。
もっと、欲しい。
龍になるとそんなことまで分かるようになるんだな、と思っていたら、ゆさり、と体が揺さぶられた。
それだけで、おれの腹がぎゅるりとうねった。
まるで、嬉しい、と喜びに震えるように。
足りない、欲しいものが足りない。
もっと、もっと欲しい。
ぎゅるぎゅると腹の奥が痺れて、ずっと続いていた達している最中の感じが強くなる。
「ひあぁっ!?」
信じられない。
なんとか見えたのは、信じれないおれの体の反応だった。
陰茎からつたうように垂れていた白い液体が量を増やして、とぷとぷとあふれていく。
なんだこれ。
気持ちいいから、こんなふうになるのか。
「素直で愛い体だ」
「ううっ、こんなのいやだっ」
褒められてるらしいけど。
尻がじんじんする。
腹の奥が熱い。
喉が焼けそうだ。
陰茎にはずっと放出の快感がある。
初めては痛いって言ってたのに、なんで。
あれ、痛くないようにすると言われたかな。
「そうか?、我が番の愛らしくも健気な姿を喜ばしいとは思うが。
仕方ない、初めてで無理をさせるわけにはいかんからの、痛いが耐えるのだぞ……んっっ」
何をしたのか、エト・インプレタ・エスト・コル・メウムがぶるりと身震いすると、体の中にはいっている巨大な熱が痙攣するのを感じた。
不穏な台詞は、体の反応に囚われていたおれの耳には届かなかった。
「い、や、ひぃっ」
どくどくと腹の中に熱が注がれた。
悲鳴が勝手に出てしまう。
熱い、熱い、熱くて、焼けてしまうっ。
怖い、死ぬ、いやだっっ。
身悶えて逃げようとするのに、おれに巻きついている黒い龍体はゆるまない。
「耐えよ、其方が受け入れる側として作り変えられる痛みだ、変わってやりたくともできぬ、すまん」
「あつ、あついっ、死ぬ、しぬぅっ」
腹の中が焼ける。
殴られたり蹴られたりには耐えられるけれど、腹の中をかき回された経験なんてない。
「死なぬ、其方が死ぬ時は我も一緒だ」
「やっ、やだっ死んだらいやだっっ」
痛みで、エト・インプレタ・エスト・コル・メウムの言葉がよく理解できない。
死ぬの?
エト・インプレタ・エスト・コル・メウムが死ぬの?
そんなの嫌だ。
必死で叫ぶと、ぎゅう、と体を抱きしめられる力が強くなる。
お腹の中が熱くて痛い。
締め付けられる全身が痛い。
「我は其方を残して死んだりせぬ、泣くな」
「置いてかないで、一人にしないでぇっ」
「もちろんだとも、目を片時も話さぬようにしよう、其方が望むままに、我が半身よ」
頭の中が熱で埋められる。
何を言われて、何を答えたのかも理解できない。
おれの鱗に爪を立てないように、ぐるりと巻きついた体に力を入れて、支えられている。
助けを求めて振り回した、おれの手足が宙をかく。
尾が振り回される。
「あ、ああっ、あっ、ああーーーっ」
全身を包み込むように抱えられていて、どこにいるのか理解していなかったけれど、空中?
陰茎の根元まで受け入れて、貫かれた尻でつながったまま、もつれあうように、おれが泣き叫んでいる間、エト・インプレタ・エスト・コル・メウムはずっとなだめてくれていた。
おれの側にいてくれると、約束してくれた。
気がする。
目が覚めて……。
おれは全部、覚えていた。
こういうことこそ、忘れてしまえば良いのに。
もう、エト・インプレタ・エスト・コル・メウムに顔を見せられない。
もうやだ。
とりあえず両手で顔を覆って、寝台の中にもぐりこむ。
顔が熱い。
おれは一体、なにを口走ったんだよ。
番になにをやらせているんだよ。
あの後。
おれはたしかに、腹の中から焼け死ぬと思って、ものすごく慌てた。
焦った。
これはもう無理だ、と本気で思った。
死ぬなら、せめて好きな人に触れたまま、と思って。
暴走した。
なんでエト・インプレタ・エスト・コル・メウムに全身を舐めさせてるんだよ!!
おれ、ノリノリかよ!
人の姿に戻ったなら風呂入れよ!
汗をかいたなら水浴びしろ!
でも、悪いのはおれだけじゃない。
そう思わないとやってられない。
エト・インプレタ・エスト・コル・メウムも嬉々として、おれの全身を舐めるな!
龍の姿だと、おれを喰ってるようにしか見えないだろ!
必死でおれは耐えた。
耐えないといけない気がしたから。
エト・インプレタ・エスト・コル・メウムが「耐えろ」って言ってくれたから。
気絶と覚醒を繰り返した。
痛い、熱い。
何が起きてるのか分からないまま、必死でおれを支えてくれる硬い体にしがみついた。
いつかは終わる、と思ったら、なんでも耐えられるものだ。
でも、耐えられるからといって、平気なわけじゃない。
腹の中の熱と痛みがおさまったら、おれの体は、いつのまにか人の姿に戻っていた。
人の姿に戻っても、おれが初めての痛みで怖がってめそめそして、それをエト・インプレタ・エスト・コル・メウムが慰めようとしてくれたのは良い。
おれの番は世界一優しい。
なんで、それで全身を舐める!
おれも、喜んで腰とか振るな!
なんで飲む。
そして飲ませるなよ、おれぇ。
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