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極道恋浪漫 第一章
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遊郭には古くからの掟があり、一旦その世界に入れられた者は年季が明けるまでは如何なる理由があろうと自由を奪われる。万が一にも足抜けをしようものなら、体罰を伴う酷い仕打ちが待っているか、ともすれば即刻命を取られてしまうことも例外ではないという。例え外の世界のどんな権力者が苦言を呈したところで足抜けは叶わない。まあ、莫大な身請け金でも積めば多少は交渉の余地があるかどうかといったところのようだ。
「通常の道理が通らないところでございますからな。仮に大金を積んだとて年季が短くなる程度でしょうか……」
「そこでお前さんにひとつ骨を折ってもらいたいのだ。遊郭に行って少年を捜し出し、どの程度の身請け金を積めば引き渡してくれるかどうかの交渉を請け負ってもらいたい」
「は、かしこまりました」
「とはいえお前さん一人じゃ何かと気苦労だろう。そこで助っ人を手配した。日本の極道・鐘崎組で若頭を務める鐘崎遼二だ」
知っておろう? と、隼は薄い笑みを浮かべた。
鐘崎遼二――もちろん焔も知っている名だ。
年齢は焔と同じ二十七歳。彼の父親はアジア圏内の裏社会に於いては右に出る者はいないと言われるほどの精鋭で、一匹狼と名高い鐘崎僚一という男だ。遼二は彼の一粒種である。焔も幼い頃から年に数度は顔を合わせている――いわば幼馴染といえた。
◇ ◇ ◇
遼二の父、僚一は長く裏の世界に身を置いているものの、いわゆる広域指定暴力団等には属しておらず、完全な個人活動形態をとっている。つまりヤクザとも少々意味合いが違う。どこの組織にも与せず、一国一城の主人として各方面からの依頼を請け負って稼業としているのだ。
取引相手は政治家や企業家といった著名人が主だが、それだけには留まらず、裏の世界とは表向き”水と油”といえる警察組織とも親交が深い。例えば法や立場の点で表立っては動けない難しい案件などを秘密裏に処理するといった具合だ。
日本の首都近郊に純和風の巨大な邸を構えていて、鐘崎組という看板の下、様々な依頼をこなしている。その行動範囲といえば、アジア各国から西はインドに至るまでと広い。ゆえにここ香港はもちろんのこと、各地にいくつもの豪邸を所持しているやり手だ。金回りの良さもさることながら、親子共に体術と射撃はもちろんのこと、頭脳明晰で多国籍語を流暢にこなすといった精鋭ぶりである。
「通常の道理が通らないところでございますからな。仮に大金を積んだとて年季が短くなる程度でしょうか……」
「そこでお前さんにひとつ骨を折ってもらいたいのだ。遊郭に行って少年を捜し出し、どの程度の身請け金を積めば引き渡してくれるかどうかの交渉を請け負ってもらいたい」
「は、かしこまりました」
「とはいえお前さん一人じゃ何かと気苦労だろう。そこで助っ人を手配した。日本の極道・鐘崎組で若頭を務める鐘崎遼二だ」
知っておろう? と、隼は薄い笑みを浮かべた。
鐘崎遼二――もちろん焔も知っている名だ。
年齢は焔と同じ二十七歳。彼の父親はアジア圏内の裏社会に於いては右に出る者はいないと言われるほどの精鋭で、一匹狼と名高い鐘崎僚一という男だ。遼二は彼の一粒種である。焔も幼い頃から年に数度は顔を合わせている――いわば幼馴染といえた。
◇ ◇ ◇
遼二の父、僚一は長く裏の世界に身を置いているものの、いわゆる広域指定暴力団等には属しておらず、完全な個人活動形態をとっている。つまりヤクザとも少々意味合いが違う。どこの組織にも与せず、一国一城の主人として各方面からの依頼を請け負って稼業としているのだ。
取引相手は政治家や企業家といった著名人が主だが、それだけには留まらず、裏の世界とは表向き”水と油”といえる警察組織とも親交が深い。例えば法や立場の点で表立っては動けない難しい案件などを秘密裏に処理するといった具合だ。
日本の首都近郊に純和風の巨大な邸を構えていて、鐘崎組という看板の下、様々な依頼をこなしている。その行動範囲といえば、アジア各国から西はインドに至るまでと広い。ゆえにここ香港はもちろんのこと、各地にいくつもの豪邸を所持しているやり手だ。金回りの良さもさることながら、親子共に体術と射撃はもちろんのこと、頭脳明晰で多国籍語を流暢にこなすといった精鋭ぶりである。
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