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絞り椿となりて永遠に咲く
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連絡を受けた周がすぐに合流しようと言ってくれたのは有り難かった。――が、直後に紫月以下、全員が蒼白となる事態にぶち当たるとは思いもよらなかった。GPSの位置を聞いた周から、そこは今夜爆破による解体が行われる倉庫街だと知らされたからだ。周の方でもその解体の様子を気に掛けていて、告知時刻の深夜〇時までは起きているつもりだったそうだ。
「クソ……ッ、嵌められた! 敵はカネを爆破解体に便乗して葬るつもりかも知れん!」
周はすぐさま現場に駆け付けると言ってくれた。
「一之宮! 今どこを走ってる!?」
「い……今ちょうど昭和島のジャンクションのとこ!」
「高速か――! 分かった! では俺の方が早いだろう。源次郎さんは一緒だな?」
「うん、ここにいる!」
「替わってくれ!」
周は源次郎に通話を替わらせると、爆破解体を担っている各社の連絡先を告げた。
「もう時間がない! 解体は遠隔操作で行われるとある! 今から爆破を止められるかは五分五分ですが……とにかく連絡を頼みます! 俺は李たちと現場へ向かいます! どこの誰か知らねえが、爆破解体に乗じてカネを始末しようと企んでるとすれば、カネがGPSの場所にいる可能性は高い!」
「……ッ! 承知しました。私は解体を取り止めてもらえるよう至急各社に取り合います!」
「頼みます!」
電話口の周は既に彼の邸の駐車場へ向かってくれているのだろう、荒く乱れた吐息が駆け足で移動しながらの様子を物語っている。
「姐さん! 周さんの予測が当たっているとして、現場に敵がいる可能性は低うございますが――」
念の為、武器をと手渡された。
組を出る際に敵との対峙を予想して日本刀や銃器類を持参してきた。だが、確かに爆破に巻き込むつもりでいるなら敵は既にその場にいない可能性の方が高い。
「ってことは……遼と剛ちゃんは拘束されてるか、あるいは気を失ってるか……」
既に殺されているのでは――ということが脳裏を過ったが、今はうろたえている場合ではない。
(そうだよ……。そうだ……、遼がそう簡単に殺られるわけがねえ。生きてる! きっと生きて無事でいる――!)
仮に最悪の事態だとしても、警察が介入して爆破後の遺体を調べられれば他殺か事故かは割れるだろう。敵とて事故に見せ掛けて始末する方法を選ぶはずである。とすれば、わざわざ事前に手を下してしまうよりも爆破に巻き込まれて亡くなったとする方が敵にとっては都合がいいはずだ。二人は拘束されて動けないか、あるいは眠らされている可能性の方が高いだろう。とすれば、生きて自分たちの助けを待っているはずだ――!
次第にバクバクとし出す心臓を抑えるように拳を握り締めながら、紫月はそう自分に言い聞かせた。
「クソ……ッ、嵌められた! 敵はカネを爆破解体に便乗して葬るつもりかも知れん!」
周はすぐさま現場に駆け付けると言ってくれた。
「一之宮! 今どこを走ってる!?」
「い……今ちょうど昭和島のジャンクションのとこ!」
「高速か――! 分かった! では俺の方が早いだろう。源次郎さんは一緒だな?」
「うん、ここにいる!」
「替わってくれ!」
周は源次郎に通話を替わらせると、爆破解体を担っている各社の連絡先を告げた。
「もう時間がない! 解体は遠隔操作で行われるとある! 今から爆破を止められるかは五分五分ですが……とにかく連絡を頼みます! 俺は李たちと現場へ向かいます! どこの誰か知らねえが、爆破解体に乗じてカネを始末しようと企んでるとすれば、カネがGPSの場所にいる可能性は高い!」
「……ッ! 承知しました。私は解体を取り止めてもらえるよう至急各社に取り合います!」
「頼みます!」
電話口の周は既に彼の邸の駐車場へ向かってくれているのだろう、荒く乱れた吐息が駆け足で移動しながらの様子を物語っている。
「姐さん! 周さんの予測が当たっているとして、現場に敵がいる可能性は低うございますが――」
念の為、武器をと手渡された。
組を出る際に敵との対峙を予想して日本刀や銃器類を持参してきた。だが、確かに爆破に巻き込むつもりでいるなら敵は既にその場にいない可能性の方が高い。
「ってことは……遼と剛ちゃんは拘束されてるか、あるいは気を失ってるか……」
既に殺されているのでは――ということが脳裏を過ったが、今はうろたえている場合ではない。
(そうだよ……。そうだ……、遼がそう簡単に殺られるわけがねえ。生きてる! きっと生きて無事でいる――!)
仮に最悪の事態だとしても、警察が介入して爆破後の遺体を調べられれば他殺か事故かは割れるだろう。敵とて事故に見せ掛けて始末する方法を選ぶはずである。とすれば、わざわざ事前に手を下してしまうよりも爆破に巻き込まれて亡くなったとする方が敵にとっては都合がいいはずだ。二人は拘束されて動けないか、あるいは眠らされている可能性の方が高いだろう。とすれば、生きて自分たちの助けを待っているはずだ――!
次第にバクバクとし出す心臓を抑えるように拳を握り締めながら、紫月はそう自分に言い聞かせた。
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