極道恋事情

一園木蓮

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チェインジング・ダーリン

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 そんな話をしていると、人質の中に混じって鐘崎と冰の姿が確認できた。里恵子の恋人である森崎瑛二も一緒である。何故か鐘崎は見慣れない眼鏡をかけていることに紫月が驚いて目を見張る。
「やっぱ遼も会場内にいたんだな。けど……眼鏡ってよ……どっから持ってきたんだ……?」
「おそらく展示物の中から失敬してきたってところだろう。カネのヤツは同業者からすれば雰囲気だけで一般人じゃねえと目を付けられそうだからな。裏の世界の者だと知れないように、外見だけでも生真面目を装ったってところか」
「なるほど……! あれなら青年実業家ってな感じに見えるな」
 紫月が納得している。
「カネがついているし森崎もいる。冰のことはとりあえず安泰だ。俺たちは源次郎さんと合流して救出の為の作戦を練ろう。それから里恵子、お前さんはどうする。このまま俺たちといても危険に巻き込まれるのは必須だ。家で待つのが一番いいと思うが」
 周が訊くと、里恵子は一緒に連れて行って欲しいと言った。
「アタシがいたんじゃあなたたちの足手まといなのは承知してるわ。でもとてもじゃないけど一人で待ってる気にはなれない! それにアタシだってゆくゆくは極道の妻になる女よ。極力邪魔にならないようにするから一緒に行かせて!」
「そうか。では里恵子は劉の車に乗ってくれ。尾行に気付かれたとしても若い男女ならただの恋人同士に見えるし怪しまれんで済む」
「分かったわ。それと、さっきの話だと渋滞にハマる可能性もあるのよね? だったら周さん、アタシたちが乗って来たバイクを使って。鍵ならアタシが持ってるわ」
「バイクか。それも手だな。バスの行き先さえ検討がつけば渋滞をくぐり抜けて先回りすることも可能だ」
 すると路上の車で待機していた側近の一人から李の元へと通信が入った。
『では車に積んでいる防寒ジャケット等を至急お届けします。一分程お待ちください』
 側近たちがこういった緊急時に使用する車には、様々な状況下を想定したアイテムが常備されている。防弾ベストなどの他に防風、防水といった服装などもその内の一つで、各車に一着ずつが必ず積まれていた。また、今は互いの状況が分かるように全員が通信機で結ばれているので、周の言葉を受けて一番近くに待機していた側近が即座に動いたのだ。
 このあたりの連携はさすがに良く訓練されている。言葉通り一分を切る俊敏さで二人分のジャケットとボトムが届けられた。
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