841 / 1,212
紅椿白椿
3
しおりを挟む
(おいおいおい……待て待て待て……ッ! ヤったって何よ……? 何ヤったってんだよ)
寝乱れた寝具、ハダけた着物――思わず邪な想像がボワっと頭を占領して、男はますます縁側の二人に釘付けにさせられてしまった。
そんなことは露知らずの彼らは、更に心拍数を上げるような会話を繰り広げていく。
「……ったく、おめえときたら相変わらずなんだからよぉ」
「仕方ねえだろ。俺ァいつでもこうしてたいんだ。てめえで言うのもナンだが、四六時中くっ付いていたいんだ」
「はは、しょーもねえ旦那だな」
「そう邪険にしてくれるな。愛してるんだ」
「バッカ、遼」
口では詰りながらも嬉しそうに頬を染める。後ろから抱き包まれた身体を何とかよじりながら、男は湯気の立つティーカップに口をつけた。
「んー、美味ッ! いい香りなぁ」
「濃さはそんくれえで良かったか?」
「うん、濃さも甘さもドンピシャ! おめえが淹れてくれたと思うと尚更美味く感じるね」
「嬉しいことを言ってくれる。またエロライオンになりそうだ」
「あー、はいはい。ライオンもなぁ、サカる為にはちゃんと栄養補給しねえとな?」
華奢な方の男が軽く受け流して笑う。
「ほれ、ひと口どうだ? 美味えぜ」
「ん、そんじゃもらおうか。ひと口くれえなら悪くない」
「そうそ! 何せ体力使った後だからな。糖分の補給は大事だぜ?」
そう言って自身を抱き包んでいる男の口にフォークですくったケーキを持っていく。
(ぐわぁー! 待て待て待ってくれ……! サカるって何!? 体力使ったって……いったい何に使ったわけ!? ライオンって雄同士で交尾する生き物だったっけ? ――てか交尾!? まさか交尾したの? マジで……?)
頭の中をクエスチョンマークがグルグルと飛び交って唖然状態――。目の前の男たちが途端に荒野で睦み合うライオンに思えてきて、植え込みの陰で男はゴシゴシと目を擦ってしまった。
目の前の彼らは相変わらずだ。差し出されたケーキをパクっとひと口で含みながら、ますますギュウギュウと腕の中の存在を抱き締めている。スリスリと愛しそうに頬擦りする仕草はまるで恋人か結婚したての若夫婦といった雰囲気だ。
寝乱れた寝具、ハダけた着物――思わず邪な想像がボワっと頭を占領して、男はますます縁側の二人に釘付けにさせられてしまった。
そんなことは露知らずの彼らは、更に心拍数を上げるような会話を繰り広げていく。
「……ったく、おめえときたら相変わらずなんだからよぉ」
「仕方ねえだろ。俺ァいつでもこうしてたいんだ。てめえで言うのもナンだが、四六時中くっ付いていたいんだ」
「はは、しょーもねえ旦那だな」
「そう邪険にしてくれるな。愛してるんだ」
「バッカ、遼」
口では詰りながらも嬉しそうに頬を染める。後ろから抱き包まれた身体を何とかよじりながら、男は湯気の立つティーカップに口をつけた。
「んー、美味ッ! いい香りなぁ」
「濃さはそんくれえで良かったか?」
「うん、濃さも甘さもドンピシャ! おめえが淹れてくれたと思うと尚更美味く感じるね」
「嬉しいことを言ってくれる。またエロライオンになりそうだ」
「あー、はいはい。ライオンもなぁ、サカる為にはちゃんと栄養補給しねえとな?」
華奢な方の男が軽く受け流して笑う。
「ほれ、ひと口どうだ? 美味えぜ」
「ん、そんじゃもらおうか。ひと口くれえなら悪くない」
「そうそ! 何せ体力使った後だからな。糖分の補給は大事だぜ?」
そう言って自身を抱き包んでいる男の口にフォークですくったケーキを持っていく。
(ぐわぁー! 待て待て待ってくれ……! サカるって何!? 体力使ったって……いったい何に使ったわけ!? ライオンって雄同士で交尾する生き物だったっけ? ――てか交尾!? まさか交尾したの? マジで……?)
頭の中をクエスチョンマークがグルグルと飛び交って唖然状態――。目の前の男たちが途端に荒野で睦み合うライオンに思えてきて、植え込みの陰で男はゴシゴシと目を擦ってしまった。
目の前の彼らは相変わらずだ。差し出されたケーキをパクっとひと口で含みながら、ますますギュウギュウと腕の中の存在を抱き締めている。スリスリと愛しそうに頬擦りする仕草はまるで恋人か結婚したての若夫婦といった雰囲気だ。
13
お気に入りに追加
876
あなたにおすすめの小説




見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています

嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
【完結】小学生に転生した元ヤン教師、犬猿の仲だった元同僚と恋をする。
めんつゆ
BL
嫌われていると思っていたのに。
「どうやらこいつは俺の前世が好きだったらしい」
真面目教師×生意気小学生(アラサー)
ーーーーー
勤務態度最悪のアラサー教師、 木下 索也。
そんな彼の天敵は後輩の熱血真面目教師、 平原 桜太郎。
小言がうるさい後輩を鬱陶しく思う索也だったが……。
ある日、小学生に転生し 桜太郎学級の児童となる。
「……まさか、木下先生のこと好きだった?」
そこで桜太郎の秘めた想いを知り……。
真面目教師×生意気小学生(中身アラサー)の 痛快ピュアラブコメディー。
最初はぶつかり合っていた2人が、様々なトラブルを乗り越えてゆっくりと心通わせる経過をお楽しみいただけると幸いです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる