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身勝手な愛
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「老板、冰さんはどのようにして行方が分からなくなられたのです?」
「ああ……俺たちはカネと一之宮、それに源次郎氏と五人で重鎮方の立ち回りそうな店に聞き込みに回っていたんだ。その途中、繁華街のレストランで食事をとり、俺が会計をしている間に居なくなったんだ。最初は厠にでも行ったのかと思って捜したんだが一向に行方が掴めねえ」
そこですぐさま拉致を疑い、源次郎が冰のスマートフォンとGPS付きの腕時計を探査に掛けたが反応が出ないということだった。
「周囲の防犯カメラを当たったが、いかんせん人の往来が激しい繁華街だ。それらしい人物の動きは見当たらなかった。もしかしたらカメラのない裏口か何かを使って連れ去られたのかも知れん」
だがファミリー内では重鎮方の捜索で手一杯の中、冰のことで人手を割いてもらうには周の立場を考えると非常に辛いところだ。李が来てくれて助かったというのが実のところのようだった。
「とにかく――手掛かりが皆無の今だ。冰の腕時計にあるGPSが効かないことからして、拉致犯は素人じゃねえだろう。おそらくは身に付けている物をすべて物色して、GPSが仕込まれていそうな物を潰したと考えられる。李さんの言うように、重鎮方と冰を拐ったのが郭芳という男だと仮定して動いてみるのも有りだと思う」
鐘崎は出来ることから手を付けるしかなかろうと、源次郎と共に郭芳が潜伏しそうな場所をしらみ潰しに当たっていこうと言った。
「私の調べた限りでは郭芳はこの香港から出てはいないと思われます。ヤツは金銭的にも左程自由が効く様子でもありませんでしたし、重鎮方六人を抱えてしけ込むとすれば――繁華街の空きビルか、あるいは港周辺にある廃倉庫、もしくは山中の空き別荘などに転がり込んでいると考えられますが……」
李が地図を広げながら言う。
「それから――これは私の想像に過ぎませんが、もしも郭芳が焔老板をトップに押し上げたいというだけの目的ではなく……老板に恋情のようなものを抱いていると考えれば、冰さんを邪魔に思っての行動とも言えるのではないかと――」
その意見に周はもちろんのこと、鐘崎らも驚いたように互いを見合わせた。
「郭芳って野郎が氷川に恋情を抱いていると――? 李さん、この前ヤツに会った時にそんな感じを受けたのか?」
鐘崎が訊く。
「ああ……俺たちはカネと一之宮、それに源次郎氏と五人で重鎮方の立ち回りそうな店に聞き込みに回っていたんだ。その途中、繁華街のレストランで食事をとり、俺が会計をしている間に居なくなったんだ。最初は厠にでも行ったのかと思って捜したんだが一向に行方が掴めねえ」
そこですぐさま拉致を疑い、源次郎が冰のスマートフォンとGPS付きの腕時計を探査に掛けたが反応が出ないということだった。
「周囲の防犯カメラを当たったが、いかんせん人の往来が激しい繁華街だ。それらしい人物の動きは見当たらなかった。もしかしたらカメラのない裏口か何かを使って連れ去られたのかも知れん」
だがファミリー内では重鎮方の捜索で手一杯の中、冰のことで人手を割いてもらうには周の立場を考えると非常に辛いところだ。李が来てくれて助かったというのが実のところのようだった。
「とにかく――手掛かりが皆無の今だ。冰の腕時計にあるGPSが効かないことからして、拉致犯は素人じゃねえだろう。おそらくは身に付けている物をすべて物色して、GPSが仕込まれていそうな物を潰したと考えられる。李さんの言うように、重鎮方と冰を拐ったのが郭芳という男だと仮定して動いてみるのも有りだと思う」
鐘崎は出来ることから手を付けるしかなかろうと、源次郎と共に郭芳が潜伏しそうな場所をしらみ潰しに当たっていこうと言った。
「私の調べた限りでは郭芳はこの香港から出てはいないと思われます。ヤツは金銭的にも左程自由が効く様子でもありませんでしたし、重鎮方六人を抱えてしけ込むとすれば――繁華街の空きビルか、あるいは港周辺にある廃倉庫、もしくは山中の空き別荘などに転がり込んでいると考えられますが……」
李が地図を広げながら言う。
「それから――これは私の想像に過ぎませんが、もしも郭芳が焔老板をトップに押し上げたいというだけの目的ではなく……老板に恋情のようなものを抱いていると考えれば、冰さんを邪魔に思っての行動とも言えるのではないかと――」
その意見に周はもちろんのこと、鐘崎らも驚いたように互いを見合わせた。
「郭芳って野郎が氷川に恋情を抱いていると――? 李さん、この前ヤツに会った時にそんな感じを受けたのか?」
鐘崎が訊く。
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