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初めての種付け

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 汚れた顔をなめてあげている途中で、気がついた。
 オトコの顔は、しわしわのたるたるではなかった。
 でも肌がぷくぷくの赤子でもない。

 ジイサンより、若いってこと?
 オジサンかな。
 それともオニイサン?

 人のオトコを表現する単語は多すぎて煩雑だ。
 よく分からないから、間をとってオジニイサンとかどうだろう。
 名前を知るまではオジニイサンでいいか。

 体中の汚れをなめとった後は、全身の外傷がふさがるのを待つしかない。
 体内の腐りかけは魔力枯渇が原因の多臓器不全だと思うから、魔力を大量に流し込めば治るだろう。

 オジニイサンは自前で魔力を作れなくなっている。
 善は急げとばかりに、魔力を過剰に溶かし込んだ唾液を口移しで与えた。

「……んぁ……んぅ♡……」
「!」

 もれた声が。
 考えもしなかったほど可愛く聞こえて、思わず動きを止めてしまった。

「んっ!……んんぅ……」
「大丈夫さ、ボクはここにいるよ」

 意識がないのに舌を伸ばして、必死に魔力をねだる姿に胸がむずむずする。

 可愛いなぁ。
 すっごく好きかも。

 淫乱に育つ可能性に口元がゆるんだ。



   ◆



 そして二日が経った。

 ボクはこの二日間、オジニイサンのお世話をした。
 傷の治りが早くなるように、全身をなめてあげた。

 薬効のある草を採集して作ったぬとぬと液を窄みに塗り込んで、前脚の先っぽを突っ込んでくりくり回して柔らかくなるように慣らし続けた。
 無事に窄みの傷は治って、切れないままで、今のボクの前脚の先が四本入るようになった。

「……?、……ぁあ、ここ、は」
「やっと起きた、それじゃ続きね」

 なによりも、ジイサン改めて、オジニイサンが気がつくまで待ってあげた。
 体内も外傷もまだ治ってないけど、たっぷり与えてあげた魔力のお陰で機能障害は快方に向かっているだろう。

 目が覚めたその場でもう一度、今度はきちんと中に子種を注ぐと決めていた。
 ボクのものにするために。

 体内に魔力はあっても傷だらけで死にかけているのは変わらない。
 それでも今のうちに、ボクとの関係を仕込んでおかないと、後で困るのはオジニイサンだ。

 全裸で腹を上に向けたまま、ぼんやりしているオジニイサンの後脚を持ち上げて、枯れ草を体の下に押し込む。
 これでお尻の窄みがよく見えるようになった。

 後脚を広げられても、寝起きのオジニイサンの反応ははかばかしくない。
 まだ眠たいのかな。

 何度見ても、人の後脚って本当におかしな関節形状だよね。
 柔軟性が高いから子作りする時の変化形がたくさんあって楽しい、とご近所さんたちは好意的に見てるし、ボクもその意見には賛成だ。

 気持ちよくなりすぎて、ひんひん泣きながら「死ぬっ、死んじゃうぅ」と喜ぶ表情を見るのは楽しいし、将来的にボクのお嫁さんがそうなったら嬉しい。
 ご近所さんも含めて、ボクらはお嫁さん、お婿さんを可愛がるのが好きだ。


 事前に用意してあったぬとぬと液を窄みに塗って、期待でわくわくどきどきがちがちの相棒の先端を押し込んだ。

「ぁは?、な、……あ゛あ゛あっっ!?」

 やっぱり人種族は良いなぁ。
 顔面の動きがボクらと違うから、見てるだけで飽きないや。

 体液を失ってうまく動かせないはずなのに暴れようとする体を、ぎゅっと抱きしめてあげると、怯えるように全身を震わせる。
 ボクの相棒を入れられることを嫌がっているのか、関節が真っ白になるほど枯れ草を握りしめてる。

 恐怖の匂いはしないけど、拒絶されるのが悲しい。
 ボクのものになる、と約束したのを忘れちゃったのかな。
 やだなあ、ボクは愛しあいたいのであって、犯したいわけじゃないのに。
 誤解されたくない。

 ボクの相棒の太さが、人の姿でも人種族より太くて長いから、ぬとぬと液を用意した。
 二日かけてほぐし続けていた窄みは、柔らかく口を開けているのに。

「大丈夫、痛くないよ、いたくなーい」
「ひっ……いっ……ぐっ、ふぅっ……」

 このオジニイサンが、突っ込むほうはともかく突っ込まれる方は慣れてないと考えて、まだ窄み付近しかほぐしてない。
 せいぜい前脚の先くらいしか。

 手当てしながら全身を調べたけれど、やっぱりオジニイサンは酒と魔薬、オンナを孕ませる行為に関して重度の中毒で依存状態。
 だと思う。
 単体の中毒にしては、いろいろと臭すぎる。

 普人種の魔力の行使やマジュツシであることに、種々の中毒が関連しているかは知らない。

 オンナに溺れるのは、誰でもありえるだろう。
 ボクらは基本的にお嫁さん、お婿さんに溺れる種族だから、気持ちはよくわかるよ。

 オジニイサンの拒否感強めの反応から、オトコに突っ込まれる側に慣れてはいないし、今のところは好んでもいないと推測する。

 切れると痛いし次が怖くなる、とご近所さんのお嫁さんに聞いたことがある。
 自分の意思に反する行為に嫌悪感を感じているようだから、強姦されたのかもしれない。

 強姦は、絶対に許されない行為だ。
 片方だけが気持ち良いなんて、罪悪でしかないもんね!


 不摂生で崩れたオジニイサンの容姿。
 体は傷だらけでたるんでいて、複数の中毒と依存持ちで魔力生合成不良。
 そして、傷痍退役の際は潰しが効かない(と聞いた)普人種の元マジュツシ?

 ここまで揃っていれば、貧民窟に廃棄された可能性が濃厚かな。
 退職した戦場マジュツシの老後を国が保証する場合、年間にどれだけ金が動くのか知らないけど、安くはないだろう。

 使えなくなってすぐに殺して足がつくと困るから、瀕死の状態まで弱らせてから貧民窟に捨てた、のかなぁ?
 よぼよぼになったジジさまやババさまを、山奥に行かせるようなもの?
 そういうのって、人種族的には有りなの?

 ボクら的には無し。
 よぼよぼになったら、自分で山奥に行くよ。
 仲間に自分を捨てさせるとか、後味が悪すぎるもん。

 以上が、ボクが考えたオジニイサンの現状。

 オジニイサンが捨てられたのなら、ボクがもらって良いよね。
 まあ、助けてあげても良いかなと思ったのは、オジニイサンが非童貞非処女だと臭いで分かっていたからだし。

 繁殖可能な体を持つ清廉潔白の処女なんて、近づくのも嫌だ
 子供は宝で子作りは喜びなのに、どうして蜘蛛の巣がはった古漬けの純潔が素晴らしいと持てはやされるのか。

 ボクたちのほうが性格が大らかで穏やかなのに、神経質で潔癖で短気な処女好きの相入れないご近所さんを尊ぶなんて、人種族はおかしい。

 淫蕩こそが素晴らしいのに。
 誰にでも股を開く淫乱の方が良いに決まってるのに。
 ご近所さんみんなで集まって気持ちよくなれるほうが、楽しいに決まってる。

 あーあぁ、ボクも早く淫乱なお嫁さんが欲しい。
 体がなかなか育たなくてあぶれちゃったのは、仕方ないことだけど。
 夫婦で嫁婿回し乱交祭りに参加して、一人前だって認められたい。
 見てるだけなんて生殺しだ。


 ずっとそう思ってきた。
 そしてついに、ボクの望みが叶う時が来た。

 相棒の先端からほんの少しだけに、きつい肉に抱きしめられる喜びを与えてあげる。

 がまんだ、がまん。
 お嫁さんに、いつか全部受け入れてもらうために、ここはがまん。
 オジニイサンを軽く揺さぶってみたけれど、体をうまく動かせないのかもぞもぞと四肢を動かして、苦痛のうめき声をあげるばかり。

 受け入れる行為そのもので気持ち良くなるのは、当分先のことになりそうだ。
 お嫁さん候補だから、もう少し頑張ってみるけど。

 自分で相棒をこすって、性感を高めて。
 ボクと一緒に気持ちよくなれるようになろうね。
 そう思いながら、オジニイサンの中に放った。

「んふーっ」
「ぅあっっ……うっ……」

 体の中に、魔力をたっぷり含んだ子種を注がれたオジニイサンは、驚いたのかびくびくと震えた。

 
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