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まじか攫われた!?
37.嫌がらせ?全然ご褒美だけど?
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くたびれて眠ること数時間。目が覚めると既に6時を超えていた。体を起こしてタオルケットを退かし、用を足そうと起き上がると、ふと違和感を感じた。
そう言えば、ベッドぐちゃぐちゃのまま寝なかったっけ?
ベッドどころか俺の体まで綺麗にされている。メリスト…はやらなそうだし、誰かが片付けてくれたのだろうか。……寝てる間に何もされて無いよな?
用を足し、水差しから水を汲んで一気に飲み干した。
一息ついたと思ったら、腹の虫が大音量で鳴り響く。そ、そう言えば、今日は何も食べてない……。食事が置かれる扉の前には何も置いてないし、もしかして今日は食事無し?
寝てる間に片付けられたのかもしれない。が、あまりの空腹にまた眠ってしまいそうだ。
「よう、来たぞ」
「め、メリスト……」
「どうした、死にそうな顔をして。腹でも痛いか?」
ぐうぅぅ……………。
あ、あぁ…恥ずかしい…最悪だ………。牢屋はただでさえ音が響くのに……。
腹の音を聞いたメリストは、顔を逸らして声を押し殺して笑っている。くそ……殺して食ってやろうか………。
「クックッ……お前さては、ずっと寝てたから何も食ってないな?」
「うるさいな…お前のせいじゃ無いか。お前があんな無茶させるから………」
「まぁまぁ、待ってろ」
メリストは最後まで笑いながら牢を後にした。食えれば何でもいいから、何か欲しい。でも、あいつが簡単に食わせてくれるだろうか…
しばらくして、メリストはトレイにいくつかの器を乗せて持って来た。トレイをベッドに置くと、乗っている物が結構いいものだと言うのが分かる。
これは…海鮮丼だ!米はよく見ると大麦のようだけど、刺身は綺麗な赤身と白身、それからイクラまで乗っている。流石に醤油とわさびは無いけど、大粒の塩が表面に散りばめられてキラキラしている。しかもあったかそうな汁物には貝とワカメが入ってる。お吸い物だろうか。
キラキラと光り輝くご馳走に涎が出そうになるのを堪えて、じっとメリストを見た。これ、食べていい?食べたい!……そう簡単に貰えないのは分かってるけどさ。
「今日のテメェの餌だ。好きに食え」
「いいの!?……でも、後からなんか要求してくるんじゃ………」
「既に命令に逆らえなくさせてんのに?」
そ、それもそっか。こんな餌付けなんてしなくてもメリストは俺を好きにできる。
なら、食べちゃえ!いただきまーす!久しぶりに箸を持って、海鮮丼を大きな一口で頬張った。
う、うまぁ……♡何の魚かは分からないけど、王道のマグロにかなり近い。もしかしたらこの世界でのマグロかもしれないけど、なかなかに甘みと脂身があって美味しい。肉厚で弾力がありながらも口の中で溶けるような感覚、なんて贅沢……!控えめな塩気と薄く掛けられている海鮮の出汁が刺身と麦と絡んで美味しい…!
海鮮丼を頬張りながらもたまにお吸い物も飲む。昆布が香る出汁に貝の旨みも滲み出て、一口飲むだけで身も心も温まる…。
気が付けばあっという間に完食していた。あぁ……久しぶりに満たされたような気がする………。
俺があっという間に完食すると、メリストは俺を見てポカーンとしていた。
「お、驚いた……嫌がらせのつもりだったんだがな………」
「え?なんで?」
こんな豪勢で美味しいものが嫌がらせ?
って思ったところで思い出した。ここ、異世界だ!生魚を食べる文化も無ければ箸も普段使いしない!生魚も箸も、港町の貴族にしか無い文化。一応一般人の俺が何の抵抗も無く箸を使って食べるなんておかしいんだ……!
「お前、まさか港町の坊ちゃんか?」
「え、い、いや。その……本で、見たことがあって!生魚を食べてみたいなって思ってたし、箸も見様見真似で使ってたことがあって……」
「ちっ、なんだ……ただ喜ばせただけじゃねぇか」
うわぁ……なんとか信じてもらえたみたいだけど、見て分かるほどに凄く苛立ってる……。まぁ、そうだよな。嫌がらせをしたいがためだけに貴族の食事を用意して来たんだもんな。喜んで食べられたら面白いわけが無い。
「まぁいい。飯の後のデザートだ。飲め」
「え、えっと……これは………?」
どう見てもデザートじゃ無くて薬、だよな………。これ飲むと体が熱くなって苦しくなるから嫌なんだよな。まぁ逆らえないから飲まないとだけど。
「いいからさっさと飲め」
「その前に教えてくれたっていいだろ」
「……ったく、これは双合性誘発剤の一つだ。ここに連れて来られる前に薬を打たれただろ?その薬に反応して、強制的に擬似発情期を引き起こす薬だ」
え、じゃあ体が熱くなって盛るのは、この薬じゃなくて打たれた薬の作用ってこと?なんで、二日は経ってるのにまだ薬が抜けてないんだ……?
「説明したぞ、飲め」
「あ、はい………」
なんだかんだ教えてくれてやったー!とか思ってたけど、メリストの方は割とギリギリで怒ってた。
そう、怒ってる。ちゃんと飲むって返事したのに、無理矢理口の中に捩じ込んで来た。また薬を指ごと深くまで入れて来て、強制的に飲まされる。
数分が経って、じわじわと体が熱くなり始めていた。さっき、メリストが疑似発情期って言ってたけど、言われてみれば確かにそんな感じがする。
何もしてなければただ熱いだけのクセに、少しでも何かが擦れるだけで一気に興奮する。メリストが飽きるまでこの薬を使われるんだったら、少しでも発情期に慣れて、メリストに触れられる事に慣れないと。そのうち、飽きられたらきっと終わるんだから。
ここからの食後の運動は、分かりやすく大変なことになる。
そう言えば、ベッドぐちゃぐちゃのまま寝なかったっけ?
ベッドどころか俺の体まで綺麗にされている。メリスト…はやらなそうだし、誰かが片付けてくれたのだろうか。……寝てる間に何もされて無いよな?
用を足し、水差しから水を汲んで一気に飲み干した。
一息ついたと思ったら、腹の虫が大音量で鳴り響く。そ、そう言えば、今日は何も食べてない……。食事が置かれる扉の前には何も置いてないし、もしかして今日は食事無し?
寝てる間に片付けられたのかもしれない。が、あまりの空腹にまた眠ってしまいそうだ。
「よう、来たぞ」
「め、メリスト……」
「どうした、死にそうな顔をして。腹でも痛いか?」
ぐうぅぅ……………。
あ、あぁ…恥ずかしい…最悪だ………。牢屋はただでさえ音が響くのに……。
腹の音を聞いたメリストは、顔を逸らして声を押し殺して笑っている。くそ……殺して食ってやろうか………。
「クックッ……お前さては、ずっと寝てたから何も食ってないな?」
「うるさいな…お前のせいじゃ無いか。お前があんな無茶させるから………」
「まぁまぁ、待ってろ」
メリストは最後まで笑いながら牢を後にした。食えれば何でもいいから、何か欲しい。でも、あいつが簡単に食わせてくれるだろうか…
しばらくして、メリストはトレイにいくつかの器を乗せて持って来た。トレイをベッドに置くと、乗っている物が結構いいものだと言うのが分かる。
これは…海鮮丼だ!米はよく見ると大麦のようだけど、刺身は綺麗な赤身と白身、それからイクラまで乗っている。流石に醤油とわさびは無いけど、大粒の塩が表面に散りばめられてキラキラしている。しかもあったかそうな汁物には貝とワカメが入ってる。お吸い物だろうか。
キラキラと光り輝くご馳走に涎が出そうになるのを堪えて、じっとメリストを見た。これ、食べていい?食べたい!……そう簡単に貰えないのは分かってるけどさ。
「今日のテメェの餌だ。好きに食え」
「いいの!?……でも、後からなんか要求してくるんじゃ………」
「既に命令に逆らえなくさせてんのに?」
そ、それもそっか。こんな餌付けなんてしなくてもメリストは俺を好きにできる。
なら、食べちゃえ!いただきまーす!久しぶりに箸を持って、海鮮丼を大きな一口で頬張った。
う、うまぁ……♡何の魚かは分からないけど、王道のマグロにかなり近い。もしかしたらこの世界でのマグロかもしれないけど、なかなかに甘みと脂身があって美味しい。肉厚で弾力がありながらも口の中で溶けるような感覚、なんて贅沢……!控えめな塩気と薄く掛けられている海鮮の出汁が刺身と麦と絡んで美味しい…!
海鮮丼を頬張りながらもたまにお吸い物も飲む。昆布が香る出汁に貝の旨みも滲み出て、一口飲むだけで身も心も温まる…。
気が付けばあっという間に完食していた。あぁ……久しぶりに満たされたような気がする………。
俺があっという間に完食すると、メリストは俺を見てポカーンとしていた。
「お、驚いた……嫌がらせのつもりだったんだがな………」
「え?なんで?」
こんな豪勢で美味しいものが嫌がらせ?
って思ったところで思い出した。ここ、異世界だ!生魚を食べる文化も無ければ箸も普段使いしない!生魚も箸も、港町の貴族にしか無い文化。一応一般人の俺が何の抵抗も無く箸を使って食べるなんておかしいんだ……!
「お前、まさか港町の坊ちゃんか?」
「え、い、いや。その……本で、見たことがあって!生魚を食べてみたいなって思ってたし、箸も見様見真似で使ってたことがあって……」
「ちっ、なんだ……ただ喜ばせただけじゃねぇか」
うわぁ……なんとか信じてもらえたみたいだけど、見て分かるほどに凄く苛立ってる……。まぁ、そうだよな。嫌がらせをしたいがためだけに貴族の食事を用意して来たんだもんな。喜んで食べられたら面白いわけが無い。
「まぁいい。飯の後のデザートだ。飲め」
「え、えっと……これは………?」
どう見てもデザートじゃ無くて薬、だよな………。これ飲むと体が熱くなって苦しくなるから嫌なんだよな。まぁ逆らえないから飲まないとだけど。
「いいからさっさと飲め」
「その前に教えてくれたっていいだろ」
「……ったく、これは双合性誘発剤の一つだ。ここに連れて来られる前に薬を打たれただろ?その薬に反応して、強制的に擬似発情期を引き起こす薬だ」
え、じゃあ体が熱くなって盛るのは、この薬じゃなくて打たれた薬の作用ってこと?なんで、二日は経ってるのにまだ薬が抜けてないんだ……?
「説明したぞ、飲め」
「あ、はい………」
なんだかんだ教えてくれてやったー!とか思ってたけど、メリストの方は割とギリギリで怒ってた。
そう、怒ってる。ちゃんと飲むって返事したのに、無理矢理口の中に捩じ込んで来た。また薬を指ごと深くまで入れて来て、強制的に飲まされる。
数分が経って、じわじわと体が熱くなり始めていた。さっき、メリストが疑似発情期って言ってたけど、言われてみれば確かにそんな感じがする。
何もしてなければただ熱いだけのクセに、少しでも何かが擦れるだけで一気に興奮する。メリストが飽きるまでこの薬を使われるんだったら、少しでも発情期に慣れて、メリストに触れられる事に慣れないと。そのうち、飽きられたらきっと終わるんだから。
ここからの食後の運動は、分かりやすく大変なことになる。
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