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1 おれ
06 ※ スペリアト 中出し
しおりを挟む痛くはない。
けれど、ただ恐ろしかった。
透明で太いものに、自分の尻の穴が押し開かれていく様を見せられるのが。
自分の体内にそれが突っ込まれていく所を、全て余さず見える体勢で動けなくされているのが。
それを、快感だと感じてしまうのが。
自分の尻の穴自体を見るのが初めてなのに、その上見えないものが出入りする所まで見せられて。
それが、気持ち良くて。
怖くてたまらない。
恐ろしくて息がつまった。
早く、食ってくれ。
こんなのはいやだ。
胸と腹が押し潰されて息が苦しい。
あと、極太のなにかを突っ込まれてる尻も当たり前に苦しい。
これってヨガとかピラなんとかのそういうのでありそうなポーズだ。
すっごい上級者向けの。
もう現実逃避しかできない。
透明で長くて太い棒状のなにかが、おれの尻の穴を出入りしているのを感じる。
なにが出入りしているか見えなくても、なにが起きているかは見えてる。
強制的に見せられてる。
おれの息子さんより一回り以上太くて、中から内臓を押し上げられて痛みを感じるくらいには長い棒状のもの。
それがなにか、考えたくない。
「ぅぐっ……ぅうっっ……ぅっ」
深く突っ込まれる時は普通に苦しい。
自分の尻の穴の中を見る趣味はない、楽しくない。
楽しくはないけれど、さっきも感じた気持ちよくなる場所が丁寧に押されて擦られるたびに、頭がくらくら目の前がちかちかして、息ができなくなる。
じりじりと腹の奥がしびれる。
気持ちいい。
「うゔっっ……ぅっ……」
引き摺り出される時もやばい。
尻の穴の縁が出る動きで引っ張られてめくれて、見えないなにかに縋りつくようにまとわりつく。
抜かないで、やめないで、と願っているように見えてしまう。
おれは直腸の内側なんて見たくないのに。
もちろんこの時も気持ちよくなる場所がしつこく擦られて、気持ちいいのやだ、やめて、ほんっと無理ぃと訴えてる。
言葉になってないけど。
気持ちいい。
ひたすらに気持ちいい。
もちろん当たり前だが、息子さんをこすられるのは普通に気持ちいい。
睾丸を柔らかくほぐす様に揉み込まれながら、竿も擦られるとか贅沢すぎる。
見えないものに包みこまれて、常に上下動で擦られつつ揉まれつつ先端をぐりぐりされてるせいで、結構前から達している時の感覚が続いている。
頭おかしくなる、気持ちよくて苦しい。
なにも出ている様には見えないのに。
そんなに出っぱなしになるはずもないのに。
呼吸も満足にできないせいで、ずっと唸り声みたいな喘ぎ声しか出ない、ずっと達してる。
しかも普通に射精するよりも良い。
もうどこで気持ちよくなってんのか、さっぱり分からない。
呼吸ができなくて苦しい、快感なのか死にそうになってるのか、目の前が真っ白と真っ黒が交互にやってくるせいで分からない。
おまけや追加のように口の中にも透明なものが突っ込まれて、ひどい顔になってるだろう。
なにこれ。
どーゆー拷問なんだよ。
これまでにない死に方だ。
何度も口と尻から体の中に温かい液体を注ぎ込まれるような感覚があって、卵でも産み付けられてるんじゃないだろうかと不安になる。
匂いだけは精液だから、もしかしたらとも思う。
クラゲになってもスペリアトの人格は残っているんだろうか。
残っていないといやだな。
ものすごく認めたくない。
……あのさ、これは本当に捕食されてるのか?
一歩間違えたら、セックスじゃないのか?
おれが、女扱いされてるけど。
セックス?
これが?
そう思ったら、恐ろしいと思っていた気持ちがふわりと消える。
自分の単純さに笑いそうになる。
もうずっと達し続けてるくせに。
ぐちゃぐちゃの情けない顔しながら、ヘラヘラ笑うなんて。
頭までおかしくなったみたいだ。
セックスに憧れはあった。
いつか好きな相手とするんだろなぁと思ってた。
人並みに性欲はあった。
少なくとも両親や周辺に拗れたり爛れてる話なんてなくて、おかしな性癖も自覚してなけりゃそんなもんだ。
だから、スペリアトが望んでいるなら、まあ悪くないかなって。
思ってしまった。
食われても良いって思ったんだから。
それが性交に変わったところで、嫌じゃない。
いや、じゃないんだ。
ずっと一人ぼっちで寂しくて虚しくて、普通に生きる事を諦めた。
そうするしかなかった。
元の世界の記憶は時間と共に忘れていく。
元の世界から持ち込んだものは、おれの体以外残っていない。
自分が本当は頭のおかしなこの世界の住人なのかも、と思う時まであった。
孤独で狂った心に寄り添われて、執着しないはずがない。
あんなに貢がれて尽くされて好きですって態度されたら、絆されるだろ。
男同士、いいやむしろクラゲ相手ってとこは悩むが、おれはスペリアトがいないと暮らしていけない。
スペリアトに出会っていなかった頃の生活には戻れない。
戻りたくない。
絶対に嫌だ。
スペリアトだけが、おれを人扱いしてくれる。
衣食住の全てを揃えてもらっているヒモの自覚もある。
おれは、狂ってる。
スペリアトを失ったら生きていけない。
だから。
スペリアトがクラゲの本能で動いてるだけだとしたら?
だとしたら悲しい。
……え?、悲しい?、っんー?、おれ、もしかしてスペリアトが好きだったりするのか?
恋愛的に?
自分の恋愛対象が分からない。
彼女いた……はずだけど昔すぎて忘れてる、恋だったかと言われると悩む。
恋ってどんなもんだったか。
スペリアトへの気持ちは恋なのか?
少なくともスペリアトに求められてるなら良いのに、クラゲの本能だと悲しいと思っちゃうから。
そうなのかも。
どうなんだろ。
「……ぅ……ぅうう……」
まとまらない考えを頭の中で垂れ流している間も、スペリアトは止まらなかった。
腹の中を動くものが気持ちいい。
もう、数えきれないほど達していて頭が回らない。
ごぼごぼ言う気力も残ってない。
疲れた。
気持ちいいが、多すぎてしんどい。
痛みと同じ。
快感なのにどこか遠い。
いつの間にか、明らかに尻の穴で気持ち良くなっている。
喉の奥まで突っ込まれても苦しくない、むしろ気持ちいい。
このまま、死ぬまでイかされ続けるのか?
腹上死に似てるけど、腹中死とか笑えるな。
こんな死に方は初めてだから、無事に意識が戻るか不安だ。
もうろうとしているなと自覚しながら、死ぬ前にこれだけは言っておきたいなと思った。
『大好きだよスペリアトくん、おれを見つけてくれてありがとう』
うぅ、とかきっとそんな音にしかならなかっただろう。
おれを食べてしまうと苦しんでいたスペリアトの意識が残っているなら、後悔してほしくない。
逃げないと言ったくせに、逃げようと手のひら返しちゃったのは許してほしい。
びびったんだよ。
経験が無かったんだから仕方ないだろ。
初めてのセックスが濃厚すぎて、これが普通だと勘違いしそうだ。
どこか遠くても長過ぎた快感は、ほとんど感じない痛みよりも心と体を痛めつけたようで、こうやって死ぬんだなと腹上死の死因が理解できた。
「…………~~ぅ」
ひどく疲れた。
気持ち良すぎて死にそうだ。
動きたくない、動けそうにない。
スペリアトだったクラゲを倒したら、もやになるのか。
解放されて、動けるようになるんだろうか。
それなら倒したくない、うん、どんな姿でもスペリアトを殺したくない、無理だ。
気持ちいい。
もう、動けない。
スペリアト、君に会えて、よかった。
全部、あげるよ。
おれを見つけてくれた君に。
目を閉じて。
どくどくと腹の奥に注がれていくぬるい圧迫感で、押し上げられるように真っ暗な闇に落とされて。
すこん、と意識が途切れた。
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