極道恋事情

一園木蓮

文字の大きさ
上 下
418 / 1,212
チェインジング・ダーリン

22

しおりを挟む
 だがまあ森崎にバスの方を任せたのなら、老婦人を連れた犯人の集団に単独で突っ込むのは確かに厳しいといえる。微力でも何かの役に立てると思っての冰の判断なのだろう。
「よし、猶予はねえってことだ。俺たちも援護に掛かる! 一之宮、準備はいいか」
「いつでも行ける!」
「犯人たちを拡散するように突っ込んでくれ! 李はこの場から俺たち全員の動きを見て上空の源次郎氏に援護の通信を頼む! 行くぞ!」
「了解!」
 周を乗せた紫月のバイクが勢いよく走り出すと同時に、鐘崎の方ではワゴン車を停めて冰が運転を代わり、人質の婦人を保護して警察の待つ飛行場入り口へと向かったようだった。
「カネは丸腰だ! 犯人が発砲する前に阻止する! 一之宮、頼んだぞ!」
「オッケー! 振り落とされんなよ!」
 鐘崎と犯人の男三人が対戦している現場を目指して紫月が全速力で突っ込んで行く。上空からは源次郎がヘリの高度を落として援護に掛かった。
 上から煽られ、地上ではバイクが猛スピードで向かって来る。焦った犯人が銃を取り出し応戦しようと気が散漫になった時だった。周がその銃を撃ち落とすべく続けざまに発砲する。高速で走るバイクの後部座席からという不安定な状況とは思えない正確さで、犯人たちの構える銃のみを確実に吹っ飛ばす腕前は神業といえた。三人すべての銃を撃ち落としたと同時に、その様子を見て取った鐘崎も相手が丸腰になったことで追い風となり、すぐさま体術で次々と犯人たちをその場に沈めていった。
 ひとまずは制圧できたものの、先に機体へと乗り込んでいた犯人の仲間が今度はライフルのような銃を手に続々と降りて来た。

『狙撃班、犯人の行く手を遮るようにヤツらの足元付近の路面を撃て! 注意を引き付けて老板たちに近寄らせるな!』

 李の合図で三箇所からの狙撃が開始される。
 上空からはヘリの風に煽られ、何処からの攻撃か分からない位置からは銃弾が飛んでくる。犯人たちもさすがに身動きが取れなくなったようだった。
「クソッ! まずはバイクだ! バイクのヤツらと婆さんを逃したクソ野郎を片付けろ!」
 後から降りて来た犯人たちが紫月と周、鐘崎に向かって狙いを定めた時だった。冰の運転するワゴン車が猛スピードで戻って来て、三人の盾になるように停止した。
「鐘崎さんッ! 乗ってください!」
 森崎が後部座席のドアを開けて手を伸ばし、鐘崎を回収する。
「倉庫に爆弾が仕掛けられてる! 吹っ飛ぶまで時間がねえッ! ひとまずここを離れるぞ!」
 鐘崎の怒号で紫月と周のバイクを守るようにワゴン車が後ろをついて走り出す。上空からは源次郎が犯人たちの行く手を塞ぐように機載のマシンガンで威嚇し、バイクとワゴン車が避難する時間を確保、滑走路に銃弾の雨を見舞った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

そばかす糸目はのんびりしたい

楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。 母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。 ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。 ユージンは、のんびりするのが好きだった。 いつでも、のんびりしたいと思っている。 でも何故か忙しい。 ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。 いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。 果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。 懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。 全17話、約6万文字。

俺にはラブラブな超絶イケメンのスパダリ彼氏がいるので、王道学園とやらに無理やり巻き込まないでくださいっ!!

しおりんごん
BL
俺の名前は 笹島 小太郎 高校2年生のちょっと激しめの甘党 顔は可もなく不可もなく、、、と思いたい 身長は170、、、行ってる、、、し ウルセェ!本人が言ってるんだからほんとなんだよ! そんな比較的どこにでもいそうな人柄の俺だが少し周りと違うことがあって、、、 それは、、、 俺には超絶ラブラブなイケメン彼氏がいるのだ!!! 容姿端麗、文武両道 金髪碧眼(ロシアの血が多く入ってるかららしい) 一つ下の学年で、通ってる高校は違うけど、一週間に一度は放課後デートを欠かさないそんなスパダリ完璧彼氏! 名前を堂坂レオンくん! 俺はレオンが大好きだし、レオンも俺が大好きで (自己肯定感が高すぎるって? 実は付き合いたての時に、なんで俺なんか、、、って1人で考えて喧嘩して 結局レオンからわからせという名のおしお、(re 、、、ま、まぁレオンからわかりやすすぎる愛情を一思いに受けてたらそりゃ自身も出るわなっていうこと!) ちょうどこの春レオンが高校に上がって、それでも変わりないラブラブな生活を送っていたんだけど なんとある日空から人が降って来て! ※ファンタジーでもなんでもなく、物理的に降って来たんだ 信じられるか?いや、信じろ 腐ってる姉さんたちが言うには、そいつはみんな大好き王道転校生! 、、、ってなんだ? 兎にも角にも、そいつが現れてから俺の高校がおかしくなってる? いやなんだよ平凡巻き込まれ役って! あーもう!そんな睨むな!牽制するな! 俺には超絶ラブラブな彼氏がいるからそっちのいざこざに巻き込まないでくださいっ!!! ※主人公は固定カプ、、、というか、初っ端から2人でイチャイチャしてるし、ずっと変わりません ※同姓同士の婚姻が認められている世界線での話です ※王道学園とはなんぞや?という人のために一応説明を載せていますが、私には文才が圧倒的に足りないのでわからないままでしたら、他の方の作品を参照していただきたいです🙇‍♀️ ※シリアスは皆無です 終始ドタバタイチャイチャラブコメディでおとどけします

転生令息は冒険者を目指す!?

葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。  救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。  再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。  異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!  とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A

首輪 〜性奴隷 律の調教〜

M
BL
※エロ、グロ、スカトロ、ショタ、モロ語、暴力的なセックス、たまに嘔吐など、かなりフェティッシュな内容です。 R18です。 ほとんどの話に男性同士の過激な性表現・暴力表現が含まれますのでご注意下さい。 孤児だった律は飯塚という資産家に拾われた。 幼い子供にしか興味を示さない飯塚は、律が美しい青年に成長するにつれて愛情を失い、性奴隷として調教し客に奉仕させて金儲けの道具として使い続ける。 それでも飯塚への一途な想いを捨てられずにいた律だったが、とうとう新しい飼い主に売り渡す日を告げられてしまう。 新しい飼い主として律の前に現れたのは、桐山という男だった。

僕を拾ってくれたのはイケメン社長さんでした

なの
BL
社長になって1年、父の葬儀でその少年に出会った。 「あんたのせいよ。あんたさえいなかったら、あの人は死なずに済んだのに…」 高校にも通わせてもらえず、実母の恋人にいいように身体を弄ばれていたことを知った。 そんな理不尽なことがあっていいのか、人は誰でも幸せになる権利があるのに… その少年は昔、誰よりも可愛がってた犬に似ていた。 ついその犬を思い出してしまい、その少年を幸せにしたいと思うようになった。 かわいそうな人生を送ってきた少年とイケメン社長が出会い、恋に落ちるまで… ハッピーエンドです。 R18の場面には※をつけます。

くまさんのマッサージ♡

はやしかわともえ
BL
ほのぼの日常。ちょっとえっちめ。 2024.03.06 閲覧、お気に入りありがとうございます。 m(_ _)m もう一本書く予定です。時間が掛かりそうなのでお気に入りして頂けると便利かと思います。よろしくお願い致します。 2024.03.10 完結しました!読んで頂きありがとうございます。m(_ _)m 今月25日(3/25)のピクトスクエア様のwebイベントにてこの作品のスピンオフを頒布致します。詳細はまたお知らせ致します。 2024.03.19 https://pictsquare.net/skaojqhx7lcbwqxp8i5ul7eqkorx4foy イベントページになります。 25日0時より開始です! ※補足 サークルスペースが確定いたしました。 一次創作2: え5 にて出展させていただいてます! 2024.10.28 11/1から開催されるwebイベントにて、新作スピンオフを書いています。改めてお知らせいたします。 2024.11.01 https://pictsquare.net/4g1gw20b5ptpi85w5fmm3rsw729ifyn2 本日22時より、イベントが開催されます。 よろしければ遊びに来てください。

淫らに壊れる颯太の日常~オフィス調教の性的刺激は蜜の味~

あいだ啓壱(渡辺河童)
BL
~癖になる刺激~の一部として掲載しておりましたが、癖になる刺激の純(痴漢)を今後連載していこうと思うので、別枠として掲載しました。 ※R-18作品です。 モブ攻め/快楽堕ち/乳首責め/陰嚢責め/陰茎責め/アナル責め/言葉責め/鈴口責め/3P、等の表現がございます。ご注意ください。

処理中です...