412 / 1,212
チェインジング・ダーリン
16
しおりを挟む
現段階で既に警察が追跡していたと仮定して、車での逃走は賢いとは言えない。
(――とすると、考えられるのはヘリか……あるいはセスナか――)
バスに乗っている犯人だけでも五人、周囲に見張りや誘導の車がいるはずだから十人は堅い。一般的なヘリでその人数に乗るのは無理がある。とすればセスナか小型機、テロ集団ならば軍用機のような大型ヘリということも考えられる。
(西へ向かっているということは――こっち方面には確か今は閉鎖された民間機の離着陸場があったな)
犯人たちは空路を使うつもりなのかも知れないと鐘崎は思っていた。これを周や源次郎らに伝えたいと思えども、今は通信手段がない状態だ。しばらくは様子を見るしかない――歯がゆいながらもここはひとまず耐えるしかない。次に何か動きがあった時の為にと常に周囲の客たちの様子などに神経を光らせる鐘崎であった。
◇ ◇ ◇
一方、周らの方でも無線での連携を取り合いながらバスを追跡していた。途中、源次郎からの通信が届き、彼はヘリで上空からの追跡を行うとのことで、より強固な体制を敷けそうだ。また、周の側近たちによる後続部隊も続々と追い付いてきていた。
紫月が運転を買って出てくれたので、周は各車に連携を取ることに集中できていたし、目視での道路状況も細かなところまで把握することが可能となり、結果としては大正解といえた。
高速道路は順調に流れていて目立った渋滞もない。
丸の内の駐車場を出てから一時間ほど走ったと思われる頃になって、ようやくと遠くの方からパトカーのサイレンが追い掛けてくる音に気が付いた。
『警察が動き出したか。最後尾、パトカーとの距離は?』
『三キロほどと思われます』
『よし! 全車、パトカーが追い付く前にバスを追い越して前へ出ろ。李はバスのすぐ脇へ付け。警察車両が追い付いて来たらバスの前へ割り込むようにして道を譲るふりをしろ! 警察に停められないようにするんだ』
周の号令で各車が移動に入る。配置が完了後、けたたましいサイレンと共に拡声器からの警告が発せられた。
「前のバス、停まりなさい!」
李がバスの直前へと車線変更をして警察車両に道を譲ると、数台の覆面パトカーがバスを取り囲むようにしてぴったりと張り付いた。
――と、その時だった。
バスの窓が開けられたと思ったら、間髪入れずに覆面パトカーに向けて一発の銃弾が発射された。
窓ガラスに着弾し、急ブレーキによってあわや玉突き衝突寸前となる。なんとか回避したものの、その直後、バスのすぐ脇を走行中の覆面刑事が目にした光景は驚くべきものだった。
目出し帽を被った犯人が老人男性一人を羽交い締めにしながら銃を突き付けていたのだ。その隣ではもう一人の犯人が『下がれ!』と警察車両を威嚇する。やむを得ずパトカーの一団はスピードをゆるめるしかなかった。
(――とすると、考えられるのはヘリか……あるいはセスナか――)
バスに乗っている犯人だけでも五人、周囲に見張りや誘導の車がいるはずだから十人は堅い。一般的なヘリでその人数に乗るのは無理がある。とすればセスナか小型機、テロ集団ならば軍用機のような大型ヘリということも考えられる。
(西へ向かっているということは――こっち方面には確か今は閉鎖された民間機の離着陸場があったな)
犯人たちは空路を使うつもりなのかも知れないと鐘崎は思っていた。これを周や源次郎らに伝えたいと思えども、今は通信手段がない状態だ。しばらくは様子を見るしかない――歯がゆいながらもここはひとまず耐えるしかない。次に何か動きがあった時の為にと常に周囲の客たちの様子などに神経を光らせる鐘崎であった。
◇ ◇ ◇
一方、周らの方でも無線での連携を取り合いながらバスを追跡していた。途中、源次郎からの通信が届き、彼はヘリで上空からの追跡を行うとのことで、より強固な体制を敷けそうだ。また、周の側近たちによる後続部隊も続々と追い付いてきていた。
紫月が運転を買って出てくれたので、周は各車に連携を取ることに集中できていたし、目視での道路状況も細かなところまで把握することが可能となり、結果としては大正解といえた。
高速道路は順調に流れていて目立った渋滞もない。
丸の内の駐車場を出てから一時間ほど走ったと思われる頃になって、ようやくと遠くの方からパトカーのサイレンが追い掛けてくる音に気が付いた。
『警察が動き出したか。最後尾、パトカーとの距離は?』
『三キロほどと思われます』
『よし! 全車、パトカーが追い付く前にバスを追い越して前へ出ろ。李はバスのすぐ脇へ付け。警察車両が追い付いて来たらバスの前へ割り込むようにして道を譲るふりをしろ! 警察に停められないようにするんだ』
周の号令で各車が移動に入る。配置が完了後、けたたましいサイレンと共に拡声器からの警告が発せられた。
「前のバス、停まりなさい!」
李がバスの直前へと車線変更をして警察車両に道を譲ると、数台の覆面パトカーがバスを取り囲むようにしてぴったりと張り付いた。
――と、その時だった。
バスの窓が開けられたと思ったら、間髪入れずに覆面パトカーに向けて一発の銃弾が発射された。
窓ガラスに着弾し、急ブレーキによってあわや玉突き衝突寸前となる。なんとか回避したものの、その直後、バスのすぐ脇を走行中の覆面刑事が目にした光景は驚くべきものだった。
目出し帽を被った犯人が老人男性一人を羽交い締めにしながら銃を突き付けていたのだ。その隣ではもう一人の犯人が『下がれ!』と警察車両を威嚇する。やむを得ずパトカーの一団はスピードをゆるめるしかなかった。
13
お気に入りに追加
879
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜
・不定期
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる