上 下
13 / 21
本編

13 五年後 ※ 

しおりを挟む
 

 ボクは今日、アルシリヤで成人とされる十八歳になった。
 同時に、一夫一妻制のアルシリヤ王国の王妃として発表された。

 今日に至るまでの五年、ボクは存分に魔術師として働いた。
 そのお陰で、一般国民に受け入れられている、と感じている。

 ユナズフでは実演の機会が得られないと思っていた畜産を補助する術式の数々は、順調に実地研修を経て手順の簡略化、効率化を適えた。
 今は、使い捨ての魔術陣という形で広める道半ばだ。

 魔術陣一枚当たりの単価は、まだまだ改善の余地がある。
 けれど、国王肝煎りの国費削減、畜産推進援助政策の一環として、順調に認められている。
 と思う。

 この五年の間。
 ボクは日常生活を補助してもらえなければ、餓死か過労死していたのは間違いない。
 記憶が曖昧になるほど、とてもとても楽しい魔術漬けの日々だった。
 毎日がいつも最高だった。

 寝食を忘れて没頭した五年の成果として、生み分けによる家畜の屠殺数緊縮は、少数の激しい反論を残しつつ受け入れられた。

 頭数管理を目的とした屠殺は税金の無駄遣いだ、と草の根運動を続けた効果かもしれない。
 単純に、道理、倫理より金が大事ってことかもしれない。

 この国に無期限長期滞在を決めた魔術師として、ボクは婚姻契約とあわせて魔術契約も締結した。

 というわけで、初夜の床で、トゥアバヌ・アビヤド・ワカビル国王と交配する流れになった。
 きっちりと契約を果たすために。

 ……契約内容の変更と、体外受精の提案をしたのに。



 婚姻式の前日。
 ボクは準備と称して、一日中、後孔をほぐされた。
 王本人の手で。

 十三歳の頃から五年をかけて、王に慣らされたボクの体。

 身を寄せて、触れあうこと。
 快感を受け入れる前段階の行為。

 なにもかも王に教えられた。
 準備と称して、数えきれないほど、これ以上は無理と泣かされてきた。

 ボクの初めての相手は、すべて王だ。

 当日の儀式が終わって疲れたボクに、王は眠る時間をくれて。
 明け方に起こされてから、五年かけて教わったことをすべて実証実験されている。

「ふぁっ、ぁっ、んぅっ」
「真にきもちよいという顔をしておるな、我が可愛らしい魔術師殿は」
「や、も……だめ、でない……っ」

 ボク自身からはもう、なにも出そうにない。
 格子の外は明るい。
 まだ昼か、翌日の朝なのか。

 なだめるようにあやすように、ゆっくり、ゆっくりと進んで、ボクの中を満たしていく王の熱。

 アルシリヤ国民の中でも特に体格の優れている王は、股間も特大だ。
 こんなに立派なのに、ボクが初めてだという。

 五年でボクの身長は伸びた。
 それなのに王より頭ひとつ半は小さいし、侍女より筋肉が足りない。

 かつて、ボクを傷つけたくない、と王は言った。
 成人するまで契約の締結を待つ、と本当に待ってくれた。

 だからボクは、愛することはできないけれど、王に応えることにした。
 魔術師の矜持と、持てる技術を全て注ぎ込んで。
 誠実に真心で応えるために。

 王の子を宿すだけでなく、ボクの胎で育てて産む。

 そのためにできる準備を、思いつくだけ全部やってきた。
 集大成がこれ。

「ああ、無事に入ったぞ」
「うぁ……ぁああっ!!」

 ぺた、とお尻に王の肌がふれる。
 本物は初めてなのに、ボクの体は、太くて長くて硬い、王の陰茎を全て受け入れた。

 あんなにおっきいのが、本当に入るなんて。
 信じたくないけど、目の前でゆっくりと入れられていく様子を見せられては、疑いようがない。

 どうしよう。
 ボク、もう、ダメかも。
 目の前、まっしろ。
 きもちいい。

 これまで、人の性交渉も家畜の交配と変わらないと考えていたボクの価値観は、ひっくり返ってしまった。

 王の陰茎は、広げて慣らすための道具とも、指ともぜんぜん違う。
 呼吸は苦しいのに、すごく気持ちいい。
 昨日から下準備としてほぐされて広げられていたせいで、気持ちよさしか感じないのかも。

 初めてなのに、入れられただけで上り詰めた。
 これって、すごいことじゃないかな。

 本物の陰茎を入れられるのは初めてなのに。
 王の手で開発されたボクの体は、簡単に快感を拾った。

 お腹の上に勢いなく垂れ落ちる自分の精液を感じながら、これで終わって、と願った。


   # #





 王については15で
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

奴隷騎士の雄っぱい牧場

丸井まー(旧:まー)
BL
敗戦国の騎士リンデは、敵兵に捕らえられ、奴隷となった。リンデは、他の者達と共に移送された先の施設で、何故の注射をされた。それから平穏な日々を過ごしていたリンデ達だが、ある日から乳が出るようになり、毎日雌牛のように乳を搾られるようになった。奴隷となった騎士リンデは、貴族の男に買われ、美しい男ダーナディルに乳を飲ませることになった。奴隷騎士の搾乳雌堕ちデイズ! ※てんつぶ様主催の「奴隷騎士アンソロジー」に寄稿させていただいた作品です。 ※ムーンライトノベルズさんでも公開しております。

バイト先のお客さんに電車で痴漢され続けてたDDの話

ルシーアンナ
BL
イケメンなのに痴漢常習な攻めと、戸惑いながらも無抵抗な受け。 大学生×大学生

臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話

八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。 古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。

浮気をしたら、わんこ系彼氏に腹の中を散々洗われた話。

丹砂 (あかさ)
BL
ストーリーなしです! エロ特化の短編としてお読み下さい…。 大切な事なのでもう一度。 エロ特化です! **************************************** 『腸内洗浄』『玩具責め』『お仕置き』 性欲に忠実でモラルが低い恋人に、浮気のお仕置きをするお話しです。 キャプションで危ないな、と思った方はそっと見なかった事にして下さい…。

初めてを絶対に成功させたくて頑張ったら彼氏に何故かめっちゃ怒られたけど幸せって話

もものみ
BL
【関西弁のR-18の創作BLです】 R-18描写があります。 地雷の方はお気をつけて。 関西に住む大学生同士の、元ノンケで遊び人×童貞処女のゲイのカップルの初えっちのお話です。 見た目や馴れ初めを書いた人物紹介 (本編とはあまり関係ありませんが、自分の中のイメージを壊したくない方は読まないでください) ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 西矢 朝陽(にしや あさひ) 大学3回生。身長174cm。髪は染めていて明るい茶髪。猫目っぽい大きな目が印象的な元気な大学生。 空とは1回生のときに大学で知り合ったが、初めてあったときから気が合い、大学でも一緒にいるしよく2人で遊びに行ったりもしているうちにいつのまにか空を好きになった。 もともとゲイでネコの自覚がある。ちょっとアホっぽいが明るい性格で、見た目もわりと良いので今までにも今までにも彼氏を作ろうと思えば作れた。大学に入学してからも、告白されたことは数回あるが、そのときにはもう空のことが好きだったので断った。 空とは2ヶ月前にサシ飲みをしていたときにうっかり告白してしまい、そこから付き合い始めた。このときの記憶はおぼろげにしか残っていないがめちゃくちゃ恥ずかしいことを口走ったことは自覚しているので深くは考えないようにしている。 高校時代に先輩に片想いしていたが、伝えずに終わったため今までに彼氏ができたことはない。そのため、童貞処女。 南雲 空(なぐも そら) 大学生3回生。身長185cm。髪は染めておらず黒髪で切れ長の目。 チャラい訳ではないがイケメンなので女子にしょっちゅう告白されるし付き合ったりもしたけれどすぐに「空って私のこと好きちゃうやろ?」とか言われて長続きはしない。来るもの拒まず去るもの追わずな感じだった。 朝陽のことは普通に友達だと思っていたが、周りからは彼女がいようと朝陽の方を優先しており「お前もう朝陽と付き合えよ」とよく呆れて言われていた。そんな矢先ベロベロに酔っ払った朝陽に「そらはもう、僕と付き合ったらええやん。ぜったい僕の方がそらの今までの彼女らよりそらのこと好きやもん…」と言われて付き合った。付き合ってからの朝陽はもうスキンシップひとつにも照れるしかと思えば甘えたりもしてくるしめちゃくちゃ可愛くて正直あの日酔っぱらってノリでOKした自分に大感謝してるし今は溺愛している。

家の中で空気扱いされて、メンタルボロボロな男の子

こじらせた処女
BL
学歴主義の家庭で育った周音(あまね)は、両親の期待に応えられず、受験に失敗してしまう。試験そのものがトラウマになってしまった周音の成績は右肩下がりに落ちていき、いつしか両親は彼を居ないものとして扱う様になる。  そんな彼とは裏腹に、弟の亜季は優秀で、両親はますます周音への態度が冷たくなっていき、彼は家に居るのが辛くなり、毎週末、いとこの慶の家にご飯を食べに行く様になる。  慶の家に行くことがストレスの捌け口になっていた周音であるが、どんどん精神的に参ってしまい、夜尿をしてしまうほどに追い詰められてしまう。ストレス発散のために慶の財布からお金を盗むようになるが、それもバレてしまい…?

旦那とご無沙汰のドスケベ妻♂が宅配配達員と浮気セックスを楽しむ話

さくた
BL
寝取りもののつもりで書いてたけどあんまり寝取り感でなかったな

僕が再婚するまでの話

ゆい
BL
旦那様が僕を選んだ理由は、僕が彼の方の血縁であり、多少顔が似ているから。 それだけで選ばれたらしい。 彼の方とは旦那様の想い人。 今は隣国に嫁がれている。 婚姻したのは、僕が18歳、旦那様が29歳の時だった。 世界観は、【夜空と暁と】【陸離たる新緑のなかで】です。 アルサスとシオンが出てきます。 本編の内容は暗めです。 表紙画像のバラがフェネルのように凛として観えたので、載せます。     2024.10.20

処理中です...