【R18】I've got a crush on ogre

Cleyera

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五、受け入れて、受け入れられて

60 東鬼

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 鬼の姿で、華奢な骨格に薄い肉を貼り付けたような、タクに触れんのは怖え。
 人間の姿だったら、そこまで気を使わなくていいと分かってても、もうおれは珍宝で得られる快楽を知っちまってる。
 珍宝がタクに快感を与えることを知ってる。

 鬼の姿でタクとセックスしてえと思うのは、おれのエゴだ。

 タクから鬼の姿でしてえって望まれたことは、一度もねえ。
 できるからって、成人男性の腕くれえあるもんを尻の穴に突っ込まれるのを、望むわけもねえ。
 気持ちよくなれるっつっても、その後にボロボロになるのを分かってるからな。

 それでも、タクはおれを受け入れてくれる。
 おれが望むままに。

 おれにできんのは、タクの負担が少しでも減るように、時間をかけてしっかりと準備をすることだけだ。
 最中はなんも考えられねえ。
 あとは事後にタクを優しく扱うくれえしかできねえ。

 タクが復職してから、おれは週に二回タクとセックスをしてる。
 週末が確定、もう一回は火曜日か水曜日、タクの休みに合わせてどちらか。

 今日は金曜日。
 ヤる日だ。

 人の姿なら、負担が少しでも減らせるんだろうが、おれの珍宝はもう、タクのケツマン以外は衝動の解消先にしてくれねえ。
 大地への抱擁?そんなのあったな、クソだったわ。

 手コキでザーメン垂れ流すだけなら、タクの匂い嗅ぎながらいくらでもできっけど、衝動が解消されねえのが辛え。

 つーわけで、晩飯や準備のために先に帰って来た。




東鬼シノギ、いるか?」

 ゴンゴンと扉を叩く音に気がついた。
 いけねえ、変なこと考えてたせいで、タクが来たのに気がつかなかった。

 慌てて出迎えると、スーツ姿のタクが少しだけ眉を寄せて、おれを見上げていた。

「なんだ?」
「東鬼、体調でも悪いのか?」
「どこも悪くねえけど」
「そうか、なら良いんだ」

 いっつも独身寮の玄関まで出迎えてたから、おれの体調が悪いのかって心配してくれたらしい。
 鬼に生まれて四十年近く、人間みてえに風邪なんぞ引かねえから、親父に半殺しにされた時くれえしか寝込んだことがねえって、言いづれえ。

 ジャケットを脱いで、常備することになったスーツ用ハンガーにかける。
 するりとネクタイを引き抜きながら、おれを見上げる色白の顔は、少し疲れているように見えた。

「やっぱりどこか調子が悪いんじゃないのか?」

 おれを見つめる鳶色の瞳は澄んでいる。
 なんでだろうな。
 鬼に関わって辛い目にあってんのに、こんなに迷わない目え出来んのがすげえって、心から思う。

 ガリガリに痩せちまってた時は尖って突きでてた頬骨も、ふっくらとまではいかねえものの、全身に肉がついてきたことで、細面くれえになった。
 タクが言うには、まだ〝痩せ〟の範囲内らしいけどな。

 人の美醜の基準はよく分かんねえけど、タクはきれえだ。

「タクこそ、疲れてんじゃねえの?」

 おれが暴走しちまうから、ヤらねえって選択肢がねえ。
 タクが風邪ひいて寝込んじまったら、おれはどうすりゃ良い、って本気で思ってる。

 タクの腔の味を知ったおれの珍宝は、辛抱って言葉を忘れちまった。
 自家発電がごまかしにしかならねえ。
 前は耐えられたってのに、今は三日と保たねえ。

 シャツのボタンを上から二つ外した状態で、タクが振り返って、スラックスに手をかけた。

「先にシャワーが浴びたい」
「お、おう」

 突然の言葉に頷いて、衣装ケースから下着を出しながら、スラックスを部屋着のスウェットに変えたタクを横目で見る。
 怒ってる、わけじゃねえよな。
 なんだろうな。


 この後、いつもは夕食を軽めに食べて、少し腹を休めてからシャワー。
 しっかりあったまっちまうと、消化に悪い上に眠たくなるからってんで、湯船に入んのは事後。
 (寝落ちしちまうから)タクの希望で、歯磨きしてから本番。

 入れるまでも時間はかけっけど、入れちまった後は、いっつもタイムリミットの土曜日の昼まで、ほぼ繋がりっぱなし。
 タクが気絶なのか寝てんのか分かんねえ間を除いて、飯もトイレも繋がったままお世話する。

 初めは「抜けよ!」って言ってたタクだが、入れっぱなしの方が楽だって途中で気がついたらしい。
 まあ、何度も抜き差しするもんじゃねえ大きさだってのは、分かってる。

 本当に入れっぱなしが楽なのかは、分かんねえ。
 おれは、タクの腔からあふれてもやめられなくなってる。
 タクもイきすぎておかしくなっちまってる。

 おれとしては激しく腰を打ち付けてえ気持ちはあるけど、それやると、本気で母親に親父が杭打ちしてたみてえになっちまうからよ。
 タクが壊れちまうのが怖くてできねえ。

 まあ、ゆっくりと繋がり合うのも気持ちいいから不満はねえ。
 どうしても激しくしてえ!って時は、タクにやっても良いか聞いてから、人の姿でやることに決めてる。
 熱出して寝込んじまうのが分かってっから、やんねえけど。


 で、二人でシャワー浴びて、タクの腹ん中もきれいにして。
 ちょっとトイレ……って、さっき腹ん中洗っただろ!?っておれが気がついた時には、タクが部屋を出てった後だった。

 本当にトイレだったのか、すぐに戻って来たタクに、名前を呼ばれた。

「タッくん、笑うなよ?」
「え、何をだよ?」

 似合わないっていうなよ、ともう一度言って、タクは床にあぐらをかくおれに抱きついてきた。

「前に言ってただろ、下着がって」
「下着?」

 そりゃあなんの話だ?と首を傾げたおれに、タクが視線を彷徨わせてから、体を離した。

「お前の好みが分からなかったから、気に入らなかったら、すまない」

 いや、だからなんの話だよ?と目を瞬くおれの前で、タクがスウェットを下ろした。

「……」

 うん、なんかエロっぽい下着を履いてんな。
 ってのはすぐに気がついた。

 ピッタピタの……ビキニ?
 超ローライズで、布は股間部分とウエストバンドだけ、みてえな潔い下着だ。
 色は白、ウエストバンドにブランドのロゴらしきものが入ってる。

 またシモの毛がなくなってんだけどよ。
 剃ったんか?

 似合うとか似合わねえの前に、おれの好みがってどう言うことだ?
 気になって、じっくり穴が開くくれえ見れねえよ。

「これは競技用の下着らしいけど、前のは嫌だったんだろう?
 レースの下着とか、俺に似合うわけないし……」

 ……思い出した。
 あれだ、性欲溜め込みすぎて暴走した時だ。
 片側しかねえドエロい下着の時の話な。
 言われてみりゃ、おれのために買ってくれたんじゃねえのかよ、って拗ねた覚えがあるような?

 気に入ってねえわけじゃねえよ、つーかあれ、やべえし。
 溜まってる時にあれはダメだって。

 これまで着衣セックスは好きでも嫌いでもなかったけどよ、エロい下着つけたままのタクを、おれのザーメンまみれにしてえって今では思ってる。

 なるほど、タクにとっては、こう、露出が増えるとエロいって感じなわけか。
 生真面目すぎね?

 その割によ、おれが常にほぼ全裸でそばにいても、あんまり反応してねえのはなんでだ?
 おれが赤いからか?

「競技?」
「そう説明が書いてあった」

 そう言って、くるりとおれに背を向けたタク。

「……!?」

 そののケツを、声もなく見つめるおれ。
 あれ、前から見た時に、股間に布あったよな?
 なんでタクのケツが丸見えなんだよ!?

「はい、これ」

 不安そうなタクが、持って来たスマホにメンズショーツのページを開いて見せてくる。
 ……ジョックストラップ?
 その名称は知らんけどさ、これって、Oバックってやつ?

 まさかの変化球。
 普通に露出度が高いピタピタのマイクロビキニかと思いきや、まさかのまたまた履いたまま突っ込める系!!

 ……こいつを買うと決めるまでの、タクの迷走ぶりが眼に浮かぶなー。
 うん、おれがタクの気遣いを無駄にしちゃいけねえよな。

「タッくん?……やっぱり変だよな、着替えてく、え、タッくん?」
「変じゃねえ、かっこいい、似合ってる、めちゃくちゃ可愛い」
「可愛いは違うだろ、本当に変じゃないか?」

 不安そうなタクを抱き寄せて、下着を履いてんのに剥き出しのケツを揉む。

「変じゃねえ、めっちゃ良い、このまんま良いのか?」
「あんまり汚すなよ?」
「そりゃ無理だろ、おれが手洗いすっからよ、な?」
「……分かった」

 おれの太ももの上に膝立ちにさせて、ようやくタクの頭が顎辺りだ。
 照れてるってより、困ってるって感じか?

 柔らかくって小さい尻を揉みながら、優しくしようと新しく決意を固めた。
 
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