【R18】かみさまは知らない

Cleyera

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5 おれ

34 ※ 二人 二輪挿し

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 おれは、咄嗟に口の中の二本を吐き出して唇を噛んだ。
 血の味がするくらい強く。
 だって、声を我慢するためにできることがそれしかなかったから。

 無理、も、いや、も言いたくなかった。
 二本なんて怖いと思ったけど、ここは我慢しかない。
 二人は初めからそのつもりだった。
 だからあんなに時間をかけていたんだ。

 ずるり、と先端が体内に押し込まれた。
 二本同時に。
 痛くなくても裂けたと本気で思った。
 腹の中をごりごりと擦る幻聴が聞こえる。
 おれの全身はすっぽりと二人に挟まれて包まれているから、音なんて聞こえるはずはないのに。

「~~~~~~~ン゛ン゛ン゛ッッッ」

 目の前が真っ赤になって、心臓が破裂したかと思った。

 死ぬ。
 痛くないけど、死ぬ。
 これまで生きてきた中で一番怖かったのに、恐怖の感情はすぐに別の感覚で上書きされた。

 スペラとディスの二人を同時に受け入れたことは、思いもしないものをおれにもたらした。
 快感だ。

「ン゛ァぁあっっ!?」

 気がつけば達していた。
 見えないけれど、尻穴に二本の太い棒みたいなものをつっこまれているだろうおれは、狂ったみたいに泣いて喚いた。

「すご、なにごえ゛っぎもぢいいっっ、ぅあ゛ぁあ゛ぁぁあ゛っっ!!」

 死にそうに気持ちよかった。
 死んでしまいそうなほど気持ちよかった。

 長時間、待たされすぎたからなのか。
 ずっとずっと欲しかったものを、欲しかった場所に収められた充足感を感じながら、おれはぼろぼろ涙をこぼして泣いた。
 わがままを言う子供のように泣き喚いた。

 未知の快感に翻弄されて、おれはついに言ってしまった。

「もっとっ、も゛っどしでぇっっ」

 後で恥ずかしくてたまらなくなるから言いたくなかったのに、目の前のクラゲに泣きながら頼んでいた。
 下半身側にいて姿は見えないけれど、触手をおれにからませてくるイソギンチャクに縋った。
 動かない腰を必死で振ろうとしながら、おれは二人を望んでいた。

 返事のようにクラゲとイソギンチャクが震えて、そこから先は悪夢を塗り替える幸せな夢だった。



 二本同時に突っ込んでいるからか、二人はおれを全身で包むように抱きしめてぐずる赤ん坊をあやすように揺らした。
 裂けてしまうかもという恐怖は、快感で上塗りされて微塵も残っていない。

 完全に二人に覆われている全身はぽかぽかと温かくて、肌を擦るぬめぬめとした感触も、腹の中をごりごりと蹂躙する硬さも、全てが幸せだった。

 前には触らないでというおれの願いは叶えられているのに、何度も達した。
 こんなに何度も押し上げられたら死ぬんじゃないかと思うほど、何回も満たされた。

 そこに強引さは無かった。
 ひたすらに二人は優しくて、快感だけでおれを絶頂に押し上げた。

 おれを守りたいという二人からの感情が伝わってくる気がした。
 紳士二人が、おれを優しく壊れ物のように扱ってくれているのは事実だ。
 痛みを感じられるようになった後でも、二人を同時に受け入れられるようになるだろうな、と確信する。

 優しい二人が大好きだ。
 嬉しくて涙が止まらない。
 気持ちよくてなにも考えられない。

 二人が一緒に動くと、一突きごとに腹が破裂しているような気がするけれど、達しているだけだから大丈夫だ。
 二人が交互に動くと、手前の気持ちいい場所と奥の気持ちいい場所を常に擦られ叩かれて、頭の中が真っ白になった。

 ゆさゆさとリズミカルに動く二人。
 真ん中に挟まれて、達し続けるおれ。

 気持ちよくて、ひたすら泣いた。
 ひたすらただただ延々と終わらない快楽を与えられ続けることを、おれは泣いて喜んだ。

 ディスの考えが分からなくて、不安だった気持ちは吹っ飛んだ。
 スペラが止めてくれなくて戸惑っていた気持ちも無くなった。

 二人とも大好きだ。
 おれを気持ちよくしてくれる二人が、すごく好きだ。

「ひぃ、ひっ……ひぃっ、ひぃ……」

 泣きすぎて横隔膜がいかれたのか呼吸ができなくなって、しゃくりあげている子供のような音が鳴る。
 呼吸が苦しい。
 苦しいが気持ちいいに繋がると知ってしまっているせいで、さらに快感が募る。
 泣くのをやめたくてもやめられない。

 二人はおれを大事にしてくれる。
 おれが望んで頼んだだけ、おれを満たしてくれる。

 おれは二人の動きに合わせてしゃくりあげながら奇声をあげることしかできず、全身の水を全部出す勢いで泣いていた。
 見えない股間がどうなっているのかは不明だ。

 出ている気はしないのに達し続けているのは、何故なんだ。
 男は出さないと気持ちよくなれないと思っていたのに。
 一体、どこで快感を感じているんだ。
 脳みそがおかしくなってんじゃないのか。

「ひぃう゛ぅっ……ひう゛っ……ひゃぁあ゛ぁう゛ぅぅぅっっっ」

 時折二人のどちらかが止まり、びくびくと腹の中で震えるのを感じる。
 腹の中に精液を注がれているのを感じるたびに、心臓が喜びに大暴れして息が詰まる。

 おれの中で気持ちよくなってる。
 二人が、おれで気持ちよくなってる。
 おれも気持ちよくて死にそう。

 声を上げすぎて乾いたのどがひゅうひゅうと鳴るけれど、幸せを伴う快感の前では苦しさも霞む。
 でももうそろそろ声も出せなくなりそうだ、とスペラと過ごした経験から察したおれは、最後の一言を忘れないように口にしておくことにした。

 目の前にいるスペラの笠部分にキスをして、見えてないディスには触手にキスをした。

「しゅぺら、でぃす、しゅき、らいすきぃ、あぃがとぉっひぎぃっっ!?」

 返事として、今まで入っていた場所より奥に棒状のものを押し込まれ、締め殺されるような掠れ声を上げて意識を飛ばした。



 もちろん、これで終わりじゃなかった。
 気がついてみれば空はうっすらと明るくて、もしかしておれは一晩中気絶していたのかと思いつつ、まだ腹の中を満たしている二本を感じた。

 ゆるゆると優しくあやすように揺らされているだけなのに、頭の先から爪先まで達した快感で力が入っている。
 むしろ力が抜けないせいで痙攣してる。
 口がない二人は無言で、おれが一人で騒いでるだけなのに雰囲気が優しい。

「……っ…………っぁ…………」

 まるで二人から誰よりも愛されているみたいで、また涙が出た。
 この世界に迷い込んでから感じていた孤独が、寂しさが減っていく。
 スペラに出会って幸せになって、結婚してもっと幸せになった。
 そこにディスが加わったらもっと幸せになるんだろうか。
 結婚が墓場とか嘘だな。

 おれは男なのに、なんて今更思わない。
 なにも知らなかった頃に戻ったって、きっと同じ選択をする。

 ぼっち生活で、人に殺されたりナニカの餌にされ続ける。
 普通の生活が出来るけれど、男に死にそうなほど抱かれまくる。
 どっちが良いか?、と言われたら、相手が男だろうがクラゲやイソギンチャクだろうが、守って大事にされたいに決まってる。

 今でもまだこんな世界は好きじゃない。
 でも、もうきっとおれが生まれ育った世界には、二度と帰れないんだと思う。
 ここはゲームの世界じゃなくて、おれは帰り道を見つけられそうにない。

 なんで死なないのか。
 なんで歳をとらないのか。
 なんで人やナニカに殺されるのか。

 分からないことばかりだけど、少しでも受け入れて生きてみようと思えたのは、二人に会えたから。
 おれに優しくしてくれる人がいると分かったから。
 生きていることが辛いだけじゃなくなったから。

 二人が人の姿に戻ったら告げよう。

 「二人に出会えて良かった」と。

 でもそれを伝えられるようになる前に、これがいつまで続くんだろう、とびくびく絶頂に達して呼吸をつまらせて、ひゅーひゅー喉を鳴らしながら思った。

 そういえば、腹へり、無くなってるな。

 
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