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極道の姐
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「でも一度でもちゃんと袖を通すっていうところがさすがだわね! 周さんも遼ちゃんもホントに懐が深いのね!」
「なんだったら君江ママと里恵子ママに進呈すっから、二人で着りゃ可愛いくていいんじゃねえか?」
鐘崎が横から助け舟を出すと、
「おお、そいつぁいい!」
周も大賛成といったように即座に身を乗り出した。彼女らに譲れば、もう”アレ”を着せさせられる恐怖から解放されると思うと一安心なのである。まさに一石二鳥と喜び勇む。
「ええ、ホント? 着てみたいわー! ねえ、君江ママ」
「いいわね! 極道の男たちのお下がりなんてそれこそプレミアの劇レアものだわぁ! 周焔さんと遼ちゃんの残り香付きなんて最高じゃないのー! 里恵子はどっちを着たい?」
「なんだったら俺と冰君の残り香付きの方でもいいんだぜ?」
ママたちの間からニュっと顔を出しながら紫月が悪戯そうにウィンクを飛ばしてみせる。
「いやーん、それもいいわね! 周焔さんと遼ちゃんの男臭さも魅力だけど、紫月ちゃんと冰ちゃんならいい匂いがしそうだし迷っちゃうわぁ!」
わいのわいのと着ぐるみ談義で大盛り上がりである。
「おいおい、まったくオナゴにゃ敵わんな……」
「うふふ、そうよ! 女は強しってね。恐れ入ったか!」
チャーミングなガッツポーズと共に肘でツンツンと肩を突いた君江ママに、
「はいはい、参りましたでございますよ! ママには敵わんなぁ」
周が両肩をすくめ、白旗を揚げてみせる。
「……ったく、面子丸潰れだぜ。こうなりゃヤケ酒だ!」
そんなふうに言いながらも黒服に向かって一等高級なコニャックを追加注文する。女たちに華を持たせつつ、さらりと売り上げに貢献するそんなところがまた堪らなく粋なのである。
「白龍ったら、ホントにカッコいいんだから!」
「お、そうか? 惚れ直したか?」
「うんうん! そりゃあもう!」
冰にこっそりと耳打ちされて周の機嫌も上々だ。
ネタにされ追い込まれたふりをしながらも、さりげなくママたちを立てて場をも盛り上げてしまう。そんな亭主の男気を讃えて寄り添う姐たちもまた頼もしさにあふれている。そこへ黒服が注文された酒を持ってやって来て、華麗な仕草で封を切ってみせた。
「うわぁ……何これ、すっごいカッコいい! お酒っていうよりも芸術品みたい……!」
黒光りするゴージャスなボトルに冰が目を剥いている。まるで宝石のように輝いて、ものすごく粋なのだ。
「今回、俺たちを助ける為にお前が使ってくれたヤツにちなんでな。マグナムって名前のボトルだ」
「うっは! ルイのブラックマグナム……!? すっげ! めちゃくちゃレアじゃん!」
「氷川の愛を感じるな! ってよりも、これをストックしてた里恵子もすげえわ」
周が冰の肩を抱き寄せて説明する傍らで、紫月と鐘崎も興味津々で瞳を輝かせている。
「なんだったら君江ママと里恵子ママに進呈すっから、二人で着りゃ可愛いくていいんじゃねえか?」
鐘崎が横から助け舟を出すと、
「おお、そいつぁいい!」
周も大賛成といったように即座に身を乗り出した。彼女らに譲れば、もう”アレ”を着せさせられる恐怖から解放されると思うと一安心なのである。まさに一石二鳥と喜び勇む。
「ええ、ホント? 着てみたいわー! ねえ、君江ママ」
「いいわね! 極道の男たちのお下がりなんてそれこそプレミアの劇レアものだわぁ! 周焔さんと遼ちゃんの残り香付きなんて最高じゃないのー! 里恵子はどっちを着たい?」
「なんだったら俺と冰君の残り香付きの方でもいいんだぜ?」
ママたちの間からニュっと顔を出しながら紫月が悪戯そうにウィンクを飛ばしてみせる。
「いやーん、それもいいわね! 周焔さんと遼ちゃんの男臭さも魅力だけど、紫月ちゃんと冰ちゃんならいい匂いがしそうだし迷っちゃうわぁ!」
わいのわいのと着ぐるみ談義で大盛り上がりである。
「おいおい、まったくオナゴにゃ敵わんな……」
「うふふ、そうよ! 女は強しってね。恐れ入ったか!」
チャーミングなガッツポーズと共に肘でツンツンと肩を突いた君江ママに、
「はいはい、参りましたでございますよ! ママには敵わんなぁ」
周が両肩をすくめ、白旗を揚げてみせる。
「……ったく、面子丸潰れだぜ。こうなりゃヤケ酒だ!」
そんなふうに言いながらも黒服に向かって一等高級なコニャックを追加注文する。女たちに華を持たせつつ、さらりと売り上げに貢献するそんなところがまた堪らなく粋なのである。
「白龍ったら、ホントにカッコいいんだから!」
「お、そうか? 惚れ直したか?」
「うんうん! そりゃあもう!」
冰にこっそりと耳打ちされて周の機嫌も上々だ。
ネタにされ追い込まれたふりをしながらも、さりげなくママたちを立てて場をも盛り上げてしまう。そんな亭主の男気を讃えて寄り添う姐たちもまた頼もしさにあふれている。そこへ黒服が注文された酒を持ってやって来て、華麗な仕草で封を切ってみせた。
「うわぁ……何これ、すっごいカッコいい! お酒っていうよりも芸術品みたい……!」
黒光りするゴージャスなボトルに冰が目を剥いている。まるで宝石のように輝いて、ものすごく粋なのだ。
「今回、俺たちを助ける為にお前が使ってくれたヤツにちなんでな。マグナムって名前のボトルだ」
「うっは! ルイのブラックマグナム……!? すっげ! めちゃくちゃレアじゃん!」
「氷川の愛を感じるな! ってよりも、これをストックしてた里恵子もすげえわ」
周が冰の肩を抱き寄せて説明する傍らで、紫月と鐘崎も興味津々で瞳を輝かせている。
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