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1 おれ
04 ※ スペリアト 口淫、精飲
しおりを挟む背中に触れた感覚に変な声が出た。
なんとか振り返っても背中にはなにもない。
服が溶けてしまっているようだということしか分からない。
なんだったんだ、今の?
「がごぼぼっびゃっ!」
今度は尻から背中までをぬるうっと撫でられる感触。
この世界に迷い込んでから誰とも触れ合ってこなかったせいか、ひどくくすぐったい。
もしかして、舐められた?
服の次はおれの体を消化するってことなのか。
包装紙をむいてからってことなのか。
傘はクラゲの頭部でここは口の中なのかもしれない。
透明で分からんけど、そもそもクラゲには舌があるのか。
水族館の水槽の中、水流を受けてふわふわ回ってたイメージしかないので、分からなかった。
スペリアトがおれを消化できなかったら、どうしよう。
このままずっと傘の中に入れられっぱなしになるのは困るな、腹が減ってきてるんだよ。
困っていたら、口元をつつかれた。
なにも無いように見えるけど。
「ごばにばっぼごごっ」
うーんだめだ、話せそうにない。
呼吸はできるのに会話は無理か。
ごぼごぼ言っていたら、唇に押し当てられた見えないものが入ってこようとする。
歯と舌に当たる感じから、太めの魚肉ソーセージくらいの見えないものだ。
柔らかいから噛みちぎれそうだけれど、スペリアトが痛がるといけないので歯は立てないでおく。
体内から溶かされて消化されるのはいやだ、と思っても言葉にならない。
ごぼごぼ言葉しか出ないので、伝えようがない。
んー、ちょっと待て。
ぬるぬるしているのが体液なのか、口の中を撫で回している見えないものか分からないが、なんだか卑猥な動きをされている気がする。
これさ、軽くない感じのキスに似てないか?
経験ないけど。
そう思ってしまうほど、口の中の魚肉ソーセージはしつこい。
上顎の内側をぬるぬると撫で、歯を一本一本確認する様にさすり、舌にからみついてこすり合わされる。
なんか、背中から腰の辺りがぞわぞわする。
まずいなぁ。
こちとら数百年ものの童貞だ。
自分一人が生きるのに精一杯で、恋人とか家庭持つ以前に定住すら考えたことがなかった。
身元が不確かで定職につけないおれの稼ぎでは、最低限の衣食住にすら足りず、恋人は自分の手の寂しい日々。
相手がくらげ、元美青年で男だと分かっていても、執拗に情熱的な愛撫を繰り出されたら反応しないはずがない。
不思議と嫌悪感は無いし、嫌だとも思わなかった。
なんでだろうとは思ったけれど。
「っぼごぼぼ、ごぶぼっ」
いつのまにか服の無くなった股間を、見えないものが撫でる感覚に、疑問が一瞬で吹っ飛んだ。
触れられた場所が口の中だけなら勢い余って、勘違い、思い込み、被害妄想で済むが、股間はまずい。
明確にそういう感じになっちゃうだろ。
両手で股間を隠そうとして、手首になにか絡みついているのに気がついた。
あれ、もしかして傘の中に引き摺り込まれた時の口腕がそのまま?
締め付けられていないことで意識していなかったが、気がついてしまえば手は動かせなかった。
動かそうとすると、手首から肘へ登るように絡みついてくる。
なに、なんか必死な感じ?
おれ相手にそんな必死になることないって。
落ち着け、大丈夫だから。
と伝えたいのに。
足も動かせない。
膝から腿にも巻き付いてきたぁ!
「ばべぼっ」
股間には触るな、だめだ、と訴えているのに、ぬるり、ぬるり、と柔らかく何度も撫で上げられて、むっくりと元気になっていくおれの息子さん。
ぬおー、やめて、これはだめ!
いつのまにか、パンツ溶けちゃってる、おれの息子さんむきだしぃ!!
ほんっと恥ずかしいからやめろって。
トイレや温泉で他人の男性器を見るのとは違うんだよ、自分のものを他人に大きくさせられるのは恥ずかしい。
やめろ、と両腕両足に力をいれるのに、びくともしない。
なんでこんなにパワフルなんだよ、ちくしょう完璧イケメンめ、クラゲになってもハイスペックなのかよ。
「ぼびゃっっ」
元気になっちゃった息子さんが柔らかく包み込まれる感触と共に、明確に上下に擦り上げられる動きが加えられた。
力の入れ方も動きの速さも、自分で慰める時と明らかに違う。
温かくて柔らかいゼリーみたいな感触は、噂にだけ聞いていたオナホってやつに似てそうだ。
じゃなくてやめろ、これはもう誤解じゃ済まないから。
きもちいーなー他人の手は、じゃない。
なにが動いているのか見えないけど駄目だ、これは本当に駄目なやつっ。
見たくなくて目を閉じた。
スペリアトには見られているかもしれないけど。
きもちいいのだめだっ。
まて、だめ、ほんとでるっ。
たぶん擦られたのは十回くらいだった。
くそ、クラゲのスペリアトが上手いのか、おれが早いのか。
「ゴぼばっ!!」
気持ちいい、うぅ、気持ちいいっ。
全身に力が入り、腹がびくびくと震える。
自分でするより気持ちいいのが悔しい。
口の中の太いものが喉の奥に突っ込まれて、苦しい感覚と射精が重なり、頭が真っ白になる。
絶頂感が終わるまで、全てを絞り出す様にゆっくりと息子さんを擦られた。
ようやく落ち着いて賢者タイムが訪れた。
閉じていた目を開いて、見たくないけれど股間に目を向ける。
……あれ、おれ出したよな?
巨大なクラゲの傘はいつのまにかボールのように丸くなり、おれをすっぽりと包み込んでいる。
精液が見当たらない。
んー、待った、待って。
食べるって、まさか、そういうこと?
えー、おれの精子を食べた?
なにそれ、どーゆー展開なんだ。
美味くないだろう、そんなもん。
あと、そいつは食べ物じゃないと思うぞ?
とりあえず、おれはもうスッキリしてしまった。
スペリアトはどうなのか、知らんけどさ。
外に出してくれ、おい、離せってー。
ごぼごぼと訴えていると、口の中に入りっぱなしの太いものが、再び喉の奥へ突っ込まれた。
当たり前におえっ、となって。
ほぼ反射のように首を振る。
頭になにかがからみつく感覚がして、口の中のものが抜けていき、安堵した直後に口を開く様に固定され、先ほどよりも太いものが突っ込まれた。
なんか頭を動かせないようにされた?
あと、なんでさらに太いもん突っ込んだ?
言葉にならない文句を口にする前に、太いものが口の中を前後し始める。
突っ込んでこすって引き抜かれて、って卑猥な動きするなぁ。
これってもう、あれじゃん、あれ。
なんていうか忘れたけど、完全にえっちぃやつ。
頭が固定されて苦しい、というよりも、太いものがでかすぎて顎関節が痛い。
鼻呼吸はできても、限界まで口を開いた状態で苦しいほど太いものを詰め込まれて楽しいわけがない。
耳の奥で喉を擦られる音が聞こえるのも嫌だ。
頭を固定され、口の中を蹂躙されている間も、たくさんの手で全身を撫でさすられているような気がする。
腹を引き裂かれても痛くないから、おれが見えず感じていないだけで咀嚼されてるのかも。
うまく息ができない。
口の中を強引に押し広げられて、舌や上顎に太いものを擦り付けられて、丸い先端で喉をふさがれると吐きそうになるのに、酸欠でくらくらする頭がこれを苦痛ではない、と感じ始めている。
いったい、これ、なんだよ。
目の前が暗くなって、意識が途切れる予兆を感じた時。
ぶるりと口の中に入っていた太いものが震えて、喉の奥に温かい液体を吐き出されたのを感じた。
空気を求める喉が勝手に謎の液体を嚥下して、胃袋へと落とし込んでいく。
大量の液体をうまく飲み込めずに、鼻からも逆流している感覚がある。
「ぼごごぼぶふぉっっ」
大量の液体を際限なく吐き出した太いものがやっと口から抜かれて、空気を求める体が咳き込んだ。
溺れてないのに窒息死するところだった。
これも食べられてる内に入るのか?
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