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身勝手な愛
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「白龍……白龍……! 俺だってそう……! 白龍が……あなたがいたからこそ俺は道に迷わずに生きてこられたの。幼いあの日に両親を亡くして……黄のじいちゃんに育ててもらったことももちろん感謝でいっぱい! でも俺はいつかあなたにもう一度会いたいっていう思いが生きる糧だったから――」
「冰――」
「大好き。大好き、白龍……! ずっと側にいて。ずっとずっと……ずーっと永遠に側にいて――!」
「ああ。もちろんだ。側にいる。離さない――何があっても――!」
誰かを愛し愛されるという気持ちがどれほど尊く幸せなことかということを、今互いの目の前にいるこの人が教えてくれた。
それと同時に、様々運命に翻弄されながらも、それを悔やむのではなく受け入れて、誰もが誰かの手助けによって生かされているのだという事実と向き合う。そんな大きな心を持てる人間になりたい。
実母のあゆみ、継母の香蘭、そして兄の周風、彼らのように互いを思いやり、決して嘆くことなく不幸せを幸せに変えてしまえるような広い心を養っていきたい。
そんな思いのままに、二人は互いを慈しみ、幸せに震える心を抱き締めながら愛し合った。
夜が白々とするまで長く長く、時間を掛けて心のまま本能のまま、愛し合ったのだった。
◇ ◇ ◇
そして次の日、早速に鉱山へと送られることになった郭芳を見送るべく、冰は周と共に彼と面会した。
「郭芳さん、向こうにはロンさんっていうとても頼りになる方がいますから。くれぐれも身体に気をつけてお過ごしくださいね。僕らもまた年に幾度かは鉱山にお伺いさせていただく機会があろうと思いますが、その節はお互い元気でお目に掛かれるのを楽しみにしています」
冰にあたたかい言葉を掛けられて、郭芳は涙した。
「ありがとうございます姐さん! 私も心を入れ替えて……今度こそ一生懸命、地道に生きて参る所存です」
そんな彼に周からも情けのある言葉が贈られる。
「郭芳、達者でな。鉱山での生活は決して楽なことではないと思うが、冰の言ったようにロンという頼りになる男もいる。困ったことがあったらヤツに相談して自分一人で何でも抱え込もうとするな。仕事がきつくてしんどい時は、一人で思い悩む前に連絡して来い。愚痴くらいならいつでも聞いてやる」
そう言った周に、郭芳は堪え切れずか両の手で顔を覆って泣き崩れてしまった。
老板、姐さん、ありがとうございます。
今度こそ――生まれ変わるつもりで精一杯生きてみます!
涙で上手くは言葉にならないながらも郭芳はそう言って、鉱山へ向かう車に揺られて行った。その車窓から何度も何度も頭を下げては、周らの姿が見えなくなるまで涙を拭いながら心に刻み付け、新たな人生へと旅立っていったのだった。
「さて――と。では俺たちもそろそろ行くとするか」
汐留を出てから丸一週間、思えばひどく長いようでもあり、あっという間だったようにも思う。
「今頃汐留では劉が一人でてんやわんやしているだろうからな」
李までこちらに取られてしまって、劉が重責を負って四苦八苦している姿が目に浮かぶ。
「劉さんにはたくさん労いのお土産を買っていって差しあげなきゃね!」
相変わらずに思いやりの気持ちを欠かさない。そんな嫁を心から愛しく思う周であった。
「冰――」
「大好き。大好き、白龍……! ずっと側にいて。ずっとずっと……ずーっと永遠に側にいて――!」
「ああ。もちろんだ。側にいる。離さない――何があっても――!」
誰かを愛し愛されるという気持ちがどれほど尊く幸せなことかということを、今互いの目の前にいるこの人が教えてくれた。
それと同時に、様々運命に翻弄されながらも、それを悔やむのではなく受け入れて、誰もが誰かの手助けによって生かされているのだという事実と向き合う。そんな大きな心を持てる人間になりたい。
実母のあゆみ、継母の香蘭、そして兄の周風、彼らのように互いを思いやり、決して嘆くことなく不幸せを幸せに変えてしまえるような広い心を養っていきたい。
そんな思いのままに、二人は互いを慈しみ、幸せに震える心を抱き締めながら愛し合った。
夜が白々とするまで長く長く、時間を掛けて心のまま本能のまま、愛し合ったのだった。
◇ ◇ ◇
そして次の日、早速に鉱山へと送られることになった郭芳を見送るべく、冰は周と共に彼と面会した。
「郭芳さん、向こうにはロンさんっていうとても頼りになる方がいますから。くれぐれも身体に気をつけてお過ごしくださいね。僕らもまた年に幾度かは鉱山にお伺いさせていただく機会があろうと思いますが、その節はお互い元気でお目に掛かれるのを楽しみにしています」
冰にあたたかい言葉を掛けられて、郭芳は涙した。
「ありがとうございます姐さん! 私も心を入れ替えて……今度こそ一生懸命、地道に生きて参る所存です」
そんな彼に周からも情けのある言葉が贈られる。
「郭芳、達者でな。鉱山での生活は決して楽なことではないと思うが、冰の言ったようにロンという頼りになる男もいる。困ったことがあったらヤツに相談して自分一人で何でも抱え込もうとするな。仕事がきつくてしんどい時は、一人で思い悩む前に連絡して来い。愚痴くらいならいつでも聞いてやる」
そう言った周に、郭芳は堪え切れずか両の手で顔を覆って泣き崩れてしまった。
老板、姐さん、ありがとうございます。
今度こそ――生まれ変わるつもりで精一杯生きてみます!
涙で上手くは言葉にならないながらも郭芳はそう言って、鉱山へ向かう車に揺られて行った。その車窓から何度も何度も頭を下げては、周らの姿が見えなくなるまで涙を拭いながら心に刻み付け、新たな人生へと旅立っていったのだった。
「さて――と。では俺たちもそろそろ行くとするか」
汐留を出てから丸一週間、思えばひどく長いようでもあり、あっという間だったようにも思う。
「今頃汐留では劉が一人でてんやわんやしているだろうからな」
李までこちらに取られてしまって、劉が重責を負って四苦八苦している姿が目に浮かぶ。
「劉さんにはたくさん労いのお土産を買っていって差しあげなきゃね!」
相変わらずに思いやりの気持ちを欠かさない。そんな嫁を心から愛しく思う周であった。
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