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極道恋浪漫 第三章
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ロナルドの怪我がほぼ完治に向かい、新たに砦の皇帝・周焔を取り巻くブレーンとなって皆に紹介されたのは、香港の街がクリスマスの色で賑わい始めた初冬のことだった。
焔と冰の祝言の日取りも年明けの春節に合わせて執り行われることが決まった。
九龍城砦地下街は焔や遼二らによって、今日も平穏で賑やかな時を送っている。ロナルドは李らの下で真摯に仕事に専念し、周囲の側近仲間からもあたたかく迎え入れられているようだ。
そんな中、焔の邸では家令の真田を筆頭に結婚式の準備が着々と進められていた。焔は砦を治める立場であるが、ファミリーの次男坊ということもあって、式は地上にて行われることが決まった。その後、地下街でもお披露目を兼ねて宴が催されるそうだ。めでたい話に遼二や紫月ら友人たちもお祝いムードに包まれる幸せな日常に湧いていた。
男遊郭街、紫月邸――。
「え? 俺と親父まで地上での式に呼んでもらえるのか?」
招待状を届けた遼二を前に、紫月が恐縮していた。
「当然だ。お前さんは冰の兄様として面倒を見てくれていたこともあるんだ。焔も今ではかけがえのねえ友人として、是非とも式を見守って欲しいと言っている」
遼二にそう言われて飛燕と紫月の父子は光栄の極みといった顔つきで頬を紅潮させていた。
「本当に――めでたいことだな。式には日本から僚一も参加するのだろう?」
紫月の父である飛燕が問う。
「ええ、その予定です。親父も久しぶりの香港ですから、今から楽しみでいるようですよ」
「そうだな。羅辰からこの遊郭街を解放して以来、僚一には会っていないからな。私も楽しみだよ」
飛燕としても旧友との再会を心待ちでいるようだ。焔と冰の婚姻を祝うのはもちろんだが、集う皆も互いに顔を合わせられる喜びを噛み締め合うのだった。
「春節が待ち遠しいなぁ。皇帝様と冰君に贈る祝いは何がいいだろう」
どうせなら喜んでもらえる物を贈りたいという紫月の気持ちが嬉しい。
「ああ、そうだな」
祝いの品を選ぶのも楽しみのひとつである。
「紫月、地下街ではなにかと限られていよう。祝いの品を選びがてら、久しぶりで地上の街に出てみねえか?」
遼二に誘われて、紫月は嬉しそうに瞳を輝かせた。
「そいつぁ楽しみだな! 香港の街中を歩くなんていつでもできそうでいて案外機会がねえってのも現実だもんなぁ」
「ついでにお前さんの好きな甘いモンでも堪能してこよう」
「いいね! そいつぁ最高だ!」
紫月は単純に外で味わう非日常のひと時に喜んでいるようだが、遼二にとっては二人で出掛けるデートさながらの方に心浮き立つ思いでいるようだ。はしゃぎ合う二人を横目に、飛燕もまた、自分と僚一のように息子にとって大切な友ができたことを嬉しく思うのだった。
九龍城砦地下街は相変わらずの活気に包まれて、世界各国から訪れるセレブリティたちで賑わいを見せている。
時に揉め事もあり、心悩まされる小競り合いなども皆無とはいえないが、それらを丸く治めるのも焔をはじめとした遼二や李ら仲間たちの役目であり、生きる意味でもあるのだ。
喜怒哀楽を共にしてこそ生まれる絆を大切にして、これからも皆で力を合わせて精一杯生きていこう。そんな清々しい空気に包まれながら笑い声の絶えない――眠らない街の一日が今日もまた暮れ、そして明日もまた明けるのだった。
◇ ◇ ◇
焔と冰の祝言の日取りも年明けの春節に合わせて執り行われることが決まった。
九龍城砦地下街は焔や遼二らによって、今日も平穏で賑やかな時を送っている。ロナルドは李らの下で真摯に仕事に専念し、周囲の側近仲間からもあたたかく迎え入れられているようだ。
そんな中、焔の邸では家令の真田を筆頭に結婚式の準備が着々と進められていた。焔は砦を治める立場であるが、ファミリーの次男坊ということもあって、式は地上にて行われることが決まった。その後、地下街でもお披露目を兼ねて宴が催されるそうだ。めでたい話に遼二や紫月ら友人たちもお祝いムードに包まれる幸せな日常に湧いていた。
男遊郭街、紫月邸――。
「え? 俺と親父まで地上での式に呼んでもらえるのか?」
招待状を届けた遼二を前に、紫月が恐縮していた。
「当然だ。お前さんは冰の兄様として面倒を見てくれていたこともあるんだ。焔も今ではかけがえのねえ友人として、是非とも式を見守って欲しいと言っている」
遼二にそう言われて飛燕と紫月の父子は光栄の極みといった顔つきで頬を紅潮させていた。
「本当に――めでたいことだな。式には日本から僚一も参加するのだろう?」
紫月の父である飛燕が問う。
「ええ、その予定です。親父も久しぶりの香港ですから、今から楽しみでいるようですよ」
「そうだな。羅辰からこの遊郭街を解放して以来、僚一には会っていないからな。私も楽しみだよ」
飛燕としても旧友との再会を心待ちでいるようだ。焔と冰の婚姻を祝うのはもちろんだが、集う皆も互いに顔を合わせられる喜びを噛み締め合うのだった。
「春節が待ち遠しいなぁ。皇帝様と冰君に贈る祝いは何がいいだろう」
どうせなら喜んでもらえる物を贈りたいという紫月の気持ちが嬉しい。
「ああ、そうだな」
祝いの品を選ぶのも楽しみのひとつである。
「紫月、地下街ではなにかと限られていよう。祝いの品を選びがてら、久しぶりで地上の街に出てみねえか?」
遼二に誘われて、紫月は嬉しそうに瞳を輝かせた。
「そいつぁ楽しみだな! 香港の街中を歩くなんていつでもできそうでいて案外機会がねえってのも現実だもんなぁ」
「ついでにお前さんの好きな甘いモンでも堪能してこよう」
「いいね! そいつぁ最高だ!」
紫月は単純に外で味わう非日常のひと時に喜んでいるようだが、遼二にとっては二人で出掛けるデートさながらの方に心浮き立つ思いでいるようだ。はしゃぎ合う二人を横目に、飛燕もまた、自分と僚一のように息子にとって大切な友ができたことを嬉しく思うのだった。
九龍城砦地下街は相変わらずの活気に包まれて、世界各国から訪れるセレブリティたちで賑わいを見せている。
時に揉め事もあり、心悩まされる小競り合いなども皆無とはいえないが、それらを丸く治めるのも焔をはじめとした遼二や李ら仲間たちの役目であり、生きる意味でもあるのだ。
喜怒哀楽を共にしてこそ生まれる絆を大切にして、これからも皆で力を合わせて精一杯生きていこう。そんな清々しい空気に包まれながら笑い声の絶えない――眠らない街の一日が今日もまた暮れ、そして明日もまた明けるのだった。
◇ ◇ ◇
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