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告げられないほどに深い愛(極道若頭編)
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いったいどういうことなのだろう。さっぱり分からないながらも、あの周の言うことだ。間違いなく鐘崎を発見したことは確かなのだろう。
「遼二が見つかったようだ! これから氷川が救出に向かうとのことだが、俺らも行くぞ! ヤツは銀座だ!」
紫月は清水にそう言うと、身支度を整える為、自室へと向かいながら父親の飛燕へと連絡を入れた。その間、清水にも動ける組員らを現地へと向かわせるように頼んでおく。地下へ戻ると清水が車のドアを開けて待っていた。
「紫月さん! お車へどうぞ! 我々の方は源次郎さんに言って既に現地へ飛んでいただきました!」
各人が車に乗り込もうとした時、若い衆がまた二人、大慌てで駆け付けて来たのに驚いて足をとめた。
「た、大変です! 今、道内のところの組長がうちの事務所に乗り込んで来まして……!」
「何だとッ!?」
「娘が若に……手籠めにされたとか……ワケの分からねえことを抜かしてまして!」
「手下共を大勢連れて来て事務所に居座っちまってるんです! 若を出せって大騒ぎになってます!」
息せき切らしながら二人が交互に言う。彼らの話では、道内組長が手籠めに遭った証拠だと言って、破れた服から下着が覗いているような格好の娘を伴って怒鳴り込んで来ているというのだ。
「娘の顔には張り手を食らったような青痣がありまして……嘘か本当か知らねえが、道内のヤツは若にやられたと言い張ってます……」
清水と橘はもとより、紫月は言葉を失うくらいに驚かされてしまった。だが、そんなことを言っている場合ではない。気を取り直すと紫月は気丈に言った。
「遼二ンことは氷川に任せよう……。ヤツが付いてるなら遼二は大丈夫だ。俺らはすぐ事務所に向かうぞ!」
「紫月さん……ご足労掛けてすみません……! 若に限ってそのようなことは……ないと思うのですが」
だが、催淫剤を盛られた以上、全くないとも言い切れないと思うところなのだろう。清水が心底申し訳なさそうに頭を下げる。
「構わねえ……。ンなことより行くぞ!」
紫月は清水らと共に事務所へと急いだ。
鐘崎組は紫月のところの道場からだと歩いて行ける距離だ。清水らは車で来ていたので、それこそ数分と掛からない内に到着した。
玄関前の路上には車が三台ほど停められていて、一目で筋者だと分かる男たちが辺りをチラホラとしていた。手下を連れて乗り込んで来たというのは本当のところだろう。中へ入ると、道内が応接用のソファのド真ん中に陣取って、組員たちに凄み掛かっていたところだった。
「てめえら、舐めてんじゃねえぞ! 若頭を出しやがれって言ってんだ! 隠し立てするとタメにならねえぞ!」
彼の隣には娘なのだろう、下着姿のまま破れた服で胸元を覆って、必死に肌を隠しているといった格好のまま、うつむき加減で座っている。若い衆らの報告にあった通り、彼女の唇は切れて青痣が見て取れる。紫月はその姿を見るなり眉根を寄せると、自ら進んで道内の前へと歩み出た。
「遼二が見つかったようだ! これから氷川が救出に向かうとのことだが、俺らも行くぞ! ヤツは銀座だ!」
紫月は清水にそう言うと、身支度を整える為、自室へと向かいながら父親の飛燕へと連絡を入れた。その間、清水にも動ける組員らを現地へと向かわせるように頼んでおく。地下へ戻ると清水が車のドアを開けて待っていた。
「紫月さん! お車へどうぞ! 我々の方は源次郎さんに言って既に現地へ飛んでいただきました!」
各人が車に乗り込もうとした時、若い衆がまた二人、大慌てで駆け付けて来たのに驚いて足をとめた。
「た、大変です! 今、道内のところの組長がうちの事務所に乗り込んで来まして……!」
「何だとッ!?」
「娘が若に……手籠めにされたとか……ワケの分からねえことを抜かしてまして!」
「手下共を大勢連れて来て事務所に居座っちまってるんです! 若を出せって大騒ぎになってます!」
息せき切らしながら二人が交互に言う。彼らの話では、道内組長が手籠めに遭った証拠だと言って、破れた服から下着が覗いているような格好の娘を伴って怒鳴り込んで来ているというのだ。
「娘の顔には張り手を食らったような青痣がありまして……嘘か本当か知らねえが、道内のヤツは若にやられたと言い張ってます……」
清水と橘はもとより、紫月は言葉を失うくらいに驚かされてしまった。だが、そんなことを言っている場合ではない。気を取り直すと紫月は気丈に言った。
「遼二ンことは氷川に任せよう……。ヤツが付いてるなら遼二は大丈夫だ。俺らはすぐ事務所に向かうぞ!」
「紫月さん……ご足労掛けてすみません……! 若に限ってそのようなことは……ないと思うのですが」
だが、催淫剤を盛られた以上、全くないとも言い切れないと思うところなのだろう。清水が心底申し訳なさそうに頭を下げる。
「構わねえ……。ンなことより行くぞ!」
紫月は清水らと共に事務所へと急いだ。
鐘崎組は紫月のところの道場からだと歩いて行ける距離だ。清水らは車で来ていたので、それこそ数分と掛からない内に到着した。
玄関前の路上には車が三台ほど停められていて、一目で筋者だと分かる男たちが辺りをチラホラとしていた。手下を連れて乗り込んで来たというのは本当のところだろう。中へ入ると、道内が応接用のソファのド真ん中に陣取って、組員たちに凄み掛かっていたところだった。
「てめえら、舐めてんじゃねえぞ! 若頭を出しやがれって言ってんだ! 隠し立てするとタメにならねえぞ!」
彼の隣には娘なのだろう、下着姿のまま破れた服で胸元を覆って、必死に肌を隠しているといった格好のまま、うつむき加減で座っている。若い衆らの報告にあった通り、彼女の唇は切れて青痣が見て取れる。紫月はその姿を見るなり眉根を寄せると、自ら進んで道内の前へと歩み出た。
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