朝目が覚めたとき、私は魔女でした

宮原翔太

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第1章 魔女アリーシャの誕生、そして旅たち

第4話 転生者だと疑わない理由

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「もう、そんなこというなら、夜のトイレも朝の歯磨きも、二度と一緒についていってあげないんだから」
「ごめんごめん」
 乙葉のあまりの迫力に、苦笑しながら柚子が謝った。
「私が悪かったわよ。もう言わないから許して、お姉さま」
「ふんだ、もう知らないわよーだ」
 乙葉は胸の前で腕を組んで、外方を向いた。
 柚子と乙葉の二人が、そうやって一悶着ひともんちゃくを起こしている間に、京一は一人で考えるように、台の上をじっと見つめながら、
「どうやら、ボタンの上に貼ってあった説明書きが、何者かにすべてはがされているようだ」と言った。
「え? それ本当ですか?」
 となりに立っていた久遠が、おどろいたように言った。
「ああ、よく見てみろよ。シールをきれいにはがすのに失敗したら、まだらに白く残るだろ? それがボタンの上にある」
 久遠は京一に言われたとおり台の上を見ると、いくつかのボタンの上に、白くて汚いシールのはがし跡があるのを見つけ、
「本当だ」と、言った。
「ジェットコースターだけですか?」
「いや、ほかの乗り物も全部そうだった。でも、ジェットコースターよりかはボタンが少なかったし、操作も単純だったから、別にそこまで気にしてなかったんだが、今回はすこし厄介だな」
 思慮深しりょぶかげに京一が言った。
「そうですか……」
 久遠はうつむいた。
「なら、メリーゴーランドの時みたいにさ、とりあえず押してみたらいいんじゃない?」
 意気揚々いきようようと乙葉が言った。
「いや、下手にさわるのもあまりよくない。なにせこの遊園地のことだ。ボタンを押したら爆発する、なんてことも十分にありえる」
 真剣な表情で、京一が言った。
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