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SS 爵位の扱いがひどい 一年後
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全年齢は初めてで不安だったのですが
なんかいっぱい読まれてる・:*+.\(( °ω° ))/.:+とSSが産まれました
完結表示を何度も変えるのは良くないかもしれませんが、素人が気分で書いているので、どうかお許しくださいm(_ _)m
*
どごんっ、と低い音を立てて、小柄な夫の体が壁に叩きつけられた。
「ステルク!!」
思わず立ち上がったわたしを、ほっそりとした手が止める。
「お義姉さま、あんちゃんなら大丈夫だよ」
とても辺境伯の実弟とは思えない言葉遣いながら、血縁の義兄に当たるスンジャル殿にそっくりな十四歳の義弟が、朗らかな笑顔で言った。
彼はスンジャル義兄さん(と呼ぶように頼まれた)と同じように戦えないので、事務方を担うべく先達に学んでいるところだという。
そもそも、わたしは男だ。
そして、大丈夫な音に聞こえなかったぞ。
わたしが辺境伯の婚約者として辺境に来て一年。
厳粛な婚姻式と、盛大な披露宴が行われたのは先月のこと。
夫との婚姻後に初めて、ティグナレット辺境領魔装騎士団の鍛錬風景を見せてもらえるようになった。
部外者だから避けられているんだ。
というひねくれた考え方は、一瞬で消えた。
目の前の光景は、鍛錬と呼べるものでは無かった。
わたしは、気遣われていたのだ。
王都から来た姫さん(わたしは男だ)に、こんなもん見せたらぶっ倒れちまう、と。
初日に色違いステルク軍団に囲まれて倒れた実績があるので、否定しきれない。
というか、すでに鍛錬を見せられた初日に気絶済みだ。
「やっべ!」
金属壁に叩きつけられて地面に落ちた夫が、慌てた様子でごろりと転がると。
バゴン!、と音を立てて、夫のいた場所の壁がへこんだ。
ちょっと待て、この鍛錬場の壁は魔鋼製だぞ。
「逃げんなステュー!、嫁さんに格好良いとこ見せたらんかいっ!!」
「言われんでも分かっとるわ!」
壁を凹ませて吠えたのは、夫ではない。
夫の実姉だ。
その見た目は、ほっそりとした華奢な……少女。
ふわふわしてくるくるの金茶の髪と、緋色の瞳。
魔装騎士団に所属する騎士の多くが緋色の瞳をしているのは〝妖精の子〟と呼ばれる、魔力量が多すぎる者の証らしい。
見目麗しい少年少女たちが笑顔で魔鋼の塊を振り回して、ぼっこぼこに殴りあう光景に、初日のわたしは倒れたのだ。
本当は義姉を辺境伯に、と考えられていたらしい。
理由は最強だから。
……爵位とは、強さで継承されるものだったか?
騎士団員の義姉が、辺境伯にならなかった理由は簡単だ。
当時、お腹に子がいたから。
三年の騎士役務はこれまでの実績があるので問題ないけれど、お腹に子がいる状態で辺境と王都を何度も往復するのは大変だ。
万が一、母子になにか起きたらどうする。
という理由で夫にお鉢が回ってきたらしい。
爵位の扱いが!!
そして今、義姉に徹底的に鍛えられている夫は、大階段から落とされても無傷だったのに、毎日ボロボロだ。
辺境が魔境すぎる……。
*
義姉さんの旦那さんも騎士団員です(先代辺境伯(父)の妹の夫の姉の子くらいの血縁の妖精の子)
外見は美少年美少女ですが、バーサーカー夫婦なので、子育ては苦手
乳幼児(妖精の子)の扱いの荒さに震え上がったアルドレイが動いて、良い嫁だ!と評価が右肩上がり
なんかいっぱい読まれてる・:*+.\(( °ω° ))/.:+とSSが産まれました
完結表示を何度も変えるのは良くないかもしれませんが、素人が気分で書いているので、どうかお許しくださいm(_ _)m
*
どごんっ、と低い音を立てて、小柄な夫の体が壁に叩きつけられた。
「ステルク!!」
思わず立ち上がったわたしを、ほっそりとした手が止める。
「お義姉さま、あんちゃんなら大丈夫だよ」
とても辺境伯の実弟とは思えない言葉遣いながら、血縁の義兄に当たるスンジャル殿にそっくりな十四歳の義弟が、朗らかな笑顔で言った。
彼はスンジャル義兄さん(と呼ぶように頼まれた)と同じように戦えないので、事務方を担うべく先達に学んでいるところだという。
そもそも、わたしは男だ。
そして、大丈夫な音に聞こえなかったぞ。
わたしが辺境伯の婚約者として辺境に来て一年。
厳粛な婚姻式と、盛大な披露宴が行われたのは先月のこと。
夫との婚姻後に初めて、ティグナレット辺境領魔装騎士団の鍛錬風景を見せてもらえるようになった。
部外者だから避けられているんだ。
というひねくれた考え方は、一瞬で消えた。
目の前の光景は、鍛錬と呼べるものでは無かった。
わたしは、気遣われていたのだ。
王都から来た姫さん(わたしは男だ)に、こんなもん見せたらぶっ倒れちまう、と。
初日に色違いステルク軍団に囲まれて倒れた実績があるので、否定しきれない。
というか、すでに鍛錬を見せられた初日に気絶済みだ。
「やっべ!」
金属壁に叩きつけられて地面に落ちた夫が、慌てた様子でごろりと転がると。
バゴン!、と音を立てて、夫のいた場所の壁がへこんだ。
ちょっと待て、この鍛錬場の壁は魔鋼製だぞ。
「逃げんなステュー!、嫁さんに格好良いとこ見せたらんかいっ!!」
「言われんでも分かっとるわ!」
壁を凹ませて吠えたのは、夫ではない。
夫の実姉だ。
その見た目は、ほっそりとした華奢な……少女。
ふわふわしてくるくるの金茶の髪と、緋色の瞳。
魔装騎士団に所属する騎士の多くが緋色の瞳をしているのは〝妖精の子〟と呼ばれる、魔力量が多すぎる者の証らしい。
見目麗しい少年少女たちが笑顔で魔鋼の塊を振り回して、ぼっこぼこに殴りあう光景に、初日のわたしは倒れたのだ。
本当は義姉を辺境伯に、と考えられていたらしい。
理由は最強だから。
……爵位とは、強さで継承されるものだったか?
騎士団員の義姉が、辺境伯にならなかった理由は簡単だ。
当時、お腹に子がいたから。
三年の騎士役務はこれまでの実績があるので問題ないけれど、お腹に子がいる状態で辺境と王都を何度も往復するのは大変だ。
万が一、母子になにか起きたらどうする。
という理由で夫にお鉢が回ってきたらしい。
爵位の扱いが!!
そして今、義姉に徹底的に鍛えられている夫は、大階段から落とされても無傷だったのに、毎日ボロボロだ。
辺境が魔境すぎる……。
*
義姉さんの旦那さんも騎士団員です(先代辺境伯(父)の妹の夫の姉の子くらいの血縁の妖精の子)
外見は美少年美少女ですが、バーサーカー夫婦なので、子育ては苦手
乳幼児(妖精の子)の扱いの荒さに震え上がったアルドレイが動いて、良い嫁だ!と評価が右肩上がり
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