極道恋事情

一園木蓮

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極道たちのクリスマスパーティー

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「はぁ……すっげえ。つか、凄すぎて現実感が湧かねえ……」
「……ですよね……クリスマスプレートっていうのは聞いたことあるけど、何だか中世の貴族が使っていそうな感じ……」
 未だ唖然状態の嫁たちに旦那衆二人からはもっと驚くような台詞が飛び出した。
「これを毎年一枚ずつ増やしていければと思ってな」
「いつかこいつが何枚も何十枚も揃ったところが見られるよう、それまで健康でお前らと睦まじく暮らせるようにという……いわば俺たちにとっての願いと糧を込めてな」
 あまりにも嬉しいことを聞かされて、紫月も冰も例えようのない感激に思わず目頭が熱くなってしまいそうだという表情で微笑んだ。
「えっとさ……その、サンキュな、遼! このプレートがたっくさん揃うように、それまでずっとお前ン側に置いてもらえるよう俺も頑張るぜ」
「俺もです! ずっと健康で白龍と、そして皆さんと末永く一緒に過ごせるよう精進します……!」
 それこそもっと軽いノリではしゃぎながら喜ぶだろうと思っていた旦那二人は、思いもかけなかった真剣な嫁たちの言葉を聞いてジワジワと胸に熱い感激が込み上げてしまったようだ。
 鐘崎は紫月を抱き寄せてコツンと額を合わせ、周は冰の髪をクシャクシャっと撫でては愛しさのままにそこはかとなくやさしい眼差しで互いの伴侶を見つめるのだった。
「それじゃお待ちかねのケーキをいただくとするか! その前に森崎と里恵子にも俺たちからクリスマスプレゼントだ」
 鐘崎と周がまた別の包みを取り出して里恵子らへと差し出した。
「まあ! アタシたちにまで? 何かしら?」
 里恵子が包みを解くと、小さな箱の中からはやはりゴールドに輝くペアのキーリングが出てきた。しかも彼らが乗っているバイクを模ったものだ。
「まあ……! これ、アタシと瑛二の……!」
「お前さん方にはこの前の事件の時に散々世話になったからな」
「気持ちばかりだが受け取ってくれたら嬉しい」
「鐘崎さん、周さん……本当に……こんなにまでお気に掛けていただけて……恐縮なのはもちろんですが、たいへん感激です!」
 森崎が九十度に腰を曲げて深々と礼を述べれば、里恵子も思わず潤みそうになった瞳をハンカチで覆いながら、とびきりの笑顔で感激に胸を震わせた。
「瑛二の言う通りだわ……。何より嬉しい宝物を戴いちゃって……! ありがとう遼二、周さん! 大切にするわ!」
「俺も一日も早く里恵子と一緒になれるよう精進して、そうしたら二人の家宝にして一生大事に致します!」
 裏の世界でいえば森崎にとって鐘崎や周は雲の上と崇めるような憧れの存在でもある。そんな彼らが自分たちの好きなバイクを模ったサプライズプレゼントを贈ってくれたのだ。感激もひとしおなのは言うまでもないが、ただのプレゼントではなくこうして趣味まで加味してくれた気持ちがなによりも嬉しく思えるのだった。
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