【R18】付き合って二百年、初めての中イき

Cleyera

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03 慰め ※ 自慰 ピストンマシーン

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 ブレーが里帰りして半月。
 私の日常は、灰色になっていた。

 行きに三ヶ月、滞在が半年、帰り道に三ヶ月。
 ドワーフの窟がある山は遠くて深い。
 道中で土産と土産話を増やす事も里帰りの目的らしく、転移の魔法道具は使わずに約一年。

 まだ、一月も経ってない。
 まだまだ、待たなくてはいけない。
 いつもはあっという間にすぎる時間が、今はのろのろ歩いているようだ。

 これまでは、時間を持て余すことなんてなかったのに。
 ブレーが帰ってきたら抱きついて、おかえりを言って、側にいれば幸せだったのに。

 今は、胸もお腹もすうすうと風が通り抜けているように空虚だ。

 どうしてだろうと考えても、思い当たる事はない。
 私はおかしな病気になってしまったのだろうか。

「エレデティ様」
「ここに」

 手を上げて居場所を示すと、周囲の視線が集まる。
 耳と顔は草編みのつば広帽子で隠れているのに、覗き込まれているような気分だ。

 今日の私は仕事をしなくてはいけないのに。
 空虚感が抜けない。

 一人が寂しくて、ついつい仕事を入れてしまったせいで、普段は避けている人混みの時間に、薬種種苗組合に来なくてはいけなくなった。
 視線が集まる事には慣れたけれど、じろじろと見回されて心地良いはずがない。

「大変お待たせしました」
「そうだな」

 頭を上下させながら寄ってきた組合職員が、笑顔のままその場で硬直した。

「……あ、あの、奥へどうぞ」

 私はなにもしやしないのに、びくびくおどおどされると苛立たしい。
 とても失礼だ。

 立ち上がると同時に、さらに向けられる視線が増えて鬱陶しいが、気づかないふりで歩き出した。

 手早く仕事を終わらせたら、今日はもう帰ろう。
 こんなにくさくさした気持ちを抱えていては、外食を楽しむ事もできそうにない。



   ◆



 帰宅してすぐに水浴びをした。
 自分ではどうしようもない気持ちを解消できるかもしれない方法を、組合にいる間に思い出した。

 食事は後で良い。
 ブレーがいなければ、なにを食べても味気ない。

 二人で使っている広い寝台の上に防水布を広げる。
 いつもブレーが不在の時は自室の寝台で眠るが、今は無理だと思った。
 きっと孤独に溺れて死んでしまう。

 寝台からは、かすかにブレーの残り香がする、気がする。
 金属の鼻奥を突く匂いと焼け焦げた煤が混ざったようなそれは、私にとっては愛おしい男の香りで。
 抱かれる時に包まれる薫香だ。

 寝巻き一枚で横になれば、少しだけ心が落ち着く。
 触れてくれる熱い手が欲しい。

「ん、っっん」

 ここで過ごすのはブレーが望んだ時がほとんどだけれど、私にだって性欲がないわけじゃない。

 性欲がなければ生命として成り立たず、滅んでしまう。
 エルフには性欲がないのではなく、必要な時に最小の行為で子を作る方法を知っているだけだ。
 お互いがいるだけで幸せなので、子作りが目的でなければ性交の必要はない。

 私の体はブレーに望まれて、男を受け入れられるように変わった。
 変えられた。
 二百年かかったけれど、受け入れて達する事ができるようにもなった。

 もう一度、あの幸せを感じたい。

 ドワーフはエルフより、食欲や性欲が旺盛だ。
 同じ妖精族でもドワーフの欲が強いのは、岩窟という厳しい環境で生きていくためではないか。


 家畜の乳を精製した油は肌に優しく、食べても体内に塗り込んでも問題ない。

 仰向けで寝台に転がり、ブレーの枕を胸の上に抱える。
 かすかな金属臭、煤のような鼻が痛くなる香りで、胸が苦しい。

 腹の中は水浴びの前に洗った。
 尻の穴を油を塗った指で押し広げて、柔らかくなるまでこねる。
 穴が緩んできたら指を増やして、それを何度も繰り返していく。

「ブレー、あ、ぁ、あいたい、っぁ、ブレぇ、はやくかえってきて、っあぁ」

 柔らかい肉の腹側に、快感を感じられる膨らみがある。
 膨らみを指先で押しながら圧をかけると、じんじんと痺れるような快感で目の前が瞬く。

 自分で触れるのは気持ちが良い。
 けれど、これ以上の多幸感を私は知ってしまった。

 私の指が四本入るようになっても、ブレーの陰茎はもっと太いので受け入れる時はいつも大変だ。
 いつからその苦しさを快感に感じられるようになったのか、よく覚えていない。
 ゆっくりとした変化だったのだろう。

 準備を終えて、うつ伏せで膝をついて尻を上げると、できる限り足を広げた。

 魔物の角を削って磨いて作った魔法道具。
 陰茎を模したそれを湯で温めて、仕事の報酬の一部として入手したばかりの、葉野菜グリョン・ロが筒状の葉の中に溜め込む粘液をからめる。

 この魔法道具は、街で売られている人種族のものを模倣して作った淫具だ。

 私が手ずからブレーの陰茎を思い出しながら削り出して、魔法式を刻印した。
 尻の穴でブレーを受け入れられるようになりたい、と練習してきた相棒で、いつもは洋服箪笥の一番奥の鍵付き箱に入れて隠してある。

 粘液をしたたらせる淫具からは、爽やかな香りがしている。
 塗ったり舐めたりと試してみた時点では肌がはれたり、痒くなることも、かぶれることもなかった。

 人種族が野菜を繁殖行為に使うと初めて知った時は、貪欲で積極的すぎる事に驚いた。
 自分が使う事になると、あの頃は考えもしなかった。

 乳油にこれを併用すれば、受け入れる時の負担が今以上に軽減されるかもしれない、と期待している。

 片手で淫具を持ち、空いている手で尻たぶを広げる。
 ブレーがいれば、私の陰茎を片手でしごいて可愛がってくれるのに、自分では手が足りない。

 ぬるつく先端を穴に当てて、息を吐きながらゆっくりと押し込む。

「ん、んん゛ぅっ」

 私の体温より温まった淫具は、本当にブレーを受け入れているようなのに、背後に感じる存在感も体重もなくて、苦しい。

「ぁあ、ん……ブレー、もっとほしい、おく、んんっ」

 これはブレーだ。
 私はブレーに抱かれているのだ。

 そう自らに言い聞かせながら、淫具の刻印に魔力を流し込むと、角がなめらかに伸び縮みを始める。

 獲物を狩る時に、魔力で角を伸ばして串刺しにする魔物から採取した角に、伸縮の長さを制御する刻印を施して、伸縮範囲を決めている。

 根元に複数の段を刻んであるので、押し込んだ後は穴に引っかかり、支えなくても勝手に動いてくれる。
 抜けてしまう事もあるので改善は必要だけれど、必要に迫られてはいない。

「……ぁ、あ、……っぁ、ああっ、ブレー、ブレーっ」

 淫具を尻の穴に突っ込んで、一人でなにをしているのか、と感じる時期は過去のものだ。
 私はブレーに抱かれて喜びを感じるように、なってしまっているのだから。

 腹の中で伸び縮みする淫具は、気持ち良い場所には当たらない。
 ブレーなら、私の反応を見て体位や動きを変えてくれるのに。

 だめだ、今はブレーに抱かれている(つもりだ)から、比べるような事を考えてはいけない。

 枕に顔を押し付けて、薄まっていても鉄臭い香りを胸に満たす。
 思わず中に収まっている淫具を締め付けてしまい、もっと快感が欲しいと自然に思えた。

 尻を上げたまま体勢を変え、腹内側の膨らみに淫具が当たるように調整する。

「ひあ゛ぁ、っっああ゛っ、そこ、きもちぃ、ああ゛ぁっ」

 伸び縮みする先端に膨らみを押しつぶされるたびに、目の前が明滅する。
 達している。

 私はブレーの陰茎(を模した淫具)で達している。
 腹の中だけで達せるようになっている。
 あれは、夢じゃなかった。

 ああ、早く、彼の腕にきつく抱きしめられたい。
 彼の腕の中で、もう一度、貫かれながら達したい。

 呼吸を荒げながら、べしゃりと力なく寝台に倒れ込んでも、腹の中の淫具は止まらない。
 それが、ひどく虚しかった。

 あ、そうだ、いいこと思いついた。

 
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