【R18】A pot of gold at the end of the black rainbow

Cleyera

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11 人肌の熱 ※ 兜合わせ

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 唇が触れる。

 ぼろぼろだったペルディディ・コル・メウムは、エト・インプレタ・エスト・コル・メウムになった。
 性格や内面はそのままのようだが、なにもかもが変わった。

 全身がいつのまにかふっくらとして、幼い子供の容姿になっていた。
 爪を失っていた指先は、つるりと光る黒い爪を取り戻して、指はほっそりとして柔らかい。

 風もないのにふわりとなびく、柔らかな黒髪は七色に変わる。

 薄暗がりでは優しく色を変えて、光を浴びれば鮮烈に。
 髪と同じ黒色の瞳は、おれの姿をとらえて、赤、緑、青、と色を変えた。

 とろりと水気を含んだ甘さが、言葉もでないほどに色っぽい。

 子供の姿なのに、卑怯すぎる。
 おれは、変態が終わっても平凡な顔なのに。

「は、……あっ」

 呼吸が荒くなる。
 唇が触れて、舐められて、口の中にそっと入ってきた柔らかさが、熱がおれを甘やかすから。

 幾度も口付けているのに、慣れない。
 心臓が暴れて口から飛び出してしまいそうだ。
 きっとおかしな顔をしているから、見ないで欲しい。

 エト・インプレタ・エスト・コル・メウムは、唇を押し付けるだけで精一杯のおれを笑わない。

 導くように熱い舌が歯をねぶって、敏感な粘膜を撫でていく。
 口の中に触れられることが心地よくて、他に意識が向けられずにいたら、しゅる、と衣ずれの音が耳に届いた。

 慌てて目を開けば、おれが腰に巻いていた帯が、寝台の下に放り投げられる瞬間を見てしまった。

「怖いか?」
「こわく、ないっ」

 柔らかい手のひらが前合わせからすべり込んで、おれの胸元をさまよう。

「今すぐに全てを行う気はないぞ、我に触れられることに、我に触れることに慣れておくれ」
「わ、わかった」

 話しかけてくる間も、唇は奪われていて、息継ぎに苦しむ。
 口付けごときで、呼吸も満足にできなくなるのがいやだ。

 細い指先が、おれの胸の先端をとらえた。
 くるくる、と撫でるように触れられ、指先でそっと押しつぶされる。

「っぅふっ」

 くすぐったい、と身を捩ると、エト・インプレタ・エスト・コル・メウムが口の中で笑ったのを感じた。

「うむ、其方ソナタがあまりにも初心ウブなので、手を出しにくいのう」
「おれはっ、初心じゃない!」

 自分の経験は皆無でも、王が様々な女を組み敷く姿はずっと見せられてきた。
 発情した男女がなにをするかは、誰よりも知ってる……つもりだ。

 まさか王太子だったおれが、組み敷かれる方になるかも、なんて、考えたことはなかったけれど。

「なれば、遠慮はせぬぞ?」
「のっ、望むところだっ!」

 暴れている心臓が、さらに音をあげる。
 とても無理だ、と体に抗議をされた気がした。

 でも、ここで拒否なんてできるか、おれは番なんだから、エト・インプレタ・エスト・コル・メウムを受け入れる責任がある。
 ……ある、よな?

 するりと下穿きの中に差し込まれた手が、いつの間にか反応していた陰茎を柔らかく撫でる。
 先端を包むように、熱くて小さい手のひらが押し当てられて、ぬるぬる、と滑った。

「んんっ!、んっっ、んんーっっっ」
「……やはり、初心すぎると思うんだがのう」

 違う、という言葉は声にならなかった。
 先端を何度かこすられただけで、おれが達してしまったから。

 きっとあれだ。
 変態前に死にかけていて、自慰ができていないからだ。
 溜まってただけだ。

「はっ、はあっ」

 初心じゃないと証明するために、何回こすられるのを我慢すれば良かったんだ。
 次の時は我慢する。
 子供の姿のエト・インプレタ・エスト・コル・メウムに翻弄されるのは、負けた気がする。

「まあ、良かろう」
「な、なな、なにっっ?」

 ぐち、ぐち、と下穿きの中で再び動かされる手が音をたてる。
 達しても、まだ硬さの残っていた陰茎への刺激が突然で、腰が浮く。

 な、なん、なんだ!?
 おれはもう出したのに。

「さ、其方も一緒にな」

 空いている手でおれの手を自分の股間へ誘導し、服の上からがちがちになっているそれに触れさせられた。

「……?!」

 おれの開いた足の間に、膝立ちしているから、なのか?
 こ、子供の姿なのに、すごく大きくないか?

「あまり小さいと握りにくかろう?」

 いつものようにおれの表情を読み、呆れたような口調で言われた。
 そんな姿まで美しくて胸が苦しい。

 待ってくれよ、陰茎の大きさは成長で変わるものだろ。
 まさか、自分で大きさを変えられるのか?

「……あ、あー、うん」

 頭の中で反論をしてみても、言葉にならなかった。
 龍はそういうものなのか、と思ってしまった。

「こうするのだ」

 ぶるん、と下穿きから踊り出た陰茎は、勃起した時のおれとほとんど同じ大きさだった。
 変態した後のおれは、陰茎も大きくなっているのに。

 エト・インプレタ・エスト・コル・メウムの陰茎は全体的に色が薄くて、子供のような未熟な形をしているのに、きれいに腹にぺったりとつくほど起き上がっている。

 ちょっと待て、こんなに大きかったら、最初から男だと気づけたはずだ。
 どうしてこれまで気がつかなかったんだ?

 エト・インプレタ・エスト・コル・メウムが下穿きを寝台の下に放ってから、おれの太ももをくっつけて、またいで、腹をくっつきあわせるように足を開いて座る。
 硬くなった陰茎は立派で、その下でぱんぱんに膨れているものも、色は薄くても大人のもののようだ。

 幼くて細い手足、柔らかい肉のついた体。
 体毛も生えない年齢に見えるのに、どうなってるんだ。
 本性が龍だからなのか?

 ちゅ、と喉仏に唇が落とされた。
 太ももの上に座ってしまうと、おれの唇に届かないのか。

「ひっ」

 引かれた手のひらに、熱が当たった。
 おれの両手に、見た目が違う陰茎が、二本、にゅるりとした感触とともに押し当てられる。

「包むようにして、優しく、そう、こうだ」

 おれの手の外側に、ぬるぬるとしたエト・インプレタ・エスト・コル・メウムの両手が添えられる。
 この陰茎と手のぬるぬるが何か、考えたくない。

「んんっ!」

 おれの手が、ゆっくり上下に動かされる。
 どろどろになっていたおれの陰茎のせいで、すぐにぬち、ぬちゅ、とねばつく水音を立てはじめて。

 ……すぐに、自分の意思で動かすことになった。

 この快感がエト・インプレタ・エスト・コル・メウムに与えられていると思うと、それだけで気持ちよくなってくる。
 出して満足したはずなのに、おれのものは硬さを取り戻していた。

「どうだ、気持ちよかろう?」
「ん、あ、っあ、うんっ、きもち、いいっ」

 ぬるぬるで、熱くて、裏筋にごりごりとこすれるものが硬くて、すごく良い。

 おれは手で二本を包んで、無我夢中になって腰を振った。
 ごりごり、ぬるぬると与えられる快感に夢中になって、無意識に口を開く。

 もっと、エト・インプレタ・エスト・コル・メウムが欲しい。

「もう出るっ、ああっ」
「…………ぶ、とはっ」

 二度目の射精に息を荒げて、うっとりするおれの胸元で、エト・インプレタ・エスト・コル・メウムがぼそぼそと呟いたけれど、内容までは聞こえなかった。

 
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