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SS 無自覚にあおる ※
しおりを挟むびく、びくっと体の奥で熱がはねる。
奥深くに注がれる熱がとどめになって、全身を硬直させた。
「いい"っ、あ"ああっっっっ」
ふわ、ふわ、と舞い上がった空高くから下りてきて、寝台の上の体に意識が戻ってくる。
ずくんっとお腹の奥で快感が花開いて、根元まで受け入れたままだと気がついた。
侍女服を着たままだと汗まみれで気持ち悪い。
でも服を脱いで、誰かに体を見られるのは嫌だ。
夜に寝てる時だって、剣聖さま以外に見られたくないのに。
「エス、だいじょうぶ?」
まだ舌足らずのままの剣聖さまもボクも、全身汗だくだ。
熱のある剣聖さまにくっついてるから、ボクも同じ体温になったのかな。
熱いけど、不愉快な温度じゃない。
「おみずだよ」
「ん……ありがと……ぃます」
「もうひとくちね」
「ぅん……あ、あまい」
「そうだよ、おいしい?」
「はい」
覆いかぶさられるように口移しで水をもらう。
果物の匂いがして、ほんのり甘くて美味しい。
ずっと気持ちよくて声をあげていたから、喉がからからだ。
ボクの制服だけ新しくなって、軽い素材になったかご状下着が太ももにちくちくする。
前の布の塊は、重たくて足にまとわりついて邪魔だったけど、今度のは素材が硬い。
剣聖さまに抱きしめてもらうのに、ちょっと不便だ。
仰向けでギュッてしてもらうと、お腹がかご状下着で押されて、せっかくお腹の奥に注いでもらった子種が出てきてしまう。
お腹の中からぽかぽかするから、ボクは性交後のこの時間が好きだ。
つらくて苦しそうな顔をしていた剣聖さまが、発情衝動を解消して、落ち着いて穏やかな顔になっていくのが好き。
獣人にとって、発情は命懸けになるほど大変なことだって、ボクは知らなかった。
周辺国家の歴史を学んだことのないボクは、どうして獣人が追い出されたのか知らないけど、剣聖さまみたいな人がいっぱいいたら、困るだろうなとは思う。
有能だけど、その分、補佐する人がいないといけない。
剣聖さまはボクが補佐するから、他の人はダメ、って言ってね。
そうやって伝えたら、落ち着いたはずの剣聖さまが、目を瞬かせてからちょっと怖く笑った。
「もちろん」
良かったと安心するボクに「それなら、もっと受け入れてくれるよね」と剣聖さまが囁いた。
根元まで入ってるから、もう、これ以上入らないよ?
そんな風に思いながら見上げた剣聖さまは微笑んでいて、笑顔のままで体を半分に折るように押しつぶされた。
ぶぢゅっ、って変な音がして、お尻からなんか出て垂れてく。
お腹の中に入ってるから、つらい。
気持ち良いけど、お腹が苦しい。
服が邪魔で見えなかった自分の陰茎が見えるような体勢は、やだな。
「いくよ、エス」
ボクの中に先端だけ残して引き抜いて、寝台の上に中腰でしゃがむように立ち上がった剣聖さまは、怖いくらい格好良くてきれいで、ボクは見惚れた。
直後、バチュっ!て音が耳に届いて、気持ち良すぎて絶叫しながら気絶した。
立つのはやめて欲しい、ってお願いしたら「かわいくあおるからだよ」って言い返された。
……可愛く?
……なにが?
ボクは時々、剣聖さまは獣人だから変なのかな、と思う。
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