極道恋事情

一園木蓮

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告げられないほどに深い愛(極道若頭編)

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「ああ、それはな……」
 鐘崎は言い掛けて、
「その前に風呂だ……。悪いが説明は後でゆっくりすっから……ちょっと待っててくれ」
 笑顔を見せながらもひどく苦しそうだ。腰を折り、前屈みになって、額には脂汗まで浮かべている。やはりまだ催淫剤の効果が抜け切っていないのだろう。一人風呂場で処理をしようとしている彼が気の毒でもあり、と同時に水臭くも愛しくて仕方ない。紫月は無意識の内に、おぼつかない足元で風呂へと向かう彼の腕を掴んでいた。
「待て、遼二……! 風呂なんざ必要ねえ」
「――?」
 とっさに引き止めて広い背中に思い切りしがみつくと、
「俺が……口でしてやっから……!」
 そう言って頬を染めた。

――!?

 紫月は鐘崎の腕を引っ張っると、まっすぐベッドへと向かい、目の前で屈んでスラックスのジッパーを引き摺り下ろした。
「……ッ、おい紫月……!」
「楽にしてろ」
「――紫月ッ!」
「手伝って欲しかったって言ったろ? 俺が側に居れば手伝ってもらったのにって……さっきそう言ったろうが」
「……そりゃ、お前……! けど……ンなこと!」
「水臭えこと言ってんな。それに――これは俺ン役目だ。亭主の一大事に姐がボケッとしてられっかよ」
 言葉じりは威勢がいいが、その頬を真っ赤にしながら視線を泳がせている。鐘崎は当然の如く――本能を抑えることなどできはしなかった。
「……ったく! お前を抱く時にゃ……素面でいたかったが……」
 だが、正直なところもう限界だ。跪いて股間に顔を埋めてくる愛しい男を拒めるわけがない。白く形のいい指が下着を下ろせば、待ちかねたというように怒張した雄が熟れた頬を叩く勢いでぶつかった。
「……ッ」
 紫月にとってはその勢いも少しの痛みも言い様のないくらい愛しくて堪らなかった。幼い頃から一緒に風呂に入ったこともあったし、それを目にするのは初めてというわけではないのだが、今はまるで別物に思える。
 そこはもう溢れた先走りでヌラヌラと光り、これ以上ないくらいに張り詰めて天を仰いでいた。木綿のボクサーショーツの中からは独特の雄のニオイが鼻先をくすぐって、背筋にはゾクゾクとした欲情が這い上る。
 自らも身体の中心を熱くしながら、紫月はガッつくほどの勢いで鈴口を咥え込んだ。舌先を使って突き、吸い、フクロを揉みしだきながら根元から竿の先端までを舐め上げる。
 これまで幾度こんな想像を巡らせたことだろう。何年もの長い間、彼に抱かれることを夢見ながら自慰に明け暮れてきた。
 寂しい時もあった。
 虚しい時もあった。
 どんなに望んでも決して叶うことはないのだと、涙にくれながら独り達した夜は数え切れない。
「遼二……、は……ぁ、遼……ッ!」
 これは自慰じゃねんだよな?
 俺だけの妄想じゃねんだよな?
「遼……遼……ッ」

 マジで夢みたいだ――!
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