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17 処女を失ったら淫乱になりました ※
しおりを挟む私の方がコハニーよりも体格が良いから、その気になれば押さえられている手を振りほどけるだろうけれど、嬉しそうに捕まえたー♪なんて伝わって来た直後にはできなかった。
「あ、あっ……ぅあっ……っあっ」
のけぞったまま唇を噛み締めようとするたびに、コハニーがグッと腰を押し込んできて、少し抜くことを繰り返す。
その度に、空気を求める魚のように口を開く羽目になる。
私が恥ずかしくて、情けない思いをしていると知っているはずなのに、彼から伝わってくるのは美味しい、可愛い、もっと声を聞きたい、気持ちいい、ゆっくりしないと、と脈絡のないものばかり。
「や、いや、おねがい、声、だしたくないっ」
せめて口を閉じたい、とお腹の中の質量が増すごとに、少しずつ近づいてくる赤光を見つめる。
肘を離してくれたので、自分の手で体を支えるけれど、口は塞がないでおく。
声を我慢したところで私が女性になることもないし、彼にとっては今更かもしれないけれど。
「……もっと聞きたい」
「ごめん、なさいっ、むり、私、むりだからっ」
「…………」
エロい声聞きたい、顔赤くしてるの可愛い、可愛い声聞きたい、でも困らせるのダメだから、強引だと嫌われる、伴侶の意見を聞かないと、とぐるぐるしていた声が、ピタリと静かになる。
「わかった」
布が擦れる音がして、口元に何かが差し出された。
「噛んで」
「……うん」
暗くて見えないけれど、差し出された布らしいものを噛みながら、一瞬だけ聞こえた〝声のことなんて考えられないくらい、いっぱい気持ちよくしてあげれば良いんだ〟という囁きにしては大きすぎる声に、逃げた方が良いのかと思ってしまった。
「奥まで、入れるよー?」
「ん……っん……ぅんんっ」
ずずず、とゆっくり確実に入ってくる硬い肉に息がつまる。
でもこれは私の半分だ。
「あ……入った」
ふわふわとしたコハニーの羊毛?がお尻に当たるのを感じて、ようやくこれで終わり?と息を吐く。
ちゅ、と唇が背中に降ってきて、汗まみれだろう背中をべろりと舐められた。
背骨を伝うように汗を舐めとられるたびに、体がひくひくと動いてしまうのが、彼にも伝わっているのか、気持ちー、もっとーと聞こえて、その呑気な声に、男の人を受け入れるのってすごく大変だったな、と布を咥えていた口を開いた時。
「あ、ああっ!?」
ずるりと引き抜かれた肉が、再びゆっくりと奥に押し入れられる。
痛みはなくても違物感が気持ち悪い、特に抜かれる時は排泄をしている時の感覚でしかない。
入れられる時には、出すべきものが逆流してくるような初めての感覚に全身が強張ってしまい、体が勝手に震えた。
「あ、あっ、ああっ、や、コハニーっ、やめてっ」
逃げようとしたら、コハニーの手が私の胸元に回された。
なにをされるのかと思っている間に、上半身が持ち上げて起こされ、尻臀が羊毛に包まれる。
ずず、と入ってきた感覚に、空気を求める魚のようにハク、ハクと口を開きながら、何をされるの?と不安になる。
両脇にコハニーの腕が絡み、膝の下を布が滑っていく。
かと思えば両足が突然、宙に投げ出された。
「ぐっ、ぅうっ!ひっ、あ、ああっ!」
根元まで入っていると思っていたコハニーのものが、自分の体重でさらに奥へと入ってくる。
息が苦しい、何?何が起きてるの?と必死で息を繋いでから体勢を意識すると、寝台の上に座ったコハニーに背中を預けて座っている、と気がついた。
両足を大きく開いて、つま先が浮いていて、全体重がコハニーと繋がっている場所にかかっている気がする。
繋がっている下半身を、コハニーが自分自身の太股の上に乗せるように、と抱え込んだのを感じた。
太ももに手をかけられて、両膝を持ち上げるようにM字に抱え込まれると、もう入らないと思っていた更に奥にコハニーの存在を感じ、悲鳴をあげてしまう。
そんなに奥まで入らない、無理、もう無理っ。
「俺のちんこの形はわかるー?」
お尻から腰までを覆うようにふかふかの羊毛に触れているけれど、私を貫いているものは可愛らしいものではないと思う。
暗がりで見えないから形も大きさもわからない、と言おうとして、言えなくて口ごもる。
入れたら終わりじゃないの?と泣きそうになっていると、グッと太ももを抱えている手に力が入って、体が揺さぶられた。
お尻の穴に突き刺さっているものの存在が、グリグリと押し広げられる穴の感覚が、お腹の中にある質量が、私をおかしくさせる。
「これが俺のちんこだよ、わかる?」
「ああ"っっ!っ、わか、るっ、わかるからっ、もぅ、やめてっ」
苦しい、息が、できないっ。
お腹の中がいっぱいで、もう、入らないっ。
「大丈夫だよ、ジェレの中はまだまだ奥があるよ。
今はまだ硬いけどすぐに柔らかくなるよ、ジェレのお腹の中が俺のちんこの形になるように、たっぷり突いて擦って撫でてあげるー。
お利口なジェレが俺の形を覚えたら、奥の奥まで子種で満たしてあげる、子供を孕んだみたいにお腹ぽっこりするまで、たっくさん注いであげるからねー」
コハニーは「その前に、こっちも可愛がってあげないとね」と言い、器用に腕で太ももを押さえ込んだまま、知らないうちに萎んでいた前を握って擦られた。
声と全く同じ心の声の垂れ流しとか、本気でいらないっ!
クチュクチュと音を立てながら前を擦られ、体を小刻みに揺さぶられているうちに、訳がわからなくなってくる。
お願い、もうやめて!と声にする前に、左右の太ももに手がかかり、ずるりゅ、と抜かれたものが一息に根元まで突き込まれた。
「ぁ……かっ」
衝撃で息が止まる。
入れられる途中で擦られた場所が悪かったのか、強すぎる衝撃が全身に走った。
今、腕力だけで私を抱え上げたの?
怖い、今の何?
もうやだ。
「あっ見ぃつけた、ここは女の子がナカイキできて、とっても気持ちよーくなれる所だよ。
いっぱい擦ってあげるねー」
「や、やめ、だめ、それ、だめだからっ」
これは、マズイかもしれない、早まった?と今更のように思った。
暗がりでパチパチと瞬く赤紫が、初めて恐ろしいと思った。
コハニーの正体は、性的に人を襲うと言われている夢魔だ、と私は理解してなかったのかもしれない。
男の肉体だから大丈夫、と侮っていたのかもしれない。
どれだけ続けられているのか。
気がつけば、私の体は再びうつ伏せになり、両足を大きく開き、腰を高く上げた体勢で延々と、ぐ、ぐ、と小刻みに中の痺れる場所を擦られていた。
体が揺さぶられるたびに、ペチン、ペチンとお腹に硬くなった自分のものが当たる。
中の痺れるような気持ち悪い感覚を感じた場所は、どうやら前と連動しているようで、すでに数え切れないほど射精させられているのに、まだ硬くなるのが恥ずかしい。
普段なら、腕立て二百回くらい軽々できるのに、今の私の腕は力が入らずに震えている。
動物の交尾のように、背中に覆いかぶさるようにかけられるコハニーの体重が、重たくないのに生々しい。
「あ、……ぁ……っ……ぁ……っああっ」
もう何も出ない!って泣いて訴えているのに、コハニーはやめてくれない。
いくら性欲が強くなっていても、もう無理。
五回を超えたあたりから、わけわかんなくなってるのにっ!
逃げようとしても簡単に押さえ込まれて、胸の先や、腰の背中側、脇腹や股間のそれに触れられると力が抜けてしまう。
いや、どこに触れられても同じだ。
たとえ感覚のない髪の毛でも、触れてくるのがコハニーであれば、私の体は逃げるのをやめてしまう。
「ひぃ、……も、むり、……あ、ああっ」
浅く痺れる場所を擦り、深く奥を突いて、そのままぐりぐりと奥深くを撫でるように、押し付けるように捏ねられると、頭がおかしくなりそうになる。
初めに感じていた違和感と異物感は、いつしか快感にすり替わり、お尻の中を掻き回されて、私は快感を覚えているのだと、恥ずかしさを覚えると同時に、相手がコハニーであることへの喜びで息がつまる。
かなり前から、周囲にある音は耳慣れない粘液質な水音と、二人ぶんの荒い呼吸と喘ぎ声のみになり、採光用の小窓の外に見えていた光もいつのまにか消えている。
暗闇の中にあるのはコハニーの赤紫の光が灯った瞳のみで、それはただひたすらに私へと注がれている。
眼差しだけで貪られるということが可能なら、きっと私は全てを彼に奪われている。
だから、体はもう限界だと悲鳴をあげているのに、私の心が彼に嫌だと伝えられない。
私の心が彼を拒否しないから、コハニーはやめないのだろう。
ずちゅずちゅと、お尻がおかしな音をたてることに慣れてしまった。
突かれるたびに苦しいのに、やめないで欲しいと思う。
「……こ、はにぃ……」
「んー?なぁにー?」
疲れきっている私は、満足に話すこともできないのに、コハニーの口調はほとんど変わらない。
呼吸が荒いことを除けば、姿は見えなくても元気なように聞こえる。
そしてずっと繋がっているせいで彼から、美味しい、お腹いっぱい、幸せ、もっと欲しい、ジェレのお腹に子種満たしたい、俺のもの、印つけたいなんて声がひっきりなしに聞こえてくるから、幸せすぎて苦しい。
「わたしのはんりょ、になってくれて、ありがとう」
喘ぎすぎて乾いた喉をいたわりながら、ゆっくりと言葉にしたら、ピタリとコハニーが止まってしまった。
何かおかしなことを言ったかな?と不安になったその時。
「ごめん、もう我慢できない、ジェレに俺の印つけるよ、良いよね?」
「え、な、なに?あ、ああ"っ、ひっあ、ぁあっ」
それまでずっとゆっくりと私の中を擦っていたコハニーが、一気に先端から根元までを突き刺して抜く大きな動きに変わり、お腹の中にある硬いものが、ゴリゴリと痺れる部分を擦っていく。
知らないうちに、コハニーの股間周辺の毛はべっとりと濡れていて、根元まで突き込まれるたびに、私の尻臀と当たってベチャッベチャッと音をたてる。
「あっ、あっ、ぁ、ああ"あ"っっ!!!!」
「でる、もう、おれのもんだ、じぇれっ」
目の前が真っ白になる直前、お腹の中でびくんびくんとコハニーのものが暴れたのを感じた。
◆
目が覚めたら薄暗い場所でうつ伏せに寝ていて、あれ、普段は仰向けで寝るのに、なんでうつ伏せなの?と思いつつ起き上がろうとして後悔した。
こ、腰、腰がっっ。
あとお尻もっ。
なにこれ、どうなってんの!?
痛いというよりも重い、だるい、麻痺してる。
これって明らかに使いすぎで、痛み止めと鎮痛用のプラスター剤が必要な状態じゃない?
鍛え始めた時に、いきなり運動しすぎて肉離れみたいになったことがあったけれど、あの時と同じだ。
つまり、ひどい筋肉痛になってるってこと?
なぜこんなことになっているのか、何があったのか、はすぐに思い出せた。
必要もないのに、思い出したくないことまで全部、しっかりと覚えている。
思い出せた記憶の最後の方は、お尻をコハニーに穿たれることが気持ちよくなりすぎて、泣きながら「キモヂイイィッ」って、押し倒した彼の上にまたがって、自分で腰を振ってるんですけど……。
自分のしたことで、ここまで後悔したのは、鍛えすぎてムキムキのマッチョになってる!?と気がついて以降、初めてかもしれない。
あああああぁ……どうしよう、どんな顔をしてコハニーに会えばいいのだろう。
きっと見た目がムキムキなおっさん間近で、中身が五十代?おばさん女の性欲強すぎ、ありえない、と引かれたに違いない。
自分があんなに快感に弱いなんて知らなかった。
途中までは恥ずかしくて、何もできなかったのに、どこからおかしくなったの?
まさか上に乗る、ううん、膝を立てたM字開脚状態でがっつり跨るとか、初めてだったのにスクワットみたいに腰振って、気持ちよくて絶叫しながら大泣きとか。
そんなつもりじゃなかったのに、あんな風になるなんて!!
うつ伏せのまま、ほとんど動くこともできずに、こぼれた涙だけが布に吸い込まれていく。
コハニーが来る前に逃げようかな、でも、もう伴侶になってしまったから、逃げたら追いかけてくる?
逃げるの?
いやだ、逃げたくない。
うわぁ、もう、どうしよう。
追いかけられたいとかじゃなくて、わたしがコハニーと離れるのが耐えられない。
昨日の今日で、伴侶にしなければよかったなんて思われてたら、生きていけない。
自分の至らなさを悔いて、力の入らない下半身におののいていると、室内に明かりが差しこんだ。
カツコツと床を踏む蹄の音がして、目の前に桃色の……え?間違いなく桃色だけど……。
「おはよージェレ」
…………って、あなたは、どこのどなたですか?
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