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極道の姐
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「ってことは、ロビーを避けて裏口からなら中へ忍び込めそうですか? 遼たちが捕われてるのは二階の客室ですから、何とかそこまで見つからずに辿り着けるといいんですが」
「こんな場所だ。誰かに見つかる心配はないと踏んでいるのか、特に見張りのような者はいない様子だった。あの建物は三階建てだから、潜入するなら屋上からが良さそうだ」
「分かりました。じゃあ裏口へ回って敷地内へ入り、この裏階段から屋上へ上がれそうですね?」
紫月が見取り図を広げながら僚一に向かって潜入ルートを確認する。
「そうだな。まずは三人が縛られている縄を解くことと、女たちが休んでいるところを拘束して時間を稼ぎたい。サーモグラフィーからすると、女たちがいるのは三階の端にあるスイートルームだと思われる。男連中は皆ロビーに固まっているようだから、屋上からなら物音に気付かれにくいだろう。潜入メンバーはあまり多くても感付かれる。とりあえず俺と紫月と源さんでいこう。俺が先導する。李と冰はここで引き続き中の音を拾ってくれ」
僚一の手順に皆がうなずく。
「では俺たちは何かあった場合にすぐに援護できるよう敷地の周囲で待機するとしよう。突入第二陣の手配は任せてくれ」
隼の方でそちらを万端にしてくれることとなり、一同は救出に向けて装備品などの準備に取り掛かった。
「紫月、銃を撃ったことはあるな?」
「え……あ、はい! 前に遼とハワイに行った時に射撃場で。実戦経験はないっスけど……」
「構わん。お前の援護は極力俺がするが、万が一の時に扱い方が分かっていれば安心だというだけだ」
「はい、すいません。なるべく親父っさんの足手まといにならないようにがんばります!」
「よし、頼んだぞ。防弾ベストもしっかり装着して行け」
「はい!」
と、その時だ。三人が潜入準備を進める中、李が慌てた声を上げた。
「お待ちください! どうやら女たちが起き出したようです。サーモグラフィーに動きが見て取れます」
「くそ……ッ、もう起き出したか。いよいよ猶予はねえぞ」
焦燥感が走る中、冰が皆を引き止めた。
「あの……俺に考えがあります! 聞いていただけませんか?」
冰は皆に向かって自らの作戦を打ち明けた。
「ちょっと思い切ったやり方かも知れませんが、正面玄関から直接行くのは如何でしょう。もちろん俺が行きます」
「正面からだと?」
僚一はもとより隼も皆もさすがに眉根を寄せさせられてしまう。
「唐静雨さんは俺の顔を知っています。俺が白龍の恋人だっていうことも。ですからこういうのは如何でしょう。マカオでの一件の後、俺も唐静雨さん同様、白龍に振られたということにして仲間に加えて欲しいと申し出るんです」
突拍子もない冰の意見に皆は驚きに瞳を見開いてしまった。
「こんな場所だ。誰かに見つかる心配はないと踏んでいるのか、特に見張りのような者はいない様子だった。あの建物は三階建てだから、潜入するなら屋上からが良さそうだ」
「分かりました。じゃあ裏口へ回って敷地内へ入り、この裏階段から屋上へ上がれそうですね?」
紫月が見取り図を広げながら僚一に向かって潜入ルートを確認する。
「そうだな。まずは三人が縛られている縄を解くことと、女たちが休んでいるところを拘束して時間を稼ぎたい。サーモグラフィーからすると、女たちがいるのは三階の端にあるスイートルームだと思われる。男連中は皆ロビーに固まっているようだから、屋上からなら物音に気付かれにくいだろう。潜入メンバーはあまり多くても感付かれる。とりあえず俺と紫月と源さんでいこう。俺が先導する。李と冰はここで引き続き中の音を拾ってくれ」
僚一の手順に皆がうなずく。
「では俺たちは何かあった場合にすぐに援護できるよう敷地の周囲で待機するとしよう。突入第二陣の手配は任せてくれ」
隼の方でそちらを万端にしてくれることとなり、一同は救出に向けて装備品などの準備に取り掛かった。
「紫月、銃を撃ったことはあるな?」
「え……あ、はい! 前に遼とハワイに行った時に射撃場で。実戦経験はないっスけど……」
「構わん。お前の援護は極力俺がするが、万が一の時に扱い方が分かっていれば安心だというだけだ」
「はい、すいません。なるべく親父っさんの足手まといにならないようにがんばります!」
「よし、頼んだぞ。防弾ベストもしっかり装着して行け」
「はい!」
と、その時だ。三人が潜入準備を進める中、李が慌てた声を上げた。
「お待ちください! どうやら女たちが起き出したようです。サーモグラフィーに動きが見て取れます」
「くそ……ッ、もう起き出したか。いよいよ猶予はねえぞ」
焦燥感が走る中、冰が皆を引き止めた。
「あの……俺に考えがあります! 聞いていただけませんか?」
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「ちょっと思い切ったやり方かも知れませんが、正面玄関から直接行くのは如何でしょう。もちろん俺が行きます」
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僚一はもとより隼も皆もさすがに眉根を寄せさせられてしまう。
「唐静雨さんは俺の顔を知っています。俺が白龍の恋人だっていうことも。ですからこういうのは如何でしょう。マカオでの一件の後、俺も唐静雨さん同様、白龍に振られたということにして仲間に加えて欲しいと申し出るんです」
突拍子もない冰の意見に皆は驚きに瞳を見開いてしまった。
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