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07 気持ちいい場所 ※ バイブ

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 しばらくして、尻の穴にはまっている魔法道具からかちかちと音がした。
 浄化魔法の発動時間が終わった合図だ。

「……」
「ぅんっ」

 無言のブレーの視線を感じながら、手を背後に伸ばして栓を引き抜く。

「これで腹の中を洗わずとも済むのか、なるほど便利だの」
「そう、もうこれで終わりでいい?」

 私の尻の穴から抜いたばかりの、手の平大の浄化魔法道具をためつすがめつしているブレーに、必死の思いで継げた……けれど。

「なにを言うとる、これの動作確認をせんと、使いたい時に使えんだろう?」
「それなら使わない、使わなくても問題ないからっ!!」

 ブレー本人に、ブレーの勃起ブレーそっくり魔法道具の存在を知られてしまったからには、こっそり使うのは難しい。

 不在の間に、一人で楽しんでいると思われるのは心外だ。
 私はブレーとの良好な関係を保持するために必要だと思ったから、一から学んでまでこれを作った。

 嵐に翻弄されて記憶が残らないのは、これまでの生でこれほど激しく情動を揺さぶられた事が無かったから。
 ブレーに求められている事を、私がブレーを求めている事をきちんと覚えておきたい。

 決して一人で楽しむためじゃない。
 そのために、慣れるために作っただけだ。

 エルフの里では仁、義、礼、智、忠、信、孝、悌が重んじられて、利己や衝動や感情に流されないようにと言われて育つ。
 里の皆で助け合い、長く生きていくために必要な事だけど、私はいつも窮屈だと感じていた。
 愛おしい相手と寄り添って生きている両親は尊敬しているけれど、物足りなかった。

 触れられたかった。
 触れたかった。
 里の外なら、私を愛して、私が愛せる誰かがいると期待したけれど、世界は甘くなかった。

 たどり着いた人種族の街は、他所者に優しくなかった。
 未だに理解できない人種族の価値観は、エルフの里では許されない自己中心のものにしか見えない。
 自分達に利益を、自分達が楽をしたい、自分達の、自分へ、じぶんだけ。

 それが、きっと、かつての人種族を滅びに導いたのだろう。
 けれどその利己を大切にする心こそが、人種族の本質でもある。
 自分を大切にする者だけが、他人を大切にできる、とこの前読んだ本に書いてあった。
 意味は分からないけれど。

「使うために作ったんじゃないのか?」
「使うけど、使わないっ」

 どっちなんだ、と呟いてブレーが寝台の上に転がっていた魔法道具を手に取る。

「そうか……それなら、使う所をわしが見たい、ではいかんか?」

 言葉の意味がうまく理解できない。
 なにも言わずにブレーの顔を見ていたら、うぉっほん、と咳払いしたブレーが、真面目な顔で言った。

「わしは、エレンがこれを使っている姿を見たい」

 言い直すな。
 そして手渡さないで!



 ブレーのお願いを、私が断れるはずがない。
 私のお願いをブレーが断らないのと同じだ。

「ん、んんっっ」

 いつもやっているようにと言われて、仰向けになり、尻の穴に温めた潤滑液を塗り、表面を揉み込んで穴を緩めてから、指二本が入るようになるまでほぐした。

 見られているのを感じながら、中に乳油と潤滑液を注ぎ込む。

 乳油には粘りがないので、魔法道具の動かし方によっては痛い時がある。
 潤滑液は乳油と違ってとろみがあり、滑りが良い。
 けれど乾くのも早いので、もう少し研究して乾きにくいものを作れるようになりたい。

「っっうぅ」

 乳油と潤滑液が馴染むように、指が四本入るように、手を動かして穴をこねてほぐし続ける。
 ずっと無言のブレーを見る勇気がなくて、顔を横に向けて目を閉じ、手探りだけでしていると、なんだかいつもと違う気持ちになってくる。

 これはブレーがいない時に、体がブレーを忘れないように、心を埋めるための手段だったのに。

「あ、んっ、ぁ、ああっ」

 気をつけていたのに指が腹側の膨らみに触れ、痺れるような快感が走った。
 ブレーが変な顔で見ているのではないか、と不安になり、そっと目を開くと、穴が開きそうなほど見つめられている。

「……」
「ブレー?」
「……準備は済んだか」
「たぶん」

 自分では見えないけれど、尻の穴は十分にほぐれただろう。
 本当に私はブレーの目の前で勃起ブレーそっくりさんを使うのだと思うと、顔が火照ってくる。

 魔法道具に乳油を塗り込んで、潤滑液をたっぷりとかけて、手探りで先端を尻の穴に押し当てた。

「……ふぁ」

 成功だ。
 硬さと質感は明らかに偽物なのに、触れている先端の形はブレーの陰茎によく似ている気がする

 あとは、ある程度中に入れて、固定して、起動させるだけ。
 動きが想定範囲内になっているかを確認したら終わりだ。

 ぐ、と力を入れて、太い先端で肉の輪を押し広げられる感覚に、体が震えた。
 やっぱり硬さが違うと、変な感じがする。
 初代は先端の造形の再現が甘かったから、気にならなかったのか。

「ん、んっっ、んんっ」

 潤滑液を馴染ませるように、少しずつ魔法道具を前後させて深く挿入していく。

 根元に固定のための凹凸と複数の段差が刻んであり、さらに持ち手もついているので、鏡越しに挿入部位を見なくても使いやすい。
 段差が複数なのは、その時の気分で、挿入する長さを調整できるように。

 そう時間をかけずに、想定していた長さが私の体の中に収まった。
 一番手前の段差の窪みが尻の穴にはまり、持ち手から手を離しても脱落しそうにない事は確認した。

 全身に汗が垂れているのは、いつもと状況が違うからだろうか。
 私の尻の穴を見るブレーの目つきが、とんでもなく怖い。

「動かさんのか?」
「動かす、けど……」

 ブレーに言われて、思わず入れてしまったけれど、本当は尻の穴に入れる前に動かしてみるつもりだった。
 想定した動きをするかどうか、まだ確認ができてない。

 使って、とか言われて、その気になった私はおばかだ。

「こうか」
「まっ」

 待って、と言う前にブレーが起動させた。

「あ゛あぁあ゛あ゛あぁっっっ!?」

 ブレーのブレーそっくりの魔法道具なのだから、いつもブレーのブレーが収まる場所に当たっている。
 そして私は、ブレーに抱かれて達したのは初めてでも、魔法道具で達した経験はそれなりに数をこなしている。

 突然ぶるぶる震えて伸縮し始めたブレーそっくり魔法道具は、見事に私の気持ちいい場所を遠慮なく押し潰した。

 気が付いた時には、私は自分の腹に精液を放っていた。
 止めようと手を伸ばしたけれど、そこで私は魔法道具の欠陥に気が付いた。

 この魔法道具は、段差の一番奥から手前部分が伸縮して、前三分の一ほどが振動する仕様になっている。

 今は一番手前の段差を尻の穴で締め付けて固定しているので、残りの段差が体外で伸縮していた。
 持ち手が前後に動いてしまい、うまく掴めない。
 達しているせいで指が強張って力が入らず、引き抜けない。

「ま、って、だめ、やぁあぁあ゛っ!!」

 言葉で止められないのは当たり前だ。
 ぶるぶるごりごりと腹の中を擦られながら、私は寝台の上で腰を振ってのたうち回った。

 遠慮なさすぎるほどに、気持ちいい場所に当たっているせいで、目の前が明滅している。

 ぴゅっ、ぴゅっ、と量も勢いもない精液が、何度も私の陰茎から吹き出すのが見えている。
 殺す気か、と自分で作った魔法道具なのに思った。

「や、やだっ、ブレー、たすけてぇっ」

 魔法道具の一番の欠点、使っている本人が止めなければ、何度達しても止まらない、が最悪の形で露呈してしまった。

 きっと、未熟を叱られる。
 初めからブレーは私の作った魔法道具の欠陥を見抜いていたのか。

 
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