37 / 95
まじか攫われた!?
37.嫌がらせ?全然ご褒美だけど?
しおりを挟む
くたびれて眠ること数時間。目が覚めると既に6時を超えていた。体を起こしてタオルケットを退かし、用を足そうと起き上がると、ふと違和感を感じた。
そう言えば、ベッドぐちゃぐちゃのまま寝なかったっけ?
ベッドどころか俺の体まで綺麗にされている。メリスト…はやらなそうだし、誰かが片付けてくれたのだろうか。……寝てる間に何もされて無いよな?
用を足し、水差しから水を汲んで一気に飲み干した。
一息ついたと思ったら、腹の虫が大音量で鳴り響く。そ、そう言えば、今日は何も食べてない……。食事が置かれる扉の前には何も置いてないし、もしかして今日は食事無し?
寝てる間に片付けられたのかもしれない。が、あまりの空腹にまた眠ってしまいそうだ。
「よう、来たぞ」
「め、メリスト……」
「どうした、死にそうな顔をして。腹でも痛いか?」
ぐうぅぅ……………。
あ、あぁ…恥ずかしい…最悪だ………。牢屋はただでさえ音が響くのに……。
腹の音を聞いたメリストは、顔を逸らして声を押し殺して笑っている。くそ……殺して食ってやろうか………。
「クックッ……お前さては、ずっと寝てたから何も食ってないな?」
「うるさいな…お前のせいじゃ無いか。お前があんな無茶させるから………」
「まぁまぁ、待ってろ」
メリストは最後まで笑いながら牢を後にした。食えれば何でもいいから、何か欲しい。でも、あいつが簡単に食わせてくれるだろうか…
しばらくして、メリストはトレイにいくつかの器を乗せて持って来た。トレイをベッドに置くと、乗っている物が結構いいものだと言うのが分かる。
これは…海鮮丼だ!米はよく見ると大麦のようだけど、刺身は綺麗な赤身と白身、それからイクラまで乗っている。流石に醤油とわさびは無いけど、大粒の塩が表面に散りばめられてキラキラしている。しかもあったかそうな汁物には貝とワカメが入ってる。お吸い物だろうか。
キラキラと光り輝くご馳走に涎が出そうになるのを堪えて、じっとメリストを見た。これ、食べていい?食べたい!……そう簡単に貰えないのは分かってるけどさ。
「今日のテメェの餌だ。好きに食え」
「いいの!?……でも、後からなんか要求してくるんじゃ………」
「既に命令に逆らえなくさせてんのに?」
そ、それもそっか。こんな餌付けなんてしなくてもメリストは俺を好きにできる。
なら、食べちゃえ!いただきまーす!久しぶりに箸を持って、海鮮丼を大きな一口で頬張った。
う、うまぁ……♡何の魚かは分からないけど、王道のマグロにかなり近い。もしかしたらこの世界でのマグロかもしれないけど、なかなかに甘みと脂身があって美味しい。肉厚で弾力がありながらも口の中で溶けるような感覚、なんて贅沢……!控えめな塩気と薄く掛けられている海鮮の出汁が刺身と麦と絡んで美味しい…!
海鮮丼を頬張りながらもたまにお吸い物も飲む。昆布が香る出汁に貝の旨みも滲み出て、一口飲むだけで身も心も温まる…。
気が付けばあっという間に完食していた。あぁ……久しぶりに満たされたような気がする………。
俺があっという間に完食すると、メリストは俺を見てポカーンとしていた。
「お、驚いた……嫌がらせのつもりだったんだがな………」
「え?なんで?」
こんな豪勢で美味しいものが嫌がらせ?
って思ったところで思い出した。ここ、異世界だ!生魚を食べる文化も無ければ箸も普段使いしない!生魚も箸も、港町の貴族にしか無い文化。一応一般人の俺が何の抵抗も無く箸を使って食べるなんておかしいんだ……!
「お前、まさか港町の坊ちゃんか?」
「え、い、いや。その……本で、見たことがあって!生魚を食べてみたいなって思ってたし、箸も見様見真似で使ってたことがあって……」
「ちっ、なんだ……ただ喜ばせただけじゃねぇか」
うわぁ……なんとか信じてもらえたみたいだけど、見て分かるほどに凄く苛立ってる……。まぁ、そうだよな。嫌がらせをしたいがためだけに貴族の食事を用意して来たんだもんな。喜んで食べられたら面白いわけが無い。
「まぁいい。飯の後のデザートだ。飲め」
「え、えっと……これは………?」
どう見てもデザートじゃ無くて薬、だよな………。これ飲むと体が熱くなって苦しくなるから嫌なんだよな。まぁ逆らえないから飲まないとだけど。
「いいからさっさと飲め」
「その前に教えてくれたっていいだろ」
「……ったく、これは双合性誘発剤の一つだ。ここに連れて来られる前に薬を打たれただろ?その薬に反応して、強制的に擬似発情期を引き起こす薬だ」
え、じゃあ体が熱くなって盛るのは、この薬じゃなくて打たれた薬の作用ってこと?なんで、二日は経ってるのにまだ薬が抜けてないんだ……?
「説明したぞ、飲め」
「あ、はい………」
なんだかんだ教えてくれてやったー!とか思ってたけど、メリストの方は割とギリギリで怒ってた。
そう、怒ってる。ちゃんと飲むって返事したのに、無理矢理口の中に捩じ込んで来た。また薬を指ごと深くまで入れて来て、強制的に飲まされる。
数分が経って、じわじわと体が熱くなり始めていた。さっき、メリストが疑似発情期って言ってたけど、言われてみれば確かにそんな感じがする。
何もしてなければただ熱いだけのクセに、少しでも何かが擦れるだけで一気に興奮する。メリストが飽きるまでこの薬を使われるんだったら、少しでも発情期に慣れて、メリストに触れられる事に慣れないと。そのうち、飽きられたらきっと終わるんだから。
ここからの食後の運動は、分かりやすく大変なことになる。
そう言えば、ベッドぐちゃぐちゃのまま寝なかったっけ?
ベッドどころか俺の体まで綺麗にされている。メリスト…はやらなそうだし、誰かが片付けてくれたのだろうか。……寝てる間に何もされて無いよな?
用を足し、水差しから水を汲んで一気に飲み干した。
一息ついたと思ったら、腹の虫が大音量で鳴り響く。そ、そう言えば、今日は何も食べてない……。食事が置かれる扉の前には何も置いてないし、もしかして今日は食事無し?
寝てる間に片付けられたのかもしれない。が、あまりの空腹にまた眠ってしまいそうだ。
「よう、来たぞ」
「め、メリスト……」
「どうした、死にそうな顔をして。腹でも痛いか?」
ぐうぅぅ……………。
あ、あぁ…恥ずかしい…最悪だ………。牢屋はただでさえ音が響くのに……。
腹の音を聞いたメリストは、顔を逸らして声を押し殺して笑っている。くそ……殺して食ってやろうか………。
「クックッ……お前さては、ずっと寝てたから何も食ってないな?」
「うるさいな…お前のせいじゃ無いか。お前があんな無茶させるから………」
「まぁまぁ、待ってろ」
メリストは最後まで笑いながら牢を後にした。食えれば何でもいいから、何か欲しい。でも、あいつが簡単に食わせてくれるだろうか…
しばらくして、メリストはトレイにいくつかの器を乗せて持って来た。トレイをベッドに置くと、乗っている物が結構いいものだと言うのが分かる。
これは…海鮮丼だ!米はよく見ると大麦のようだけど、刺身は綺麗な赤身と白身、それからイクラまで乗っている。流石に醤油とわさびは無いけど、大粒の塩が表面に散りばめられてキラキラしている。しかもあったかそうな汁物には貝とワカメが入ってる。お吸い物だろうか。
キラキラと光り輝くご馳走に涎が出そうになるのを堪えて、じっとメリストを見た。これ、食べていい?食べたい!……そう簡単に貰えないのは分かってるけどさ。
「今日のテメェの餌だ。好きに食え」
「いいの!?……でも、後からなんか要求してくるんじゃ………」
「既に命令に逆らえなくさせてんのに?」
そ、それもそっか。こんな餌付けなんてしなくてもメリストは俺を好きにできる。
なら、食べちゃえ!いただきまーす!久しぶりに箸を持って、海鮮丼を大きな一口で頬張った。
う、うまぁ……♡何の魚かは分からないけど、王道のマグロにかなり近い。もしかしたらこの世界でのマグロかもしれないけど、なかなかに甘みと脂身があって美味しい。肉厚で弾力がありながらも口の中で溶けるような感覚、なんて贅沢……!控えめな塩気と薄く掛けられている海鮮の出汁が刺身と麦と絡んで美味しい…!
海鮮丼を頬張りながらもたまにお吸い物も飲む。昆布が香る出汁に貝の旨みも滲み出て、一口飲むだけで身も心も温まる…。
気が付けばあっという間に完食していた。あぁ……久しぶりに満たされたような気がする………。
俺があっという間に完食すると、メリストは俺を見てポカーンとしていた。
「お、驚いた……嫌がらせのつもりだったんだがな………」
「え?なんで?」
こんな豪勢で美味しいものが嫌がらせ?
って思ったところで思い出した。ここ、異世界だ!生魚を食べる文化も無ければ箸も普段使いしない!生魚も箸も、港町の貴族にしか無い文化。一応一般人の俺が何の抵抗も無く箸を使って食べるなんておかしいんだ……!
「お前、まさか港町の坊ちゃんか?」
「え、い、いや。その……本で、見たことがあって!生魚を食べてみたいなって思ってたし、箸も見様見真似で使ってたことがあって……」
「ちっ、なんだ……ただ喜ばせただけじゃねぇか」
うわぁ……なんとか信じてもらえたみたいだけど、見て分かるほどに凄く苛立ってる……。まぁ、そうだよな。嫌がらせをしたいがためだけに貴族の食事を用意して来たんだもんな。喜んで食べられたら面白いわけが無い。
「まぁいい。飯の後のデザートだ。飲め」
「え、えっと……これは………?」
どう見てもデザートじゃ無くて薬、だよな………。これ飲むと体が熱くなって苦しくなるから嫌なんだよな。まぁ逆らえないから飲まないとだけど。
「いいからさっさと飲め」
「その前に教えてくれたっていいだろ」
「……ったく、これは双合性誘発剤の一つだ。ここに連れて来られる前に薬を打たれただろ?その薬に反応して、強制的に擬似発情期を引き起こす薬だ」
え、じゃあ体が熱くなって盛るのは、この薬じゃなくて打たれた薬の作用ってこと?なんで、二日は経ってるのにまだ薬が抜けてないんだ……?
「説明したぞ、飲め」
「あ、はい………」
なんだかんだ教えてくれてやったー!とか思ってたけど、メリストの方は割とギリギリで怒ってた。
そう、怒ってる。ちゃんと飲むって返事したのに、無理矢理口の中に捩じ込んで来た。また薬を指ごと深くまで入れて来て、強制的に飲まされる。
数分が経って、じわじわと体が熱くなり始めていた。さっき、メリストが疑似発情期って言ってたけど、言われてみれば確かにそんな感じがする。
何もしてなければただ熱いだけのクセに、少しでも何かが擦れるだけで一気に興奮する。メリストが飽きるまでこの薬を使われるんだったら、少しでも発情期に慣れて、メリストに触れられる事に慣れないと。そのうち、飽きられたらきっと終わるんだから。
ここからの食後の運動は、分かりやすく大変なことになる。
18
お気に入りに追加
279
あなたにおすすめの小説


男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。

普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。
山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。
お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。
サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。

ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!

弟勇者と保護した魔王に狙われているので家出します。
あじ/Jio
BL
父親に殴られた時、俺は前世を思い出した。
だが、前世を思い出したところで、俺が腹違いの弟を嫌うことに変わりはない。
よくある漫画や小説のように、断罪されるのを回避するために、弟と仲良くする気は毛頭なかった。
弟は600年の眠りから醒めた魔王を退治する英雄だ。
そして俺は、そんな弟に嫉妬して何かと邪魔をしようとするモブ悪役。
どうせ互いに相容れない存在だと、大嫌いな弟から離れて辺境の地で過ごしていた幼少期。
俺は眠りから醒めたばかりの魔王を見つけた。
そして時が過ぎた今、なぜか弟と魔王に執着されてケツ穴を狙われている。
◎1話完結型になります
勇者パーティーハーレム!…の荷物番の俺の話
バナナ男さん
BL
突然異世界に召喚された普通の平凡アラサーおじさん< 山野 石郎 >改め【 イシ 】
世界を救う勇者とそれを支えし美少女戦士達の勇者パーティーの中・・俺の能力、ゼロ!あるのは訳の分からない< 覗く >という能力だけ。
これは、ちょっとしたおじさんイジメを受けながらもマイペースに旅に同行する荷物番のおじさんと、世界最強の力を持った勇者様のお話。
無気力、性格破綻勇者様 ✕ 平凡荷物番のおじさんのBLです。
不憫受けが書きたくて書いてみたのですが、少々意地悪な場面がありますので、どうかそういった表現が苦手なお方はご注意ください_○/|_ 土下座!


ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる