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孤児院での生活
27.どこの世界でも相思相愛
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孤児院に来て結構時間が経った。今ではバッチリ文字が読めるようになって、書庫で元の世界の情報を探している。けど…全く手掛かりナシ。困ったな、擦りもしないなんて…。やっぱりこの世界には『異世界』の概念も存在していないのかも知れない。
いくつか本を借りて、部屋で読み漁っていた。まだ読んでない本もたくさんあるけど、ジャンルを絞らないと絶対に終わらない。とりあえず歴史の本と魔法の本、それから物語を漁っている。
そう簡単に見つからないだろうとは思ってたけど、ここまで無いとは思わなかった。フィクションの小説にすら異世界モノは無い。
このままだと元の世界に戻れない。
「こう君、ちょっと頑張りすぎてない?」
「全然、みつ兄より体力だってあるしなんの問題もないよ」
確かに疲れは感じている。でも、みつ兄のためならこれくらい何ともない。
「こう君…顔色悪いの気付いてる?」
「え?」
「ねえ、休もう?」
「でも…早く帰りたいんだよね?そのためなら多少の無理くらい……」
「だめ!」
急に声を荒げたみつ兄。驚いて視線を本からみつ兄に移すと、表情だけでどれほど心配しているのか分かった。だって、こんな今にも泣き出しそうな目をしてたら………言うこと聞くしか無いに決まってる。
「分かった、少し休むよ」
「少しじゃダメ、ちゃんと休んで!」
「わ、分かった……」
心配性すぎないかな。ベッドに入ったらガッチリ抱きしめられて動けないし。でも…あったかくてすぐに寝落ちそう。最近は急にシなくなって、ちょっと寂しい感じもするから誘いたかったけど……また今度にしよう。
「……こう君、まだ起きてる?」
「ん…どおした?」
「こう君が頑張ってるのってもしかして…兄さんのためだったりする?」
まぁ、そうだけど……、正直にはいそうですなんて答えればみつ兄は自分を責めるだろう。かと言って俺は元の世界に帰りたいとはそこまで思っていない。父さんや友達と離れ離れになるのは嫌だし、ゲームやスマホが無いのも結構厳しい。でも、こっちの世界にはガルさんやリリスさんみたいな優しい人もいれば、フィーフィさんやメルトさんみたいな推しだっている。
それに……元の世界に帰ればみつ兄と今の関係のままではいられない。きっとこの世界だから目を瞑ってもらえているのだろう実の兄との体の関係は、元の世界じゃバレたら非難の的になる。父さんにも何て言われるか。みつ兄にそんな嫌な思い、して欲しくない。
「……こう君、本当に帰りたい?」
「え?」
「気付いてるんじゃないの?帰れないことも、帰るわけにいかないことも」
「………」
気付いてるよ。みつ兄も気付いてたんだ。
………俺、今、最低な事を考えた。
お願い、みつ兄。この世界でも元の世界でもなく、『俺がいる世界』を選んで…。他の誰も関係ない、俺が居ればいいって思って欲しい。あれ、俺…いつからこんな事考えるようになったんだろう。
「こう君?」
「……みつ兄、俺、みつ兄がいる世界にいたい」
「こう君…ふふっ、僕たち相思相愛だね。兄さんも同じ事を考えてたんだ」
同じ、気持ち。そっか、そっかぁ………嬉しいなぁ………………。なら俺、こっちの世界がいい。誰も俺たちを否定しないこの世界がいい。
「にぃ、俺と二人でここに居よ?俺が大人になったら二人で暮らして、二人で生きていこう………」
「うん。そうなれたらとっても素敵だね。……あれ、眠った?」
不思議と温かくて苦しいモヤモヤした心でそのまま眠った。
その日の夢は未来の俺たちが出てきて、何をするにも一緒で、すごく幸せそうだった。こんな未来になったらいいな。正夢だったらいいな。
ーーーーー光流ーーーーー
こう君…やっとこっちまで来てくれた。僕と同じ気持ちになり始めた。あと少しで、自分から全部を僕に委ねてくれるかな。
ここまで来るのに時間が掛かったなぁ。こう君ったら、こんなに待たせて悪い子。
僕がこう君を好きになるより先にこう君が僕を好きになってたくせに、それに気付くのも遅かった。
猛烈なアタックに負けて好きになったのに、当の本人がなんて事ない風にするのは酷すぎる。
好きにならせた事、後悔させるくらい愛したかったけど………相思相愛も悪くないね♡
いくつか本を借りて、部屋で読み漁っていた。まだ読んでない本もたくさんあるけど、ジャンルを絞らないと絶対に終わらない。とりあえず歴史の本と魔法の本、それから物語を漁っている。
そう簡単に見つからないだろうとは思ってたけど、ここまで無いとは思わなかった。フィクションの小説にすら異世界モノは無い。
このままだと元の世界に戻れない。
「こう君、ちょっと頑張りすぎてない?」
「全然、みつ兄より体力だってあるしなんの問題もないよ」
確かに疲れは感じている。でも、みつ兄のためならこれくらい何ともない。
「こう君…顔色悪いの気付いてる?」
「え?」
「ねえ、休もう?」
「でも…早く帰りたいんだよね?そのためなら多少の無理くらい……」
「だめ!」
急に声を荒げたみつ兄。驚いて視線を本からみつ兄に移すと、表情だけでどれほど心配しているのか分かった。だって、こんな今にも泣き出しそうな目をしてたら………言うこと聞くしか無いに決まってる。
「分かった、少し休むよ」
「少しじゃダメ、ちゃんと休んで!」
「わ、分かった……」
心配性すぎないかな。ベッドに入ったらガッチリ抱きしめられて動けないし。でも…あったかくてすぐに寝落ちそう。最近は急にシなくなって、ちょっと寂しい感じもするから誘いたかったけど……また今度にしよう。
「……こう君、まだ起きてる?」
「ん…どおした?」
「こう君が頑張ってるのってもしかして…兄さんのためだったりする?」
まぁ、そうだけど……、正直にはいそうですなんて答えればみつ兄は自分を責めるだろう。かと言って俺は元の世界に帰りたいとはそこまで思っていない。父さんや友達と離れ離れになるのは嫌だし、ゲームやスマホが無いのも結構厳しい。でも、こっちの世界にはガルさんやリリスさんみたいな優しい人もいれば、フィーフィさんやメルトさんみたいな推しだっている。
それに……元の世界に帰ればみつ兄と今の関係のままではいられない。きっとこの世界だから目を瞑ってもらえているのだろう実の兄との体の関係は、元の世界じゃバレたら非難の的になる。父さんにも何て言われるか。みつ兄にそんな嫌な思い、して欲しくない。
「……こう君、本当に帰りたい?」
「え?」
「気付いてるんじゃないの?帰れないことも、帰るわけにいかないことも」
「………」
気付いてるよ。みつ兄も気付いてたんだ。
………俺、今、最低な事を考えた。
お願い、みつ兄。この世界でも元の世界でもなく、『俺がいる世界』を選んで…。他の誰も関係ない、俺が居ればいいって思って欲しい。あれ、俺…いつからこんな事考えるようになったんだろう。
「こう君?」
「……みつ兄、俺、みつ兄がいる世界にいたい」
「こう君…ふふっ、僕たち相思相愛だね。兄さんも同じ事を考えてたんだ」
同じ、気持ち。そっか、そっかぁ………嬉しいなぁ………………。なら俺、こっちの世界がいい。誰も俺たちを否定しないこの世界がいい。
「にぃ、俺と二人でここに居よ?俺が大人になったら二人で暮らして、二人で生きていこう………」
「うん。そうなれたらとっても素敵だね。……あれ、眠った?」
不思議と温かくて苦しいモヤモヤした心でそのまま眠った。
その日の夢は未来の俺たちが出てきて、何をするにも一緒で、すごく幸せそうだった。こんな未来になったらいいな。正夢だったらいいな。
ーーーーー光流ーーーーー
こう君…やっとこっちまで来てくれた。僕と同じ気持ちになり始めた。あと少しで、自分から全部を僕に委ねてくれるかな。
ここまで来るのに時間が掛かったなぁ。こう君ったら、こんなに待たせて悪い子。
僕がこう君を好きになるより先にこう君が僕を好きになってたくせに、それに気付くのも遅かった。
猛烈なアタックに負けて好きになったのに、当の本人がなんて事ない風にするのは酷すぎる。
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