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閑話 ゆうしゃがあらわれた ※
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おまけ話
この先の展開が思いつかなかったらしい過去の自分
こちらで完結でございますm(_ _)m
*
性交をしている時のムファルメは、声をかけられるのが好きだ。
直接聞けば否定するだろうけど、言葉で甘やかされるのが好きなのだと思う。
「可愛いよムファルメ、すっごい締めつけてくるんだけど、気持ちいいの?、ねぇ、教えて」
「ギュイっ、そんな、ことっ、なっギュイィ、ひギュィ」
ギュイギュイと文句を言っているのに、僕にされるがままの黄金色の龍体。
その姿を見ていると、ついつい意地悪なことばかり言いたくなるけれど、やりすぎはだめだ。
後で説教されてしまう。
彼が恥ずかしがり屋で意地っ張りなところは、百年経っても変わらないから。
「教えてくれないの?」
わざとグポグポと音を立てる。
ムファルメのきつい締めつけに逆らうように出し入れしながら、硬くてひんやりとした腹側の鱗をごしごしと擦る。
「やだ、えんでれあ、も、ギュイッ、ギュイィ」
ビクビクと龍体が震えて、半勃ちの二股の陰茎の先から透明な液体がしたたる。
なんてきれいなんだろう。
百年以上も抱いているのに、飽きない。
僕だけが、この美しくて麗しい龍王の痴態を知っているのだ。
ムファルメの気持ちいい場所は、十分すぎるほど知っている。
僕がそうした。
僕が、ムファルメを抱かれて喜ぶようにした。
これがあまり良くない欲だと知っているのに、嬉しい。
僕はムファルメのもので、ムファルメは僕のものだ。
僕の称号から〝勇者〟が消えたのは随分前で、〝龍王の伴侶〟が出たのも随分前だ。
百年が過ぎる間に繁殖期も二回経験した。
二回とも、死にそうになりながらムファルメと睦みあった。
絶食と過労で死にそうになるのは、人の肉体を持つ僕にはどうしようもない問題だ。
けれど、伴侶としての僕は、ムファルメと離れたくない、死ぬ時まで腰を振ってみせる気概を失っていない。
〝龍王の伴侶〟という称号には、絶倫の効果があるのかもしれない。
もしくは生理現象を龍に近づけてくれるのか。
勇者だった頃の万年発情期はなくなったけれど、ムファルメが目の前にいるとそれだけで僕は準備万端になってしまう。
それが巨龍の姿でも、手のひらの大きさでも。
どちらも人の姿を逸脱していない僕では抱けないけれど、本当に自分がムファルメの伴侶なのだ、と嬉しくなる。
「出すよ、う、っっ」
「ぅあ、ギュイィえんでれあぁ」
ムファルメの中に精液を放ち終えても、萎えない。
もう三日目なのに。
そんな自分にいつも通り呆れる。
僕が放つと同時に限界を超えてしまったのか、全身を震わせて強張らせていたムファルメが、くたりと毛皮の上に体を横たえる。
「あれ、ムファルメ?」
どうやら、またやり過ぎてしまったらしい。
繁殖期の時は僕が倒れてしまうまで繋がったままなのに、それ以外の時のムファルメは、三日ほど連続で繋がっていると気絶してしまう。
説教されるけれど、やめられないんだよね。
ぐったりとしたムファルメの体から手を離して。
近くに置いてあった水袋の中身を、飲み干しながら考える。
この、まだまだまだまだ萎えそうにない股間をどうしよう、と。
意識のないムファルメを抱くのは嫌だ。
僕がしたいのは愛のある睦みあいで、一方的な自慰ではないから。
とりあえず自分でなんとかするしかない。
名残惜しく思いながら引き抜くと、僕が注ぎ込んだ白濁液が、ゆるく口を開いたお尻の穴からあふれ出した。
うわ、どうしよう、もっと硬くなっちゃった。
魔術とお湯でムファルメの体を綺麗にしてから、洞の再奥の寝床へ運ぶ。
百年の間に、長い尻尾を引きずらずに運ぶコツを身につけた。
この程度で美しい体に傷がつかないのは知っているけれど、最愛のムファルメを引きずるのは嫌だ。
この世界で、僕だけがムファルメを腕に抱けるのだと、言葉にできないほど嬉しくなる。
洞の最奥は、ムファルメの私的な生活空間だ。
ここに僕が作った寝台を、彼はとても喜んでくれた。
龍は寝る時も空中で浮いたままだと教えてくれたのに、ムファルメは寝台で眠ってくれるのだ。
僕が一緒に寝られるように、大きく設えた寝台に彼を横たえて、体の上に柔らかな毛布をかける。
山のふもとの村で作ってもらった、特注品。
僕の五倍超の長さを持つ彼を、すっぽりと包める大きさ。
この寝台で性交をしないのは、暗黙の了解だ。
ムファルメの呼吸が落ち着いているのを確認して、僕は水場へと足を向けた。
時間はかかったけれど、僕のものは五回ほど中身をしごき出したら大人しくなってくれた。
相手がムファルメではなく自分の手だと分かれば、聞き分けが良くなるのはいつものことだ。
自分の体の一部なのに、毎度、現金さに呆れてしまう。
体の汗を流して腰に布を巻く。
精液や汗や色々で、ぐちゃぐちゃの僕の寝床を片付けようと、洞窟の入り口へ向かう。
便宜上僕の寝床と言っているけれど、最近は愛を交わす時にしか使ってない気がするんだよね。
掃除の後でもう一度水浴びをする予定だから、腰に布一枚。
ムファルメが起きていると叱られるけれど。
おかしな話だよね。
ムファルメは服なんて着ないのに、僕が裸でいると叱られるんだ。
何枚も積み上げた毛皮からは、ムファルメの精液の臭いが立ち上っている。
少しだけむらむらするけれど、本人がいないから、そこまで劇的な反応をしない僕の股間。
本当に現金だ。
「龍王様、雷龍王ムファルメワジョカララァディ様はこちらにおわしましょう……か?」
……え?
振り向いた、洞の入り口から少しの距離に、全身鎧姿の少年、いいや青年か。
ひーふーみー、全員で六人が立ち尽くしている。
僕が言葉を返す前に、青年たちが深々と膝を折る礼をした。
なんか見覚えのある礼だな、と思っていたら、青年が再び声を張り上げた。
その腰にある剣の柄に見覚えがあって。
顔が引きつった。
「我が名はウジャシリ王国の勇者ムブワ、誉れ高き雷龍王様に御助力を賜るため、嘆願に参りました!」
腰に布を一枚巻いただけの僕をしっかりと見ながら、その青年は言葉を続けた。
「魔族が我ら人族を駆逐せんとしております、どうか御助力願えないでしょうか?」
僕を見ながら。
勇者は、そう言った。
この先の展開が思いつかなかったらしい過去の自分
こちらで完結でございますm(_ _)m
*
性交をしている時のムファルメは、声をかけられるのが好きだ。
直接聞けば否定するだろうけど、言葉で甘やかされるのが好きなのだと思う。
「可愛いよムファルメ、すっごい締めつけてくるんだけど、気持ちいいの?、ねぇ、教えて」
「ギュイっ、そんな、ことっ、なっギュイィ、ひギュィ」
ギュイギュイと文句を言っているのに、僕にされるがままの黄金色の龍体。
その姿を見ていると、ついつい意地悪なことばかり言いたくなるけれど、やりすぎはだめだ。
後で説教されてしまう。
彼が恥ずかしがり屋で意地っ張りなところは、百年経っても変わらないから。
「教えてくれないの?」
わざとグポグポと音を立てる。
ムファルメのきつい締めつけに逆らうように出し入れしながら、硬くてひんやりとした腹側の鱗をごしごしと擦る。
「やだ、えんでれあ、も、ギュイッ、ギュイィ」
ビクビクと龍体が震えて、半勃ちの二股の陰茎の先から透明な液体がしたたる。
なんてきれいなんだろう。
百年以上も抱いているのに、飽きない。
僕だけが、この美しくて麗しい龍王の痴態を知っているのだ。
ムファルメの気持ちいい場所は、十分すぎるほど知っている。
僕がそうした。
僕が、ムファルメを抱かれて喜ぶようにした。
これがあまり良くない欲だと知っているのに、嬉しい。
僕はムファルメのもので、ムファルメは僕のものだ。
僕の称号から〝勇者〟が消えたのは随分前で、〝龍王の伴侶〟が出たのも随分前だ。
百年が過ぎる間に繁殖期も二回経験した。
二回とも、死にそうになりながらムファルメと睦みあった。
絶食と過労で死にそうになるのは、人の肉体を持つ僕にはどうしようもない問題だ。
けれど、伴侶としての僕は、ムファルメと離れたくない、死ぬ時まで腰を振ってみせる気概を失っていない。
〝龍王の伴侶〟という称号には、絶倫の効果があるのかもしれない。
もしくは生理現象を龍に近づけてくれるのか。
勇者だった頃の万年発情期はなくなったけれど、ムファルメが目の前にいるとそれだけで僕は準備万端になってしまう。
それが巨龍の姿でも、手のひらの大きさでも。
どちらも人の姿を逸脱していない僕では抱けないけれど、本当に自分がムファルメの伴侶なのだ、と嬉しくなる。
「出すよ、う、っっ」
「ぅあ、ギュイィえんでれあぁ」
ムファルメの中に精液を放ち終えても、萎えない。
もう三日目なのに。
そんな自分にいつも通り呆れる。
僕が放つと同時に限界を超えてしまったのか、全身を震わせて強張らせていたムファルメが、くたりと毛皮の上に体を横たえる。
「あれ、ムファルメ?」
どうやら、またやり過ぎてしまったらしい。
繁殖期の時は僕が倒れてしまうまで繋がったままなのに、それ以外の時のムファルメは、三日ほど連続で繋がっていると気絶してしまう。
説教されるけれど、やめられないんだよね。
ぐったりとしたムファルメの体から手を離して。
近くに置いてあった水袋の中身を、飲み干しながら考える。
この、まだまだまだまだ萎えそうにない股間をどうしよう、と。
意識のないムファルメを抱くのは嫌だ。
僕がしたいのは愛のある睦みあいで、一方的な自慰ではないから。
とりあえず自分でなんとかするしかない。
名残惜しく思いながら引き抜くと、僕が注ぎ込んだ白濁液が、ゆるく口を開いたお尻の穴からあふれ出した。
うわ、どうしよう、もっと硬くなっちゃった。
魔術とお湯でムファルメの体を綺麗にしてから、洞の再奥の寝床へ運ぶ。
百年の間に、長い尻尾を引きずらずに運ぶコツを身につけた。
この程度で美しい体に傷がつかないのは知っているけれど、最愛のムファルメを引きずるのは嫌だ。
この世界で、僕だけがムファルメを腕に抱けるのだと、言葉にできないほど嬉しくなる。
洞の最奥は、ムファルメの私的な生活空間だ。
ここに僕が作った寝台を、彼はとても喜んでくれた。
龍は寝る時も空中で浮いたままだと教えてくれたのに、ムファルメは寝台で眠ってくれるのだ。
僕が一緒に寝られるように、大きく設えた寝台に彼を横たえて、体の上に柔らかな毛布をかける。
山のふもとの村で作ってもらった、特注品。
僕の五倍超の長さを持つ彼を、すっぽりと包める大きさ。
この寝台で性交をしないのは、暗黙の了解だ。
ムファルメの呼吸が落ち着いているのを確認して、僕は水場へと足を向けた。
時間はかかったけれど、僕のものは五回ほど中身をしごき出したら大人しくなってくれた。
相手がムファルメではなく自分の手だと分かれば、聞き分けが良くなるのはいつものことだ。
自分の体の一部なのに、毎度、現金さに呆れてしまう。
体の汗を流して腰に布を巻く。
精液や汗や色々で、ぐちゃぐちゃの僕の寝床を片付けようと、洞窟の入り口へ向かう。
便宜上僕の寝床と言っているけれど、最近は愛を交わす時にしか使ってない気がするんだよね。
掃除の後でもう一度水浴びをする予定だから、腰に布一枚。
ムファルメが起きていると叱られるけれど。
おかしな話だよね。
ムファルメは服なんて着ないのに、僕が裸でいると叱られるんだ。
何枚も積み上げた毛皮からは、ムファルメの精液の臭いが立ち上っている。
少しだけむらむらするけれど、本人がいないから、そこまで劇的な反応をしない僕の股間。
本当に現金だ。
「龍王様、雷龍王ムファルメワジョカララァディ様はこちらにおわしましょう……か?」
……え?
振り向いた、洞の入り口から少しの距離に、全身鎧姿の少年、いいや青年か。
ひーふーみー、全員で六人が立ち尽くしている。
僕が言葉を返す前に、青年たちが深々と膝を折る礼をした。
なんか見覚えのある礼だな、と思っていたら、青年が再び声を張り上げた。
その腰にある剣の柄に見覚えがあって。
顔が引きつった。
「我が名はウジャシリ王国の勇者ムブワ、誉れ高き雷龍王様に御助力を賜るため、嘆願に参りました!」
腰に布を一枚巻いただけの僕をしっかりと見ながら、その青年は言葉を続けた。
「魔族が我ら人族を駆逐せんとしております、どうか御助力願えないでしょうか?」
僕を見ながら。
勇者は、そう言った。
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