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勢いで初めてを食べられちゃった話 後
しおりを挟むううん、気持ちいい。
なんかすっげ、気持ちいい。
なんで……だっけ?
俺の人間社会生活での精神安定剤は美形観察だ。
これまで美形だなーと思って観察してた人間の男で大学生、菊入と酒を飲んだ。
鑑賞用に耐えうる美形はオツですなー、と整った美しい顔を見つめて酒を飲む時間は、幸福で至福で至高のひとときだった。
美味い酒と美形の取り合わせは、いついかなる時も最強だと思う。
いつかは俺も美形に変化できるようになるんだ、菊入の顔もお手本にしてやろう。
酔っ払ったーからのうち来る?でコンビニ寄って酒を買い、さらに二人で飲んで、寝ちまった菊入を確認。
風呂で盛り上がった俺が、仮想菊入を呼びながらズポズポアナオナってたら、そこに全裸の本人がご登場からの生ハメ、中出し、中イき、イき落ちのオンパレードを経験した。
気持ちよさで吹っ飛んでたから意識してなかったけど、中イきしだしてからの俺の魔羅は完全に萎え萎えで、メス扱いに大歓喜して大感謝御礼状態だった気がする。
最後とか、魔羅から何も出てなかったかもな。
あの最後のズンドコドコドコドッパーン!が噂に聞いたメスイきってやつなのか?
……うん、そんで、イき落ちして、復活した。
今ここ!
「グゥ、ファーっ!!」
「うわっ」
「ふぎゃんっ」
飛び起きようとして、まだ尻に菊入の魔羅がずっぷり刺さってることに気がついた。
まさかのバイブじゃないよな?
「マミちゃん、ステイ!」
「俺は犬じゃねえわ!!」
反射的に言ってから、気が付く。
あちゃー、俺ってば化け狸に戻ってやんの。
鉤爪の生えた手でツッコミ入れたら、菊入が怪我をしそうなのでやめておく。
……ンンンン?
色々とおかしくねえか?
風呂の中で意識を取り戻したなら、ほとんど時間経ってないのかって思うけど、ここは部屋の中だ。
寒くないから、体は拭かれて乾かされた後らしい。
もしかして、まだするつもりなのか?
どっからどう見ても狸の俺と?
したいのか?
「なんで、ケツに入ってんの?」
「んー、なんとなく?」
なんとなくで、意識のない狸の菊門に魔羅を根元まで入れておくなよ。
ケツに菊入の体温を感じるから、体が密着してるのは間違いない。
ここで失言したらまずいような気がするな、と内心で色々言ってる俺に気がついたのか、体に菊入の手がかけられる。
全身毛むくじゃらで顔は狸顔、むしろ普通に全身が狸なんだけど。
化け狸は二足歩行ができるから、本物の狸とは違うけどよ。
そんな俺の尻に、どうして勃った状態で入れられたのか。
まさか病気で勃ちっぱなし、なんてことはないよな。
獣姦したい変態なのか、菊入。
いやいや、そこも大事だけど、今の俺が一番心配すべきことは違う。
化け狸としては若輩者の俺は、人の姿に変化している時の方が体が大きい。
つまり。
「アヒャんっ」
「熱くてきつくて気持ちいい」
「やめろうごくなおかしくなるぅっ」
菊入がローションを足したのか、ぬるぬるになってるのは感じるのに、尻の中に菊入の魔羅がみっちり詰まっていて、ちょっと動かれるだけですっごくびりっびりする。
軽くイく感覚が連続して、体がびくびく動いてしまう。
いつも人の姿に変化してオナってたから、人の姿の初めてと化け狸姿の初めて、両方を菊入に喰われたっ。
「中が動いてるよ、イってる?」
「イってない!」
「マミちゃん?」
「うぅ、イってる、ずっとイってるよぉっ、クゥンっ、きもちいーよぉ、ぐりぐりやめれっ」
菊入のは言葉責めなんて高等プレイじゃない。
ただの確認だ。
うううあああ、こんなことになるなら、変な話するんじゃなかった!!
俺がこんな恥ずかしい目にあってる原因に、菊入が振られた理由が関係してくる。
……そいつは、男、いや全世界のオスが立ち直れなくなるぐらい、キツいもんだった。
初めてセックスさせてくれた彼女に「倖くんなら上手いと思ったのに、痛いだけだったからもうえっちしたくない、別れましょ」って言われたらしい。
お前、百戦錬磨じゃねえのかよ。
俺が明らかな失言を口にする前に、菊入は無の表情で答えた。
「高校までは実家暮らしで祖母と母がいるからできない、家庭の事情で外泊できなくて、車もないから遠くは無理、ラブホに歩いて入るの嫌だって言われるとどうしようもなかったんだよ」
菊入は経験がなかったらしい。
童貞と処女が揃うと、気持ち良くなるまでのハードルが高すぎるな。
菊入いわく、これまでに何人も告白されて付き合ってきたけど「大事にしてくれるのね」って言われるのは初めだけ。
最後には「わたしに興味ないんでしょ!」って別れることを繰り返し。
大学生になってからも、見た目が人並み以上に良いことが原因で、安っぽいありきたりなセックスはしないはず、と期待された結果。
顔は良いのにエッチは下手、と一方的に評価されたってわけだ。
うわー、俺だったら山に帰って引きこもるぞ!
その彼女、ヤってる最中には「あん、あん」言ってて、気持ち良くしてあげられてる、と菊入は思ってたらしい。
それなのに、ヤること終わったら、ちゃぶ台ひっくり返すくらいの勢いで振ってきた。
女怖い、人間の女怖いよ!
化け狸のメスも怖いけど!
それで、男としての自信を喪失してしまった菊入に、酔っ払った俺が「俺なら痛い時は痛い、気持ちいい時はいいって言うのに」って言った。
言っちまったんだ。
俺の借りてるアパートで二次会した後を思い出せー。
菊入が寝たから俺もスッキリしてから寝よー、と風呂でアナオナってる所にご本人が乱入。
硬直する俺に「オレの名前呼ぶとかずるい、さっきの話が本当か試させて」とか言って、ずっぷし。
妄想で盛り上がってた俺も「うん、生魔羅最高!」って……うわ、だめだわこれ。
前言撤回するには遅すぎる!!
でもよ、初エッチで女の子に振られたからって、即効で男に乗り換えできるもんなのか?
人間の感性はよく知らないけどよ。
「ウゥッっキクちゃん、きついぃおっきぃいっきもちぃいいいっっ」
「中がすごいうねってキュッキュッて動いてるけど、イってる?」
「うん、うんっ、きもひいいのっっ!」
今の俺は、狸の姿なのにぃ。
いくら化け狸でノーマルアニマルな狸よりも体がでかいって言っても、大人になったばっかりの俺は人間の子供くらいの大きさだ。
人間の成人男性の魔羅を尻に受け入れるのは苦しい。
苦しいのに気持ちいいとか、俺ったら本当に化け狸だよ。
エロいこと好き、気持ちいいの好き。
化け狸はドM説は本当かも。
なんで菊入は狸の姿に萎えないんだ。
「あー出る」
「だめ、だめ、なかだめっ」
もっさもさの冬毛の塊になってる俺の体をがっしりと抱え込むように、がむしゃらに腰を前後に振る菊入の動きは、確かに童貞くさくて。
それがイく直前になると、さらに動物っぽくガツガツ腰を振られるのがたまらない。
動物らしく後ろからめちゃくちゃに突かれんのが、きもちーよー。
「~~~っぁあっ」
「でてる、ひぅ、キュィイッ、ふぁぁあ」
二人で一緒にイくとか、処女喪失したばっかりの化け狸には無理だ。
ふあー終わった、終わったぁ、本物のセックスってめちゃくちゃ疲れるんだな。
生魔羅は最高だけど、生物相手は自分のペースじゃないから翻弄されすぎて、もうクッタクタだ。
んー?
自分のペースじゃないからイき落ちすんの?
「……って、なあ、なんか、まだデカくね?」
「うん、おさまらないから付き合って」
「や、いや、それは無理、体がもたない」
「本当に?」
「……」
「マミちゃん?」
「気持ちよくて気絶すんの怖いもん」
「それじゃ気絶しないように気をつけるね」
「……うん」
うん、じゃねえよ俺。
結局この後、俺は狸姿のままイき落ちしてしまって、気がついたら朝で腹を下した。
腹が痛すぎて死ぬかと思った。
この時の俺は、まだ知らない。
俺の獣で妖としての本能が、がっついたオスらしさを見せた菊入を受け入れてしまったことで、番の判定を出してるってことを。
化け狸の習性として、番ができたら、ひたすらに相手を求めてしまうことを。
オナニーだけで解消できない欲求不満を抱えた俺が、菊入のいる講義室に乱入して誘拐して、そのまま子作り期に入ってしまうのは、もう少し先のことだ。
すったもんだなんやかんやあって、はれて番になった、かもしれない、多分そう、な俺たちだけど。
これって、本当に番なのか?
子供作る関係が番なら、相手はメスじゃないとだめなはず。
でも俺は、菊入の魔羅が好きだ。
大好きだ。
めっちゃくちゃ好きだ。
抱きしめて寝たいくらい好きだ。
一日中がじがじしたいくらい好きだ。
菊入の魔羅を一日中ぺろぺろしてちゅうちゅうして、なでなでしてモミモミしてさすさすして愛でたい。
尻の中に突っ込んで気持ちよくなりたい。
これって、番に対する反応だよな。
あーなるほど、俺の番は菊入の魔羅なのか!
そうなると菊入の本体は魔羅ってことだ。
「マミ、なんか変なこと考えてるよね?」
「え、そんなこと、あ、クゥンっ、そこ、ぐりぐり好き、キクちゃん好きぃっ」
「マミが好きなのはオレだよ、いい?」
「うん、うんすき、キクちゃんすきっ」
経験を積んだ菊入は上手くなった。
美形を見ながらのイき落ちサイコー。
初めての夜から中イきさせられてたのに、今ではもうわけわからんくらいイかされるようになった。
中でイかされる事を覚えてしまったからなのか、最近は俺の魔羅の勃ちが悪い。
菊入の手の中なら精液垂らして嬉し泣きするくせに、自分で触った時の反応が悪い。
……俺さー、なんか、メスになってないか?
一人前の化け狸から遠ざかってるような気がするのは、気のせいなのか?
俺たちの子作りは順調だ。
男とオスだから、子供はできないけど、本能が子作りだって認めてる。
幸せだ。
いつも人の姿で子作りを初めるのに、イきすぎると変化がとけてしまって化け狸の姿に戻ってしまう。
なぜか、狸に戻った俺をパンパンする菊入は笑顔だ。
幸せだ。
なんでこんなに幸せなんだ?
「こんなに(天然でうっかりで)可愛い恋人を放っておけないよ」
狸の俺を持ち上げて、気持ちいい場所をいっぱいぐりぐりしてくれる優しい美形の菊入は、人間基準でも俺の恋人らしい。
「キクしゃんすき、すきぃ」
「ありがとう、オレもマミが好きだよ」
こねられ続けてぐぽぐぽと音させてる菊門が気持ちいい。
ドロドロなのに動く隙間もないほど満たされた中は、ぬるぬるでもきつくて、こすられるとすっごいぞくぞくする。
「クゥ、キュゥっイくイく、イくぅ」
「可愛いな、イきながら甘えてんの?」
「うん、うんキクしゃん、キュウックゥンっ」
人間社会に紛れて力をつけ、大妖って呼ばれるまで成り上がることにした俺に、番ができる日がくるなんてな。
菊入の魔羅は俺の番だ、大事にしよう。
……菊入、なんで、胡散臭い良い笑顔なんだ?
菊門が、すっごく期待でキュンキュンするんだけど。
え、これって本能?
了
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