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チェインジング・ダーリン
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犯人たちにとって、あとは逃走するだけである。倉庫の仲間からは既に原石が無事に奪えたという知らせを受け取っていたようだし、ここで必要以上に厄介事を増やしたくはないのだろう。つまりは逃走の為の目的地が近いということだ。
鐘崎にとってもみすみす彼らを逃がすのは痛いところだが、今は三十人を超える大勢の人質の安全が最優先である。ここはおとなしく耐えるしかない。
そうこうしている内にバスは目的地へと到着した。
鐘崎が睨んだ通り、そこはだいぶ前に閉鎖された民間機の離着陸場跡であった。逃走用に用意されていたのは小型機どころか、かなり立派な中型機であることに驚かされたが、空路で脱出という読みは当たっていたようだ。
(あのデカさだと行き先は海外か――)
飛び立ってしまえば追跡は困難を期す。人質を保護し、尚且つ離陸を阻むには相応の設備と人手が必要である。丸腰の鐘崎にできることは限られているものの、周や源次郎と連携できるタイミングさえ巡ってくればそこが勝負どころといえる。その為には一瞬の判断が雌雄を分けると、神経を研ぎ澄ます鐘崎であった。
その後、警察の追尾を阻止する為か、到着と同時に犯人たちは敷地の門を施錠して大掛かりな工具を使わなければ外せないような鎖でぐるぐる巻きにし、頑丈な南京錠をかけてしまった。その上に警察に宛てて書かれたメッセージが括り付けられる。内容は『施錠を破って侵入しようとすれば人質ごとバスを爆破する』というものだった。
金網で囲まれた門前には続々と警察車両が集まって来たものの、これでは容易に手は出せない。しばしはその場での様子見を余儀なくされた。
一方、バスは人質を乗せたまま整備用の倉庫へと入り巨大なシャッターが下ろされた。
「いいか、てめえら! このままおとなしくしていればいずれサツが助けにやって来る。念の為、俺たちが無事に離陸できるまでの間、この婆さんを連れて行く。ヘタな気を起こせば即座にこのバスごと爆破するからな!」
そう言い残すと犯人たちは一等側にいた老婦人に銃を突き付けて、次々にバスを降り始めた。
「鐘崎さん……」
森崎が小声で何とか助けねばと目配せをする。
「ああ」
むろんのこと、このまま老婦人が拐われるのを黙って見ている鐘崎ではないが、ひとまずは彼ら全員がバスを離れるのを待つしかない。
「森崎、身体を低くして窓の外から気付かれんように俺について来い。それから冰は目立たないように気を付けながらこの倉庫内に犯人の仲間が残っていないか見張ってくれ。誰かが近付いて来たらすぐに知らせるんだ」
「分かりました!」
鐘崎は身を低くしながら森崎と共にバス前方の昇降口へと向かった。
鐘崎にとってもみすみす彼らを逃がすのは痛いところだが、今は三十人を超える大勢の人質の安全が最優先である。ここはおとなしく耐えるしかない。
そうこうしている内にバスは目的地へと到着した。
鐘崎が睨んだ通り、そこはだいぶ前に閉鎖された民間機の離着陸場跡であった。逃走用に用意されていたのは小型機どころか、かなり立派な中型機であることに驚かされたが、空路で脱出という読みは当たっていたようだ。
(あのデカさだと行き先は海外か――)
飛び立ってしまえば追跡は困難を期す。人質を保護し、尚且つ離陸を阻むには相応の設備と人手が必要である。丸腰の鐘崎にできることは限られているものの、周や源次郎と連携できるタイミングさえ巡ってくればそこが勝負どころといえる。その為には一瞬の判断が雌雄を分けると、神経を研ぎ澄ます鐘崎であった。
その後、警察の追尾を阻止する為か、到着と同時に犯人たちは敷地の門を施錠して大掛かりな工具を使わなければ外せないような鎖でぐるぐる巻きにし、頑丈な南京錠をかけてしまった。その上に警察に宛てて書かれたメッセージが括り付けられる。内容は『施錠を破って侵入しようとすれば人質ごとバスを爆破する』というものだった。
金網で囲まれた門前には続々と警察車両が集まって来たものの、これでは容易に手は出せない。しばしはその場での様子見を余儀なくされた。
一方、バスは人質を乗せたまま整備用の倉庫へと入り巨大なシャッターが下ろされた。
「いいか、てめえら! このままおとなしくしていればいずれサツが助けにやって来る。念の為、俺たちが無事に離陸できるまでの間、この婆さんを連れて行く。ヘタな気を起こせば即座にこのバスごと爆破するからな!」
そう言い残すと犯人たちは一等側にいた老婦人に銃を突き付けて、次々にバスを降り始めた。
「鐘崎さん……」
森崎が小声で何とか助けねばと目配せをする。
「ああ」
むろんのこと、このまま老婦人が拐われるのを黙って見ている鐘崎ではないが、ひとまずは彼ら全員がバスを離れるのを待つしかない。
「森崎、身体を低くして窓の外から気付かれんように俺について来い。それから冰は目立たないように気を付けながらこの倉庫内に犯人の仲間が残っていないか見張ってくれ。誰かが近付いて来たらすぐに知らせるんだ」
「分かりました!」
鐘崎は身を低くしながら森崎と共にバス前方の昇降口へと向かった。
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