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幸せのクリスマス・ベル
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「ではお店はもしかしていつもの宝飾店で?」
「そうそう! あそこは革小物とかも扱ってるしさ。好みに合わせてオーダーも受けてもらえるから、それこそオリジナルっつか、世界にたったひとつっていうデザインの物にもできるし」
その宝飾店というのは、以前に新店舗がオープンした際に襲撃事件のあったところである。あの時は紫月らも周と鐘崎と一緒にオープニングレセプションへ呼ばれていたし、すぐに加勢する体制が敷けたわけだ。ちょうど昨年の今頃のことだった。
「そういやあれからもう一年かぁ。早えなぁ」
去年のクリスマスはその事件の直後だったこともあり、共に解決に奔走してくれたクラブ・フォレストの里恵子らも交えて汐留の周邸でパーティを行ったものだ。その際に旦那衆二人から豪華なクリスマスプレートを贈られたわけだが、それも例の宝飾店で選んでくれた物だった。
「今日行くのは銀座にある本店の方な!」
事件があったのは丸の内にオープンした店舗の方だったが、その時の支配人が本店へと栄転してきているらしい。当時、彼がすぐに鐘崎組に助力を依頼したお陰で、一人の負傷者も出さず解決に導いた功績を買われてのことだったそうだ。
そうして店に着くと、すぐにその支配人が出てきて応対してくれた。
「鐘崎様、周様! その節はたいへんお世話になりました! あの後もご主人様方にもたいへんご贔屓にしていただいて」
支配人もよく覚えていてくれて、手厚い対応で迎えてくれる。紫月も冰も既に入籍しているので、鐘崎様、周様と呼ばれて当然なのだが、冰などはすっかり頬を赤らめて恥ずかしそうにしている。しかも今日はその周とは別行動なので、こうして外で改めて『周様』と呼ばれることにドキドキしてしまうらしい。
「ん? どした冰君? 顔真っ赤にして」
紫月が首を傾げると、冰はますます頬を朱に染めながら何とも可愛らしいことを口走ってみせた。
「ええ、その……俺も”周”なんだなって思ったら……すごく嬉しいというか、幸せで……。信じられないくらいだなぁって思って」
モジモジと照れている仕草が微笑ましくて、紫月も源次郎も思わず破顔するほど笑みを誘われてしまった。
思えばつい先日まで周の記憶喪失という一大事を懸命に支えてきたこの冰だ。無事に記憶も戻った今、改めて平穏な幸せを噛み締めているのだろう。周姓であることをこんなにも喜んでいる姿は本当に健気で可愛らしく、見ているだけで紫月らも心温まる思いに満たされるのだった。
もしも周がここにいてこんな姿を見たら、それこそ大感激するだろう。今この場にいないのが残念に思えるほどだった。
(こりゃあ後で氷川へのいい土産話になりそうだな!)
紫月はそんな想像をしながら心温めるのだった。
「そうそう! あそこは革小物とかも扱ってるしさ。好みに合わせてオーダーも受けてもらえるから、それこそオリジナルっつか、世界にたったひとつっていうデザインの物にもできるし」
その宝飾店というのは、以前に新店舗がオープンした際に襲撃事件のあったところである。あの時は紫月らも周と鐘崎と一緒にオープニングレセプションへ呼ばれていたし、すぐに加勢する体制が敷けたわけだ。ちょうど昨年の今頃のことだった。
「そういやあれからもう一年かぁ。早えなぁ」
去年のクリスマスはその事件の直後だったこともあり、共に解決に奔走してくれたクラブ・フォレストの里恵子らも交えて汐留の周邸でパーティを行ったものだ。その際に旦那衆二人から豪華なクリスマスプレートを贈られたわけだが、それも例の宝飾店で選んでくれた物だった。
「今日行くのは銀座にある本店の方な!」
事件があったのは丸の内にオープンした店舗の方だったが、その時の支配人が本店へと栄転してきているらしい。当時、彼がすぐに鐘崎組に助力を依頼したお陰で、一人の負傷者も出さず解決に導いた功績を買われてのことだったそうだ。
そうして店に着くと、すぐにその支配人が出てきて応対してくれた。
「鐘崎様、周様! その節はたいへんお世話になりました! あの後もご主人様方にもたいへんご贔屓にしていただいて」
支配人もよく覚えていてくれて、手厚い対応で迎えてくれる。紫月も冰も既に入籍しているので、鐘崎様、周様と呼ばれて当然なのだが、冰などはすっかり頬を赤らめて恥ずかしそうにしている。しかも今日はその周とは別行動なので、こうして外で改めて『周様』と呼ばれることにドキドキしてしまうらしい。
「ん? どした冰君? 顔真っ赤にして」
紫月が首を傾げると、冰はますます頬を朱に染めながら何とも可愛らしいことを口走ってみせた。
「ええ、その……俺も”周”なんだなって思ったら……すごく嬉しいというか、幸せで……。信じられないくらいだなぁって思って」
モジモジと照れている仕草が微笑ましくて、紫月も源次郎も思わず破顔するほど笑みを誘われてしまった。
思えばつい先日まで周の記憶喪失という一大事を懸命に支えてきたこの冰だ。無事に記憶も戻った今、改めて平穏な幸せを噛み締めているのだろう。周姓であることをこんなにも喜んでいる姿は本当に健気で可愛らしく、見ているだけで紫月らも心温まる思いに満たされるのだった。
もしも周がここにいてこんな姿を見たら、それこそ大感激するだろう。今この場にいないのが残念に思えるほどだった。
(こりゃあ後で氷川へのいい土産話になりそうだな!)
紫月はそんな想像をしながら心温めるのだった。
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