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本編
13 五年後 ※
しおりを挟むボクは今日、アルシリヤで成人とされる十八歳になった。
同時に、一夫一妻制のアルシリヤ王国の王妃として発表された。
今日に至るまでの五年、ボクは存分に魔術師として働いた。
そのお陰で、一般国民に受け入れられている、と感じている。
ユナズフでは実演の機会が得られないと思っていた畜産を補助する術式の数々は、順調に実地研修を経て手順の簡略化、効率化を適えた。
今は、使い捨ての魔術陣という形で広める道半ばだ。
魔術陣一枚当たりの単価は、まだまだ改善の余地がある。
けれど、国王肝煎りの国費削減、畜産推進援助政策の一環として、順調に認められている。
と思う。
この五年の間。
ボクは日常生活を補助してもらえなければ、餓死か過労死していたのは間違いない。
記憶が曖昧になるほど、とてもとても楽しい魔術漬けの日々だった。
毎日がいつも最高だった。
寝食を忘れて没頭した五年の成果として、生み分けによる家畜の屠殺数緊縮は、少数の激しい反論を残しつつ受け入れられた。
頭数管理を目的とした屠殺は税金の無駄遣いだ、と草の根運動を続けた効果かもしれない。
単純に、道理、倫理より金が大事ってことかもしれない。
この国に無期限長期滞在を決めた魔術師として、ボクは婚姻契約とあわせて魔術契約も締結した。
というわけで、初夜の床で、トゥアバヌ・アビヤド・ワカビル国王と交配する流れになった。
きっちりと契約を果たすために。
……契約内容の変更と、体外受精の提案をしたのに。
婚姻式の前日。
ボクは準備と称して、一日中、後孔をほぐされた。
王本人の手で。
十三歳の頃から五年をかけて、王に慣らされたボクの体。
身を寄せて、触れあうこと。
快感を受け入れる前段階の行為。
なにもかも王に教えられた。
準備と称して、数えきれないほど、これ以上は無理と泣かされてきた。
ボクの初めての相手は、すべて王だ。
当日の儀式が終わって疲れたボクに、王は眠る時間をくれて。
明け方に起こされてから、五年かけて教わったことをすべて実証実験されている。
「ふぁっ、ぁっ、んぅっ」
「真にきもちよいという顔をしておるな、我が可愛らしい魔術師殿は」
「や、も……だめ、でない……っ」
ボク自身からはもう、なにも出そうにない。
格子の外は明るい。
まだ昼か、翌日の朝なのか。
なだめるようにあやすように、ゆっくり、ゆっくりと進んで、ボクの中を満たしていく王の熱。
アルシリヤ国民の中でも特に体格の優れている王は、股間も特大だ。
こんなに立派なのに、ボクが初めてだという。
五年でボクの身長は伸びた。
それなのに王より頭ひとつ半は小さいし、侍女より筋肉が足りない。
かつて、ボクを傷つけたくない、と王は言った。
成人するまで契約の締結を待つ、と本当に待ってくれた。
だからボクは、愛することはできないけれど、王に応えることにした。
魔術師の矜持と、持てる技術を全て注ぎ込んで。
誠実に真心で応えるために。
王の子を宿すだけでなく、ボクの胎で育てて産む。
そのためにできる準備を、思いつくだけ全部やってきた。
集大成がこれ。
「ああ、無事に入ったぞ」
「うぁ……ぁああっ!!」
ぺた、とお尻に王の肌がふれる。
本物は初めてなのに、ボクの体は、太くて長くて硬い、王の陰茎を全て受け入れた。
あんなにおっきいのが、本当に入るなんて。
信じたくないけど、目の前でゆっくりと入れられていく様子を見せられては、疑いようがない。
どうしよう。
ボク、もう、ダメかも。
目の前、まっしろ。
きもちいい。
これまで、人の性交渉も家畜の交配と変わらないと考えていたボクの価値観は、ひっくり返ってしまった。
王の陰茎は、広げて慣らすための道具とも、指ともぜんぜん違う。
呼吸は苦しいのに、すごく気持ちいい。
昨日から下準備としてほぐされて広げられていたせいで、気持ちよさしか感じないのかも。
初めてなのに、入れられただけで上り詰めた。
これって、すごいことじゃないかな。
本物の陰茎を入れられるのは初めてなのに。
王の手で開発されたボクの体は、簡単に快感を拾った。
お腹の上に勢いなく垂れ落ちる自分の精液を感じながら、これで終わって、と願った。
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